サーシェ

天山敬法

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第十一章 ラズミル武闘大会

140話 決勝戦 VSクラウス

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 程なくして、どこか疲れた顔のパウルが控え場へと戻ってきた……その目と視線を合わせて、僕は何となく言葉を詰まらせた。
 クラウスに言われて試合への集中を高めていたつもりではいた、それでもやっぱりジュリのことはずっと引っかかっていたのだろう。
 だからそう思ってしまっただけかもしれない。何か……パウルの眼差しにも思い詰めたような色があるような気がした。
 ジュリの不調で僕が呼び出されたという経緯を、彼も試合が終わった直後に聞いていたらしい。軽く心配する言葉をかけてくる、そして同じ成り行きでその話をする。
 途端にパウルは目を大きく開いて、しかしすぐには何も言わずに、やがてゆっくりと目を細めて小さく笑った。
「そう、か。ジュリが身籠ったか。……良かったな、本当に」
 しみじみと噛み締めるように、少しだけ掠れた声でそう言った。
「私は……まあ、子どもができるまで何年もかかったからさ。ミョーネがお前を身籠った時どんな気分だったかってそりゃ……、感動して泣いたよ、いや本当に」
 はにかむように笑ってパウルは小さく首を振った。
 改めて、自分の生みの親の話なんて聞くと変な気分になる。……少し前までは聞きたくもないと思っていたのにな。
「生まれた時は、やっぱり男でよかったと思ったか」
「はあ? 一人授かるのにやっとだってのに、男か女かなんか考えてなかったよ。なんでもよかったさ、男でも女でも、黒髪でも金髪でも……」
 軽い声色で言うその顔は切なく、遠い昔を懐かしんでいるようだった。……僕自身は金髪に生まれなくて良かった、なんて思ってしまうけど。
「生まれてきた時はそりゃ嬉しかったさ。小さくて……本当に可愛かった。あの気持ちをお前も味わうことになるのかな……いやまあ、まだ分かったばかりだ、先はどうなるか分からない。しっかり気を付けないといけないけどな」
 順調にいったとすれば十ヶ月後……、想像をしてみてもいまいちピンとこない。
 むずむずと眉を動かしている僕を、パウルは薄く微笑んだままの顔で真正面から見つめる。
「トレンティア人の息子に生まれたせいで苦労をしたよな。こんなことを言うのは無責任かもしれないが……、生まれてきてくれてありがとう、ヨハン」
 それは真っ向から受け止めるには、少しばかり重たい言葉だった。
 ……今、そういうことを言う時だろうか。そんな疑問がよぎっていって、僕は変な顔のまま首を傾げた。
「お前は……」
 ぽつりと零すように言う。パウルのゆったりとした微笑を見つめ返して。
「試合、クラウスに負けたらしいな」
 そう続けると、パウルは途端に不機嫌な顔になってがくりと項垂れた。
「今その話する流れだったか?」
 呆れた顔になって言ってくるが、僕は無表情のまま頷く。
「いや、まあ。ジュリのことも気がかりだけど、今はとにかく試合しないといけないからな。切り替えていこう」
 それは単に自分に言い聞かせる言葉だった。「お前から聞いてきたくせに」なんてパウルも恨みっぽくぼやいている。
 パウルとの話を終えたモルズも戻ってきていて、もうすぐ試合前の休憩時間も明けようとしていた。
 子どもができたなんて聞かされて戸惑う気持ちは大きい。だけどその中でもしんと沈んでいくようなこの変な感情は、嬉しい、というものなのだろうか。よく分からないが……。今はそれさえも、最強の剣士との試合へ向かう自分の背を押す力のように感じられた。
「そうだな……、ああ、そうだな。もしクラウスに勝てたら……」
 パウルはやがてまた微笑を取り戻して噛み締めるように言った。
 何気なくその視線を見つめ返したが、すぐに彼は言葉を呑んで悪戯っぽく笑った。
「いや、試合の前に余計なことは言わないでおくか。全力で戦ってこいよ、ズミの英雄としてな」
