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第九章 戦場の女達
111話 戦争は女の顔をしていない
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夏の空の下、ズミの男達が上半身を裸にして汗を撒き散らしている景色も、もう見慣れてきてしまった。それを尻目に入れながら、私は仕事場に向かう。
建物を新設することはなく、残っていた廃屋をそのまま利用した場所だ……、古びた様子はあるが、急ぎ仕立てで建てた小屋よりも頑丈ではある。
そこに集まった“生徒”達は私達の姿を見て不思議そうな顔を浮かべた。
「エレアノールさん、おはようございます。今日はイグノールさんは?」
そう話しかけてくるのは、生徒の中でも自然とリーダー格になっている三十歳程の女性……名前をエーシャと言った。
「イグノールは仕事でしばらく不在よ。その間、代理で私が講義をするから、みなさんよろしく」
教室の正面に立って精一杯胸を張って言った。エーシャは口元に手を当てて上品に微笑んだ。
「まあ、エレアノールさんが講義を。それはいつもと違って新鮮になりそうですね。それにルヴァークさんまでいらっしゃるなんて、楽しい講義になりそうですね」
その丁寧な振る舞いを見るに、恐らく元は育ちのいい女性なのだろう。ほとんど教養のない者が多い兵士の中で、リーダーシップを取り始めたのも当然の成り行きというところだろうか。
私の後ろにはズミの女戦士、ルヴァークが仏頂面で控えている。……パウルがジャックやヨハンを伴ってクスダンに出かけている間だけ、私の護衛に就かされた者だ。
そして彼らが不在の間……、ズミ軍の大将モルズとの交渉や情報共有と、それからパウルが受け持っていたズミ軍の魔道兵士育成所の指導は私が代わることとなる。そしてそれを知った生徒たちの様子はどうにも締まりがない。
以前からパウルの手伝いのためにここには出入りして様子を見ることはあったが、やはり魔法を初めて学ぶという異国人にトレンティアの魔法学の感覚はなかなか伝わらない。
まず現在十二名いる生徒のうち実に半数以上、八名が女性だ。トレンティアでは戦闘魔術を習う女など稀だ……、戦いというものは基本的に男のものだから。
それがズミでは女達が進んで声を上げたというのはさすがというところだろうか。それにしても男の少なさが不釣り合いだが。
数少ない男は寡黙な若者が二名、ヨハンと同じ年頃の少年兵が一名、商人風にさえ見えるような優男が一名……、教室の空気は八人の女たちの賑やかな談笑に支配されてさえいた。
それでもパウルが教鞭をとっている講義中は、彼女らもどうやら真面目に魔法の習得に励んでいるようだったが、それがいないとなると余計に浮かれてしまうようだ。
「エレアノールさんはどんな魔法を教えてくださるの? ああ、そういえばこの間、腕の良い薬師の方が作ったという魔法の髪油の話を聞いたわ。私もあれが使えるようになりたいの、そのためにはどんな魔法を覚えたらいいかしら?」
エーシャが先導する和気あいあいとした空気の中、私はぐっと両手に魔力を込めた。吹きさらしの石造りの床は、多少焼けても誰も文句は言わないだろう。
ドン、と鈍い音を立ててその場に上がった炎に煽られ、一瞬にして教室は静まり返った。
「……イグノールの講義がどこまで進んでいるのか、引き継ぎを受ける時間もなかったのでね、しばらくは気分を変えて実技訓練にしましょうか」
私は作り笑顔を浮かべてそう言った。それだけで顔を強張らせた生徒達を、有無を言わせず私は建物の外へと引っ張り出していく。
引き継ぎを受ける時間もなかった、というのも嘘ではないが、彼が教材のために書いた資料を見ることはあったし、研究者として早熟だった彼の学問姿勢は十五年前にも垣間見る機会があった。
