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22 大船に乗った気でいてください
「色々あって疲れただろう。父上との試合後にクリーン魔法はかけていた様だが、君の部屋に湯を用意してある。ゆっくりと疲れを癒してくれ。後で共に昼食を取ろう」
「ありがとうございます」
5歳の頃からちょいちょい遊びに来ていたマクレガー家には俺専用のゲストルームが用意されている。メイドの世話はこちらでもずっと断っていたので、有り難く1人のんびり湯を頂いた。俺の服もあらかじめお父様がこちらに預けてくださっていて、着慣れた服に袖を通していると、ドアがノックされてハーディ様から声がかかった。通信の魔道具に子爵家のお父様から連絡が届いたとの報せだった。
マクレガー家が所有している通信の魔道具は据え置き型で、1階の食堂とテラスに隣接するサロンに置かれている。前世て例えるとハンズフリーの固定電話みたいなやつだ。
『お疲れ様、ジュディス。元気そうで良かった。ディストピア山では楽しめたかい?ジュディスのお土産のオークのお肉とプメプメの実は屋敷の皆で美味しくいただいたよ。あんな貴重な食材を取ってきてくれてありがとうね。あ、でもなるべく危険なことをしてはいけないよ?いくらジュディスが強いと言っても、親としては心配してしまうからね。これからはどこかに行く時は、ちゃんと行き先を誰かに教えてから行くんだよ?』
お父様には大変な心配をおかけしてしまったようで、俺は誠心誠意平謝りした。リードはプメプメの実だけでなくオークの肉も子爵家と伯爵家にお裾分けしてくれたようだ。匿名でって言ったけどあの時点で俺がディストピア山に行ってることは皆が知っていて、リードは普通に俺からの土産として渡したそうである。
お父様は俺が色々とやんちゃなことをかなり前からご存知だったらしい。それだけでなく継母が俺を狙ってあれこれ仕掛けた蛮行も把握していて『守ってあげられなくてごめん』と詫びられてしまった。
『本当は今日のジュディスの、ここ一番の大勝負を応援に行きたかったのだけど、逆アナルを仕掛けた側の家の者が会場に来るのは危険かもしれないとマクレガー伯爵がご心配くださって』
お義父様にはミゲルの1件で俺が色々とやんちゃなのがバレたそうで、今日の決闘は俺が勝つのを見越した上で行った出来レースのようなものらしい。
『詳しいことは伯爵が直々に話されると思うよ。ジュディスを伯爵家に預けたのはね、一昨日、見張りをつけて部屋に軟禁していたオリヴィエが引き裂いたシーツをロープにして2階から脱走したんだ。すぐに見つかったんだけど、それがミゲルのいた《薔薇の館》でね。ミゲルを出せとロビーで大暴れして衛兵を呼ばれてしまって。これまでジュディスにした行いは到底許せるものじゃないけど、うちの子爵家の後継のエイメリーの母でもあるから内々に領地で蟄居させようとしていたのが、修道院送りになってしまってエイメリーがショックを受けてしまったんだよ』
継母はミゲルの居場所をメイドの立ち話で盗み聞いたそうだ。2階から脱走ってアグレッシブが過ぎる。ミゲルはギュスターヴさんにたいそうに気に入られて身請けされ、すでに娼館には居なかったそうである。
『エイメリーは睡眠薬が人より効きやすい体質で3日ほど眠り続けて弱っていたところへ、目覚めてすぐオリヴィエのジュディスへの狼藉とオリヴィエの脱走とその顛末を知って塞ぎ込んでいたのだけどね。そこへ今日のジュディスの決闘のことをメイドの立ち話でたまたま聞いてしまったらしくて』
「そのメイド問題あるのでは。立ち話で大事な情報漏らし過ぎなのでは」
『ま、まあまあ。仕事中の息抜きも大切だから⋯で、ジュディスがハーディ様への逆アナルを賭けて決闘したのを知ったエイメリーが「ハーディ様が、そっち⋯?」ってずーっと呟いてるんだ。精神状態が心配だからジュディスと顔を合わせて刺激しないほうがお互いの為なんじゃないかと思って、ジュディスを預かってもらうようマクレガー伯爵に無理を言ってお願いしたんだよ』
