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2 童貞処女 ※終盤に見抜き少し
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ワイアット君が我が家に来てから二ヶ月が過ぎた。彼の伴侶となる予定の息子マリオンはいまだ到着していない。
昼下がりの執務室の窓辺に佇むワイアット君は物憂げに窓の外を見ていて、私はその姿につい目を奪われてしまう。
大きく開け放った腰高窓から吹き込む凍えた風が彼の白金の前髪を巻き上げ、日頃は隠されている美しい横顔が露わになっている。前から見ても端正だが横からのアングルも完璧だ。
我が家のあちらこちらに老朽化が目立つおんぼろな執務室が、ワイアット君が存在する一帯だけ名画みたいに見えるのだからすごい。
「そろそろ窓を閉めますね、お義父さん」
窓が閉まると、風に吹かれていた彼の前髪が降り、美しい顔の上半分が再び覆い隠されてしまった。
平凡な私にはこれだけの美貌を隠すなんてもったいなく感じるが、きっと彼なりの理由があるのだろう。単にファッションなのかもしれないし。
ワイアット君は窓辺を離れ、暖炉の前に突っ立っている私に歩み寄ると、その逞しい肢体で包みこむように私の薄っぺらい身体を抱き締めた。
「お義父さん⋯俺が神聖な執務室で情けなく射精してしまった所為で、貴方を凍えさせてしまいましたね⋯」
「気にしなくていいんだよ。生理現象だからね」
執務室の窓を開けていたのは換気の為であった。
ワイアット君の類い稀な性欲は我が家に来てからどんどん高まっているらしい。この頃は勃起の回数も格段に増え、こうして執務室で暴発することもしばしばだ。
荒れ狂う性欲を持て余す彼が不憫でならない。下世話な話になるが、学院で四股生活していた超肉食なマリオンと彼の相性はぴったりなんじゃないかと思う。あと二週間もすればマリオンが帰ってくる予定なので、ワイアット君にはそれまでどうか頑張ってほしい。
「お義父さん⋯なんてお優しい。お義父さんと同じ屋根の下に暮らせて、俺はこの上ない幸せ者です」
私を抱き締める腕に力がこもる。彼は心優しい青年なので射精後に部屋を換気する度、自らの体温で私を温めようとするのだ。
「ワイアット君。私は暖炉の前にいたからちっとも寒くなかったよ。だから換気の度に私みたいなおじさんを無理して抱き締めなくていいんだ」
「無理などしていません!俺がしたくてしているのですから」
「そ、そうかい?それならいいのだが」
「お義父さん⋯フーッ、お義父さんっ⋯」
そうしているうちにワイアット君の息がまた荒くなりつつあった。私とマリオンの顔はまったく似ていないがサイズ感だけは似ているせいなのか、ワイアット君は少し私を抱き締めただけで股間を硬くしてしまう。
だから本音を言うと抱き締められるのを断りたいのだけれども、彼の善意を無碍にするのも悪い気がして強く言えないでいる。
「いけないよ、ワイアット君。そろそろ離れなければ。君は今さっき着替えたばかりだろう?」
ぎゅうぎゅうと私を抱き続けるワイアット君の胸板を手の平でぐいぐいと押してみるもびくともしない。彼とはこんなやり取りを何度もしているが、いつ触っても立派な胸筋で羨ましい限りだ。
ワイアット君の胸板を触っていたら、ふとある人のことが頭に思い浮かんだ。
「⋯⋯ピーターさんの胸板も、こんな感じだったのかな」
「ピーターさん⋯?誰です?その男は。お義父さんの何なのですか?」
ワイアット君は片腕で私の腰を抱いたまま、反対側の手で私のあごをクイっと持ち上げた。まるでキスをするみたいな体勢だが、前髪の隙間から私を覗き込む彼の目つきは真剣そのものだ。
義父の私に大変懐いてくれている彼は私の交友関係が気になるようで、彼の知らない人物の名前が話題に上がると食い気味に訊ねてくる。
