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【Lesson.2】
二人の時間4
──もう夢でもいい。
もうほとんど久住の身体の輪郭も掴めない。ふいに眠気が襲ってきて油断していたところに、生温かい何かが多希の首筋に触れた。
じゅっと一気に吸い上げられ、痛みが肌の上に散るのと同時に、多希は「あっ……」と声を上げた。痛みを感じた場所に手を宛がうも、久住はもうそこにはいない。熱く溢れる吐息と柔らかい唇の感触は、もっと下へと降りていく。
「んん……あ」
多希が反応した場所を、久住は見逃さない。男と寝るときは、性欲を手早く発散させるのが目的だったから、じっくりと弱く感じるところばかりを攻められたことがない。じわじわと下腹に溜まる熱に、多希は切ない声を漏らした。
「先生のここ、ちょっと噛んだだけで膨らんでます」
「あ……あ」
「また今度、ちゃんと全部見せてくださいね」
今度……今度って。それは、そういうことをする関係を、久住は望んでいるのだろうか。全部聞きたかったけれど、重いと思われたくない。自分だけ傷つきたくない。久住が今日限りという心構えなら、多希も同じように合わせるだけだ。
──だってもう……傷つきたくない。
「先生?」
「あ……なんでも、ない。久住さん……もっとして」
懇願すると、久住は多希の両足を抱え上げた。昂ぶる熱も奥にあるまだ閉じた場所も、久住に見られている。いつも多希が見つめている、あのすらりとした長い指で今から触れられるものだと思っていた。
「あ、くすみさ……」
「すみません。指だとできないので。痛くしませんから」
「えっ……? や、あっ、あぁ……くすみさん……っ」
息がかかるのを感じる。そしてすぐに熱く濡れた感触がした。久住が下肢へと顔を埋め、きつく閉じた場所を抉じ開けようとしている。そんなところを舐められるのは初めてで、全身の力が抜ける。
「や、もう……それ、やめ……」
「怪我させたくありませんから」
「きたない、から……」
「由衣濱先生は綺麗です」
逃れようと多希は些細な抵抗を見せるも、逆に久住の腕の力が増すだけだった。太腿に触れる久住の指のところどころに、絆創膏が貼ってあったのを思い出す。どれも多希が手当てしたものだ。久住が指を使うのを躊躇した理由が分かった。
久住は丁寧すぎるほど、そこを唾液で潤し、多希の身体を開いていった。一方で腹につくほど反り返った自身には、久住の手は伸びない。我慢できず、多希は一度熱を介抱しようと、下腹へ手を伸ばしたときだった。多希の上体はベッドの上へ縫いつけられていた。
「……すみません。もう先生の中に、入りたい」
「あっ……」
下着を下ろし、多希よりも大きなものを扱きながら久住は掠れた声で言った。膝裏を押し上げられ、多希は暗闇でほとんど表情の分からない久住を見た。普段はインスタントなセックスばかりで、こんなにも焦らされて熱を余すことなどなかったのに。
──あ……おっきい……。
ずくん、と腰の奥にさざ波のような期待が広がる。多希の顔の横へ肘をついた久住が、体重をかけてくる。
「あぁ、あっ……あ」
舌が届いていたのはほんの浅いところまで。久住の熱が、想像よりも深く多希の中を侵している。
「い……や。あ……こん、な……あぁ、ん」
「……いや、ですか?」
久しぶりに感じ過ぎて辛い。気を抜けば、後ろだけで達してしまいそうになり、多希の呼吸は乱れる。久住は腰を引こうとしたが、今やめられたらもっと辛くなる。多希は咄嗟に久住の腰へ、両足を絡ませた。
「……っ。由衣濱、せんせい」
「気持ち、いいから……やめないで。してほしい……たくさん。あっ、あぁ、あっ!」
「……それ、言われたら、もう止まれませんから」
久住は多希の中から出て行こうとした動きを止め、すとんと一気に落ちるように重なってきた。今までの焦れったい動きが嘘のように、久住は激しく腰を打ちつけてくる。久住の熱く荒い息遣いが、耳にかかる。
「あぁっ……! あ、あっ、あ……」
理知的な久住からは想像もつかない、荒っぽい動き。久しぶりに、遠い昔、本気で恋をしていたときのように、ちぎれて身体から離れてしまいそうなほどの、ふわふわ軽くなる感触が胸を切なくさせる。
内側の全部を久住のものでかき回され、解放を待ち望んでいる前は、大きな手の中に握られている。久住の指がその先端へ添えられる。
「……んっ」
「先生のここ、すごく濡れやすいですね。たくさん撫でてあげますね」
「ひっ……あ、あぁ。やっ、ん……だ、だめ」
「くすぐったいですか?」
「ちがぁ……違うの……。出る……でちゃう、から……! あぁ、ん……や、いく、イく……っ」
多希の腹の上に温かい飛沫が広がった。久住は目の前の痴態に驚いているのか、多希の中で動きを止めている。
「はずかし……」
頭上の枕を手繰り寄せて、顔の上に押しつける。埋まったままの久住のものは、何故かぐんと笠を増した。
「あ……久住さん」
「先生、エロ過ぎ」
「あっ、あ……そんな、つよく……あぁ!」
猛々しい雄に貫かれ、多希は喉を反らしながら喘いだ。久住に触れているところ……身体の外も内も全部が気持ちいい。どちらも途中で体力が尽きることもなく、二人が眠ったのは外が白み始める夜更けの頃だった。