その頃から根が変わっていないのなら……、どんな講義をしていたのかを想像するのは難しくない。彼はあまりに純真に、魔道文字に恋をする男であった。
最近に彼が書いた教材は……生憎ズミの言語にはまだ疎い私に全てを読むことはできないが、魔道文字をひとつひとつ、まるで慈しみに満ちた筆運びで解説しているようなそんな様子に見える。
……はっきり言って、軍人が学ぶ戦闘魔術の指南としては少々生ぬるい。魔法学者を育てることはできても魔道軍人を育てるには迂遠というものだろう。
私は彼女たち自身に地面に炎魔術の陣を書かせ、そこに魔力を流す反復練習をさせ始めた。
「名前としては“炎魔術”だけど、単なる炎では威力に欠けるわ。だから発破のためにこの文字を入れるわけ。イメージもそれに合わせて。鍋を煮るような炎ではなくて、爆発よ。“敵を傷付ける”という意識を持ちなさい。魔法は心の力の具現と言われるわ、慣れないうちは具体的なものを思い浮かべるといい。憎い敵の顔を思い浮かべなさい、それらを焼き尽くす己の力を信じなさい」
そう重たく言って私は再び見本を見せてやる。魔法陣を覗き込むような姿勢でいた生徒の一人の目前で、わざとらしく。
途端に上がった高圧の火柱に煽られて、彼はのけぞって尻もちをついてしまった。
「遊んでるわけじゃないのよ、これは人を殺すための技術。生半可な覚悟で触れば火傷するわよ……、分かっているわね」
初回の講義は、締まりの無い生徒にその根性の種を蒔くだけに終わりそうだった。
正午過ぎに一旦の講義を切り上げ、私は王宮に戻って教材資料の整理にかかった。
伴うのは護衛であるルヴァークだけだが……、彼女も当然授業の光景を見ていたのだろう、静かな調子で雑談を振ってきた。
「……失礼ですが、エレアノール殿は随分と腕の立つ魔道士だったのですね」
それは単純に驚いているようだった。寡黙な性格らしく護衛についた当初は最低限の挨拶しか交わさなかったが、恐らく私のことはあまり聞いていないのだろう。
「兄様と比べれば三流よ」
仕事前に昼食を、王宮の部屋でパンを齧りながら私は答えた。
トレンティアの軍人も多くが、戦闘魔術はあくまで多人数戦における戦略の選択の一つとして用いるのが主流だ、一騎での戦闘となると魔法よりも剣術の方がよっぽどものを言う。
そんな中でパウルは、剣の一振りも持たずに魔術だけで血路を切り開いていく……本来ならばあの境地を目指してこその“戦闘魔術”であろう。
しかしそのパウル・イグノールの恐ろしさを、どうにも魔法に慣れないズミ人達はいまひとつ理解しないらしい。
「そうでしょうか? 指導を受けていた女達は、あなたの魔法にこそ感銘を受けているようにお見受けしましたが」
そう言われ、私は重たいため息をついた。
「兄様、本人の腕は良いんだけど教えるとなるとねえ……。私も今日彼女達の様子を見てはっきり分かったわよ。やっぱりあの人女には甘い! 何遊ばせてんのよ、子どものお遊戯じゃないんだから」
ルヴァークは寡黙な性格らしく、あまり表情を動かさない。
ぴしりと纏めた黒髪の下、真っ直ぐ私を睨むように見つめている黒い瞳はトレンティア人のそれよりどこか重たく感じられる。
「トレンティアの兵士にも女性は見たことがありません。やはりそちらの国でも女が戦うなど無茶なものだと、そう思われているのではないですか」
「それはそうね。私の知る限りでも正規軍で女なんて、衛生兵にしかいないわ」
「エレアノール殿は……違うのですか。失礼ですが、国王の御息女……王女殿下だと聞きましたが、なぜそのような方が戦闘魔術を」
さすがに怪しそうな顔で聞いてきた。
なぜ、と聞かれるとそういう性格だからとしか言いようがない気もするが、それが許されたのはその身分ゆえというところだろうか。
