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第九章 戦場の女達
101話 結婚会議
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ラズミル王宮跡にて急遽開かれた緊急会議には、存外に多くの人間の顔ぶれがあった。
当事者である僕とジュリ、僕の親であるパウルとアルドは当然ながら、その護衛のクラウス、パウルの妹エレアノール、成り行きでリョドル、そして何故かズミ軍の頭領であるモルズまでいるのだ。
僕達が地下室から上がると、どうやらモルズはパウルを訪ねてきていたのか、元の部屋でクラウスとエレアノールと何か雑談をしているようだった。
エレアノールも泥まみれから小綺麗に、ズミ人の女服へと着替えていて、それだけで随分と見違える。
ぴりとした緊張が走った、真剣な顔のパウルを見てモルズは目を丸くしたようだ。
「ああいや、少し休憩がてら様子を見に来ただけだが……、どうした、何かあったのか」
「ああ……、急遽話し合わなければならないことができた。時間があるならモルズ、お前も同席してほしい。大事な話だ……」
ぐっと眉間に皺を寄せて、パウルは凄むように言った。その気迫に呑まれるようにして、モルズも真剣に表情を引き締めて頷く。僕は後ろからそれを見て、何と口を挟めばいいのかも分からずただ唖然としていた。
先ほどと同じ部屋の中はいつの間にか、吹きさらしだった石床の上に薄い絨毯が敷いてある。そこに皆で円を作るように座り込んだ。
「聞いている者もいるだろうが、この度ヨハン……、またの名をヨン。この男が婚儀を挙げることとなった。相手は今までも彼がレジスタンスの仲間として同行した回復魔術の治療師、ジュリだ……」
パウルが重く口を開く。
もうこうなってしまえば僕達は俎上の魚である。ジュリと並んで正座になって座り、ただ成り行きを見守ることにする。
「挙げることとなった……って、恐れながら殿下! この話をあなたは前から把握しておられたのですか!」
真っ先に声を上げたのは、腕を組んで胡座をかいているクラウスだった。
その声には苛立ちのような焦りのような、張り詰めた感情が浮かんでいる。パウルは神妙な顔で頷いた。
「ああ……。改めて紹介するが、ジュリは今年の初春から私とヨハンと……、まあ偶然成り行きというか同行していて、三人で旅をしていた期間も長い。ヨハンと恋仲であることは知っていたし、私自身以前から結婚を勧めてはいた。だがそれは……、私がトレンティアの王子であるという身分を明かす前だ。その時はこんなことになるなんて思ってなくて……」
そう語った声はどこか弱々しくさえあった。
……彼がトレンティアの王子という身分を明かすかどうかと、僕の結婚が関係あるのだろうか。そんな疑問は……面倒なあまりに言いたくなっただけで、さすがに僕だってそこで心配されている事柄に想像はついた。
それを見て、呆れた様子でため息をついたのはエレアノールだ。
「なるほどねえ……。私もヨハンとジュリとは成り行きで同行したことがあったけど、確かに仲が良さそうだったわ。ズミ人として育ち、ズミ人として出会って仲を深めたのでしょう? 兄様の都合でこの二人の間を取り沙汰しようってのは酷というものじゃないかしら?」
「ああ、分かってる。だから別に今からそれ自体をどうこうしようという気はない。だが後から蒸し返されて揉め事になっても嫌だからな。この場にいる一同に、二人の結婚を祝福してくれると確認してもいいだろうか!」
パウルはそう言って、胡座をかいた自分の両膝をぱしと叩いて頭を下げた。
「私は祝福するわ。貴族の肩書故に望んだ結婚もできない……、そんな思いをヨハン達にまでしてほしくないもの」
さらりとエレアノールは言ってのける。ああ、トレンティアの王女として生まれた彼女のそんな言葉には切実なものがある。彼女の器の広さには僕も敬服しよう。
「私ももちろん祝福しましょう、ヨハンが望んだことならば育ての親としてこれ以上の喜びはない」
アルドが満面に穏やかな笑みを浮かべて頷いた。僕にとって親といえばやっぱり彼しかいない。そんな父の温かい声には、思わず胸に感動のようなものがこみ上げてきてしまう。
「私は部外者なんで……、好きにしなよ……」
呆れた顔で言いながら、リョドルは背中を丸めている。さすが神官だろうか、そんな気だるい様子ながら小綺麗に正座をして座っている。
「え。ああ、うん、いいんじゃないか……?」
未だになぜ同席を求められたのか分かっていないのだろう、モルズも戸惑ったように頷いた。僕にも分からない。
