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★ピタラス諸島第四、ロリアン島編★
536:自分の信念を貫く為だ
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「先ほど会議で、チャイロ様が明日、蝕の儀式の生贄となられる事が正式に決まった。よって、君の世話役の任は解かれた。イカーブ様は煮るなり焼くなり好きにしろと言っていたが……、さすがに、衣服を身につけ言葉を介する君を食べようだなんて、自分には考えられない。それに、君をチャイロ様の世話役にと勧めたのは自分だ。最後まで君の面倒を見る責任がある。他の者が先に手を下さぬようにと、急ぎチャイロ様の部屋へと向かったのだが、君はどこにも居らず、チャイロ様の部屋の鍵も閉まっていた。正直、焦った。チャイロ様の身に何かあったのではないかと……。しかし君ときたら、チャイロ様のお世話をほっぽって、一人で呑気に廊下を歩いているときた。全く……、君には責任感というものが無いのか? ……まぁいい、もう過ぎた事だ。とにかく、さっきは他の兵士が近くにいた故、逃がしてやる事が出来なかったのだ。だから一度、この安全な地下牢に入ってもらおうと考えたのだよ」
ティカは、少々説教のようなものも混ぜつつ、何故かドヤ顔で、事の経緯を説明してくれた。
つまりは、俺を守る為、逃がす為に、わざと地下牢送りにしたと言いたいらしい。
まぁ確かに、この地下牢はきっと、王宮のどこよりも安全だろうな。
少なくとも俺にとっては、あの悲惨な厨房よりはマシだ。
……しかしだな、ちょいと疑問が残るぞ?
あの時ティカは、何か捨て台詞のようなものを、俺に言ったよな??
あれは何だったんだ???
「けど……、全ての責任は、僕にあるって……。さっき言ってなかった?」
俺は、ボソボソとした声で尋ねる。
「あぁ……、まぁ、あれは本心だ。モッモ、君が聞いたというチャイロ様の夜言、その真意が明らかとなったせいで、チャイロ様は生贄とされる事が決まった。自分はチャイロ様をお守りしたかったのに、だ……。全ての責任は、モッモ、君にある」
ティカはドヤ顔をやめて、冷たい視線を俺に向ける。
そ、そんな事言われたって……
仕方がないじゃないか、本当に聞こえちゃったんだから。
確かに、それをわざわざトエトに話した俺が悪かったのかも知れないけれど……
けど、それを言うなら、イカーブに進言したトエトも悪くない?
俺だけの責任じゃないと思うんだけど??
「しかしながら、君は巻き込まれた身だ、責める事は出来ない。それに、巻き込んだのは他の誰でもなく、この自分だからな……。すまなかった」
ティカはそう言って、かなり控え目に頭を下げた。
謝る気があるのなら、もう少し深く頭を下げた方がいいと思うけど……、そんな事は言えないから、黙っておこう。
「とにかく、君の役目はもう終わりだ。王宮の外に出してやるから、もう誰にも捕まるんじゃないぞ」
なんだろう……、まるで、保護した野生動物を自然に帰すみたいな言い方だな。
けど残念ながら、俺は自然の中で逞しく生きていける動物ではないのでね。
むしろ、一人でここを出たりしようもんなら、他の紅竜人達に捕食されちゃいそうなんだけど……?