おおう⋯エイメリー、ハーディ様を好きだったもんな。王子様と思って焦がれていた相手が実はお姫様だったら脳が破壊されてしまうのも仕方ない。
『あっ。ジャックがジュディスと話したいって言うから代わるね。それじゃあジュディス、伯爵家であまりやんちゃしないように。また連絡するね。私は執務に戻るよ。さあ、ジャック』
通話の相手をジャックに代わると、挨拶も早々に子爵家の現在の状況を説明された。騎士のミゲルと、ミゲルに買収されて俺に薬を盛っていたメイドが抜けて人手が足りないそうだが、継母の修道院送りの件や俺の決闘騒ぎの所為で新たにまともな人員を雇うのも難しいらしく
『ジュディス様。俺はアンタに貧民街で拾われて侍従にまでしてもらったことは感謝しています』
「なんだ急に改まって」
『侍従の俺はジュディス様に付いて伯爵家に同行するのが道理だって分かってる。だが今はお館様の手助けをしてえんだ。どうかしばらくお側を離れることを許しちゃいただけないでしょうか』
いつ何時もかったるそうなジャックがこんなに熱く語るのは初である。
「おう。ジャックがお父様の手助けしてくれるなら心強いからむしろ全然いいぞ」
「恩に着ます。なあジュディス様、俺は⋯お館様のことは常々お貴族様とは思えねえ、こんな貧民窟育ちの俺にもにこにこ笑いかけてくださる慈悲深ぇ方だって思ってたんだ。それが情けなくもミゲルの野郎からジュディス様を守れなかった上に睡眠薬で眠らされちまったこの俺を、罵倒するでもなく優しく看病してくださった。プメプメの実なんて高級なもんを手ずから俺に食べさせてくださって『早く良くなるんだよ』と微笑んでくださった時、俺ぁ心に決めたんだ。この人の良過ぎる華奢でお小さいお館様を俺が守ってやらねえと」
「あ、うん、わかった。お父様と子爵家のことよろしく頼むな」
俺が通話ボタンをぷちっと切る時もまだジャックは喋り続けていた。近い将来、年の離れた弟か妹ができたらどうしよう。そしたらジャック俺のお義父様じゃん。
◇◇◇◇
お父様とジャックとの通話の後でハーディ様と昼食を取り、今から何をするんだろうとそわそわしていた俺に課せられた次なる試練は1週間ほど学校を休んだ間に遅れた勉強だった。テラスでハーディ様と2人きりの勉強タイムなら幸せかもと思いきや、学年首席だけあってハーディ様の教えはとてもストイックでスパルタなものであり、それは夕食の時間ギリギリまで続けられた。
食堂での晩餐には珍しくお義母様が同席された。 お義母様はこれという病を抱えていらっしゃるわけではないが、魔力の巡りが悪いのが影響して血液の巡りも悪い虚弱な体質で、いつもは自室でお食事を取っていらっしゃる。パーティーなどに参加されているお姿は1度も見たことがなく、ハーディ様をご懐妊された時は国の最高峰の治癒師を雇いご出産されたそうである。
「ジュディスちゃんが採ってきてくれたプメプメの実を食べると何だか調子が良いのよ。ありがとうねジュディスちゃん」
「いえいえそんな」
山の麓の村のお婆ちゃん110歳って言ってたし、プメプメの実には生命力を活発にする効果とかあるのかも知れない。お義母様とはたまにしかお会いする機会は無かったが、俺が子どもの頃からお優しい方だった。決闘騒ぎを起こした後にもこうして相変わらず優しく接してくださりとても嬉しい。
「うむ。大容量のマジックバッグを貸してやるゆえ、次の週末にまたディストピア山に行って乱獲して来い!」
「生態系が崩れない程度にたくさん採ってきますよ」
お義母様が晩餐に同席しているので愛妻家のお義父様はめちゃくちゃご機嫌である。決闘騒ぎの後は周りがうるさくて仕事にならず、早めに切り上げて俺達がいる領地の伯爵邸に《転移陣》を使い帰ってきたとのことだ。明日には王都の伯爵邸に戻るそうだが、俺とハーディ様も王都の貴族学校に登校を再会する為にお義父様に同行する予定だ。
俺の前に伯爵家に決闘を挑んできた人物はとある男爵家の嫡子で、決闘に打ち勝った後は伯爵家の嫡子と共に駆け落ちしたのだという。