 そんなことを言うのは皮肉だろうか。僕は少しだけ眉を寄せたが、すぐにクラウスへ言ったのと同じような短い相槌だけを打って、頷いた。

 モルズからは優勝しろという任務を言い渡されてはいる。だが相手はクラウスだ、しかも彼はモルズの意図など知ったことではないと言うし、そうでなくてもきっと手加減をするような性格ではない。ロダムやジルと同様に、まともに斬り合って勝てる見込みは少ない。
 どうやって勝つか……と考えたところで、選べる選択肢は当然多くない。ロダムの時のように、卑怯と言われることもこの際気にしてはいられないだろう、本当に全身全霊の技と力の全部を注いでぶつかることしか、できなさそうだ。
 前もって準備しておける心づもりはその程度だ、あとは本番で力をぶつけるだけだ。そう覚悟を決めて、やがて僕はクラウスと肩を並べてステージへと向き直った。
「さて……では決勝戦を始めよう! ここまでに勝ち上がったのは“ズミの英雄”ヨハン、そして“トレンティア王国最強の剣士”ジャック・クラウス・フォス・カディアル! 知っている者も多いだろうが、両者は共に“魔剣”の使い手として戦場で縦横無尽の活躍をした者達だ!」
 モルズの気合いの入った声が、次第に晴れ間を広げている空へと吸い込まれていく。
「奇しくも二人の魔剣士が揃って決勝進出だ、少し余興も兼ねて魔剣の力を見せてもらおうか」
 そして力強く微笑みながら、そんなことを言い出した。僕もクラウスも戦意を張り詰めたままの顔でモルズを振り向く。
 すぐに控え場から、僕達が取り上げられていた二振りの魔剣を持ってパウルが上がってきた。
 その顔を見るにどうやら彼には知っている話だったらしい、試合前のモルズの話し合いで示し合わせていたのだろうか……。
「魔剣は使い手を選ぶ特別な剣だ。その凄まじい魔法の力をもって、岩だろうと鉄だろうと容易く切り裂いて見せると言う。あそこにある石塀を斬れるか?」
 そう言ってモルズが指さしたのは、弓部門の時に的を貼り付けていた、ステージの端の壁だった。もともと王宮の建造物の一部として残っていた、庭を仕切る石塀だ。
「斬れるけど……壁壊しちゃっていいのか」
 僕が少しだけ眉を寄せて言うと、それが聞こえたらしい観客の前列からどよめきが起こったのが聞こえた。
 ……使い慣れている方からすれば当たり前のことだが、石塀を斬れる、なんて平気で言うのを聞くと驚く者がいるらしい。
「だいぶ古くなっているし、どうせ撤去する予定なんだ」
 そう答えるので、僕は小さく頷きながらパウルから魔剣を受け取った。
「剣で石を斬るって?」「そんな馬鹿なことが……」観客から戸惑いの声が上がるのが聞こえる。すぐに試合かと思って意気込んでいた所に少し気分が逸れるような気がしたが、まあこれぐらいのことは構わないだろう。
 試合への気合いを挫かれたのはクラウスにとっては不服だっただろうか。彼は仏頂面になっているが、同じようにパウルから魔剣を受け取って、不平を口にすることはないらしい。
「ではヨハンから」
 モルズに促されて僕は石塀の近くへと歩く。
「神聖なるトレント」
 血門を開く呪文は小さく呟くように、きっと観客達には聞こえなかっただろう。そして一旦腰に留めた鞘からすらりとその剣を抜くと同時に、魔力を込める。
 美しい魔剣の刃が金色の魔力に包まれて光る、それだけでも間近にいる観客達には見ものだろう。
 石塀の元へと辿り着くと、歩きながら抜いた魔剣を立ち止まることさえせず素早く振るう。動かない壁を斬ることには、何の疑問も感慨も湧いてはこない。
 さすがに分厚い石塀を斬るとなると返ってくる手応えは人体を斬る時よりも硬い、しかし高圧の魔力が細かく岩を粉砕していく感触を確かめながら確実にその中を進めて行く、それは実際の時間にしてみればものの数秒の間のことだった。
 振り切った剣が塀の中を通り抜け終わると、斬られた断面から砂煙を上げながら壁はがらりと崩落する。途端に観客席からは歓声がわっと沸いた。
 そういえば僕も初めて魔剣を使った時はそのとんでもない威力に自分で驚愕したものだ。その時の驚きを少しだけ思い出しながら、観客達からの声を浴びた。