「ピーターさんは亡くなった妻の前の旦那さんで、マリオンの実の父親だよ。⋯と言うことは、君にとってはもう一人の義父だな。すっかり失念していたが、ヘレナは君の義母になるのだね⋯ワイアット君は彼らの話を聞きたいかい?」
◇◇◇◇
ワイアット君がピーターさんとヘレナの話を聞きたがってくれたおかげで私はようやく抱擁から解放され、私達はソファに座って彼らの話をすることになった。
亡き妻ヘレナは侯爵家の令嬢で、平民のピーターさんとは駆け落ちして結ばれた。十数年間共に市井で暮らしていたが、ピーターさんの女性関係により彼らは破局を迎えてしまう。
その頃にはヘレナの身体を病が蝕み、暮らしが立ち行かなくなった彼女は生まれ育った侯爵家に手紙で助けを求めた。
平民と駆け落ちしたヘレナを迎え入れるのは侯爵家としては外聞が悪く、ちょうど没落寸前だった我が伯爵家に借金精算と引き換えの縁談が持ち掛けられたのだ。
ヘレナが私のもとに嫁いで来た時にはもうベッドから起き上がれない状態だった。彼女の黒髪は加齢で白いものが多く混じり、体は病気で痩せ細っていたけれどもどこか美貌の名残があり、私は彼女を美しい女性だと思った。
形だけでも挙式をと、寝室に神父を呼び短い式を挙げたが私達は誓いの言葉も口づけも交わしていない。ヘレナは別れた後もピーターさんを愛し続けていたからだ。
彼女は首元にさげたペンダントの中にピーターさんの絵姿を入れて大切にしていた。私にはその絵姿をついぞ見せてくれなかったので彼がどんな人物だったのか、いまだにはっきりとは分からない。
ヘレナの体調の良い日には駆け落ちしてからのこれまでを私に話してくれることがあり、私は彼女の思い出話の中のピーターさんを知っているのみだ。
傾きかけの伯爵家に育った私は若い頃から結婚を諦めていた。学生時代も恋人の一人も作らず自分に伴侶ができる日が訪れるとは夢にも思っていなかったから、ヘレナが嫁いできてくれて嬉しかった。
彼女より三歳年下の凡庸な私が夫として扱われる期待は端からしていなかったけれど⋯もし私がピーターさんの様に立派な体つきの男前だったなら、少しは彼女に夫として意識してもらえたのだろうか?と、考えた覚えがある。私が妻に触れたのは、彼女の臨終間際に手を握ったのが最初で最後だというのに。
「当時の私はピーターさんを羨んでいたんだろうね。ワイアット君の逞しい胸板に触れたのをきっかけにそれを思い出したんだ。誰かに打ち明けたのは初めてだから、なんだか気恥ずかしいな。⋯⋯ところで話の中にマリオンがほとんど出てこなかったのは、少々込み入った事情があって」
私はそこで言葉を止めた。ワイアット君の様子が明らかにおかしくなっていたからだ。ソファで私の真隣に座っている彼はうつむき、肩が上下するほど呼吸が荒い。
「ワイアット君?」
「フーッ、フーッ⋯お義父さん、こんな話を聞かされてしまっては、俺の理性はもう持ちませんよ⋯一体どうしてくださるんですか?」
「えっ、勃起してる!?今の話のどこに興奮したんだい!?」
「⋯妻を娶り成人済みの義理の息子までいるお義父さんが童貞処女だったなんて、そんなのいくらなんでも助平が過ぎますよ!」
これまで恋人もおらず亡き妻とも白い結婚だった私に性行為の経験はない。その点が何故だかワイアット君の性癖に突き刺さってしまったようだ。
「ど、童貞処女って。確かに私には恋人もいなかったし妻とは白い結婚だったけど、娼館に行ったり行きずりの誰かとワンナイトしていた可能性だってあるだろう?」
「お義父さんの性格的に娼館や行きずりの輩との行為を好むとは思えません」
「うん、まあ、そのとおりだね」
三十四歳で未経験な事実を二十四歳のワイアット君に問い詰められて取り繕うも、彼にたやすく看破されてしまう。我が家は常にカツカツだったから娼館や出会いの場に足を運ぶ余裕自体なかったしな。