唯一否定的な姿勢を見せていたクラウスも、荒っぽくため息をついた。
「殿下がよいとおっしゃるのなら、私ごときが口を出すことではありません。決めた以上は臣下の一人として心より祝福を」
全くそのような声色には聞こえないが、ともかく反対しきるということもないらしい。
パウルは顔を上げ、その青い目に真剣な光を灯して僕を見据えた。
「お前達自身もだ、ヨハン、ジュリ。……もう分かっているよな、どうして私がこんな確認をとるのかを。ヨハン、お前は妻を持つ覚悟を、ジュリは……ヨハンの妻になる覚悟を、決めているか」
そうどしりとした問いを向けられ、僕達は思わず顔を見合わせた。
妻を持つ覚悟、なんて急に言われても……、彼らが心配しているような、王族とかいうの肩書にそれがどう絡みついてくるのかすら僕には分からない。しかしそこから詳しく説明してくれ、と尋ねるのはあまりに情けなく思えた。
結婚しよう、そう口に出したのは僕だ。それ以前にパウルから言われていたとかそういう経緯はあったにせよ、僕が自分で言ったことだ。
親が家がどうだとかで今更迷いを見せるわけには、ズミの男としてそんなみっともないことをするわけにはいかない! 僕はそう自分を奮い立たせて、隣にいたジュリの手をぐっと握った。
「当然だ」
そしてそう言い切って見せた。ジュリはびくりとして目を見開いて、何やら顔を真っ赤にして固まっていた。
それを振り向いて、ほとんどがむしゃらになって、僕は言葉にした。こんなところで、やっぱり嫌ですなんて言われたらたまらないから。
「……大丈夫だ、夫婦になるからには君のことは絶対に守る」
ジュリの顔は余計に赤くなってしまった。今にも湯気を上げて倒れそうでさえあるが、それでも彼女はか細い声で、はい、と返事をして頷いた。
それを見届けて、「よし」と言ってパウルも頷いた。
しかしやはり横からクラウスが暗い視線を向けてくる。
「しかし……、失礼ながらジュリ殿はズミの平民ですか」
そんなことを言い出したのには、存外にジュリ本人が跳ねるように背筋を伸ばして反応した。
「違います! 戦争で王都が……、家が焼けたので身内はもういませんが、元は貴族です。ジュリ・ニスカ・リューノが本名です」
そんな苦しげな声の反論を受けて、さすがにクラウスもうっと息を詰まらせたようだ。ほかでもなく彼女の故郷を焼いた国の人間だ、さすがに引け目を感じたのだろう。
「そ、それは大変失礼しました」
さすがにしゅんとして頭を下げて見せる。そこへパウルは気が抜けたような声を上げた。
「あー、それもな……。私にはズミ貴族の家柄感覚がいまいち分からないのだが、リューノってのはどの程度の……」
そう恐る恐ると聞いた彼に、それまで蚊帳の外だったズミ貴族達が「ああ」と声を上げた。
「ジュリ殿はニスカ・リューノ家のご令嬢だったのか。お父上の噂はかねがね……私も個人的な付き合いがあったわけではないのだが、優秀な書記官だと陛下からの信も篤く……」
「王家の筋ではないけど、臣下の家系としちゃまあ上流だよね。ニスカから嫁さんをもらったのはルトスさんだっけ? 真面目で善良な人だという噂を私も聞いたことがある」
モルズとリョドルが口を挟んできた。
今度は事情の分からないトレンティア人達が目を白黒とさせてジュリを見つめた。僕にも全く分からないが。
「何よ、そんないい家柄のお嬢さんなら何も問題ないじゃない。身構えて拍子抜けだわ」
エレアノールがつまらなさそうに口を尖らせている。人の結婚で面白がろうとしないでほしい。呆れたように少し笑ったのはモルズだった。
「ヨンはセラーラの村で育った孤児なのだろう? むしろリューノ殿が生きておられたら、そんな者に娘をやれるかと怒り出していたんじゃないか」
そんな彼の言葉に、他の一同はぴたりと凍りついた。……どうやら話の流れを理解していないのは彼だけである。パウルは言いづらそうに目を泳がせながら口を開いた。
「ああ、それなんだけどな、モルズ。それがお前をここに呼んだほかでもない理由なんだが……。まだ公にはしないでほしい。……ヨンは私の息子なんだ」
僕には口止めをしていたくせに、結局パウルが話してしまった。しかし引っかかる言い方である。なぜそれがモルズを呼んだ理由になるのか。
モルズはと言うと当然驚いたのだろう、目だけでなく口まで大きく開いて、息もできないような様子でパウルと僕の顔を交互に見た。
「政治的なごたごたで両親ともとはぐれてここまで育ってしまったんだが、こいつの母親が誰なのかは……言わずともがな分かるよな?」