ガクブルガクブル
ティカは、牢屋の外へと俺を誘う。
しかし……、今、王宮を出るわけにはいかない。
俺は、チャイロを守るって決めたんだ。
訳の分からない蝕の儀式の生贄なんかには、絶対させないぞ。
「ティカ……、一つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
俺は、小さな拳をギュッと握り締め、意を決して尋ねた。
「ティカはどうして……。どうして、チャイロ様を守りたいの?」
俺の問い掛けにティカは、表情一つ変えず、こう言った。
「それは……、自分の信念を貫く為だ」
そしてティカは語り始めた。
これまでティカが歩んできた、人生を。
ティカの生家は、ここ王都に居を構える、比較的裕福な商人の一族だった。
港町ローレにて、外界からの輸入物を手に入れ、王都に運んで貴族達に売る、そういう商いを代々してきた家系らしい。
幼い頃は何一つ不自由なく、大切に育てられたという。
しかしながら、ティカが生まれた時にはもう既に、上には五人の兄と三人の姉がいた。
家業である商人の仕事は、一番上の兄が継ぐ事が決まっていた為に、他の兄弟姉妹達は、成人となる二十歳までに各々の生き方を決めて家を出る、という決まりになっていたそうだ。
ティカが王宮に仕える兵士となったのは今から四年前。
一番年の近い兄と姉が、相次いで亡くなったことがきっかけだった。
一番年の近い兄と姉は、双方共に王宮に仕える仕事を選んでいた。
剣術に長けていた兄は国属の兵士、姉は王族の身の回りの世話をする侍女だった。
兄は、当時は頻繁に行われていた蝕の儀式の最中に、逃げ出そうとした生贄を捕まえようとして、誤って亡くなったそうだ。
そして姉は、生まれたばかりの第一王子の世話役に任命された後、たった二ヶ月で、自らこの世を去ったという。
ティカの家族は、相次いで家族を亡くした事で、悲しみに包まれた。
そんな中でティカは、ある物を手に入れた。
亡くなった姉が生前つけていたという日記を、たまたま、葬儀にやってきた侍女仲間から渡されたのだという。
その日記には、信じ難い事実が書かれていたのだ。
『第一王子チャイロ様は、神だ。遥か昔に、私達紅竜人を生み出した神なのだ。私はこの目で見た、光をまとい、神の言葉を口にするチャイロ様の姿を。このお方を、こんな場所に閉じ込めていてはいけない。命を懸けてお守りし、いつの日か必ず、この薄汚い部屋……、いや、この王宮から、救い出さなければ』
「チャイロが……、神?」
首を傾げる俺。
「……モッモ? 今、チャイロ様を呼び捨てにしたか??」
鋭い視線を向けてくるティカ。
「いっ!? いやいやいやっ!!? チャイロ様! チャイロ様だよっ!!」
慌てて修正するも、ティカは睨むのをやめない。
俺はアセアセとしながらも、ティカが話してくれた事を頭の中でおさらいした。
つまり、ティカのお姉さんは、チャイロのあの姿を見て、チャイロを創造神ククルカンだと思ったわけか。
そして、チャイロの事を救おうとしていた……、あの暗く黒い、呪縛の間から……
そのお姉さんの日記を見て、ティカも同じく、今、チャイロを救おうとしているわけなんだな?
「その……、ティカは、お姉さんの意思を継ぐ為に、チャイロ様を助けようと……?」
「いや、そういう訳ではない」
ち……、違うんかぁ~~~いっ!
ティカの返答に、俺の膝は力無くカクッと曲がった。
「姉が何を見たのか、何を知ったのか……、何故、チャイロ様をあの部屋より外に出そうとしていたのか。それらの答えを自分は知らない。チャイロ様が神だというのも、姉の勘違いかも知れない。故に自分は、チャイロ様をあそこから外に出そう、救おうなどと思った事は一度もない」
なるほど、ティカはチャイロの姿を見た事がないから……
でも、じゃあ何故?
「だが……、解せなかったのだ。あの気丈で朗らかだった姉が、自ら死を選んだなど、到底信じられなかった」
ティカは、悔しそうに唇(っぽい部分)をぎゅっと噛み締める。
「じゃあ……、お姉さんの死の真相を確かめる為に、ティカは王宮の兵士になったんだね?」
「いや、それも少し違う」
それも違うんかぁあ~~~いっ!!
「自分はもともと、兄に憧れていた。兄は強く逞しく、そして優しかった。故に、家を出る為に仕事を探さねばならないとなった時には、自然と兄と同じ道を選ぼうと決めていたのだ」
……なんだ、ブラコンかよ。
「そ、そうなんだ。でもじゃあ、何故チャイロ様の……、えと……。ほら、僕に最初に言ったよね? チャイロ様を孤独から救って欲しいって。あれは、なんでだったの??」
「それは……。哀れだと思ったからだ。誰にも愛されず、誰にも心打ち解けられず、ただ暗い部屋で時を過ごされている事が、酷く哀れに思えてな。自分のような一兵士ごときが、王族であるチャイロ様の身を哀れむなど、傲慢以外の何物でもないのだが……」
ふむ、そうきたか。
つまりティカは、まだ五歳という幼さで、生まれた時からずっと監禁生活を強いられているチャイロの事を可哀想だと思ったわけか。
だから俺に、あんな事を言ったんだな。
けど、それだけが理由なのか?
