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第二章
24. お仕置き ★
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玄関に入るなり、早川は乱暴に俺を突き飛ばした。体は、勢い良く床へと投げ出される。
「ぃった……! 何すんだよ……、んっ」
両頬を掴まれ強引に上を向かされたかと思えば、唇を塞がれた。抵抗しようと固く口を閉ざすが、無理矢理こじ開けられてしまう。
俺は必死に侵入してくる舌を押し返そうと、ますます躍起になった。
「や、ぁ……っ、やめろよ!」
とうとう耐えきれず、俺は早川の舌に歯を立てた。
「…………っ、」
ヘーゼルの瞳歪んだ隙に、彼の胸を強く押し返す。けれど、その唇から血が滲むのが見えて、一気に青醒めた。
「ぁ……ご、ごめ……大丈夫!?」
口元を押さえて俯く彼に手を伸ばす。
しかし、その手は突然掴み上げられた。
「……っふぁ!?」
蹂躙するようなキスが再開される。
微かに血の味が滲む乱暴な口付けの合間に、彼の手は俺の浴衣を乱し始めた。
やっと唇が解放されたかと思えば、今度ははだけてゆく胸元をきつく吸われた。たまらずにその頭を押し返そうとすれば、その手は浴衣の上から下腹部を弄り始める。
「あっ、ゃ……っん!」
酷く性急な手付きなのに、それでも彼に仕込まれた体は嫌でも反応してしまう。
何とか抵抗したくて、彼の髪を強く引くと、熱い吐息が耳を嬲った。
「嫌なの? ここは、随分と悦んでるみたいだけど」
浴衣ごと掴まれた陰茎の先を、指の腹で刺激される。
それだけで、じわりと溢れ出す先走りが下着から染みて、錫色の浴衣に染みをつくるのが見えた。
羞恥心に、カッと顔に熱が昇る。
湿った水音さえも聞こえ始めれば、耐えきれずに顔を背けるしかなかった。
「ほら、見る? 糸まで引いて僕の指に絡みついてくるよ」
「嫌だっ、離せよ! そんなの見たくないっ」
身を捩り、その腕からついに抜け出す。
這うようにして廊下へ逃げようとすると、腰帯を掴まれ後ろに引き摺られた。
「見えるのが嫌なの? それならー……」
自分の帯が、解かれる音がした。
驚いて振り返ろうとすれば、後ろから突然視界が塞がれる。
「何も見えなくしてあげるよ」
その声と共に、目の前が閉ざされた。
目元に触れれば固い感触がある。
そこに巻かれていたのは、俺が先程までしていた浴衣の帯だった。
「なにっ!?ゃ……、外せよ……っ!!」
「どうして?君が望んだんだよ」
「はっ?こんなの望んでないっ!」
「望んだでしょう?他の男にあんなに懐いて僕にヤキモチ妬かせたりして……」
外そうとする手は床へと押し付けられ、逃れようとする顎は掴まれて上を向かされた。
「お仕置きだよ」
高級な帯は、僅かな灯りすら通さない。
しかし、見上げた暗闇の向こうから、早川の冷え切った視線が突き刺さるのを肌で感じた。確かな怒りの感情をぶつけられた体は、今まで感じたことのない恐怖に震える。
不意に遠くで、何かが床にぶちまけるような音がした。
床に固いものがあたる音がけたたましく響いたかと思えば、何かを探すように早川が離れた。
しかし、それも束の間だった。
指一本ですら動かせずに身を縮こませていると、浴衣の裾がたくし上げられる。
突然、外気に晒されてしまった腰を揺らせば、乱暴に下着までもを取り払われてしまう。
「やだやだっ! や……っ」
訳がわからず振り返ろうとする前にー……
一気に、体を貫かれた。
「ー…………っ!!!」
悲鳴すら、声にならない。
呼吸を止めていれば、閉じていた口を舌で開かされる。送り込まれた酸素を吸うと、一緒に甘い蜂蜜の香りがした。
いつもなら時間をかけて解される筈の蕾は無理矢理開かれ、ぐちゅぐちゅと耳を塞ぎたくなるほど下品な音を廊下に響かせた。
「……ははっ、いつも可愛がってあげてる成果かな。簡単に咥えられたね」
低い声が、耳さえも蹂躙した。
近くで、カラカラと何かが転がる音がする。苦しさに床をひっかく指先が、その転がってきた何かを掴んだ。
「…………っ」
それは、空っぽになった小瓶だった。
湿った音は、尚も廊下に響き続ける。
『ありがとう! 大切に使うな!』
そう、約束したのに。
ほんの数時間前まであった幸せを、遥か遠い昔のように感じてしまうのはなぜだろう。
身も、心も、崩れてゆく。