パウルがそう凄んだ調子で言うと、モルズは空を仰いで今にも卒倒しそうな素振りを見せた。
「それを早く言わんか馬鹿者ーっ!」
そしてそう声を上げたのだ。その気迫にはパウルさえ怯えてしまったらしい、びくりと肩を竦めて慌て始めた。
「すまん、悪かったって。私だってまさか自分が今更イグノールに戻るなんて思ってなくて」
モルズは何をそんなに慌てているのか、ものすごい剣幕になって、突然に僕の肩をがしと掴んできた。
「ヨンっ……、いやヨハン様!? 私が探し求めていた血筋がここに……!」
「待て、何だと言うんだお前まで」
僕は思わず上ずった声で言った。それをパウルは呆れたような顔で見ている。
「お前、まだ自覚がないのか? お前の母親はズミの王女だ、今のところで分かってる中じゃ……、女系とは言えズミ王家の唯一の生き残りでもあるんだぞ。おいモルズ、感極まる気持ちは分かるがまだ焦るな、こいつの血筋の公表のタイミングについては本当に慎重になる必要がある。分かってるよな」
「わ……、分かっている! そのことについてはイグノール、我々にとっても重要事項だ、後で改めて相談しよう。いやしかしそれで結婚……、なるほど……、なるほど重大事だ!」
いよいよ話がとんでもない方向に膨れ上がっていく。僕は一体どこまで連れ去られてしまうのか。
さすがに取り残されている僕を気遣ったのか、パウルはモルズを宥めるようにして言う。
「私のせいではあるんだが、ともかくこいつには王族の自覚というものがまだとことん無い。本人が望まないのであれば……、できれば政治利用するような話にはしたくないんだ。結婚ともなるとおおごとになるのはある程度仕方がないが、できるだけはただ一人のズミ人として幸せの門出にしてやりたい。この父の気持ちを汲んでくれるか。頼むよ」
そんなことを語ったのに対して、モルズは返事もできないというように口をぱくぱくとさせたが、やがて何かを諦めたらしく、がくりと項垂れて大きなため息をついた。
それを肯定を受け取ったのだろう、パウルは「よし、よし」などと言い聞かせるように頷き、ころりと声色を軽くして僕を振り向いた。
「それで結婚式についてだが。ヨハン、前から私も式は挙げてくれと言っていたよな。そこはどう考えていたんだ」
僕はちらりとジュリに視線を向けながら頷く。
「ジュリに聞いたんだが、王都の中にイディナという女神を祀る神殿があって、そこでは前から家のない者の結婚を祝福するために式場として使われていたと……」
そう話すと、当然その辺りの事情に詳しいのだろう、リョドルが「ああ」と気の抜けた相槌をうった。
「そういえばそんなこともあったね。私も興味本位で結婚式を見に行ったことがあるよ」
それを見てパウルは「ほう」と満足げに頷く。
「神殿と言うと、トレンティアで言えば聖堂みたいなものだよな。ちょうどトレンティア風にもなっていいかもしれないな。あっちでは司婚者と言って、担当の司祭が結婚式をほとんど取り仕切るんだが、ズミではそんなこともないのか?」
「ないねえ。結婚式はだいたい家でやるし、よほど信心の深い家柄の人が祝福の祈りを捧げさせるために神官を呼ぶケースもないことはないけど、例は少ないね。イディナの教官が神殿で式をやるなんて企画を始めた時には教団もちょっと騒然となったものだけど……、もしかしたら彼なりにトレンティアの文化を勉強して倣ったのかもしれないな」
お互いの国の挙式文化を語り合い、貴族達はめいめいに興味深そうに驚きの声を上げている。僕は既に、再び俎上の魚である。
モルズはどこかやつれたような顔にさえなってか弱い声を出す。
「本来ならばこの王宮を復興してから盛大に……」
「そんなこと言ってたらいつの話になるんだよ。仮に王家の血筋だと考えたとしても、この廃墟からの復興を祈念して神殿で挙げるのも、いい験担ぎになるんじゃないか?」
パウルにそう言われ、モルズはやはりため息をつく。
「ああ、そういう話は概ね父親が決めるものだ、トレンティア人なりの納得の行く形でやればいいだろう……」
「いや私は父親というか……、父親だけど、ヨハンを育てたのはアルドさんだし、ヨハンはズミ人だ。アルド先生的にはこう、ありますか、希望は」
パウルに話を振られ、アルドは驚いたように顔を上げた。すっかりパウルに任せたつもりにでもなっていたのだろうか。
「え。ああ、私も素晴らしいと思いますよ、神殿で結婚式をやるなんて。式を盛大にできるだけの家がなくて心苦しいなとさえ思っていたのに、こんなに立派な人達に支えられて……よかったなあヨハン……」
そうしみじみと、今にも涙を浮かべそうな様子で噛み締めている。