「ハァッ、ハァッ⋯まさかお義父さんがまだ誰にも暴かれていない清らかな身体だったなんて⋯俺は伯爵家に来てからこれまで滾る獣欲を必死で抑えつけてきましたが、いい加減もう限界ですよ!」
ソファから立ち上がり苦しげに両手で頭を抱えるワイアット君の股間は、今にもスラックスを突き破りそうなほどギンギンだ。
二人きりの執務室で下着の中で射精した時も割と平然としていたあのワイアット君が。いつ何時も私に『お義父さん』と穏やかに接してくれていた彼が、激しく取り乱す姿を初めて目の当たりにした私はかなり動揺していた。
動揺のあまり「よく分からないが私の所為で?君をそんなふうにしてしまってすまない。私に手伝えることがあったら何でも言ってくれ」と、彼に申し出てしまったのだ。
チュコ♡チュコ♡チュコ♡チュコ♡と、粘膜の擦れる淫靡な音が至近距離で聞こえる。
ソファに座っている私の真正面に立つワイアット君が、体躯に見合った大きなペニスを自らの右手で扱いている音だ。彼は左手で邪魔にならないよう着ているブラウスの裾を捲り上げていて、そこから見事に割れた腹筋がお目見えしている。
ワイアット君には『お義父さんは俺の前でただ座っていてくださればいいので』と言われたからそうしている。
「フーッ⋯お義父さんで見抜きするの、想像以上の気持ち良さですっ⋯」
彼は私をおかずに自慰で射精しようとしている。痩せぎすの中年男性に過ぎない私は本来なら彼のおかずになり得ないだろう。だが『寡夫で義理の息子がいるのに性的には未経験』という属性が彼を狂わせているのだ。
まだ婚約の契約書にマリオン本人のサインが無いから厳密には不貞にはあたらないものの、後ろめたさはある。今回だけ、今回だけだ。ただ座って彼の射精を促すだけだから⋯
心の中でマリオンに謝罪と言い訳をしていると、ワイアット君に注意されてしまう。
「お義父さん、視線が下がっています。ちゃんと集中して俺の顔を見ていてください」
「あ、ああ。すまない」
顔を上げると、眉根を寄せて気持ち良さそうな表情をしているワイアット君と目が合った。今の彼は長い前髪を整髪料で後ろに流して顔を丸出しにしており、そのまま夜会に出られそうな格好良さだ。普段の私なら馬鹿みたいに見惚れていたことだろうが、今は目と鼻の先に剥き身の巨大な陰茎があるせいで、ついそちらに視線が吸い寄せられてしまう。
ワイアット君の逸物は私のよりも二回りは太く長く、ビキビキと血管が浮き出る竿には畏怖の念さえ覚えるのに、薄い色素の透明感とラチナブロンドの下生えの所為か、どこか気品漂う感じだ。
「お義父さん。できればそちらではなく俺の顔を見ていてくれませんか?貴方の熱い視線を注がれる自分のペニスに嫉妬してしまいそうですよ」
フッ、フッと駆けている様な息を吐いて自分の陰茎を擦り上げているワイアット君に、私はまた軽くたしなめられてしまった。
「ごめんよ。自分以外の人の陰茎をこんな間近で見るのは初めてなものだから、つい」
「っ⋯⋯!」
ワイアット君がビクリと身を震わせたかと思うと、上を向いていた彼の陰茎の先から白い粘液がビュルビュルッ♡と飛び出し、座っている私めがけて大粒の雨の様に降り注いだ。
「わっ、ちょ、ワイアット君!?」
ワイアット君の精液の匂いは嗅ぎ慣れているが、粘液そのものは見たことも触れたこともなかった。それが頭から浴びせられるなんて。顔にかかった飛沫は危うく目に入るところだったし、唇の端にもちょっと付いた。
「ハァッ⋯ハァッ⋯精液をかけるまではしないつもりだったのに、お義父さんが『自分以外のおちんちんを見るの初めて♡』なんて可愛く仰るものだから思いがけず射精してしまったじゃないですかっ⋯」
「私はそんな言い方してなかっただろっ」
「あんなの言ったのと同義ですよ⋯ああ⋯俺のザーメン塗れのお義父さんを見ているとますます勃起が治まらない⋯次はお義父さんの乳首を見ながら抜きたいので、ブラウスの前を開けてくれますか?」