もうほとんど久住の身体の輪郭も掴めない。ふいに眠気が襲ってきて油断していたところに、生温かい何かが多希の首筋に触れた。
じゅっと一気に吸い上げられ、痛みが肌の上に散るのと同時に、多希は「あっ……」と声を上げた。痛みを感じた場所に手を宛がうも、久住はもうそこにはいない。熱く溢れる吐息と柔らかい唇の感触は、もっと下へと降りていく。
「んん……あ」
多希が反応した場所を、久住は見逃さない。男と寝るときは、性欲を手早く発散させるのが目的だったから、じっくりと弱く感じるところばかりを攻められたことがない。じわじわと下腹に溜まる熱に、多希は切ない声を漏らした。
「先生のここ、ちょっと噛んだだけで膨らんでます」
「あ……あ」
「また今度、ちゃんと全部見せてくださいね」
今度……今度って。それは、そういうことをする関係を、久住は望んでいるのだろうか。全部聞きたかったけれど、重いと思われたくない。自分だけ傷つきたくない。久住が今日限りという心構えなら、多希も同じように合わせるだけだ。
──だってもう……傷つきたくない。
「先生?」
「あ……なんでも、ない。久住さん……もっとして」
懇願すると、久住は多希の両足を抱え上げた。昂ぶる熱も奥にあるまだ閉じた場所も、久住に見られている。いつも多希が見つめている、あのすらりとした長い指で今から触れられるものだと思っていた。
「あ、くすみさ……」
「すみません。指だとできないので。痛くしませんから」
「えっ……? や、あっ、あぁ……くすみさん……っ」
息がかかるのを感じる。そしてすぐに熱く濡れた感触がした。久住が下肢へと顔を埋め、きつく閉じた場所を抉じ開けようとしている。そんなところを舐められるのは初めてで、全身の力が抜ける。
「や、もう……それ、やめ……」
「怪我させたくありませんから」
「きたない、から……」
「由衣濱先生は綺麗です」
逃れようと多希は些細な抵抗を見せるも、逆に久住の腕の力が増すだけだった。太腿に触れる久住の指のところどころに、絆創膏が貼ってあったのを思い出す。どれも多希が手当てしたものだ。久住が指を使うのを躊躇した理由が分かった。
久住は丁寧すぎるほど、そこを唾液で潤し、多希の身体を開いていった。一方で腹につくほど反り返った自身には、久住の手は伸びない。我慢できず、多希は一度熱を介抱しようと、下腹へ手を伸ばしたときだった。多希の上体はベッドの上へ縫いつけられていた。
「……すみません。もう先生の中に、入りたい」
「あっ……」
下着を下ろし、多希よりも大きなものを扱きながら久住は掠れた声で言った。膝裏を押し上げられ、多希は暗闇でほとんど表情の分からない久住を見た。普段はインスタントなセックスばかりで、こんなにも焦らされて熱を余すことなどなかったのに。
──あ……おっきい……。
ずくん、と腰の奥にさざ波のような期待が広がる。多希の顔の横へ肘をついた久住が、体重をかけてくる。
「あぁ、あっ……あ」
舌が届いていたのはほんの浅いところまで。久住の熱が、想像よりも深く多希の中を侵している。
「い……や。あ……こん、な……あぁ、ん」
「……いや、ですか?」
久しぶりに感じ過ぎて辛い。気を抜けば、後ろだけで達してしまいそうになり、多希の呼吸は乱れる。久住は腰を引こうとしたが、今やめられたらもっと辛くなる。多希は咄嗟に久住の腰へ、両足を絡ませた。
「……っ。由衣濱、せんせい」
「気持ち、いいから……やめないで。してほしい……たくさん。あっ、あぁ、あっ!」
「……それ、言われたら、もう止まれませんから」
久住は多希の中から出て行こうとした動きを止め、すとんと一気に落ちるように重なってきた。今までの焦れったい動きが嘘のように、久住は激しく腰を打ちつけてくる。久住の熱く荒い息遣いが、耳にかかる。
「あぁっ……! あ、あっ、あ……」
理知的な久住からは想像もつかない、荒っぽい動き。久しぶりに、遠い昔、本気で恋をしていたときのように、ちぎれて身体から離れてしまいそうなほどの、ふわふわ軽くなる感触が胸を切なくさせる。
内側の全部を久住のものでかき回され、解放を待ち望んでいる前は、大きな手の中に握られている。久住の指がその先端へ添えられる。
「……んっ」
「先生のここ、すごく濡れやすいですね。たくさん撫でてあげますね」
「ひっ……あ、あぁ。やっ、ん……だ、だめ」
「くすぐったいですか?」
「ちがぁ……違うの……。出る……でちゃう、から……! あぁ、ん……や、いく、イく……っ」
多希の腹の上に温かい飛沫が広がった。久住は目の前の痴態に驚いているのか、多希の中で動きを止めている。
「はずかし……」
頭上の枕を手繰り寄せて、顔の上に押しつける。埋まったままの久住のものは、何故かぐんと笠を増した。
「あ……久住さん」
「先生、エロ過ぎ」
「あっ、あ……そんな、つよく……あぁ!」
猛々しい雄に貫かれ、多希は喉を反らしながら喘いだ。久住に触れているところ……身体の外も内も全部が気持ちいい。どちらも途中で体力が尽きることもなく、二人が眠ったのは外が白み始める夜更けの頃だった。
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