「姫だったからこそ、戦い方を学びたいなんて我儘も許されていただけよ。そんなことでは嫁の貰い手が……なんて小言を言われるのが定番ではあるけど、幸い私は子どもの頃から嫁ぎ先がほとんど決まっていたし、それがほかでもない王国随一とされる近衛騎士の家だった。兄だけじゃなく、夫にも随分戦闘魔術を教えてもらったわ。それを許してくれる人だった」
私は幼い頃の戦術の教官を……、その時は夫となるとも思っていなかった男の顔を懐かしく思い出した。思わず自虐っぽい笑いが零れる。
「当然軍に入ることまではできない、実戦を経験する日が来るなんて正直思っていなかったけどね。まあ政治的にはずっと苦しい立場だったから、何かあれば王都から逃げ出して自分一人でも生きていけるように……と考えていたのも確かだけど」
今思えば幼い頃の私はフォス・カディアル家の男達に憧れていたのだ。男と女の違いもはっきり分からないうちから、パウルお兄様のお側に仕えるのはどちらが相応しいか、なんてジャックと張り合って、ドレスに合わせたよそ行きの傘を振り回していた。姫様がそんなお転婆なようでは、と小言を言うメイドは兄があしらってくれていた。
私はそんなことを思い出しながら、目の前にいる女戦士に視線を向けた。
「そう言うルヴァーク、あなたはどうして女の身で武器を」
「トレンティアに殺された夫の……復讐のためです」
ルヴァークは重く、はっきりと私を刺すように言った。その静かに見える目には、きっと彼女なりの憎悪を燃やしているのだろう。
魔道文化の無いズミではトレンティアと比べて、女が戦士になる技術的な課題は単純に多かっただろう……そこにある重みは、華やかな思い出を引き摺るように剣を握っている私などには到底及ぶまい。
「……あなたが魔法を学んだのなら、いい魔道士になるでしょうね」
トレンティアの王族として、彼女にかけてやれる気の利いた言葉などはない。率直な思いを言葉にした、それはあるいは皮肉となっただろうか。
ルヴァークはすっと目を細めて私を睨んできた。
「私は剣と弓を習いました。わざわざ魔法など……」
「弓はいないけど、トレンティアの魔道士だって軍人なら剣ぐらいみんな扱うわよ。戦うための選択肢は多い方がいい……、これは単純な力なのだから」
私はそう答えながら、スカートの上から無理やりベルトを巻いて提げていた片手剣の柄を弄んだ。ルヴァークの腰にも似た得物が提げられている。
「魔剣、というほどのことはできないけど、組み合わせて戦うのも一騎打ちならそれなりに有用よ。試してみる?」
右手に剣を握り、左手でだけでソル・サークルを浮かべる。炎、障壁、破壊……、片手で複数の術式を器用に使い分けるのは当然簡単なことではないが、慣れれば柔軟な立ち回りが可能になる。
ルヴァークは言葉ではなく、その剣をすらりと抜いて返事をして見せた。
……ズミ人だろうとトレンティア人だろうと、私が剣を抜いたところで、「女などに」と言って相手にもしない者がほとんどだ。
だが当然この女戦士にその心配をする必要はない。そう思うと、自然と頬が上がってしまった。兄が残していった教材の整理をするより少しは、心も踊るというものだ。
部屋から庭へと出て、他に従者も誰もいないものだから二人きりで向き合えば、合図などは何もなく、その打ち合いは軽やかに始まる。
しかし私はその時、ズミ人用の女服を着ていた。……トレンティアのドレスを引き摺っているよりかはマシかもしれないが、これはこれで、スカートの幅が狭く、足が大きく動かない。
その感覚に躓くような感じを覚えて、最初に踏み込んだ足は妙にぎこちなかった。それでも精一杯に動かした足でルヴァークとの距離を詰める。そして片手に握った剣を斜め上から振り下ろす。