 モルズの元へ戻ると、交代で今度はクラウスも同じ石塀を斬って見せろ、という話らしい。
「まったく、本来は見世物にするものではないのですが……、主命とあらば。勇猛なるフォス、その牙を開いて見せろ」
 しかしクラウスは血門を開くなり、石塀の元へ歩くこともせずにその場で魔剣を構える。
 ああ、彼が得意な“牙の魔術”を使うのだろう。オーデルから伴っている兵士の中には、それを恐るべき敵の牙として記憶している者も多いだろうが……。
 クラウスの魔剣は鋭く空を斬る、そこに迸った魔力は銀色の光を纏って魔力の波動と化し、水面の上を走るさざなみのごとき形を取って、ステージの地面を激しく削りながら猛進する。
 それがぶつかった先の石塀は、斬られたというより粉砕されたという様相で激しく砂塵を巻き起こして崩れていく。僕が直で斬った時よりも一層強い歓声が沸いた。
「あれが魔剣……?」「あんな恐ろしい武器が」「なるほど、英雄と言われるわけだ」「使い手を選ぶって本当か……」
 めいめいに魔剣についてどよめく声が聞こえてくる。僕はその言葉を耳に引っ掛けながら、その柄を握り締めた。
 魔剣を振るのはパーティル以来だ、その魔力の感触にどこか懐かしささえ覚える……ああ、魔剣に頼っているだけの英雄と言われるのも仕方がないだろう、確かにこの剣を握っていることが自分の存在を確かなものにしていくような、そんな感覚にさえ陥るのだ。
 それは体の一番奥にある血門が剣に共鳴し続けているからかもしれない。直感に過ぎないが、それはクラウスも同じなのではないだろうか。
 血門という魔術は、それを施すための儀式は若い肉体でないと失敗することがあると言う。そのため多くの者が生まれてすぐにそれを体の中に刻まれる。
 僕はそれを知りもしないで育ったが、事実を言えばほとんど生まれながらにしてこの魔術を抱えて生きていたのだ、常にそれと共に人生を歩んできたのだ。
 それに共鳴する魔剣の存在がまるで自分の体の一部かのように馴染んでいくのも、当然のことなのかもしれない。
「どちらが強いんだ?」「魔剣同士の決闘だ!」「凄い戦いになりそうだ」
 観客から沸く声援は次第に加熱していく。魔剣同士の決闘、なんて誰が言い出したのだろうか。それを聞いたらしい、モルズも慌てた様子で声を上げる。
「いや、試合で魔剣は使わんぞ。さすがに死人が出る可能性がある」
 何やら観客達はすっかり魔剣同士の試合が見れるものとでも思ったらしい……モルズの言葉に不満の声が上がった。
「魔剣の試合見せてくれよ!」「いや、さすがに危なくないか……」「ここまで見せてくれたんだから当然だろう」
 様々な声色で沸く言葉を聞いて、モルズは困った顔で迷う素振りを見せる。
 そんな景色を僕とクラウスは黙って眺めてから、なんとなく視線を合わせた。やがてふっと笑ったのはクラウスの方だった。
「私は……構わないですよ、魔剣での真剣試合でも」
 そう言い飛ばしたのを聞いて観客の一部は嬉しそうにわっと沸いたし、モルズはぎょっとした顔で彼を振り向いた。
 クラウスと、魔剣同士で真剣に斬り合ったのは、ラズミルに入る直前の戦いが最初で最後だった。
 ……あの時に僕と魔剣を交えていたクラウスの愉悦の顔を今でも鮮明に思い出せる……本当を言えば、彼はあの戦いがしたくて仕方がないのだろう。いつもは首輪を繋がれているだけの、その本性が狂犬に違いないことを僕は肌に染みて知っていた。
 僕の気持ちは彼とは違うのかもしれない。だけどその時は確かに……手が、体の奥の心臓が、まだ魔剣と離れたくないと訴えているのを感じていた。
 ステージを包む熱気と、他でもないクラウスの滾るような戦意に熱されて、僕も小さく息を吐いた。
「僕も構わないけど」
 その答えを聞いてクラウスは更に目を輝かせる、彼のそんな顔が見れるのなら悪くないな、なんて気も一瞬してしまった。モルズは余計に慌ててしまう。
「本気か!?」
 そう怒鳴るように言った声に、クラウスは得意そうな顔になって頷いた。
「私は負けませんし、当然ヨハン様を殺してしまうなどという下手は踏みませんよ。制圧してみせましょう、イグノール殿下をそうしたように……」