二人の甘い幸せをたっぷり詰め込んでいるかのようだった蜂蜜の香りは、汗と精液の香りに塗りつぶされた。
「ぃった……! 何すんだよ……、んっ」
両頬を掴まれ強引に上を向かされたかと思えば、唇を塞がれた。抵抗しようと固く口を閉ざすが、無理矢理こじ開けられてしまう。
俺は必死に侵入してくる舌を押し返そうと、ますます躍起になった。
「や、ぁ……っ、やめろよ!」
とうとう耐えきれず、俺は早川の舌に歯を立てた。
「…………っ、」
ヘーゼルの瞳歪んだ隙に、彼の胸を強く押し返す。けれど、その唇から血が滲むのが見えて、一気に青醒めた。
「ぁ……ご、ごめ……大丈夫!?」
口元を押さえて俯く彼に手を伸ばす。
しかし、その手は突然掴み上げられた。
「……っふぁ!?」
蹂躙するようなキスが再開される。
微かに血の味が滲む乱暴な口付けの合間に、彼の手は俺の浴衣を乱し始めた。
やっと唇が解放されたかと思えば、今度ははだけてゆく胸元をきつく吸われた。たまらずにその頭を押し返そうとすれば、その手は浴衣の上から下腹部を弄り始める。
「あっ、ゃ……っん!」
酷く性急な手付きなのに、それでも彼に仕込まれた体は嫌でも反応してしまう。
何とか抵抗したくて、彼の髪を強く引くと、熱い吐息が耳を嬲った。
「嫌なの? ここは、随分と悦んでるみたいだけど」
浴衣ごと掴まれた陰茎の先を、指の腹で刺激される。
それだけで、じわりと溢れ出す先走りが下着から染みて、錫色の浴衣に染みをつくるのが見えた。
羞恥心に、カッと顔に熱が昇る。
湿った水音さえも聞こえ始めれば、耐えきれずに顔を背けるしかなかった。
「ほら、見る? 糸まで引いて僕の指に絡みついてくるよ」
「嫌だっ、離せよ! そんなの見たくないっ」
身を捩り、その腕からついに抜け出す。
這うようにして廊下へ逃げようとすると、腰帯を掴まれ後ろに引き摺られた。
「見えるのが嫌なの? それならー……」
自分の帯が、解かれる音がした。
驚いて振り返ろうとすれば、後ろから突然視界が塞がれる。
「何も見えなくしてあげるよ」
その声と共に、目の前が閉ざされた。
目元に触れれば固い感触がある。
そこに巻かれていたのは、俺が先程までしていた浴衣の帯だった。
「なにっ!?ゃ……、外せよ……っ!!」
「どうして?君が望んだんだよ」
「はっ?こんなの望んでないっ!」
「望んだでしょう?他の男にあんなに懐いて僕にヤキモチ妬かせたりして……」
外そうとする手は床へと押し付けられ、逃れようとする顎は掴まれて上を向かされた。
「お仕置きだよ」
高級な帯は、僅かな灯りすら通さない。
しかし、見上げた暗闇の向こうから、早川の冷え切った視線が突き刺さるのを肌で感じた。確かな怒りの感情をぶつけられた体は、今まで感じたことのない恐怖に震える。
不意に遠くで、何かが床にぶちまけるような音がした。
床に固いものがあたる音がけたたましく響いたかと思えば、何かを探すように早川が離れた。
しかし、それも束の間だった。
指一本ですら動かせずに身を縮こませていると、浴衣の裾がたくし上げられる。
突然、外気に晒されてしまった腰を揺らせば、乱暴に下着までもを取り払われてしまう。
「やだやだっ! や……っ」
訳がわからず振り返ろうとする前にー……
一気に、体を貫かれた。
「ー…………っ!!!」
悲鳴すら、声にならない。
呼吸を止めていれば、閉じていた口を舌で開かされる。送り込まれた酸素を吸うと、一緒に甘い蜂蜜の香りがした。
いつもなら時間をかけて解される筈の蕾は無理矢理開かれ、ぐちゅぐちゅと耳を塞ぎたくなるほど下品な音を廊下に響かせた。
「……ははっ、いつも可愛がってあげてる成果かな。簡単に咥えられたね」
低い声が、耳さえも蹂躙した。
近くで、カラカラと何かが転がる音がする。苦しさに床をひっかく指先が、その転がってきた何かを掴んだ。
「…………っ」
それは、空っぽになった小瓶だった。
湿った音は、尚も廊下に響き続ける。
『ありがとう! 大切に使うな!』
そう、約束したのに。
ほんの数時間前まであった幸せを、遥か遠い昔のように感じてしまうのはなぜだろう。
身も、心も、崩れてゆく。
二人の甘い幸せをたっぷり詰め込んでいるかのようだった蜂蜜の香りは、汗と精液の香りに塗りつぶされた。
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