支えられているというよりはまな板の上に載せられているという実感だが、曖昧にもとりあえず僕は頷いた。パウルも満足そうに頷いている。
「なら神殿式を採用でいいか。式の次第とか段取りは……悪いが私ではズミの慣習が分からない。そのあたりはアルド先生とモルズに任せてしまってもいいか? あと、トレンティアと違って司婚者は置かないということだが、一応神殿でのことだ、何か作法で気をつけることとかあればリョーからも提言をしてやってほしい」
そう名前を出されたアルドとモルズは、目を丸くして顔を見合わせた。リョーと言ったのはどうやらリョドルの呼び名らしい。彼は小さく息を吐きながら頷いた。
「自分で結婚式の世話をしたことはないけど、イディナ神殿での挙式は見学したことがあるからだいたいの流れは知ってる。何か参考意見が必要であればその都度聞いてくれたら考えるよ」
アルドもしどろもどろに頷いた。
「私はヨハンやパウルさんが納得するなら何でも構わないのですが……まあそうですね、まだパウルさんはヨハンの父親だと公にはできないと言うし、そういう事情なら一応養父として、進行の責任は持ちましょう」
モルズは疲れた様子のまま力なく首を振る。
「ああ、アルド殿が進行役を引き受けるのであれば私の出る幕はないだろうが……、他に話の分かる親族もいないのなら、準備や打ち合わせの人手は必要だろう。ズミ王家に仕える者として、陰ながら全力で助力はしよう」
「そうだな、神殿の修繕も当然だが、衣装や祭具の準備とかもたぶんいるだろう。しかし状況が状況だ、立派なものを何もかも揃えるのは難しいだろう、王都を奪還したズミ軍の一兵士として……、ささやかながらに、温かい式にできたらいいな」
パウルはそう穏やかに微笑んで言った。
当然僕だって式を挙げるとなると二人だけでというわけにはいかないことは想像をしていた。しかしいざ実際話を始めると……ここまで大袈裟に人を巻き込むとは思ってもいなかった。
僕が王家の血筋とやらでなくとも衣装だの祭具だの、段取りの打ち合わせなどという準備は必要だったのだろうから、今更慌てるようなことでもないのかもしれないが。やはりそもそも結婚というものに僕自身の理解がなさすぎたのだ。
「そうと決まればまず神殿の修復だ。部隊のものに言って急がせよう」
モルズはそんなことを言って意気込んだ。僕は慌てて首を振る。
「待て、さすがに部隊を動かすようなことじゃない。まだ先にやるべきことが他にもあるだろう、さすがに」
しかしモルズはきりと表情を引き締めて言った。
「いいえヨハン様……! と、あまり丁寧に呼ぶと皆に怪しまれるな、申し訳ありませんが公表の段取りが決まるまでは今まで通り接させていただきます。ともかく、そうでなくともヨンは王都奪還に際しての英雄だ、その挙式のためといえば口実は成る。このモルズに任せておけ!」
どうにも聞く気がなさそうである。血筋を知った途端に気持ち悪いほど丁寧になるのはクラウスと同じだ。自分に流れる血をどこか恐ろしく思いながら、僕はただ身を引いてたじろぐことしかできなかった。
しかしそんな僕とは違って、ふと傍らを見ると、ジュリは頬を紅潮させて何やら興奮してる様子である。僕の視線を見上げるようにして、恥ずかしそうにはにかんだ。
「……なんか、すごい話になってきましたね」
そう語った感想は概ね僕も同じだが、こもっている感情は違うようだった。こんな大袈裟にされても、と戸惑うばかりの僕とは違って……、どうにも嬉しそうだ。
その笑顔を見て、僕はすんと気が抜けるような思いをして背中を丸めてしまった。
何のための結婚なのかと言えば、きっとここを取り巻いてる者の一部は、家のためとか血筋がどうとか言うのかもしれない。
しかしやっぱり、今更王族だ貴族だのと言われたってすぐに実感は湧かない。僕はまだどこかで、アルド一人を親に持って育った孤児のつもりでいる。
そんな身分でも結婚を、と決めたのは当然……ジュリと夫婦になりたいからだ。ほかでもない彼女がこうして嬉しそうにしているのであればもう……、それ以上望むことなどないのではないか。そんな思いに頭を打たれた気さえした。
「ヨン、大丈夫ですか?」
僕はあまりに呆けた顔をしていたのか、ジュリが心配そうに声をかけてくる。
目の前ではもはや僕達には構わず、早速式の内容についてわいわいと言い合う大人達がいた。それを眺めて、もう一度ジュリを振り向く。
心配そうにしているそんな顔も……やっぱり恋人だ、愛おしいなと思ってしまう。僕は小さく笑った。
「いや……、そうだな。すごい話になってきたなって」
