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第十二話
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最後に読んだページを開いたまま、しばらくの時間が経った。感情がグチャグチャだ……。
彼女を幸せに出来なくて悔しい。
彼女に大切に思ってもらえて嬉しい。
そんな彼女と離れる決断をした自分に後悔している。
他にも言葉にならない感情が溢れている。この感情はどこにもぶつけることが出来ず、自分の心に閉じ込めておかなければいけない。
まだしばらく立ち直れないなこれは……。涼子の方はどうなんだろう。
もう前を向いてるのかな、仕事が忙しくてそれどころじゃないのかな。
そんなことを考えながら時間だけが過ぎていく。机に顔を伏せ、呆然と日記を見ていた。
そういえば、これが最後のページなのか?
勝手に涼子が出ていった日が最後のページだと決めつけていたけど、まだ何か書いてあるのだろうか。
僕は机から顔を離し、一度姿勢を正す。
最後に読んでいたページを一枚めくる。そこには、まだ続きがあった。
洸一へ。
これを読んでいるってことは、無事に日記を受け取ってくれたんだね。離婚してからどれくらい時間が経っているか分からないけどね。
もしかしたら、意外とすぐ渡ってたりして。私たちのことだからあり得ちゃうのが怖いよね。
はい、そろそろ本題に移ります。
何で私がお姉ちゃんに頼んでまでこれを渡してほしかったかというとね、洸一が私のことで引きづってるかもしれないと思ったからなんだよ。
洸一は本当に優しいと思う。それは私が元妻として保証する。だからね、色々と考えすぎちゃうと思うんだ。
本当に離婚して良かったのか、私を傷付けてしまったか、このまま前を向いて良いのか……とかね。
一つくらいは心当たりがあるかな? 私の知ってる洸一のままなら全部該当してるんじゃないかな。
勿論、全部吹っ切れて私のことなんて忘れてしまっているかもしれないし、もっと綺麗で素敵な女性と結婚しているかもしれない。
その時は多分、この日記を読んでいないと思うけどね。
日記は誰かに読ませるつもりで書いてないから、私の思ったこと、感じたことのメモみたいなものなの。だから伝えたいことを全部伝えることは出来てないの。
だから最後の想いを伝えるね。私のことは忘れて幸せになって。私も洸一のことを忘れて幸せになるから。
これで終わりにしよう。私たちの道はここで別れる。
一度交わった道が再びあるべき道へつながっていくだけ。私はもう大丈夫、だから洸一も前を向いて?
きっとまだ立ち直れていないと思う。でもそれじゃダメ。
厳しいことを言うけど、洸一が言い出したんだよ。言い出した張本人が後悔してたら、私はどうすればいいの?
沢山傷ついて、後悔して、泣いた。そしてもう前を向いてやっていける。あとは洸一だよ。
この経験をお互い糧にして、幸せになろう。
今までありがとう。私が愛した大好きだった人。
大好きだった人、ね。
もう涼子の中に僕はいない。僕だけが涼子に囚われたままだ。
少し外の空気を吸うために、近くの公園に行く。
公園には誰もいなかった。丁度いい、少しゆっくりしていこう。
いつもは子供が占領しているブランコに腰をかける。大人になってブランコに乗る機会は減ったけど、結婚していた時はよく二人でここに来ていたから、たまに乗っていた。
一人で乗ることはなかったから新鮮な気持ちだ。
前と後ろに揺られながら考えることを辞める。考えることをやめることを考えてしまっているが、どうでもいい。
今だけは、この世界のこと全てがどうでもいいんだ。
だんだんと子どもたちの声と、カラスの鳴き声も聞こえてきた。
もうこんな時間か。家に帰ろう。
歩き慣れた帰路をゆっくりと歩く。いつも隣にいた彼女はもういない。それでいいんだ。
一つずづ、一つずづ、 彼女との思い出を思い出す度に僕は今一人なんだと実感する。
この繰り返しでいい。現実を強制的に見ることで、前を向けるから。
強くなろう、この経験を糧にして。
ありがとう涼子。僕はずっと愛しているよ。この気持ちが枯れるまで。
彼女を幸せに出来なくて悔しい。
彼女に大切に思ってもらえて嬉しい。
そんな彼女と離れる決断をした自分に後悔している。
他にも言葉にならない感情が溢れている。この感情はどこにもぶつけることが出来ず、自分の心に閉じ込めておかなければいけない。
まだしばらく立ち直れないなこれは……。涼子の方はどうなんだろう。
もう前を向いてるのかな、仕事が忙しくてそれどころじゃないのかな。
そんなことを考えながら時間だけが過ぎていく。机に顔を伏せ、呆然と日記を見ていた。
そういえば、これが最後のページなのか?
