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第二章~ 幻想~
「人間らしさ」
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おじいちゃんは、僕と深琴を前にして珍しくはっきりとした口調で話し始めた。
「深琴ちゃん、いつも道流をありがとう。感謝している。道流は、深琴ちゃんが来てから表情が豊かになった。・・・・・・本当の話をしていいかね」
深琴はこくりといつもの体を見せる。
「初めて深琴ちゃんをみたとき、私は驚いた」
僕は心の中でそれを肯定した。だが、続く言葉にそれ以上に驚く。
「君は、とても穏やかで温かくて。何よりも人らしく見えた」
大げさかもしれないが、我が耳を疑った。
「だからだ、私は君にここに住んでもらうことにした。その事を、私は後悔していない」
それだけ言うと、おじいちゃんは微笑んだ。僕らは席を離れる。一度だけ振り返ると、おじいちゃんはまた居眠りを始めていた。
「深琴、僕はこれから買い物に街を出る。ついてくるか?」
「いいえ、私は今日は読書の気分です」
そうか、と僕はドアを開けた。
おじいちゃんは、時々遺言を残すように話すことがある。その内容は大抵そんなに大層なことではない。
だがきっと、おじいちゃんは言いたかったのだろう。胸にふわふわ浮かんだ黒いものが居座っていることも、今日は無視をしよう。
「深琴ちゃん、いつも道流をありがとう。感謝している。道流は、深琴ちゃんが来てから表情が豊かになった。・・・・・・本当の話をしていいかね」
深琴はこくりといつもの体を見せる。
「初めて深琴ちゃんをみたとき、私は驚いた」
僕は心の中でそれを肯定した。だが、続く言葉にそれ以上に驚く。
「君は、とても穏やかで温かくて。何よりも人らしく見えた」
大げさかもしれないが、我が耳を疑った。
「だからだ、私は君にここに住んでもらうことにした。その事を、私は後悔していない」
それだけ言うと、おじいちゃんは微笑んだ。僕らは席を離れる。一度だけ振り返ると、おじいちゃんはまた居眠りを始めていた。
「深琴、僕はこれから買い物に街を出る。ついてくるか?」
「いいえ、私は今日は読書の気分です」
そうか、と僕はドアを開けた。
おじいちゃんは、時々遺言を残すように話すことがある。その内容は大抵そんなに大層なことではない。
だがきっと、おじいちゃんは言いたかったのだろう。胸にふわふわ浮かんだ黒いものが居座っていることも、今日は無視をしよう。
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