僕が笑った顔が珍しかったのだろう、ジュリは目を丸くして見つめてきて、やがて釣られたように彼女も吹き出すみたいに笑った。
当事者である僕とジュリ、僕の親であるパウルとアルドは当然ながら、その護衛のクラウス、パウルの妹エレアノール、成り行きでリョドル、そして何故かズミ軍の頭領であるモルズまでいるのだ。
僕達が地下室から上がると、どうやらモルズはパウルを訪ねてきていたのか、元の部屋でクラウスとエレアノールと何か雑談をしているようだった。
エレアノールも泥まみれから小綺麗に、ズミ人の女服へと着替えていて、それだけで随分と見違える。
ぴりとした緊張が走った、真剣な顔のパウルを見てモルズは目を丸くしたようだ。
「ああいや、少し休憩がてら様子を見に来ただけだが……、どうした、何かあったのか」
「ああ……、急遽話し合わなければならないことができた。時間があるならモルズ、お前も同席してほしい。大事な話だ……」
ぐっと眉間に皺を寄せて、パウルは凄むように言った。その気迫に呑まれるようにして、モルズも真剣に表情を引き締めて頷く。僕は後ろからそれを見て、何と口を挟めばいいのかも分からずただ唖然としていた。
先ほどと同じ部屋の中はいつの間にか、吹きさらしだった石床の上に薄い絨毯が敷いてある。そこに皆で円を作るように座り込んだ。
「聞いている者もいるだろうが、この度ヨハン……、またの名をヨン。この男が婚儀を挙げることとなった。相手は今までも彼がレジスタンスの仲間として同行した回復魔術の治療師、ジュリだ……」
パウルが重く口を開く。
もうこうなってしまえば僕達は俎上の魚である。ジュリと並んで正座になって座り、ただ成り行きを見守ることにする。
「挙げることとなった……って、恐れながら殿下! この話をあなたは前から把握しておられたのですか!」
真っ先に声を上げたのは、腕を組んで胡座をかいているクラウスだった。
その声には苛立ちのような焦りのような、張り詰めた感情が浮かんでいる。パウルは神妙な顔で頷いた。
「ああ……。改めて紹介するが、ジュリは今年の初春から私とヨハンと……、まあ偶然成り行きというか同行していて、三人で旅をしていた期間も長い。ヨハンと恋仲であることは知っていたし、私自身以前から結婚を勧めてはいた。だがそれは……、私がトレンティアの王子であるという身分を明かす前だ。その時はこんなことになるなんて思ってなくて……」
そう語った声はどこか弱々しくさえあった。
……彼がトレンティアの王子という身分を明かすかどうかと、僕の結婚が関係あるのだろうか。そんな疑問は……面倒なあまりに言いたくなっただけで、さすがに僕だってそこで心配されている事柄に想像はついた。
それを見て、呆れた様子でため息をついたのはエレアノールだ。
「なるほどねえ……。私もヨハンとジュリとは成り行きで同行したことがあったけど、確かに仲が良さそうだったわ。ズミ人として育ち、ズミ人として出会って仲を深めたのでしょう? 兄様の都合でこの二人の間を取り沙汰しようってのは酷というものじゃないかしら?」
「ああ、分かってる。だから別に今からそれ自体をどうこうしようという気はない。だが後から蒸し返されて揉め事になっても嫌だからな。この場にいる一同に、二人の結婚を祝福してくれると確認してもいいだろうか!」
パウルはそう言って、胡座をかいた自分の両膝をぱしと叩いて頭を下げた。
「私は祝福するわ。貴族の肩書故に望んだ結婚もできない……、そんな思いをヨハン達にまでしてほしくないもの」
さらりとエレアノールは言ってのける。ああ、トレンティアの王女として生まれた彼女のそんな言葉には切実なものがある。彼女の器の広さには僕も敬服しよう。
「私ももちろん祝福しましょう、ヨハンが望んだことならば育ての親としてこれ以上の喜びはない」
アルドが満面に穏やかな笑みを浮かべて頷いた。僕にとって親といえばやっぱり彼しかいない。そんな父の温かい声には、思わず胸に感動のようなものがこみ上げてきてしまう。
「私は部外者なんで……、好きにしなよ……」
呆れた顔で言いながら、リョドルは背中を丸めている。さすが神官だろうか、そんな気だるい様子ながら小綺麗に正座をして座っている。
「え。ああ、うん、いいんじゃないか……?」
未だになぜ同席を求められたのか分かっていないのだろう、モルズも戸惑ったように頷いた。僕にも分からない。
唯一否定的な姿勢を見せていたクラウスも、荒っぽくため息をついた。
「殿下がよいとおっしゃるのなら、私ごときが口を出すことではありません。決めた以上は臣下の一人として心より祝福を」