勝手に涼子が出ていった日が最後のページだと決めつけていたけど、まだ何か書いてあるのだろうか。
僕は机から顔を離し、一度姿勢を正す。
最後に読んでいたページを一枚めくる。そこには、まだ続きがあった。
洸一へ。
これを読んでいるってことは、無事に日記を受け取ってくれたんだね。離婚してからどれくらい時間が経っているか分からないけどね。
もしかしたら、意外とすぐ渡ってたりして。私たちのことだからあり得ちゃうのが怖いよね。
はい、そろそろ本題に移ります。
何で私がお姉ちゃんに頼んでまでこれを渡してほしかったかというとね、洸一が私のことで引きづってるかもしれないと思ったからなんだよ。
洸一は本当に優しいと思う。それは私が元妻として保証する。だからね、色々と考えすぎちゃうと思うんだ。
本当に離婚して良かったのか、私を傷付けてしまったか、このまま前を向いて良いのか……とかね。
一つくらいは心当たりがあるかな? 私の知ってる洸一のままなら全部該当してるんじゃないかな。
勿論、全部吹っ切れて私のことなんて忘れてしまっているかもしれないし、もっと綺麗で素敵な女性と結婚しているかもしれない。
その時は多分、この日記を読んでいないと思うけどね。
日記は誰かに読ませるつもりで書いてないから、私の思ったこと、感じたことのメモみたいなものなの。だから伝えたいことを全部伝えることは出来てないの。
だから最後の想いを伝えるね。私のことは忘れて幸せになって。私も洸一のことを忘れて幸せになるから。
これで終わりにしよう。私たちの道はここで別れる。
一度交わった道が再びあるべき道へつながっていくだけ。私はもう大丈夫、だから洸一も前を向いて?
きっとまだ立ち直れていないと思う。でもそれじゃダメ。
厳しいことを言うけど、洸一が言い出したんだよ。言い出した張本人が後悔してたら、私はどうすればいいの?
沢山傷ついて、後悔して、泣いた。そしてもう前を向いてやっていける。あとは洸一だよ。
この経験をお互い糧にして、幸せになろう。
今までありがとう。私が愛した大好きだった人。
大好きだった人、ね。
もう涼子の中に僕はいない。僕だけが涼子に囚われたままだ。
少し外の空気を吸うために、近くの公園に行く。
公園には誰もいなかった。丁度いい、少しゆっくりしていこう。
いつもは子供が占領しているブランコに腰をかける。大人になってブランコに乗る機会は減ったけど、結婚していた時はよく二人でここに来ていたから、たまに乗っていた。
一人で乗ることはなかったから新鮮な気持ちだ。
前と後ろに揺られながら考えることを辞める。考えることをやめることを考えてしまっているが、どうでもいい。
今だけは、この世界のこと全てがどうでもいいんだ。
だんだんと子どもたちの声と、カラスの鳴き声も聞こえてきた。
もうこんな時間か。家に帰ろう。
歩き慣れた帰路をゆっくりと歩く。いつも隣にいた彼女はもういない。それでいいんだ。
一つずづ、一つずづ、 彼女との思い出を思い出す度に僕は今一人なんだと実感する。
この繰り返しでいい。現実を強制的に見ることで、前を向けるから。
強くなろう、この経験を糧にして。
ありがとう涼子。僕はずっと愛しているよ。この気持ちが枯れるまで。
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