さっきティカは、信念がどうたら言ってなかったか??
「えと……、じゃあさ、結局なんで……? どうしてティカは、チャイロ様を守りたいの?? 信念って言ってたけど……???」
俺の問い掛けに、ティカは鋭い瞳で俺を見下ろす。
……いや、普通に見ているだけかも知れないけど、無表情で怖いのです。
「それは……、自分の信念を貫く為だ」
……いや、それさっき聞いたし。
「自分の信念、それは……、国を守る事。ひいては、国を治める王家を守る事だ。自分はこのリザドーニャを、いかなる外敵からも守り、国に暮らす全ての民に、平和に暮らして欲しいと願っている」
お、おぉ……、思っていたより壮大で、偉大な信念だな。
ビックリしたわ、めっちゃ真面目じゃないか、ティカめ。
「兄も姉も、同じ信念を持っていた。いや……、兄と姉の信念を、自分が受け継いだと言っても良いだろう。現国王であるカティア様は、ここ数年ご病気の為に伏せっておられる。九人の姫も皆、原因不明の不治の病に侵されているのだ」
えっ!? そうだったのっ!??
お姫様達も病気だったのか……、どおりであんなに痩せこけていたわけだ。
「王は老い先が短く、九人の姫もいつ床に伏せられるかも分からぬ。となれば、王家を継ぐ事ができるのは、第一王子であらせられるチャイロ様のみ。王家の血筋を守る為、なんとしてでもチャイロ様をお守りせねばと考えていたのだが、どうやらそれも叶わぬらしい。血筋が途絶えてしまえば、国は大きく傾いてしまうだろう。いったいこの先、どうすればいいのか……」
ティカは、遠いところを見つめるような眼差しでそう言った。
その表情は、俺が見る限りでは、本当に真剣に思い悩んでいる様子だ。
まさか、一兵士でしかないティカが、こんなにも王家や国の事を考えているなんて、予想もしてなかったな。
だけど……、これだけ国を思う気持ちが強いティカなら、真実を打ち明ければ、協力してくれるかも知れない。
俺は、意を決してこう言った。
「ティカ……、お願いがあるんだ。チャイロ様を救おう! 生贄になんてさせちゃいけない。チャイロ様を助けるんだ!! 僕と、君で!!!」
突然の俺の提案に、ティカは目を見開いて驚いていた。
ティカは、少々説教のようなものも混ぜつつ、何故かドヤ顔で、事の経緯を説明してくれた。
つまりは、俺を守る為、逃がす為に、わざと地下牢送りにしたと言いたいらしい。
まぁ確かに、この地下牢はきっと、王宮のどこよりも安全だろうな。
少なくとも俺にとっては、あの悲惨な厨房よりはマシだ。
……しかしだな、ちょいと疑問が残るぞ?
あの時ティカは、何か捨て台詞のようなものを、俺に言ったよな??
あれは何だったんだ???
「けど……、全ての責任は、僕にあるって……。さっき言ってなかった?」
俺は、ボソボソとした声で尋ねる。
「あぁ……、まぁ、あれは本心だ。モッモ、君が聞いたというチャイロ様の夜言、その真意が明らかとなったせいで、チャイロ様は生贄とされる事が決まった。自分はチャイロ様をお守りしたかったのに、だ……。全ての責任は、モッモ、君にある」
ティカはドヤ顔をやめて、冷たい視線を俺に向ける。
そ、そんな事言われたって……
仕方がないじゃないか、本当に聞こえちゃったんだから。
確かに、それをわざわざトエトに話した俺が悪かったのかも知れないけれど……
けど、それを言うなら、イカーブに進言したトエトも悪くない?
俺だけの責任じゃないと思うんだけど??