ルヴァークは私と違って、ほとんど男と変わらないような兵装をしていた。彼女の静かな印象に違わない、重い佇まいでその剣を受け止めた。……お互いに感触を確かめ合うような初手、彼女が両手で握った剣の刀身に、私の片手剣が擦れるようにしてぶつかる。
片手と両手という不均衡はあるものの……しかしやはり、「女など」と侮れるほど彼女は弱くない。まるで岩壁に立ち向かっているような……そこに戦士の重たい気迫が感じられた。
背は私よりも高く、剣を握った手はまるで女らしくなく強張っていて、傷跡だって多い。長袖の兵装に包まれたその腕も、きっと私などよりずっと立派な筋肉が覆っているのだろう。
その腕で以てして、しかも無駄のない静かな動きで、ぐっと剣を振ってきた。その一瞬だけで否応なく悟る。ただ勢い任せで振っている“威勢”の剣ではない。
気配も、感情さえも殺して確実に敵の喉元だけを狙うような……その気迫は、いつかの河原で戯れにヨハンと試合をした、その時の彼に少し似ていた。
王都ラズミルも一度廃墟に帰し、今は夏の空気の下で力強く芽吹いた緑に覆われた土地だ。遠くには、虫の鳴き声がうるさい程にこだましている。そんな風の中で、黒髪の戦士との打ち合いで、そこにズミという国を肌で感じた……そうまで言うのは、少し詩人すぎたかもしれない。
彼らはずっと戦っているのだ。金髪の異邦者達に復讐を果たすために、と……。
応えるのは、魔法。剣だけを振っていたてもよかったけど、なんて惜しむような変な気持ちはあったけど、もともと「剣と魔法の組み合わせ」を見せようと言って始めた試合なのだ。それを忘れるわけにはいかない。
ルヴァークの重い一撃を、片手剣で受け流しながら身を捩り、左手の上に魔力を込める。ルヴァークの攻撃だって決してささやかではない。それを受け流すだけのことも、腕の角度や身体の重心まで気を配らなければ危うかった。
それでいて同時に左手の魔力操作にも意識を伸ばす……やはり忙しい戦い方には違いないが、その分、手数は多くなる。
魔術が成った、その途端に起こった爆炎の熱にルヴァークがハッと息を呑んだのが分かった。
当然、試合で本当に炎魔法を当ててしまうわけにはいかないから、あえて外して、彼女の足元の近くの地面をえぐるように爆破しただけだ。しかしこの至近から魔法を使う戦士と戦った経験などないのだろうルヴァークは、その一瞬だけでも判断に迷いを見せる。
その隙へとまた剣を突き出す。ルヴァークは身を引きながらそれを受け止め、一瞬見せた迷いもすぐに飲み込んだようだ。また、攻防が始まる。
素早く振り込んでくる剣を、またお披露目のつもりで、今度は物理障壁の魔法を張って受け止めてやる。そうして相手の刃が食いとどまっている間に、軽やかに切り替えした片手剣を振り込む。
……つもりだったが、ルヴァークの剣は重たく、それを障壁魔法で受け止めるだけでも、全身の力を込めなければならなかった。思わず、剣を振ろうとした手も止まってしまう。
魔法でルヴァークの剣を弾き返した後は、その反動を受けて私ものけぞってしまった。……これでは隙を付けない。仕切り直しである。
やっぱり自分はまだ未熟だ、魔法も、剣も。そんな実感を奥歯で噛み殺しながらも、それでも笑って見せた。その時に気付いた、ルヴァークも、その冷めて見えた口元を、わずかに上げている。
思わず笑みを浮かべてしまう、それが武者震いなのか、単に楽しいからなのかは分からない。ただ、この暑い空気の中で、窮屈なスカートに足を縛られながらも、それでも剣を振っていること、動けと念じた通りに身体が動くこと。そして、それに真っ向から応えてくれる人がいるということ……。
この開放感をなんと讃えればいいだろうか。そんな鼓舞を思いながら、また手の上に込めた魔力は一層に濃くなった。曰く、魔法は心の力の具現化だから。
