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〜 Side story 2 〜
「すごい!すごいよ!!」
いつかのお前が、興奮に頬を高揚させながら言った。
「スカウトされちゃったね!芸能人になっちゃうの?わぁあっ!」
「落ち着けよ。興味ないし」
俺がそう言うと、お前は不服そうに顔を顰めた。此方を睨んでいるが、目が大きく童顔なせいで全く怖くない。首を傾げれば、短い栗色の髪がサラリと靡いた。
「ええ?断っちゃうの?」
その言葉に、名刺を捨てようとしていた手を止める。
「なんで?俺が芸能人になったら嬉しい?」
「嬉しいよ!俳優かな?モデルかな?テレビに出たら必ず録画するし、雑誌に載ったらその雑誌一生宝物にする!!」
「なんだそれ。恥ずいからやめろ」
「だって、自慢したいじゃんか!」
この時言われた言葉は、今でも胸の一番奥を照らしている。
「僕の幼馴染は、すごいんだよ!って」
あの笑顔を、俺はずっと忘れられずにいるんだ。
**
7月2日(土)晴れ
病室を訪れると、そこは静かだった。
お前は、上半身を起こしてベッドに座りながら、ギブスの嵌った右足を眺めている。
その瞳は、やはりどこか遠くを見つめて俺を捉えることはなかった。
「今日は何を見てるんだ?」
パイプ椅子に腰掛け、尋ねる。
伏せられた睫毛が微かに震えた。
「僕って、どん臭いなって……」
落ち込んでいました。
そう言うと、慌てて自分の口を塞ぐ。
羞恥心に頬を染める横顔に、どうしようもなく胸が掻き乱されて、気づけば自然と口が動いていた。
「そんなことないだろう?お前は何でもできる」
手の平を翳して指折り語り出す。
「掃除が得意で綺麗好きだ。お前が掃除するおかげで部屋はいつだって清潔だし、とても過ごしやすい。料理だって得意だろう。お前が作る料理は何でも美味しいし、何度でも食べたくなる。それから、朝は早起きだし……」
しかし、お前は慌てたように声を上げた。
「なっ、えっ?ちょ、恥ずかしいんで……、っていうか、何で…………?」
知っているんですか?
そう言いたげに、唇が薄く開く。
けれど、どうしてもそんな言葉は聞きたくなくて、その唇を塞ぐように指先を翳した。
「俺は、何でも知っている。だって、お前の……」
……幼馴染だから?
……恋人だから?
「友達だから」
本当は、違うと叫びたかった。
俺達の関係はー……
この胸にある想いはー……
そんな言葉では、言い表せない。
夜空の星に、縋りたくなった。
『明日も隣にいられますように』
こんなに近くにいる筈なのに、お前はどこまでも遠かった。
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