 そんなことを言ってのけるのは僕を挑発するつもりもあったのだろうか。思わず睨み返してやったが、今は何も言わないでおく。
 困ってしまったモルズの元へ、パウルも呆れたような顔で歩み寄った。
「やるなら魔剣の魔法に巻き込まれて観客に被害が出ないようにだけ……、私が周縁で防御陣の準備をしよう。それから審判も危ないからお前もステージから下がれ」
 クラウスと僕と、そしてパウルの言葉もあり、既に観客達の熱気はとめどなく盛り上がっていた。モルズもやがて諦めたように肩を落として頷いた。
 真剣試合など危ないのは確かだが……それでも不思議と不安は感じなかった。きっと彼はその言葉通り、僕が殺す気でかかったとしてもそう簡単にやられはしない。
 魔剣での試合と決まれば、事前に決めていた心づもりは全て無効だ。一番使い慣れた万全の武器を持つのはお互い同じ、勝てる見込みが増えたのか減ったのかはよく分からない……だけど、ただ“全力を出す”と決めたことに従うのなら好都合だ。
 盛り上がっていく観客の声援に煽られて、僕とクラウスは抜き身の魔剣を持ったままステージの中央へと立つ。
 モルズは言われた通りに控え場の方面へ引き下がり、遠巻きに僕達の勝負を見守るらしい。ステージの外周にはパウルがぴりと緊張を張って同じように僕達を見守る。
 そうして整った舞台の上で、クラウスがゆらりと魔剣を構えた。
「……勇猛なる、フォス。とくと味わえ、この時を……」
 血門は既に開いているはずだ、それは単なる祈り……いや、祈りと言うにはあまりに猛々しい、宣戦の言葉だった。
 僕はいちいちトレントの名をとなえ直したりはしない。ただ、しかと見開いた目で対戦相手の肢体を見据える。

 その瞬間から時間の流れが変わったような、そんな集中が交わった。まるで開戦の狼煙とでも言わんがごとく、クラウスはその場で大きく魔剣を振って牙の魔術を迸らせて見せる。
 ……何が、「ヨハン様を殺してしまうなどという下手は踏まない」だ、まともに受けたら即死だぞ、それ。そんな呆れた言葉を胸中に浮かべながら、僕もトレントの魔剣に破壊の術を込めてそれを薙ぎ払う。
 フォスの牙はトレントの魔剣の刀身に吸い付くように絡め取られ、その銀色の光を散らしながら美しく消えていく。
 ただそれだけの応酬に高く上がる人々の歓声は、喧騒が好きではない僕でも、その時は自分を鼓舞するときの声のように感じられた。
 僕がクラウスの真似をして、同じような魔術を飛ばすことも戦場ではあった。しかし今はその手を好まない。これは一対一の勝負なのだ、遠距離攻撃などまどろっこしい……そんな衝動が四肢に巡る血となってこの体を突き動かしていく。
 跳ぶように足を駆けさせて距離を詰めていくと、クラウスも退く姿勢は見せずに真正面から、抱きとめるように剣を構えてきた。
 魔力を漲らせた魔剣はその血門に応じた色の光を放つ。金色に光るトレントの剣と、銀に光るフォスのそれとが、眩く魔法の光に包まれたままがちりと交差する。
 そこで起こるのは単なる金属同士の衝突ではなく魔力同士の摩擦だ。刀身に絡んだ稲妻の中に金銀の光の粒が散っていく。
 ああ、こうして間近で見るとやっぱりその光は、人を殺めるものだというのにやけに美しい。その瞬間にトレンティアの王都で見た、あの雄大な神秘が脳裏に点滅した。
 筋力の差は歴然としている、いつもの訓練でも剣で押し合えばすぐに姿勢を崩されたが、魔剣同士の手応えはまた違う。
 その衝突には腕の力よりもよっぽど魔力が強く影響している……その手応えを確かめて、僕は更に戦意を高ぶらせた。魔力では、負けていない、これは戦えると。
 同じことはクラウスにも分かったはずだ、間近で剣を交えていたその顔が驚いたように目を開き、すぐに楽しそうにふっと笑った。
「……っ、本当に、若者の成長の早さには驚かされますね」
 力を込めるあまりに苦しげに詰まった声がそう告げる、それでもまだ喋る余裕があるというのなら舐められたものだ。その怒りをぶつけるように込める魔力を強める、それに応えてクラウスから伝わってくる圧力も増していく。