「しかしながら、君は巻き込まれた身だ、責める事は出来ない。それに、巻き込んだのは他の誰でもなく、この自分だからな……。すまなかった」
ティカはそう言って、かなり控え目に頭を下げた。
謝る気があるのなら、もう少し深く頭を下げた方がいいと思うけど……、そんな事は言えないから、黙っておこう。
「とにかく、君の役目はもう終わりだ。王宮の外に出してやるから、もう誰にも捕まるんじゃないぞ」
なんだろう……、まるで、保護した野生動物を自然に帰すみたいな言い方だな。
けど残念ながら、俺は自然の中で逞しく生きていける動物ではないのでね。
むしろ、一人でここを出たりしようもんなら、他の紅竜人達に捕食されちゃいそうなんだけど……?
ガクブルガクブル
ティカは、牢屋の外へと俺を誘う。
しかし……、今、王宮を出るわけにはいかない。
俺は、チャイロを守るって決めたんだ。
訳の分からない蝕の儀式の生贄なんかには、絶対させないぞ。
「ティカ……、一つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
俺は、小さな拳をギュッと握り締め、意を決して尋ねた。
「ティカはどうして……。どうして、チャイロ様を守りたいの?」
俺の問い掛けにティカは、表情一つ変えず、こう言った。
「それは……、自分の信念を貫く為だ」
そしてティカは語り始めた。
これまでティカが歩んできた、人生を。
ティカの生家は、ここ王都に居を構える、比較的裕福な商人の一族だった。
港町ローレにて、外界からの輸入物を手に入れ、王都に運んで貴族達に売る、そういう商いを代々してきた家系らしい。
幼い頃は何一つ不自由なく、大切に育てられたという。
しかしながら、ティカが生まれた時にはもう既に、上には五人の兄と三人の姉がいた。
家業である商人の仕事は、一番上の兄が継ぐ事が決まっていた為に、他の兄弟姉妹達は、成人となる二十歳までに各々の生き方を決めて家を出る、という決まりになっていたそうだ。
ティカが王宮に仕える兵士となったのは今から四年前。
一番年の近い兄と姉が、相次いで亡くなったことがきっかけだった。
一番年の近い兄と姉は、双方共に王宮に仕える仕事を選んでいた。
剣術に長けていた兄は国属の兵士、姉は王族の身の回りの世話をする侍女だった。
兄は、当時は頻繁に行われていた蝕の儀式の最中に、逃げ出そうとした生贄を捕まえようとして、誤って亡くなったそうだ。
そして姉は、生まれたばかりの第一王子の世話役に任命された後、たった二ヶ月で、自らこの世を去ったという。
ティカの家族は、相次いで家族を亡くした事で、悲しみに包まれた。
そんな中でティカは、ある物を手に入れた。
亡くなった姉が生前つけていたという日記を、たまたま、葬儀にやってきた侍女仲間から渡されたのだという。
その日記には、信じ難い事実が書かれていたのだ。
『第一王子チャイロ様は、神だ。遥か昔に、私達紅竜人を生み出した神なのだ。私はこの目で見た、光をまとい、神の言葉を口にするチャイロ様の姿を。このお方を、こんな場所に閉じ込めていてはいけない。命を懸けてお守りし、いつの日か必ず、この薄汚い部屋……、いや、この王宮から、救い出さなければ』
「チャイロが……、神?」
首を傾げる俺。
「……モッモ? 今、チャイロ様を呼び捨てにしたか??」
鋭い視線を向けてくるティカ。
「いっ!? いやいやいやっ!!? チャイロ様! チャイロ様だよっ!!」
慌てて修正するも、ティカは睨むのをやめない。
俺はアセアセとしながらも、ティカが話してくれた事を頭の中でおさらいした。
つまり、ティカのお姉さんは、チャイロのあの姿を見て、チャイロを創造神ククルカンだと思ったわけか。
そして、チャイロの事を救おうとしていた……、あの暗く黒い、呪縛の間から……
そのお姉さんの日記を見て、ティカも同じく、今、チャイロを救おうとしているわけなんだな?
「その……、ティカは、お姉さんの意思を継ぐ為に、チャイロ様を助けようと……?」
「いや、そういう訳ではない」
ち……、違うんかぁ~~~いっ!