「えっ。乳首を?私の?」
戸惑いはしたものの、射精したばかりなのに力強く天を向く陰茎とずっしりとした陰嚢が眼前に迫り、言われるままブラウスのボタンを外すしかなかった。
昼下がりの執務室の窓辺に佇むワイアット君は物憂げに窓の外を見ていて、私はその姿につい目を奪われてしまう。
大きく開け放った腰高窓から吹き込む凍えた風が彼の白金の前髪を巻き上げ、日頃は隠されている美しい横顔が露わになっている。前から見ても端正だが横からのアングルも完璧だ。
我が家のあちらこちらに老朽化が目立つおんぼろな執務室が、ワイアット君が存在する一帯だけ名画みたいに見えるのだからすごい。
「そろそろ窓を閉めますね、お義父さん」
窓が閉まると、風に吹かれていた彼の前髪が降り、美しい顔の上半分が再び覆い隠されてしまった。
平凡な私にはこれだけの美貌を隠すなんてもったいなく感じるが、きっと彼なりの理由があるのだろう。単にファッションなのかもしれないし。
ワイアット君は窓辺を離れ、暖炉の前に突っ立っている私に歩み寄ると、その逞しい肢体で包みこむように私の薄っぺらい身体を抱き締めた。
「お義父さん⋯俺が神聖な執務室で情けなく射精してしまった所為で、貴方を凍えさせてしまいましたね⋯」
「気にしなくていいんだよ。生理現象だからね」
執務室の窓を開けていたのは換気の為であった。
ワイアット君の類い稀な性欲は我が家に来てからどんどん高まっているらしい。この頃は勃起の回数も格段に増え、こうして執務室で暴発することもしばしばだ。
荒れ狂う性欲を持て余す彼が不憫でならない。下世話な話になるが、学院で四股生活していた超肉食なマリオンと彼の相性はぴったりなんじゃないかと思う。あと二週間もすればマリオンが帰ってくる予定なので、ワイアット君にはそれまでどうか頑張ってほしい。
「お義父さん⋯なんてお優しい。お義父さんと同じ屋根の下に暮らせて、俺はこの上ない幸せ者です」
私を抱き締める腕に力がこもる。彼は心優しい青年なので射精後に部屋を換気する度、自らの体温で私を温めようとするのだ。
「ワイアット君。私は暖炉の前にいたからちっとも寒くなかったよ。だから換気の度に私みたいなおじさんを無理して抱き締めなくていいんだ」
「無理などしていません!俺がしたくてしているのですから」
「そ、そうかい?それならいいのだが」
「お義父さん⋯フーッ、お義父さんっ⋯」
そうしているうちにワイアット君の息がまた荒くなりつつあった。私とマリオンの顔はまったく似ていないがサイズ感だけは似ているせいなのか、ワイアット君は少し私を抱き締めただけで股間を硬くしてしまう。
だから本音を言うと抱き締められるのを断りたいのだけれども、彼の善意を無碍にするのも悪い気がして強く言えないでいる。
「いけないよ、ワイアット君。そろそろ離れなければ。君は今さっき着替えたばかりだろう?」
ぎゅうぎゅうと私を抱き続けるワイアット君の胸板を手の平でぐいぐいと押してみるもびくともしない。彼とはこんなやり取りを何度もしているが、いつ触っても立派な胸筋で羨ましい限りだ。
ワイアット君の胸板を触っていたら、ふとある人のことが頭に思い浮かんだ。
「⋯⋯ピーターさんの胸板も、こんな感じだったのかな」
「ピーターさん⋯?誰です?その男は。お義父さんの何なのですか?」
ワイアット君は片腕で私の腰を抱いたまま、反対側の手で私のあごをクイっと持ち上げた。まるでキスをするみたいな体勢だが、前髪の隙間から私を覗き込む彼の目つきは真剣そのものだ。
義父の私に大変懐いてくれている彼は私の交友関係が気になるようで、彼の知らない人物の名前が話題に上がると食い気味に訊ねてくる。
「ピーターさんは亡くなった妻の前の旦那さんで、マリオンの実の父親だよ。⋯と言うことは、君にとってはもう一人の義父だな。すっかり失念していたが、ヘレナは君の義母になるのだね⋯ワイアット君は彼らの話を聞きたいかい?」