 やがてその間に走る摩擦が剣士自身の顔や手の肌を焼くほどに強くなっていく、さすがにそれ以上は押し合えない。
 そう判断したのはほとんど同時だったらしい、お互いの剣を擦ってその攻撃を逸らし、弾けるようにして足を後ろ、あるいは横へと流して距離をとる。途端に両者の間にふっと涼しい風が流れ込んできた、それを意識して大きく胸の中へ取り込む。
 今まで、魔剣を振るえばどんな敵でも簡単に薙ぎ倒すことができた。戦場で気を配るべきことはどれほど効率よく、いかに敵の攻撃を躱しながらそれを振るかということだけだった……それが今はまるで違う。
 太刀運びだけでなく、そこに流す魔力の量をもその都度正確に調整しなければならなかった。弱すぎると押し負けるが、強すぎても自分の息を上げて隙を作ってしまう。
 魔剣士同士の対決などそうそうあることではない、そんな繊細な注意を払いながら剣を振るという経験はほとんど初めてだ……戦意に高鳴る胸の中でその新鮮さに驚く。クラウスも同じなのだろうか、ああ、本当に嬉しそうな顔をしている……。
 そして魔力の加減を間違わないようにと気を配りながらも、しかし当然剣自体の運びにも気を抜けない。すぐに前へ踏み込んで僕はクラウスの体に斬りかかった。
 最初の交差で少なくともはっきりとしたのは、真正面から剣をぶつけて相撲をしてもお互いに不毛だということだ。力押し勝負は無効、間違いのない太刀捌きで隙を突く、結局はその技での勝負をつけねばならないだろう。
 かと言って急所を狙えばうっかり殺してしまうかもしれない、なかなか狙い所は難しかった。
 腕や肩、急所にならない程度の脇腹などを狙って剣を振るが、当然クラウスも負けてはいない。それを確実にいなし、その瞬間に交わる刃での魔力勝負も押し負けることなく僕の攻撃を見事に防いで見せる。
 その度に舞う魔力の衝突の光は蛍を散らしたように美しく、ステージの上を泳ぐ彼の四肢を壮麗に飾り立てる。
 その光に目を突かれて僕が瞬きをする瞬間さえ彼は見逃さない。素早く力強く、同じように僕の体を傷付けんとして魔剣を振るってくる。
 それを防ぐために剣を運ぶことも億劫で、僕は最低限の動きだけに努めてそれを躱す、しかし至近で斬り合う素早い太刀筋は躱しきれないものも多かった。
 それを防ぐためにはどうしても攻勢を弱めてまで受け止める動きへと回らなければならない……それが焦れったかった。
 ただ、たったの一撃でも相手の体に当てることができた方の勝ちだ。魔剣はその肉を切り裂いてたちまちに相手を痛みで苛み、その力を奪うだろう。そのたった一撃、たった一瞬の隙を狙い合った互いの攻防は、しかしどうにも決まらない。
 間近で斬り合い、時には息をつくために魔剣の先から爆炎を上げて彼を押しのける。それを受け流すようにしてクラウスも体勢を立て直し、しかし隙を与えるまいとすぐにまた動き出す。
 ステージの上で決着のつかない斬り合いを続けていると、まるで舞踊でもしているみたいな気分だ。それは交わる度に嬉しそうに口角を釣り上げる、クラウスの心底楽しそうな息遣いを肌で感じるからかもしれない。その笑みに煽られるような思いがして、僕は一層戦意を強めていった。
 勝たねばならない。それはモルズに言い渡された“任務”だから、ということは既に思考の奥へと遠のいていた。今はただ、勝ちたい。
 魔剣を使わねば戦えない剣士だと嘲笑われたってかまわない、僕は“魔剣将軍”だ、この魔剣で全力を出すのが僕の戦い方だ。
 そして同じ魔剣の使い手である最強の剣士を下して見せたのならそれはきっと間違いのない勝利だ。僕は……魔剣士なのだから、これが僕の剣なのだから!
 その肌に吸い付くように確かに剣が応えている、そんな感覚さえした。そうして体と剣が一体となっていく、その感触をきっと勇猛なるフォスはずっと生きてきたのだろう。彼が獣としての己を、時に矜持を持ってさえ誇示するその信念が今はよく分かる。
 確かに彼はその牙で僕の喉元に噛みつこうとしている……、そう直感したと同時に戦慄した。……こいつ、本気で殺しに来てないか?
