悪役令嬢の聖女への道 〜婚約破棄が導く奇跡〜

第10話：婚約破棄の決断

王子の心に大きな葛藤があった。彼は自由な道を選ぶべきか、それとも王国の期待に応えるべきか迷っていた。心の中で喧騒が渦巻き、苦悩の表情が彼の顔に浮かんでいる。

「エミリア、俺はもう迷わない。婚約を破棄しよう」

彼の言葉に、私は驚きと喜びを感じた。彼が自分の心を取り戻し、新たな道を選ぶことを決断したのだ。しかし、その決断の先には懸念や不安もあることを知っている。

「本当に？」

私は確かめるように尋ねると、王子は微笑みながら答えた。

「ああ、本当だ。エミリアと一緒にいることが自分の幸せだと気づいたんだ。俺たちは偽りの婚約を宣言し、自分たちの道を歩もう」

彼の言葉に心が震えた。私たちが周囲の反対に立ち向かっても、自分たちの愛を証明する覚悟を持っているのだ。彼の決断に心が温まり、私も彼と共に進む覚悟を決める。

「王子様、私も同じ気持ちです。私たちは困難な道を進む覚悟があります」

私の言葉に王子は深く頷き、その後、仲間たちに向かって声をかけた。

「みんな、これからも協力してくれ。俺たちは試練に立ち向かって、新たな未来を築いていくんだ」

仲間たちは頷きながら、固い絆を感じさせる笑顔を浮かべた。私はその一つ一つの表情を心に刻み、彼らとの絆をより深める。

「王子様、私たちは共に頑張りましょう。私たちの愛と信念が王国を救い、悪役令嬢の聖女への道を開くのです」

私の言葉に王子は優しい笑顔を浮かべ、私の手を取って握りしめる。

「エミリア、俺は君と共に未来を切り拓きたい。二人で幸せになろう」

彼の言葉に、私の心は満たされた。私たちは愛と勇気を胸に、新たな未来への道を歩み始めたのだった。

私たちは夕陽が沈む美しい庭園で立ち止まり、その周囲に咲く花々の香りが私たちを包み込んでいた。風が優しく吹き、私たちの髪が揺れる。彼と共に手を繋ぎながら、私は確かな希望と幸せを感じた。このまま彼と共に新たな道を歩むことができるのだと信じていた。