ティカの返答に、俺の膝は力無くカクッと曲がった。
「姉が何を見たのか、何を知ったのか……、何故、チャイロ様をあの部屋より外に出そうとしていたのか。それらの答えを自分は知らない。チャイロ様が神だというのも、姉の勘違いかも知れない。故に自分は、チャイロ様をあそこから外に出そう、救おうなどと思った事は一度もない」
なるほど、ティカはチャイロの姿を見た事がないから……
でも、じゃあ何故?
「だが……、解せなかったのだ。あの気丈で朗らかだった姉が、自ら死を選んだなど、到底信じられなかった」
ティカは、悔しそうに唇(っぽい部分)をぎゅっと噛み締める。
「じゃあ……、お姉さんの死の真相を確かめる為に、ティカは王宮の兵士になったんだね?」
「いや、それも少し違う」
それも違うんかぁあ~~~いっ!!
「自分はもともと、兄に憧れていた。兄は強く逞しく、そして優しかった。故に、家を出る為に仕事を探さねばならないとなった時には、自然と兄と同じ道を選ぼうと決めていたのだ」
……なんだ、ブラコンかよ。
「そ、そうなんだ。でもじゃあ、何故チャイロ様の……、えと……。ほら、僕に最初に言ったよね? チャイロ様を孤独から救って欲しいって。あれは、なんでだったの??」
「それは……。哀れだと思ったからだ。誰にも愛されず、誰にも心打ち解けられず、ただ暗い部屋で時を過ごされている事が、酷く哀れに思えてな。自分のような一兵士ごときが、王族であるチャイロ様の身を哀れむなど、傲慢以外の何物でもないのだが……」
ふむ、そうきたか。
つまりティカは、まだ五歳という幼さで、生まれた時からずっと監禁生活を強いられているチャイロの事を可哀想だと思ったわけか。
だから俺に、あんな事を言ったんだな。
けど、それだけが理由なのか?
さっきティカは、信念がどうたら言ってなかったか??
「えと……、じゃあさ、結局なんで……? どうしてティカは、チャイロ様を守りたいの?? 信念って言ってたけど……???」
俺の問い掛けに、ティカは鋭い瞳で俺を見下ろす。
……いや、普通に見ているだけかも知れないけど、無表情で怖いのです。
「それは……、自分の信念を貫く為だ」
……いや、それさっき聞いたし。
「自分の信念、それは……、国を守る事。ひいては、国を治める王家を守る事だ。自分はこのリザドーニャを、いかなる外敵からも守り、国に暮らす全ての民に、平和に暮らして欲しいと願っている」
お、おぉ……、思っていたより壮大で、偉大な信念だな。
ビックリしたわ、めっちゃ真面目じゃないか、ティカめ。
「兄も姉も、同じ信念を持っていた。いや……、兄と姉の信念を、自分が受け継いだと言っても良いだろう。現国王であるカティア様は、ここ数年ご病気の為に伏せっておられる。九人の姫も皆、原因不明の不治の病に侵されているのだ」
えっ!? そうだったのっ!??
お姫様達も病気だったのか……、どおりであんなに痩せこけていたわけだ。
「王は老い先が短く、九人の姫もいつ床に伏せられるかも分からぬ。となれば、王家を継ぐ事ができるのは、第一王子であらせられるチャイロ様のみ。王家の血筋を守る為、なんとしてでもチャイロ様をお守りせねばと考えていたのだが、どうやらそれも叶わぬらしい。血筋が途絶えてしまえば、国は大きく傾いてしまうだろう。いったいこの先、どうすればいいのか……」
ティカは、遠いところを見つめるような眼差しでそう言った。
その表情は、俺が見る限りでは、本当に真剣に思い悩んでいる様子だ。
まさか、一兵士でしかないティカが、こんなにも王家や国の事を考えているなんて、予想もしてなかったな。
だけど……、これだけ国を思う気持ちが強いティカなら、真実を打ち明ければ、協力してくれるかも知れない。
俺は、意を決してこう言った。
「ティカ……、お願いがあるんだ。チャイロ様を救おう! 生贄になんてさせちゃいけない。チャイロ様を助けるんだ!! 僕と、君で!!!」
突然の俺の提案に、ティカは目を見開いて驚いていた。
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『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
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