◇◇◇◇
ワイアット君がピーターさんとヘレナの話を聞きたがってくれたおかげで私はようやく抱擁から解放され、私達はソファに座って彼らの話をすることになった。
亡き妻ヘレナは侯爵家の令嬢で、平民のピーターさんとは駆け落ちして結ばれた。十数年間共に市井で暮らしていたが、ピーターさんの女性関係により彼らは破局を迎えてしまう。
その頃にはヘレナの身体を病が蝕み、暮らしが立ち行かなくなった彼女は生まれ育った侯爵家に手紙で助けを求めた。
平民と駆け落ちしたヘレナを迎え入れるのは侯爵家としては外聞が悪く、ちょうど没落寸前だった我が伯爵家に借金精算と引き換えの縁談が持ち掛けられたのだ。
ヘレナが私のもとに嫁いで来た時にはもうベッドから起き上がれない状態だった。彼女の黒髪は加齢で白いものが多く混じり、体は病気で痩せ細っていたけれどもどこか美貌の名残があり、私は彼女を美しい女性だと思った。
形だけでも挙式をと、寝室に神父を呼び短い式を挙げたが私達は誓いの言葉も口づけも交わしていない。ヘレナは別れた後もピーターさんを愛し続けていたからだ。
彼女は首元にさげたペンダントの中にピーターさんの絵姿を入れて大切にしていた。私にはその絵姿をついぞ見せてくれなかったので彼がどんな人物だったのか、いまだにはっきりとは分からない。
ヘレナの体調の良い日には駆け落ちしてからのこれまでを私に話してくれることがあり、私は彼女の思い出話の中のピーターさんを知っているのみだ。
傾きかけの伯爵家に育った私は若い頃から結婚を諦めていた。学生時代も恋人の一人も作らず自分に伴侶ができる日が訪れるとは夢にも思っていなかったから、ヘレナが嫁いできてくれて嬉しかった。
彼女より三歳年下の凡庸な私が夫として扱われる期待は端からしていなかったけれど⋯もし私がピーターさんの様に立派な体つきの男前だったなら、少しは彼女に夫として意識してもらえたのだろうか?と、考えた覚えがある。私が妻に触れたのは、彼女の臨終間際に手を握ったのが最初で最後だというのに。
「当時の私はピーターさんを羨んでいたんだろうね。ワイアット君の逞しい胸板に触れたのをきっかけにそれを思い出したんだ。誰かに打ち明けたのは初めてだから、なんだか気恥ずかしいな。⋯⋯ところで話の中にマリオンがほとんど出てこなかったのは、少々込み入った事情があって」
私はそこで言葉を止めた。ワイアット君の様子が明らかにおかしくなっていたからだ。ソファで私の真隣に座っている彼はうつむき、肩が上下するほど呼吸が荒い。
「ワイアット君?」
「フーッ、フーッ⋯お義父さん、こんな話を聞かされてしまっては、俺の理性はもう持ちませんよ⋯一体どうしてくださるんですか?」
「えっ、勃起してる!?今の話のどこに興奮したんだい!?」
「⋯妻を娶り成人済みの義理の息子までいるお義父さんが童貞処女だったなんて、そんなのいくらなんでも助平が過ぎますよ!」
これまで恋人もおらず亡き妻とも白い結婚だった私に性行為の経験はない。その点が何故だかワイアット君の性癖に突き刺さってしまったようだ。
「ど、童貞処女って。確かに私には恋人もいなかったし妻とは白い結婚だったけど、娼館に行ったり行きずりの誰かとワンナイトしていた可能性だってあるだろう?」
「お義父さんの性格的に娼館や行きずりの輩との行為を好むとは思えません」
「うん、まあ、そのとおりだね」
三十四歳で未経験な事実を二十四歳のワイアット君に問い詰められて取り繕うも、彼にたやすく看破されてしまう。我が家は常にカツカツだったから娼館や出会いの場に足を運ぶ余裕自体なかったしな。
「ハァッ、ハァッ⋯まさかお義父さんがまだ誰にも暴かれていない清らかな身体だったなんて⋯俺は伯爵家に来てからこれまで滾る獣欲を必死で抑えつけてきましたが、いい加減もう限界ですよ!」