 ひたすらにその剣を僕の体めがけて振ってくる、その迷いの無い太刀筋に僕は無我夢中で応戦する。彼の目は既に我を失い、目の前の戦いに狂乱しているようですらあった。
 ただただ鋭く、そして大きく、僕の体全てを舐め尽くすような獰猛な瞳だ。その眼差しに一瞬でも意識を絡め取られた、その時に自分の息が止まっていたことにすら気付かなかった。
 その一瞬に迷わず彼は剣を叩き込んでくる。僕の体の左上から振り切られた剣を身を引いて躱した、かと思った瞬間に相手の剣の切っ先が引っかかるように、僕の右手の元で遊んでいた剣に擦れる、そこでまた魔力同士が擦れて電撃を走らせる、その熱の一筋がぱちりと飛んで僕の頬を焼いた。
 ……たったそれだけの揺らぎの中で、途端に世界は平衡を崩す。
 次の瞬間に切り返された横一線に薙ぐような太刀筋を、体の横で構えた剣に受け止める、その瞬間に体の中心がぞくりと震えたのが分かった。重心を崩された。
 そこでできた怯みは僅か一秒にも満たない隙、そこに血の臭いを嗅ぎ付けた猛獣は、深い愉悦に顔を歪ませて喰らいついてくる。
 横から上から、彼がさらなる猛攻を繰り返してくる度に、僅かの隙が作った時間の差は次第に開く、押されたままの防戦の一手はやがて切り崩されて致命の時間を作る。負ける、なんて直感ではない。殺されると、そう思った。
 全身が、巨大な獣の顎の中へとぬるりと収められたような、そんな悪寒……それは死への恐怖だっただろうか、あるいは。
 その時ぷつりと、どこか遠くで糸が切れた気がした。雲の引いた青空の下、多くの観客の声援に包まれたステージという舞台がその途端に暗夜へと落ちる……いつか見た夜戦の景色、それを照らす刃のように細い月影、それを見上げて呟いた死の女神の名前、そんなものがちかちかと脳の奥で明滅していく。
 我を失った感覚の中で、確かなものは魔剣を握る手の感触だけだ。無心で体を動かしていた、あるいは魔剣に乗っ取られていたのかもしれない。
 僕の喉元を真っ直ぐ突き刺してきたクラウスの刃を、剣を縦に構えて受け止める。その一筋とも言える、狭い刀身の幅の真ん中で、確かに。
 クラウスの目は凍りついたように見開かれた。僕は真っ直ぐ垂直に構えた魔剣の柄を右手で握り、左手を刀身に当てて支える――そこに漲った己の魔力に左手の平が焼き切られる……のを防ぐために、そこに片手でソル・サークルを浮かべて押さえる。
 その術式は破壊、自分の魔剣の上で自分の魔力同士がぶつかって眩い金色の尾を空にたなびかせた。
 針に糸を通すかのごとき、それはあまりにか細い均衡だった。その刹那にふっと息を吐くように魔力を流し込む、その一瞬さえ押せたならそれでよかった。
 クラウスの剣は重力を失ったかのように、力の方向を瞬間に失った、彼がそれを再び前へと押し出してくるより早く、何よりも速く、時間が自分だけに味方している、その確信をがむしゃらに手繰り寄せて、なげうつように体を動かす。
 その瞬きも許されない瞬間の攻防の中、お互いの息遣いと魔力の衝突の音さえも遠くへかき消えていくような気がした。咆哮のごとき叫びがどちらが出した声なのかも、何がどう動いたのかももう分からない。
 ただ、気が付けば垂直に構えていた剣をそのまま真下へと振り切っていた、その刃が確かに、魔力ではないものを斬った感触を手に確かめる。
「……っ、あ……」
 途端に流れ込んだ静寂の中、自分の呆けた声で我に返った。
 見開いた目で見た光景の中に既に眩い魔法の光はなく、その光を塗り潰すみたいに濃い、鮮やかな赤色が……。

「ジャック!」
 パウルが大声で叫んだのが聞こえた。その奥から観客達の歓声と悲鳴とが混ざった喧騒が一挙に湧き上がっている。
 無我夢中の攻防の末、僕の魔剣はどうやらクラウスの体を斬った……彼も間一髪で身を引いたらしい、その体が真っ二つに分かれてしまうことは免れたようだが、胸の下から腰にかけて深く作った傷口からどっと鮮血が溢れ出していた。
 それでも魔剣を手から離すことはなく、顔に浮かんだ心底楽しそうな笑みの形を崩すことさえなく、ただやがて目を細めて儚げに笑って、ゆっくりと瞼を閉じていったのがわかった。
 体の中から血を吐き出しながら、それとともにびしゃりと地面に赤い飛沫模様を作ってその体が倒れ込む。
「衛生兵! 治療の陣持ってきて!」
 パウルの声は必死で、その顔は蒼白だった。僕はしばらく荒く息をついたまま呆然としていたが、やがて魔剣を腰に収めて息を呑んだ。
 ……ほとんど何も考えられなかった、無意識に斬っていた。そうしないと僕が殺されていた、そんな言葉は頭の中に浮かんでは、しかし口に出すこともできなくて通り過ぎていく。
 勝負の熱が高ぶるあまりに分からなくなっていた。どう見てもクラウスは重症だ、どうやら大変なことをしてしまった、なんて思いは白々しくさえ感じられる。
「この馬鹿野郎どもが、マジでやりあう奴がいるか!」
 パウルは慌てふためいた声でそう罵ってくる。僕はまだ何も答えられずに立ち尽くしていた。
 目の前で師が血に濡れて倒れている、その光景がどこか現実からは離れているような、奇妙な感慨をもたらしていた。……勝ったのか?