全くそのような声色には聞こえないが、ともかく反対しきるということもないらしい。
パウルは顔を上げ、その青い目に真剣な光を灯して僕を見据えた。
「お前達自身もだ、ヨハン、ジュリ。……もう分かっているよな、どうして私がこんな確認をとるのかを。ヨハン、お前は妻を持つ覚悟を、ジュリは……ヨハンの妻になる覚悟を、決めているか」
そうどしりとした問いを向けられ、僕達は思わず顔を見合わせた。
妻を持つ覚悟、なんて急に言われても……、彼らが心配しているような、王族とかいうの肩書にそれがどう絡みついてくるのかすら僕には分からない。しかしそこから詳しく説明してくれ、と尋ねるのはあまりに情けなく思えた。
結婚しよう、そう口に出したのは僕だ。それ以前にパウルから言われていたとかそういう経緯はあったにせよ、僕が自分で言ったことだ。
親が家がどうだとかで今更迷いを見せるわけには、ズミの男としてそんなみっともないことをするわけにはいかない! 僕はそう自分を奮い立たせて、隣にいたジュリの手をぐっと握った。
「当然だ」
そしてそう言い切って見せた。ジュリはびくりとして目を見開いて、何やら顔を真っ赤にして固まっていた。
それを振り向いて、ほとんどがむしゃらになって、僕は言葉にした。こんなところで、やっぱり嫌ですなんて言われたらたまらないから。
「……大丈夫だ、夫婦になるからには君のことは絶対に守る」
ジュリの顔は余計に赤くなってしまった。今にも湯気を上げて倒れそうでさえあるが、それでも彼女はか細い声で、はい、と返事をして頷いた。
それを見届けて、「よし」と言ってパウルも頷いた。
しかしやはり横からクラウスが暗い視線を向けてくる。
「しかし……、失礼ながらジュリ殿はズミの平民ですか」
そんなことを言い出したのには、存外にジュリ本人が跳ねるように背筋を伸ばして反応した。
「違います! 戦争で王都が……、家が焼けたので身内はもういませんが、元は貴族です。ジュリ・ニスカ・リューノが本名です」
そんな苦しげな声の反論を受けて、さすがにクラウスもうっと息を詰まらせたようだ。ほかでもなく彼女の故郷を焼いた国の人間だ、さすがに引け目を感じたのだろう。
「そ、それは大変失礼しました」
さすがにしゅんとして頭を下げて見せる。そこへパウルは気が抜けたような声を上げた。
「あー、それもな……。私にはズミ貴族の家柄感覚がいまいち分からないのだが、リューノってのはどの程度の……」
そう恐る恐ると聞いた彼に、それまで蚊帳の外だったズミ貴族達が「ああ」と声を上げた。
「ジュリ殿はニスカ・リューノ家のご令嬢だったのか。お父上の噂はかねがね……私も個人的な付き合いがあったわけではないのだが、優秀な書記官だと陛下からの信も篤く……」
「王家の筋ではないけど、臣下の家系としちゃまあ上流だよね。ニスカから嫁さんをもらったのはルトスさんだっけ? 真面目で善良な人だという噂を私も聞いたことがある」
モルズとリョドルが口を挟んできた。
今度は事情の分からないトレンティア人達が目を白黒とさせてジュリを見つめた。僕にも全く分からないが。
「何よ、そんないい家柄のお嬢さんなら何も問題ないじゃない。身構えて拍子抜けだわ」
エレアノールがつまらなさそうに口を尖らせている。人の結婚で面白がろうとしないでほしい。呆れたように少し笑ったのはモルズだった。
「ヨンはセラーラの村で育った孤児なのだろう? むしろリューノ殿が生きておられたら、そんな者に娘をやれるかと怒り出していたんじゃないか」
そんな彼の言葉に、他の一同はぴたりと凍りついた。……どうやら話の流れを理解していないのは彼だけである。パウルは言いづらそうに目を泳がせながら口を開いた。
「ああ、それなんだけどな、モルズ。それがお前をここに呼んだほかでもない理由なんだが……。まだ公にはしないでほしい。……ヨンは私の息子なんだ」
僕には口止めをしていたくせに、結局パウルが話してしまった。しかし引っかかる言い方である。なぜそれがモルズを呼んだ理由になるのか。
モルズはと言うと当然驚いたのだろう、目だけでなく口まで大きく開いて、息もできないような様子でパウルと僕の顔を交互に見た。
「政治的なごたごたで両親ともとはぐれてここまで育ってしまったんだが、こいつの母親が誰なのかは……言わずともがな分かるよな?」
パウルがそう凄んだ調子で言うと、モルズは空を仰いで今にも卒倒しそうな素振りを見せた。
「それを早く言わんか馬鹿者ーっ!」
そしてそう声を上げたのだ。その気迫にはパウルさえ怯えてしまったらしい、びくりと肩を竦めて慌て始めた。