ルヴァークだって、魔法を学べばきっといい魔道士になる。その予感に変わりはなかったけど、でも、やっぱり、彼女は剣を振っているだけの方が似合うのかもしれない。そんな実感も分かってきた。この国にはこの国の息遣いがあるから。
建物を新設することはなく、残っていた廃屋をそのまま利用した場所だ……、古びた様子はあるが、急ぎ仕立てで建てた小屋よりも頑丈ではある。
そこに集まった“生徒”達は私達の姿を見て不思議そうな顔を浮かべた。
「エレアノールさん、おはようございます。今日はイグノールさんは?」
そう話しかけてくるのは、生徒の中でも自然とリーダー格になっている三十歳程の女性……名前をエーシャと言った。
「イグノールは仕事でしばらく不在よ。その間、代理で私が講義をするから、みなさんよろしく」
教室の正面に立って精一杯胸を張って言った。エーシャは口元に手を当てて上品に微笑んだ。
「まあ、エレアノールさんが講義を。それはいつもと違って新鮮になりそうですね。それにルヴァークさんまでいらっしゃるなんて、楽しい講義になりそうですね」
その丁寧な振る舞いを見るに、恐らく元は育ちのいい女性なのだろう。ほとんど教養のない者が多い兵士の中で、リーダーシップを取り始めたのも当然の成り行きというところだろうか。
私の後ろにはズミの女戦士、ルヴァークが仏頂面で控えている。……パウルがジャックやヨハンを伴ってクスダンに出かけている間だけ、私の護衛に就かされた者だ。
そして彼らが不在の間……、ズミ軍の大将モルズとの交渉や情報共有と、それからパウルが受け持っていたズミ軍の魔道兵士育成所の指導は私が代わることとなる。そしてそれを知った生徒たちの様子はどうにも締まりがない。
以前からパウルの手伝いのためにここには出入りして様子を見ることはあったが、やはり魔法を初めて学ぶという異国人にトレンティアの魔法学の感覚はなかなか伝わらない。
まず現在十二名いる生徒のうち実に半数以上、八名が女性だ。トレンティアでは戦闘魔術を習う女など稀だ……、戦いというものは基本的に男のものだから。
それがズミでは女達が進んで声を上げたというのはさすがというところだろうか。それにしても男の少なさが不釣り合いだが。
数少ない男は寡黙な若者が二名、ヨハンと同じ年頃の少年兵が一名、商人風にさえ見えるような優男が一名……、教室の空気は八人の女たちの賑やかな談笑に支配されてさえいた。
それでもパウルが教鞭をとっている講義中は、彼女らもどうやら真面目に魔法の習得に励んでいるようだったが、それがいないとなると余計に浮かれてしまうようだ。
「エレアノールさんはどんな魔法を教えてくださるの? ああ、そういえばこの間、腕の良い薬師の方が作ったという魔法の髪油の話を聞いたわ。私もあれが使えるようになりたいの、そのためにはどんな魔法を覚えたらいいかしら?」
エーシャが先導する和気あいあいとした空気の中、私はぐっと両手に魔力を込めた。吹きさらしの石造りの床は、多少焼けても誰も文句は言わないだろう。
ドン、と鈍い音を立ててその場に上がった炎に煽られ、一瞬にして教室は静まり返った。
「……イグノールの講義がどこまで進んでいるのか、引き継ぎを受ける時間もなかったのでね、しばらくは気分を変えて実技訓練にしましょうか」
私は作り笑顔を浮かべてそう言った。それだけで顔を強張らせた生徒達を、有無を言わせず私は建物の外へと引っ張り出していく。
引き継ぎを受ける時間もなかった、というのも嘘ではないが、彼が教材のために書いた資料を見ることはあったし、研究者として早熟だった彼の学問姿勢は十五年前にも垣間見る機会があった。
その頃から根が変わっていないのなら……、どんな講義をしていたのかを想像するのは難しくない。彼はあまりに純真に、魔道文字に恋をする男であった。