ソファから立ち上がり苦しげに両手で頭を抱えるワイアット君の股間は、今にもスラックスを突き破りそうなほどギンギンだ。
二人きりの執務室で下着の中で射精した時も割と平然としていたあのワイアット君が。いつ何時も私に『お義父さん』と穏やかに接してくれていた彼が、激しく取り乱す姿を初めて目の当たりにした私はかなり動揺していた。
動揺のあまり「よく分からないが私の所為で?君をそんなふうにしてしまってすまない。私に手伝えることがあったら何でも言ってくれ」と、彼に申し出てしまったのだ。
チュコ♡チュコ♡チュコ♡チュコ♡と、粘膜の擦れる淫靡な音が至近距離で聞こえる。
ソファに座っている私の真正面に立つワイアット君が、体躯に見合った大きなペニスを自らの右手で扱いている音だ。彼は左手で邪魔にならないよう着ているブラウスの裾を捲り上げていて、そこから見事に割れた腹筋がお目見えしている。
ワイアット君には『お義父さんは俺の前でただ座っていてくださればいいので』と言われたからそうしている。
「フーッ⋯お義父さんで見抜きするの、想像以上の気持ち良さですっ⋯」
彼は私をおかずに自慰で射精しようとしている。痩せぎすの中年男性に過ぎない私は本来なら彼のおかずになり得ないだろう。だが『寡夫で義理の息子がいるのに性的には未経験』という属性が彼を狂わせているのだ。
まだ婚約の契約書にマリオン本人のサインが無いから厳密には不貞にはあたらないものの、後ろめたさはある。今回だけ、今回だけだ。ただ座って彼の射精を促すだけだから⋯
心の中でマリオンに謝罪と言い訳をしていると、ワイアット君に注意されてしまう。
「お義父さん、視線が下がっています。ちゃんと集中して俺の顔を見ていてください」
「あ、ああ。すまない」
顔を上げると、眉根を寄せて気持ち良さそうな表情をしているワイアット君と目が合った。今の彼は長い前髪を整髪料で後ろに流して顔を丸出しにしており、そのまま夜会に出られそうな格好良さだ。普段の私なら馬鹿みたいに見惚れていたことだろうが、今は目と鼻の先に剥き身の巨大な陰茎があるせいで、ついそちらに視線が吸い寄せられてしまう。
ワイアット君の逸物は私のよりも二回りは太く長く、ビキビキと血管が浮き出る竿には畏怖の念さえ覚えるのに、薄い色素の透明感とラチナブロンドの下生えの所為か、どこか気品漂う感じだ。
「お義父さん。できればそちらではなく俺の顔を見ていてくれませんか?貴方の熱い視線を注がれる自分のペニスに嫉妬してしまいそうですよ」
フッ、フッと駆けている様な息を吐いて自分の陰茎を擦り上げているワイアット君に、私はまた軽くたしなめられてしまった。
「ごめんよ。自分以外の人の陰茎をこんな間近で見るのは初めてなものだから、つい」
「っ⋯⋯!」
ワイアット君がビクリと身を震わせたかと思うと、上を向いていた彼の陰茎の先から白い粘液がビュルビュルッ♡と飛び出し、座っている私めがけて大粒の雨の様に降り注いだ。
「わっ、ちょ、ワイアット君!?」
ワイアット君の精液の匂いは嗅ぎ慣れているが、粘液そのものは見たことも触れたこともなかった。それが頭から浴びせられるなんて。顔にかかった飛沫は危うく目に入るところだったし、唇の端にもちょっと付いた。
「ハァッ⋯ハァッ⋯精液をかけるまではしないつもりだったのに、お義父さんが『自分以外のおちんちんを見るの初めて♡』なんて可愛く仰るものだから思いがけず射精してしまったじゃないですかっ⋯」
「私はそんな言い方してなかっただろっ」
「あんなの言ったのと同義ですよ⋯ああ⋯俺のザーメン塗れのお義父さんを見ているとますます勃起が治まらない⋯次はお義父さんの乳首を見ながら抜きたいので、ブラウスの前を開けてくれますか?」
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