 大慌てで駆けてくる複数の衛生兵の中にアルドの姿もあった。ジュリはまだ不調で休んでいるのだろうか、彼が回復魔術用の陣を書いた布を手に持っている。
 それを地面に敷き、複数人がかりでクラウスの体をその上に動かすのをじっと見つめて、僕はすとんとその場に両膝を付いてへたり込んだ。
「神聖なるトレントの加護を」
 まだ戦いの余韻を引いて熱い血が巡っている頭で、ほとんど何も考えてはいなかった。その祈りの言葉は、自然と口を付いていた。その文句で、戦闘が終わった気配を感じていた血門をもう一度こじ開ける。
 激しい戦いの後で、血門から流す魔力の加減が分からなくなっていた。その集中力はまだ高ぶったままだった。あまりにも高い圧力の魔力が両手の先から流れ出す。
 その流れは胸の中で開いた門を通ることさえ窮屈な、どこか引っかかっているようなそんな感触がした。
 ……足りないと、その時はそう自分でも悟ることができた。パウルに言われるまでもない、またその門を大きく開け放つ。
「……ヨハン・アルティーヴァ・トレント・エルフィンズの名に、おいて……」
 途端に回復魔術の陣は金色の光に包まれ、溢れ出し、そこから天に向かってゆらりと立ち昇って、それはまるで空に金色の柱が立ったようだった。その向こうの青空の中に、淡い虹色に霞むトレントの姿が本当に見えてきそうだ。
 背後ではうねるようなどよめきと歓声が沸き上がっている、めいめいに野次を飛ばしてくる彼らの言葉ひとつひとつを拾う余裕はなかった。
「ヨハン」
 パウルが僕の名前を呼んで腕を掴んできた。ぼうっとして振り向くと、何やら思い詰めたような真剣な表情を浮かべている。
「もう十分だ、魔力を引け。お前の血の方がなくなるぞ」
 そう言われて、思い出したようにクラウスの顔色を窺う。
 彼は既に目も開けて、同じようにぼうっとした顔で僕を見つめていた。服の上からでは傷の具合はよく分からないが、顔だけを見ると痛みもなさそうな色をしている。
 ゆっくりと魔法陣に流していた魔力を引くと、途端にがつんと頭を殴られたみたいな目眩に襲われる。
 思わずふらついた体を、すぐに近くからパウルが支えてきた。当然戦闘でも消耗していたのだ、とどめのような回復魔術で大量の魔力を消耗して、今すぐにこの場で意識が飛んでもおかしくなかった。
「ヨハン様……」
 クラウスも掠れた声で名前を呼び、ゆっくりとその体を起こす。
 咄嗟の回復術で応急処置をしたとはいえ、あの重症を負ったというのに意識を保って起き上がるのだから本当にとんでもない体力だ。
「な……、なんという勝負だ。なんという……! いや、ともかく! し、勝者、ヨハン! ヨハン・アルティーヴァの勝利だ!」
 いつの間にかステージに上がってきていたモルズが、そう高らかに言った。
 途端に僕はぎょっとして背筋を伸ばしたし、観客からはお構いなしに、どっと割れるような歓声が沸き起こった。
 僕の体を支えていたパウルはどこか諦めたような顔で微笑んで、やがて控えめに僕の腕を引きながら立ち上がった。
「立てるか?」
 そう言われて、なんとか足に力を入れてその場に立つ……またぐらぐらとした目眩に襲われて苦しく呻きながら、それでもなんとか、たぶん、地面の上に立っていた。次第に意識が遠のいていく。
「まだ飛ぶな、もうちょっと頑張れ」
 そんなことを言うパウルの言葉を、なんとか保っている意識で聞いていた。返事をするほどの気力はない。
 やがてすっかり沸き上がっている歓声を背負うようにして、モルズが僕の元へ歩いてきた。
「よく……、よくやった、ヨン。いや、ヨハン様、とお呼びしてもよいだろうか」