最近に彼が書いた教材は……生憎ズミの言語にはまだ疎い私に全てを読むことはできないが、魔道文字をひとつひとつ、まるで慈しみに満ちた筆運びで解説しているようなそんな様子に見える。
……はっきり言って、軍人が学ぶ戦闘魔術の指南としては少々生ぬるい。魔法学者を育てることはできても魔道軍人を育てるには迂遠というものだろう。
私は彼女たち自身に地面に炎魔術の陣を書かせ、そこに魔力を流す反復練習をさせ始めた。
「名前としては“炎魔術”だけど、単なる炎では威力に欠けるわ。だから発破のためにこの文字を入れるわけ。イメージもそれに合わせて。鍋を煮るような炎ではなくて、爆発よ。“敵を傷付ける”という意識を持ちなさい。魔法は心の力の具現と言われるわ、慣れないうちは具体的なものを思い浮かべるといい。憎い敵の顔を思い浮かべなさい、それらを焼き尽くす己の力を信じなさい」
そう重たく言って私は再び見本を見せてやる。魔法陣を覗き込むような姿勢でいた生徒の一人の目前で、わざとらしく。
途端に上がった高圧の火柱に煽られて、彼はのけぞって尻もちをついてしまった。
「遊んでるわけじゃないのよ、これは人を殺すための技術。生半可な覚悟で触れば火傷するわよ……、分かっているわね」
初回の講義は、締まりの無い生徒にその根性の種を蒔くだけに終わりそうだった。
正午過ぎに一旦の講義を切り上げ、私は王宮に戻って教材資料の整理にかかった。
伴うのは護衛であるルヴァークだけだが……、彼女も当然授業の光景を見ていたのだろう、静かな調子で雑談を振ってきた。
「……失礼ですが、エレアノール殿は随分と腕の立つ魔道士だったのですね」
それは単純に驚いているようだった。寡黙な性格らしく護衛についた当初は最低限の挨拶しか交わさなかったが、恐らく私のことはあまり聞いていないのだろう。
「兄様と比べれば三流よ」
仕事前に昼食を、王宮の部屋でパンを齧りながら私は答えた。
トレンティアの軍人も多くが、戦闘魔術はあくまで多人数戦における戦略の選択の一つとして用いるのが主流だ、一騎での戦闘となると魔法よりも剣術の方がよっぽどものを言う。
そんな中でパウルは、剣の一振りも持たずに魔術だけで血路を切り開いていく……本来ならばあの境地を目指してこその“戦闘魔術”であろう。
しかしそのパウル・イグノールの恐ろしさを、どうにも魔法に慣れないズミ人達はいまひとつ理解しないらしい。
「そうでしょうか? 指導を受けていた女達は、あなたの魔法にこそ感銘を受けているようにお見受けしましたが」
そう言われ、私は重たいため息をついた。
「兄様、本人の腕は良いんだけど教えるとなるとねえ……。私も今日彼女達の様子を見てはっきり分かったわよ。やっぱりあの人女には甘い! 何遊ばせてんのよ、子どものお遊戯じゃないんだから」
ルヴァークは寡黙な性格らしく、あまり表情を動かさない。
ぴしりと纏めた黒髪の下、真っ直ぐ私を睨むように見つめている黒い瞳はトレンティア人のそれよりどこか重たく感じられる。
「トレンティアの兵士にも女性は見たことがありません。やはりそちらの国でも女が戦うなど無茶なものだと、そう思われているのではないですか」
「それはそうね。私の知る限りでも正規軍で女なんて、衛生兵にしかいないわ」
「エレアノール殿は……違うのですか。失礼ですが、国王の御息女……王女殿下だと聞きましたが、なぜそのような方が戦闘魔術を」
さすがに怪しそうな顔で聞いてきた。
なぜ、と聞かれるとそういう性格だからとしか言いようがない気もするが、それが許されたのはその身分ゆえというところだろうか。
「姫だったからこそ、戦い方を学びたいなんて我儘も許されていただけよ。そんなことでは嫁の貰い手が……なんて小言を言われるのが定番ではあるけど、幸い私は子どもの頃から嫁ぎ先がほとんど決まっていたし、それがほかでもない王国随一とされる近衛騎士の家だった。兄だけじゃなく、夫にも随分戦闘魔術を教えてもらったわ。それを許してくれる人だった」
