上 下
6 / 7

激動の時

しおりを挟む
 エレナはヴィクトリアとの対決に決意を込め、宮廷の中で彼女と向き合う機会を窺っていた。

 ある晩、宮廷で盛大な晩餐会が開催された。アレクサンダーはエレナを誘い、一緒に参加することになった。彼女は美しいドレスをまとい、笑顔でアレクサンダーの腕に抱かれながら会場に足を踏み入れた。

 しかし、晩餐会の中で、宮廷の中で長らく疎遠だった別の貴族、セシリア・ランカスターが姿を現した。彼女はかつてアレクサンダーの親しい友人だったが、何かしらの陰謀に巻き込まれてしまったようで、冷酷な表情でアレクサンダーとエレナを見つめていた。

 突如、セシリアはアレクサンダーに近づき、冷たい声で言い放った。

「アレクサンダー、あの約束、忘れてはいないわよね?」

「セシリア・・・生きていたんだね」とアレクサンダーは驚きとともに混乱した表情を浮かべた。

「あなたは私のものだった!何よこの女は!!」セシリアは激昂した。

 エレナは動揺し、アレクサンダーも言葉に詰まる。会場の中はざわめきと緊張が広がり、宮廷の人々はこの出来事に驚愕の表情を浮かべていた。ヴィクトリアはお花を摘んでいた。

「私の元に戻りなさい。さもなければ、あなたとエレナには悲劇が訪れるでしょう」と、悪意に満ちた微笑みを浮かべながら言った。

 彼女の手には毒の入ったワインの杯が握られていた。

しおりを挟む

処理中です...