「すまん、悪かったって。私だってまさか自分が今更イグノールに戻るなんて思ってなくて」
モルズは何をそんなに慌てているのか、ものすごい剣幕になって、突然に僕の肩をがしと掴んできた。
「ヨンっ……、いやヨハン様!? 私が探し求めていた血筋がここに……!」
「待て、何だと言うんだお前まで」
僕は思わず上ずった声で言った。それをパウルは呆れたような顔で見ている。
「お前、まだ自覚がないのか? お前の母親はズミの王女だ、今のところで分かってる中じゃ……、女系とは言えズミ王家の唯一の生き残りでもあるんだぞ。おいモルズ、感極まる気持ちは分かるがまだ焦るな、こいつの血筋の公表のタイミングについては本当に慎重になる必要がある。分かってるよな」
「わ……、分かっている! そのことについてはイグノール、我々にとっても重要事項だ、後で改めて相談しよう。いやしかしそれで結婚……、なるほど……、なるほど重大事だ!」
いよいよ話がとんでもない方向に膨れ上がっていく。僕は一体どこまで連れ去られてしまうのか。
さすがに取り残されている僕を気遣ったのか、パウルはモルズを宥めるようにして言う。
「私のせいではあるんだが、ともかくこいつには王族の自覚というものがまだとことん無い。本人が望まないのであれば……、できれば政治利用するような話にはしたくないんだ。結婚ともなるとおおごとになるのはある程度仕方がないが、できるだけはただ一人のズミ人として幸せの門出にしてやりたい。この父の気持ちを汲んでくれるか。頼むよ」
そんなことを語ったのに対して、モルズは返事もできないというように口をぱくぱくとさせたが、やがて何かを諦めたらしく、がくりと項垂れて大きなため息をついた。
それを肯定を受け取ったのだろう、パウルは「よし、よし」などと言い聞かせるように頷き、ころりと声色を軽くして僕を振り向いた。
「それで結婚式についてだが。ヨハン、前から私も式は挙げてくれと言っていたよな。そこはどう考えていたんだ」
僕はちらりとジュリに視線を向けながら頷く。
「ジュリに聞いたんだが、王都の中にイディナという女神を祀る神殿があって、そこでは前から家のない者の結婚を祝福するために式場として使われていたと……」
そう話すと、当然その辺りの事情に詳しいのだろう、リョドルが「ああ」と気の抜けた相槌をうった。
「そういえばそんなこともあったね。私も興味本位で結婚式を見に行ったことがあるよ」
それを見てパウルは「ほう」と満足げに頷く。
「神殿と言うと、トレンティアで言えば聖堂みたいなものだよな。ちょうどトレンティア風にもなっていいかもしれないな。あっちでは司婚者と言って、担当の司祭が結婚式をほとんど取り仕切るんだが、ズミではそんなこともないのか?」
「ないねえ。結婚式はだいたい家でやるし、よほど信心の深い家柄の人が祝福の祈りを捧げさせるために神官を呼ぶケースもないことはないけど、例は少ないね。イディナの教官が神殿で式をやるなんて企画を始めた時には教団もちょっと騒然となったものだけど……、もしかしたら彼なりにトレンティアの文化を勉強して倣ったのかもしれないな」
お互いの国の挙式文化を語り合い、貴族達はめいめいに興味深そうに驚きの声を上げている。僕は既に、再び俎上の魚である。
モルズはどこかやつれたような顔にさえなってか弱い声を出す。
「本来ならばこの王宮を復興してから盛大に……」
「そんなこと言ってたらいつの話になるんだよ。仮に王家の血筋だと考えたとしても、この廃墟からの復興を祈念して神殿で挙げるのも、いい験担ぎになるんじゃないか?」
パウルにそう言われ、モルズはやはりため息をつく。
「ああ、そういう話は概ね父親が決めるものだ、トレンティア人なりの納得の行く形でやればいいだろう……」
「いや私は父親というか……、父親だけど、ヨハンを育てたのはアルドさんだし、ヨハンはズミ人だ。アルド先生的にはこう、ありますか、希望は」
パウルに話を振られ、アルドは驚いたように顔を上げた。すっかりパウルに任せたつもりにでもなっていたのだろうか。
「え。ああ、私も素晴らしいと思いますよ、神殿で結婚式をやるなんて。式を盛大にできるだけの家がなくて心苦しいなとさえ思っていたのに、こんなに立派な人達に支えられて……よかったなあヨハン……」
そうしみじみと、今にも涙を浮かべそうな様子で噛み締めている。
支えられているというよりはまな板の上に載せられているという実感だが、曖昧にもとりあえず僕は頷いた。パウルも満足そうに頷いている。