「当時の伯爵家当主は2人の婚姻を許したのだが、逆アナルでは貴族の世界で生きてゆくのは難しかったのであろうな。2人は手に手を取って駆け落ちしてしまい、怒った伯爵家が挙兵し男爵家に攻め込もうとしたところで王家の介入があり、後に両家の遺恨が残らぬよう魔法の誓約による箝口令を出されたのだ。よってその話は我が伯爵家の何代前の話なのか、相手の男爵家の家名も領地も詳しいことは誓約によって何も分からぬ」
お義父様は当時の2人のように駆け落ちされてはたまらんと公開決闘大会を開催したのだそうだ。
「大勢の前でお前とハーディの仲を知らしめれば、方方にちまちま説明する手間も省けるのでな。《ユニコーンの契り》も大々的に宣伝したからお前達2人とエイメリーの純潔もわざわざ法廷に出向かずとも証明されたようなものだ」
「よく私闘に王城内の施設を貸してくださいましたね」
「お前がディストピア山の魔獣を素手で倒して帰って来る巫山戯た奴だなんて誰も知らんからな。俺が子爵家の不届き者を公開処刑するのだと思って2つ返事で貸し出してくれたぞ。それにしても後から魔法の使用を禁ずる旨を伝え損ねていたのに気付いて肝が冷えたわ。特にお前のイカれた固有魔法をもし衆目の前で使われたらと思うとゾッとする」
「あの時は素手のみと伺っていましたし、私は戦う時は素手が基本ですので魔法を用いて戦闘するという発想には至りませんでした」
「あら、ジュディスちゃんは固有魔法が使えるのね。すごいわ。どんな魔法なの?ハースティー」
お義父様はゴホンと咳払いして「それはおいおいな」と誤魔化した後、俺をキッと睨み付けた。
「ジュディスよ。これからお前は我が家に逗留となるが、わかっておろうな?学生の身で間違いなど起こしてはならぬ。特に万が一にもあの固有魔法を我が息子に用いた日には問答無用で叩き斬るぞ」
1つ屋根の下に暮らすけど手ぇ出すなよってことですね!俺以外の奴とセックスすることになったら自刃すると言い切る戦国時代のお姫様みたいな貞操観念のハーディ様に結婚前に手を出そうとは思っていない。キスまでで我慢する。
「当然心得ております、お義父様。他ならぬ大切なハーディ様に無体な真似などどうして出来ましょうか。むしろこれからは私が不埒な有象無象からハーディ様を守るべき存在となったのです。ドーンと大船に乗ったお気持ちでいてくださいませ」
「ありがとうございます」
5歳の頃からちょいちょい遊びに来ていたマクレガー家には俺専用のゲストルームが用意されている。メイドの世話はこちらでもずっと断っていたので、有り難く1人のんびり湯を頂いた。俺の服もあらかじめお父様がこちらに預けてくださっていて、着慣れた服に袖を通していると、ドアがノックされてハーディ様から声がかかった。通信の魔道具に子爵家のお父様から連絡が届いたとの報せだった。
マクレガー家が所有している通信の魔道具は据え置き型で、1階の食堂とテラスに隣接するサロンに置かれている。前世て例えるとハンズフリーの固定電話みたいなやつだ。
『お疲れ様、ジュディス。元気そうで良かった。ディストピア山では楽しめたかい?ジュディスのお土産のオークのお肉とプメプメの実は屋敷の皆で美味しくいただいたよ。あんな貴重な食材を取ってきてくれてありがとうね。あ、でもなるべく危険なことをしてはいけないよ?いくらジュディスが強いと言っても、親としては心配してしまうからね。これからはどこかに行く時は、ちゃんと行き先を誰かに教えてから行くんだよ?』
お父様には大変な心配をおかけしてしまったようで、俺は誠心誠意平謝りした。リードはプメプメの実だけでなくオークの肉も子爵家と伯爵家にお裾分けしてくれたようだ。匿名でって言ったけどあの時点で俺がディストピア山に行ってることは皆が知っていて、リードは普通に俺からの土産として渡したそうである。
お父様は俺が色々とやんちゃなことをかなり前からご存知だったらしい。それだけでなく継母が俺を狙ってあれこれ仕掛けた蛮行も把握していて『守ってあげられなくてごめん』と詫びられてしまった。
『本当は今日のジュディスの、ここ一番の大勝負を応援に行きたかったのだけど、逆アナルを仕掛けた側の家の者が会場に来るのは危険かもしれないとマクレガー伯爵がご心配くださって』