 半分掠んでいるような意識で僕はそれを受け止めて、なんとか首を傾げた。
「……なんで」
 ようやく零した声はそれだけだった。そういえばこの大会で必ず勝てという任務を果たした、その時に分かる……なんて言われていたことを今更のように思い出す。今はそれどころではなかった。
 モルズは何やらパウルと目配せをしてから、気まずそうに話し出した。
「いえその、本当なら前もって言っておきたかったのですが、イグノール殿がなかなかウンと言わないもので、今になってお伝えすることになったのは申し訳ないのですが……」
「悪かったよ。だけどたぶん事前に余計なこと言わない方が試合に集中できただろうし、結果的には良かっただろ」
 大将同士でどこか間の抜けた調子で言葉を交わしている、こんな時に一体何の悪巧みの話だろうか。
 まだ鳴り止まない喝采の嵐の中、僕は半ば呆れた顔でそれを眺めていた。そこへモルズは力強い笑みを浮かべて、真っ直ぐ、言ってくる。
「ヨハン様、あなたはズミ王家の血筋を引く唯一にして正当な後継者だ。この大会で見事に勝利し、その武勇を皆に示した今こそ……、その身に流れるアルティーヴァ家の血筋を認め、この国の王となっていただきたい」
 激しい魔力の消耗で曖昧になっている意識で、その言葉の意味はうまく飲み込めなかった。
 ただ怪訝な表情を浮かべたまま、僕は黙ってモルズの顔を見つめていた。
「ご覧ください、あなたの凄まじい武勇、その英雄たるに相応しい力をその目で目撃した民達のこの歓声を! 祝福を! この国はあなた様のような勇ましく、力強い王を必要としている! あなたは王にならねばなりません!」
 彼が熱くなって語るその言葉もまるで頭に入ってこない。誰が何になるって?
 呆気にとられたままどんどんと意識を失いつつある僕を放って、モルズはキレよく身を翻して歓声に沸く民衆たちを振り向いた。
「今我々の都であるこのラズミルで、その武勇の頂点に立つ勇者が明らかとなった! 奇しくも軍神アルティヴァの名を頂く我々の王の血を引いた戦士が確かに! ヨハン・アルティーヴァ! 皆も見ただろうか、あまりに力強い魔剣の力、そして重症を負った闘士をたちまちに癒やして見せた回復魔術の聖なる美しさを!」
 猛々しく叫ぶモルズの言葉に、観客達は歓声とどよめきと、拾いきれもしない野次や賞賛の言葉を一層強く沸き起こす。
「彼はその剣でこの国の未来を切り開き、この年若さにして数多の戦士を下した正真正銘の英雄であり、傷付いた者を癒やしの魔術で救う心をも持つ聖者である! 私は彼の武勇と慈しみを心から讃え、彼をこの国の王として仰ぐことをここに宣言したい! サーシェ、ズミの偉大なる神々よ、我々の王に祝福を! アルティヴァ・サーシェ!」
 そう、高らかに言う。そこまで言葉を重ねられて、やっと痺れる思考が少しずつ追いついてくる気がした。
 ……僕自身そんな突拍子もない話を今初めて聞いた。いや、母親が王女である以上確かにズミの王家の血をも引いているのだ、なんて話はそういえば前にされた気がする。
 だけど、しかし、どういうことだ。分からない。
 混乱するのは当然僕だけではないはずだ、そんなことを急に聞かされた観客達だって戸惑うだろう。試合の熱気に盛り上がった彼らの中から沸く言葉の数々は……しかし、もう、分からない、聞こえない。
 消えていく意識の向こうで、パウルが何か僕の名前を呼びながら喚いているのが聞こえた気がした。力を失って浮いた僕の体を、彼の腕が抱き留めたのは分かった。
 ……ああ、温かい……。
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