「なら神殿式を採用でいいか。式の次第とか段取りは……悪いが私ではズミの慣習が分からない。そのあたりはアルド先生とモルズに任せてしまってもいいか? あと、トレンティアと違って司婚者は置かないということだが、一応神殿でのことだ、何か作法で気をつけることとかあればリョーからも提言をしてやってほしい」
そう名前を出されたアルドとモルズは、目を丸くして顔を見合わせた。リョーと言ったのはどうやらリョドルの呼び名らしい。彼は小さく息を吐きながら頷いた。
「自分で結婚式の世話をしたことはないけど、イディナ神殿での挙式は見学したことがあるからだいたいの流れは知ってる。何か参考意見が必要であればその都度聞いてくれたら考えるよ」
アルドもしどろもどろに頷いた。
「私はヨハンやパウルさんが納得するなら何でも構わないのですが……まあそうですね、まだパウルさんはヨハンの父親だと公にはできないと言うし、そういう事情なら一応養父として、進行の責任は持ちましょう」
モルズは疲れた様子のまま力なく首を振る。
「ああ、アルド殿が進行役を引き受けるのであれば私の出る幕はないだろうが……、他に話の分かる親族もいないのなら、準備や打ち合わせの人手は必要だろう。ズミ王家に仕える者として、陰ながら全力で助力はしよう」
「そうだな、神殿の修繕も当然だが、衣装や祭具の準備とかもたぶんいるだろう。しかし状況が状況だ、立派なものを何もかも揃えるのは難しいだろう、王都を奪還したズミ軍の一兵士として……、ささやかながらに、温かい式にできたらいいな」
パウルはそう穏やかに微笑んで言った。
当然僕だって式を挙げるとなると二人だけでというわけにはいかないことは想像をしていた。しかしいざ実際話を始めると……ここまで大袈裟に人を巻き込むとは思ってもいなかった。
僕が王家の血筋とやらでなくとも衣装だの祭具だの、段取りの打ち合わせなどという準備は必要だったのだろうから、今更慌てるようなことでもないのかもしれないが。やはりそもそも結婚というものに僕自身の理解がなさすぎたのだ。
「そうと決まればまず神殿の修復だ。部隊のものに言って急がせよう」
モルズはそんなことを言って意気込んだ。僕は慌てて首を振る。
「待て、さすがに部隊を動かすようなことじゃない。まだ先にやるべきことが他にもあるだろう、さすがに」
しかしモルズはきりと表情を引き締めて言った。
「いいえヨハン様……! と、あまり丁寧に呼ぶと皆に怪しまれるな、申し訳ありませんが公表の段取りが決まるまでは今まで通り接させていただきます。ともかく、そうでなくともヨンは王都奪還に際しての英雄だ、その挙式のためといえば口実は成る。このモルズに任せておけ!」
どうにも聞く気がなさそうである。血筋を知った途端に気持ち悪いほど丁寧になるのはクラウスと同じだ。自分に流れる血をどこか恐ろしく思いながら、僕はただ身を引いてたじろぐことしかできなかった。
しかしそんな僕とは違って、ふと傍らを見ると、ジュリは頬を紅潮させて何やら興奮してる様子である。僕の視線を見上げるようにして、恥ずかしそうにはにかんだ。
「……なんか、すごい話になってきましたね」
そう語った感想は概ね僕も同じだが、こもっている感情は違うようだった。こんな大袈裟にされても、と戸惑うばかりの僕とは違って……、どうにも嬉しそうだ。
その笑顔を見て、僕はすんと気が抜けるような思いをして背中を丸めてしまった。
何のための結婚なのかと言えば、きっとここを取り巻いてる者の一部は、家のためとか血筋がどうとか言うのかもしれない。
しかしやっぱり、今更王族だ貴族だのと言われたってすぐに実感は湧かない。僕はまだどこかで、アルド一人を親に持って育った孤児のつもりでいる。
そんな身分でも結婚を、と決めたのは当然……ジュリと夫婦になりたいからだ。ほかでもない彼女がこうして嬉しそうにしているのであればもう……、それ以上望むことなどないのではないか。そんな思いに頭を打たれた気さえした。
「ヨン、大丈夫ですか?」
僕はあまりに呆けた顔をしていたのか、ジュリが心配そうに声をかけてくる。
目の前ではもはや僕達には構わず、早速式の内容についてわいわいと言い合う大人達がいた。それを眺めて、もう一度ジュリを振り向く。
心配そうにしているそんな顔も……やっぱり恋人だ、愛おしいなと思ってしまう。僕は小さく笑った。
「いや……、そうだな。すごい話になってきたなって」
僕が笑った顔が珍しかったのだろう、ジュリは目を丸くして見つめてきて、やがて釣られたように彼女も吹き出すみたいに笑った。
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