お義父様にはミゲルの1件で俺が色々とやんちゃなのがバレたそうで、今日の決闘は俺が勝つのを見越した上で行った出来レースのようなものらしい。
『詳しいことは伯爵が直々に話されると思うよ。ジュディスを伯爵家に預けたのはね、一昨日、見張りをつけて部屋に軟禁していたオリヴィエが引き裂いたシーツをロープにして2階から脱走したんだ。すぐに見つかったんだけど、それがミゲルのいた《薔薇の館》でね。ミゲルを出せとロビーで大暴れして衛兵を呼ばれてしまって。これまでジュディスにした行いは到底許せるものじゃないけど、うちの子爵家の後継のエイメリーの母でもあるから内々に領地で蟄居させようとしていたのが、修道院送りになってしまってエイメリーがショックを受けてしまったんだよ』
継母はミゲルの居場所をメイドの立ち話で盗み聞いたそうだ。2階から脱走ってアグレッシブが過ぎる。ミゲルはギュスターヴさんにたいそうに気に入られて身請けされ、すでに娼館には居なかったそうである。
『エイメリーは睡眠薬が人より効きやすい体質で3日ほど眠り続けて弱っていたところへ、目覚めてすぐオリヴィエのジュディスへの狼藉とオリヴィエの脱走とその顛末を知って塞ぎ込んでいたのだけどね。そこへ今日のジュディスの決闘のことをメイドの立ち話でたまたま聞いてしまったらしくて』
「そのメイド問題あるのでは。立ち話で大事な情報漏らし過ぎなのでは」
『ま、まあまあ。仕事中の息抜きも大切だから⋯で、ジュディスがハーディ様への逆アナルを賭けて決闘したのを知ったエイメリーが「ハーディ様が、そっち⋯?」ってずーっと呟いてるんだ。精神状態が心配だからジュディスと顔を合わせて刺激しないほうがお互いの為なんじゃないかと思って、ジュディスを預かってもらうようマクレガー伯爵に無理を言ってお願いしたんだよ』
おおう⋯エイメリー、ハーディ様を好きだったもんな。王子様と思って焦がれていた相手が実はお姫様だったら脳が破壊されてしまうのも仕方ない。
『あっ。ジャックがジュディスと話したいって言うから代わるね。それじゃあジュディス、伯爵家であまりやんちゃしないように。また連絡するね。私は執務に戻るよ。さあ、ジャック』
通話の相手をジャックに代わると、挨拶も早々に子爵家の現在の状況を説明された。騎士のミゲルと、ミゲルに買収されて俺に薬を盛っていたメイドが抜けて人手が足りないそうだが、継母の修道院送りの件や俺の決闘騒ぎの所為で新たにまともな人員を雇うのも難しいらしく
『ジュディス様。俺はアンタに貧民街で拾われて侍従にまでしてもらったことは感謝しています』
「なんだ急に改まって」
『侍従の俺はジュディス様に付いて伯爵家に同行するのが道理だって分かってる。だが今はお館様の手助けをしてえんだ。どうかしばらくお側を離れることを許しちゃいただけないでしょうか』
いつ何時もかったるそうなジャックがこんなに熱く語るのは初である。
「おう。ジャックがお父様の手助けしてくれるなら心強いからむしろ全然いいぞ」
「恩に着ます。なあジュディス様、俺は⋯お館様のことは常々お貴族様とは思えねえ、こんな貧民窟育ちの俺にもにこにこ笑いかけてくださる慈悲深ぇ方だって思ってたんだ。それが情けなくもミゲルの野郎からジュディス様を守れなかった上に睡眠薬で眠らされちまったこの俺を、罵倒するでもなく優しく看病してくださった。プメプメの実なんて高級なもんを手ずから俺に食べさせてくださって『早く良くなるんだよ』と微笑んでくださった時、俺ぁ心に決めたんだ。この人の良過ぎる華奢でお小さいお館様を俺が守ってやらねえと」
「あ、うん、わかった。お父様と子爵家のことよろしく頼むな」
俺が通話ボタンをぷちっと切る時もまだジャックは喋り続けていた。近い将来、年の離れた弟か妹ができたらどうしよう。そしたらジャック俺のお義父様じゃん。
◇◇◇◇
お父様とジャックとの通話の後でハーディ様と昼食を取り、今から何をするんだろうとそわそわしていた俺に課せられた次なる試練は1週間ほど学校を休んだ間に遅れた勉強だった。テラスでハーディ様と2人きりの勉強タイムなら幸せかもと思いきや、学年首席だけあってハーディ様の教えはとてもストイックでスパルタなものであり、それは夕食の時間ギリギリまで続けられた。
