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♡公園のトイレの紙がない♡

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 公園のトイレで用を足すと、ちょうどトイレットペーパーがなくなった。

「ぎりぎりだったわ」

 光子はトイレットペーパーの芯を手に言った。

 トイレから出ると待っている人がいた。

「あ」

 説明する暇もなく彼女はトイレへと駆け込んだ。同時に中から炸裂音が聴こえた。

 そのトイレには個室は一つしかなく、用具入れらしき所もない。

「困ったわ、彼女おしり拭けないわ」

 光子は男子トイレへと向かい、辺りをうかがい中に入ろうとすると、中から初老の小汚いおじさんが凸をしまいながら出てきた。

「うわー!びっくりした!」

 おじさんは声を上げた。手に持った芯を見せ説明すると、中からトイレットペーパーを持ってきてくれた。

「お礼しないとね」

 光子はおじさんを女子トイレへと連れていった。そして中にいる女性に向かって声をかけた。

「紙、ないでしょ?ここにあるから、扉を開けて」

 中で糞ばるんばしたはいいものの、トイレットペーパーがなくて困っていた柚月は、その声の主が神様に思えた。

「神様ですか?」

「そうよ、私はあなたの神様、だから開けてちょうだい」

「ああ、神様」

 柚月は鍵を開けた。扉の前には、初老の小汚いおじさんが勃っていた。

「あなたが、神様?」

 おじさんが困惑して光子の方を向くと、光子は笑顔で頷いた。だからおじさんも頷いた。

「ああ、ありがとうございます」

 光子はおじさんの背中を押して中に入れた。

 光子は公園のベンチでソフトクリームを舐めながらトイレを見ていた。

 しばらくすると中から初老の小汚いおじさんが出てきた。凸をしまいながら。
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