私は幼い頃の戦術の教官を……、その時は夫となるとも思っていなかった男の顔を懐かしく思い出した。思わず自虐っぽい笑いが零れる。
「当然軍に入ることまではできない、実戦を経験する日が来るなんて正直思っていなかったけどね。まあ政治的にはずっと苦しい立場だったから、何かあれば王都から逃げ出して自分一人でも生きていけるように……と考えていたのも確かだけど」
今思えば幼い頃の私はフォス・カディアル家の男達に憧れていたのだ。男と女の違いもはっきり分からないうちから、パウルお兄様のお側に仕えるのはどちらが相応しいか、なんてジャックと張り合って、ドレスに合わせたよそ行きの傘を振り回していた。姫様がそんなお転婆なようでは、と小言を言うメイドは兄があしらってくれていた。
私はそんなことを思い出しながら、目の前にいる女戦士に視線を向けた。
「そう言うルヴァーク、あなたはどうして女の身で武器を」
「トレンティアに殺された夫の……復讐のためです」
ルヴァークは重く、はっきりと私を刺すように言った。その静かに見える目には、きっと彼女なりの憎悪を燃やしているのだろう。
魔道文化の無いズミではトレンティアと比べて、女が戦士になる技術的な課題は単純に多かっただろう……そこにある重みは、華やかな思い出を引き摺るように剣を握っている私などには到底及ぶまい。
「……あなたが魔法を学んだのなら、いい魔道士になるでしょうね」
トレンティアの王族として、彼女にかけてやれる気の利いた言葉などはない。率直な思いを言葉にした、それはあるいは皮肉となっただろうか。
ルヴァークはすっと目を細めて私を睨んできた。
「私は剣と弓を習いました。わざわざ魔法など……」
「弓はいないけど、トレンティアの魔道士だって軍人なら剣ぐらいみんな扱うわよ。戦うための選択肢は多い方がいい……、これは単純な力なのだから」
私はそう答えながら、スカートの上から無理やりベルトを巻いて提げていた片手剣の柄を弄んだ。ルヴァークの腰にも似た得物が提げられている。
「魔剣、というほどのことはできないけど、組み合わせて戦うのも一騎打ちならそれなりに有用よ。試してみる?」
右手に剣を握り、左手でだけでソル・サークルを浮かべる。炎、障壁、破壊……、片手で複数の術式を器用に使い分けるのは当然簡単なことではないが、慣れれば柔軟な立ち回りが可能になる。
ルヴァークは言葉ではなく、その剣をすらりと抜いて返事をして見せた。
……ズミ人だろうとトレンティア人だろうと、私が剣を抜いたところで、「女などに」と言って相手にもしない者がほとんどだ。
だが当然この女戦士にその心配をする必要はない。そう思うと、自然と頬が上がってしまった。兄が残していった教材の整理をするより少しは、心も踊るというものだ。
部屋から庭へと出て、他に従者も誰もいないものだから二人きりで向き合えば、合図などは何もなく、その打ち合いは軽やかに始まる。
しかし私はその時、ズミ人用の女服を着ていた。……トレンティアのドレスを引き摺っているよりかはマシかもしれないが、これはこれで、スカートの幅が狭く、足が大きく動かない。
その感覚に躓くような感じを覚えて、最初に踏み込んだ足は妙にぎこちなかった。それでも精一杯に動かした足でルヴァークとの距離を詰める。そして片手に握った剣を斜め上から振り下ろす。
ルヴァークは私と違って、ほとんど男と変わらないような兵装をしていた。彼女の静かな印象に違わない、重い佇まいでその剣を受け止めた。……お互いに感触を確かめ合うような初手、彼女が両手で握った剣の刀身に、私の片手剣が擦れるようにしてぶつかる。
片手と両手という不均衡はあるものの……しかしやはり、「女など」と侮れるほど彼女は弱くない。まるで岩壁に立ち向かっているような……そこに戦士の重たい気迫が感じられた。
