終末世界の管弦楽団〈オーケストラ〉

桜花

文字の大きさ
1 / 2

#プロローグ

しおりを挟む
 その日、人類はラッパが奏でる滅亡の音色を聴いた。

 雲を切り裂き、天から現れたのは無数の異形の天使。

 彼等は地上に滅亡を運び、神による審判は始まった――

 

 沈黙した信号機。大きくひび割れたアスファルトに廃墟と化した街。

 血を塗りこめた不気味な夕焼けの下に巨大な異形の化物の群行あり。

 およそ百メートル先。数百を超える神の代理の審判者〈テンシ〉の醜い姿に一人の男性隊員が身を強張らせる。

「こっ、こちら第三十二部隊! 〈ファースト〉を目視で確認! すぐさま迎撃に、」

 突如、通信が途切れた。

 同じく男の隣に身構えてた女性隊員の頬に’’何か’’が掛かった。

「え、」

 隣を見れば男の首から上が消え、安っぽいB級映画の死亡シーンのように紅すぎる血が吹き出ていた。

「いびゅっ――」

 叫ぶ暇もなく、次の女性隊員の頭が砕け散った。

「ひっ……」

 仲間が二つの血袋と化し、自分の立っている地面を赤いペンキをぶち撒けたかのように鮮血で染め上げる。

 顔を仲間の血で濡らし、精神と肉体を恐怖で支配された女性隊員が口に手を当て一歩、二歩と後退りする。

 三歩目を下がろうとした時、肩に手が置かれた。

「落ち着け。敵から目を背けるな。ここでお前が意味も無く死んじまったら逝っちまった仲間に申し訳が立たないだろ」

「第三十二部隊下がれ。我々が先陣を切る。」

 そう言って前に歩き出したのは十人の隊員達。

 背中にはが入った黒いジャケットに身を包み、隊員達から醸し出される雰囲気は死線を何度も潜り抜けてきた歴戦の兵士のそれだった。

 そこで気付いた。

 最近、背中にラッパ吹きのエンブレムを担いだ、たかだか十人編成の一個小隊規模の化け物じみた戦闘集団がいると。

 “称号持ち”の精鋭部隊が第二防衛線から、ここ第一防衛線に送られて来たと。

 その十人編成の部隊称号は――

死を奏でる奏団オーケストラ……」

「「カシウス起動」」

『カシウス起動を確認……オンライン。使用者とアポカリプス細胞の同調を開始します』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

予言姫は最後に微笑む

あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。 二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

処理中です...