食堂での晩餐には珍しくお義母様が同席された。 お義母様はこれという病を抱えていらっしゃるわけではないが、魔力の巡りが悪いのが影響して血液の巡りも悪い虚弱な体質で、いつもは自室でお食事を取っていらっしゃる。パーティーなどに参加されているお姿は1度も見たことがなく、ハーディ様をご懐妊された時は国の最高峰の治癒師を雇いご出産されたそうである。
「ジュディスちゃんが採ってきてくれたプメプメの実を食べると何だか調子が良いのよ。ありがとうねジュディスちゃん」
「いえいえそんな」
山の麓の村のお婆ちゃん110歳って言ってたし、プメプメの実には生命力を活発にする効果とかあるのかも知れない。お義母様とはたまにしかお会いする機会は無かったが、俺が子どもの頃からお優しい方だった。決闘騒ぎを起こした後にもこうして相変わらず優しく接してくださりとても嬉しい。
「うむ。大容量のマジックバッグを貸してやるゆえ、次の週末にまたディストピア山に行って乱獲して来い!」
「生態系が崩れない程度にたくさん採ってきますよ」
お義母様が晩餐に同席しているので愛妻家のお義父様はめちゃくちゃご機嫌である。決闘騒ぎの後は周りがうるさくて仕事にならず、早めに切り上げて俺達がいる領地の伯爵邸に《転移陣》を使い帰ってきたとのことだ。明日には王都の伯爵邸に戻るそうだが、俺とハーディ様も王都の貴族学校に登校を再会する為にお義父様に同行する予定だ。
俺の前に伯爵家に決闘を挑んできた人物はとある男爵家の嫡子で、決闘に打ち勝った後は伯爵家の嫡子と共に駆け落ちしたのだという。
「当時の伯爵家当主は2人の婚姻を許したのだが、逆アナルでは貴族の世界で生きてゆくのは難しかったのであろうな。2人は手に手を取って駆け落ちしてしまい、怒った伯爵家が挙兵し男爵家に攻め込もうとしたところで王家の介入があり、後に両家の遺恨が残らぬよう魔法の誓約による箝口令を出されたのだ。よってその話は我が伯爵家の何代前の話なのか、相手の男爵家の家名も領地も詳しいことは誓約によって何も分からぬ」
お義父様は当時の2人のように駆け落ちされてはたまらんと公開決闘大会を開催したのだそうだ。
「大勢の前でお前とハーディの仲を知らしめれば、方方にちまちま説明する手間も省けるのでな。《ユニコーンの契り》も大々的に宣伝したからお前達2人とエイメリーの純潔もわざわざ法廷に出向かずとも証明されたようなものだ」
「よく私闘に王城内の施設を貸してくださいましたね」
「お前がディストピア山の魔獣を素手で倒して帰って来る巫山戯た奴だなんて誰も知らんからな。俺が子爵家の不届き者を公開処刑するのだと思って2つ返事で貸し出してくれたぞ。それにしても後から魔法の使用を禁ずる旨を伝え損ねていたのに気付いて肝が冷えたわ。特にお前のイカれた固有魔法をもし衆目の前で使われたらと思うとゾッとする」
「あの時は素手のみと伺っていましたし、私は戦う時は素手が基本ですので魔法を用いて戦闘するという発想には至りませんでした」
「あら、ジュディスちゃんは固有魔法が使えるのね。すごいわ。どんな魔法なの?ハースティー」
お義父様はゴホンと咳払いして「それはおいおいな」と誤魔化した後、俺をキッと睨み付けた。
「ジュディスよ。これからお前は我が家に逗留となるが、わかっておろうな?学生の身で間違いなど起こしてはならぬ。特に万が一にもあの固有魔法を我が息子に用いた日には問答無用で叩き斬るぞ」
1つ屋根の下に暮らすけど手ぇ出すなよってことですね!俺以外の奴とセックスすることになったら自刃すると言い切る戦国時代のお姫様みたいな貞操観念のハーディ様に結婚前に手を出そうとは思っていない。キスまでで我慢する。
「当然心得ております、お義父様。他ならぬ大切なハーディ様に無体な真似などどうして出来ましょうか。むしろこれからは私が不埒な有象無象からハーディ様を守るべき存在となったのです。ドーンと大船に乗ったお気持ちでいてくださいませ」
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