背は私よりも高く、剣を握った手はまるで女らしくなく強張っていて、傷跡だって多い。長袖の兵装に包まれたその腕も、きっと私などよりずっと立派な筋肉が覆っているのだろう。
その腕で以てして、しかも無駄のない静かな動きで、ぐっと剣を振ってきた。その一瞬だけで否応なく悟る。ただ勢い任せで振っている“威勢”の剣ではない。
気配も、感情さえも殺して確実に敵の喉元だけを狙うような……その気迫は、いつかの河原で戯れにヨハンと試合をした、その時の彼に少し似ていた。
王都ラズミルも一度廃墟に帰し、今は夏の空気の下で力強く芽吹いた緑に覆われた土地だ。遠くには、虫の鳴き声がうるさい程にこだましている。そんな風の中で、黒髪の戦士との打ち合いで、そこにズミという国を肌で感じた……そうまで言うのは、少し詩人すぎたかもしれない。
彼らはずっと戦っているのだ。金髪の異邦者達に復讐を果たすために、と……。
応えるのは、魔法。剣だけを振っていたてもよかったけど、なんて惜しむような変な気持ちはあったけど、もともと「剣と魔法の組み合わせ」を見せようと言って始めた試合なのだ。それを忘れるわけにはいかない。
ルヴァークの重い一撃を、片手剣で受け流しながら身を捩り、左手の上に魔力を込める。ルヴァークの攻撃だって決してささやかではない。それを受け流すだけのことも、腕の角度や身体の重心まで気を配らなければ危うかった。
それでいて同時に左手の魔力操作にも意識を伸ばす……やはり忙しい戦い方には違いないが、その分、手数は多くなる。
魔術が成った、その途端に起こった爆炎の熱にルヴァークがハッと息を呑んだのが分かった。
当然、試合で本当に炎魔法を当ててしまうわけにはいかないから、あえて外して、彼女の足元の近くの地面をえぐるように爆破しただけだ。しかしこの至近から魔法を使う戦士と戦った経験などないのだろうルヴァークは、その一瞬だけでも判断に迷いを見せる。
その隙へとまた剣を突き出す。ルヴァークは身を引きながらそれを受け止め、一瞬見せた迷いもすぐに飲み込んだようだ。また、攻防が始まる。
素早く振り込んでくる剣を、またお披露目のつもりで、今度は物理障壁の魔法を張って受け止めてやる。そうして相手の刃が食いとどまっている間に、軽やかに切り替えした片手剣を振り込む。
……つもりだったが、ルヴァークの剣は重たく、それを障壁魔法で受け止めるだけでも、全身の力を込めなければならなかった。思わず、剣を振ろうとした手も止まってしまう。
魔法でルヴァークの剣を弾き返した後は、その反動を受けて私ものけぞってしまった。……これでは隙を付けない。仕切り直しである。
やっぱり自分はまだ未熟だ、魔法も、剣も。そんな実感を奥歯で噛み殺しながらも、それでも笑って見せた。その時に気付いた、ルヴァークも、その冷めて見えた口元を、わずかに上げている。
思わず笑みを浮かべてしまう、それが武者震いなのか、単に楽しいからなのかは分からない。ただ、この暑い空気の中で、窮屈なスカートに足を縛られながらも、それでも剣を振っていること、動けと念じた通りに身体が動くこと。そして、それに真っ向から応えてくれる人がいるということ……。
この開放感をなんと讃えればいいだろうか。そんな鼓舞を思いながら、また手の上に込めた魔力は一層に濃くなった。曰く、魔法は心の力の具現化だから。
ルヴァークだって、魔法を学べばきっといい魔道士になる。その予感に変わりはなかったけど、でも、やっぱり、彼女は剣を振っているだけの方が似合うのかもしれない。そんな実感も分かってきた。この国にはこの国の息遣いがあるから。
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