異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

文字の大きさ
60 / 69

危険区域の化物

しおりを挟む
「ふむふむ。つまりこの場所は俺らのいた表界ではなく、裏界との狭間にある別次元の神獣界という訳だね?」

「恐らくそうだど。暗雲広がる荒野は神獣界の危険区域で魔素が消失しレジスト化された場所だと故郷の本で読んだことあるど。こんな場所は他にはないど。」

「そうか、なら自分の魔力が感じられないのも納得できるか。」

 俺は納得し、プータンに目を向ける。

 するとプータンはニタリと笑みを見せた。

 「ん?てことはなにか?もしかして今のお前は魔法が使えないただのガキかど?」

うっ。

 今思えばこいつは無理矢理自分と契約させたんだった。

 万が一コイツが俺を裏切ったりなんかしたら‥

「かーかっかっか!そうかそうかど!良い気味だど!この際日頃の恨みをぶつけてやろうかど?くくく!はーはっはっは!」

 プータンがジリジリと寄ってくる。

「おいおい冗談よせよ」

「冗談?かっ!馬鹿言ってんじゃないど!力に余った力を所有物とした罪ど!いくどぉ!」とプータンが飛びかかってこようとした瞬間。

ドッガァァァァン!!

「な!?なんだど!?」

 「なんだ?」

 大きな音と腐葉土の匂いがあたりを包み、地面から大きな巨木が現れた。

「な!?こ、こいつはトレントど!」

「とれんと?」

「危険区域に生息する木の化物ど!通常は大きくても2~3メートル程度だどが、こいつはそれの3倍。ウォーリアトレントど!」

 巨木はしなる枝をくねらせ俺らに襲いかかった。

「うぉ!」

 間一髪でそれを避けたが、避けた地面に亀裂ができ砂塵が舞う。

 こりゃ当たったら死ぬね!

「プータン!スリープ使えないの?」

「ハルはさっきの話聞いてなかったどか?レジストで魔法は使えないど!」

「訳にたたねぇ。」

「あっ!?何かいったかど?」

「別に‥」

「ふん!馬鹿にした罪ど!お前だけ置いて逃げてやるど」

「な!?お前それはねぇだろ!」

「しるかど!」

 プータンはトレントから回れ右して走り出そうとした瞬間、またもや地中から大きなトレントが現れ、しなる枝を振り回しプータンに直撃した。

「ブォォ!!」

 ズザァーと地面にすれて跳ね飛ばされた。

 だが流石防御力の高いプータン。へこたれない。

「遅かったか!かこまれたど!!!」

「馬鹿め!薄情な事をしようとするからだブタ野郎!やーいやーい!」

「うぬぬぬぬぬ。」

悔しそうな顔をするプータンを横目に俺は深呼吸し気持ちを落ち着かせる。

 しかしこの状況ヤバイな。

 何か策はないものか?と考えトレントを見上げると、トレントの頭頂部に光る何かを見つけた。

 なんだあれ?と目を凝らすと、愛用していた農業フォークぐらいの大きさの三俣鉾がつき刺さっていた。

「おぉ!あれよさそう!」

「なんだど?いい案でもあるかど?」

「一か八かだけどね。プータン背中貸せ!」

 俺はプータンの背中に有無を言わさず乗り込み、プータンの耳を持つ。

「あのトレントの頭頂部に連れてけ!」

「あっ?誰がお前の言う事なんか聞くかど?」

「どのみち何もしなけりゃお互い死んじまうだろ?此処は一つ共同作戦といこう。俺にいい案があるんだよ」

「ちっ、信じていいんだな?」

 「信じるとかではないけど、まぁ今を打開するには少しでも足掻いたほうがいいでしょ?」

「‥不本意だが仕方ないど!」
 





 
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...