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アンリ動きます!
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朝、フワフワのベッドから起き上がり窓から外を眺めましたの。 紫外線が気になるお年頃なのでとってもよい曇り空です。
本日は決戦の日なので口角を上げる練習をします。
お姉さまの待つ食堂へ向かいます。 和やかな朝食。今日はパンと、卵と、スープ、フルーツです。洋食の定番の朝ご飯です! 林檎やオレンジがよく出ますが、前世ではシャリシャリして甘いジューシーな梨汁の梨が好きだったので、この世界でもいつか梨を食べたいです。
丸1個余裕でペロリといけます!求む。
一度部屋に戻り身なりを整えます。
今日は重大な任務があるため侍女さん達が数人待っていました。
髪、ドレス、メイク担当にわかれて施してもらいます。
昔から側仕えのミチが口を開くと、他の侍女たちも恐る恐るといった感じで
「お嬢様、本当によろしいのですね。」
「えぇ、やってちょうだい。」
「こんな感じでよろしいですか」
「もっともっとよ。存分に貴方たちの腕を発揮してちょうだい。」
昨日に打ち合わせた通りにやってくれるのですが、最初は恐る恐るだった彼女達の目が爛々としてきました。
馬車に乗り込むために執事が手を貸してくれます。 乗り込むと、そこには待ってくださっていたお姉さまがおられました。
「あ、あ、アンリ。貴女どうしましたの?」
「お姉さま、わたくしは本日淑女として戦いをしてきますのよ。」
「淑女としての戦い?ごめんなさい、さっぱりわからないわ。普段の可愛いアンリとはまた違って美しいアンリですけども。」
「お姉さま、アンリの戦いのためなのです・・・・・。」
学園についた馬車から降りると、周りにいた方たちが・・・
「あの方は誰だろうか・・・」
「え、もしかして。」
ざわめく声がします。
「皆様、おはようございます!」
昨日の夜扇に手を加えて作りました黒い羽根の扇を口元に添えて口角をあげて妖艶に笑みを浮かべます。
やっぱり悪役は黒の扇でしょう!
クラスへ向かう途中に殿下の側でニコニコと笑う女性を見かけました。
本当に忌々しい女性です。
「ちょっと、そこの貴方どういうつもりですの。」
「え、どなたですか?」
「いつも高位貴族の殿方の周りにいるのですぐに見つかりますわね。お話しがありますから、ちょっといらっしゃい。」
「もしかして、アンリ様ですか。」
子爵令嬢のミルリン様が大きな目を丸くして口をぽかんとあけて、こちらを見ています。
「えぇ、別のところで話しましょう。」
ミルリン様は殿下の腕を取ろうとしましたが、スッと避けられてあれっという顔をしています。
「えぇ、ミルリン怖いですぅ。」
わたくしが扇を持ち目をすっと細めると涙目になった彼女は、
「学園では身分は問わないことになっています。アンリ様知らないんですかー。」 とプルプル震えだしました。
わたくしは前世の記憶で乙女ゲームでヒロイン達が涙を流しながら見上げるのを想像して可愛いなと思っていましたが、とってもイラっとしますね。
「婚約者のいる方、まして殿下に近づくなんて不敬ですわ。」
そこで殿下が口を開きました。
「2人とも似てるな・・・」
くうぅ、この男・・・髪の色で女性を認識してますの?
そうなのです、ミルリン様とわたくしは学園で2人きりのピンクの髪、ツインテールなのです。
キャラが被っている気がしていたのでいつか決着をつけたいと本日は髪をドリルに巻いて巻いて参った次第でございます。
「殿下、御前を失礼します。ミルリン様行きますわよ。」
「はぁ~いぃ。」
「君たち、授業が始まるぞ」
至極全うな事をいう殿下を無視してガゼボの近くにあるベンチに腰掛けます。
「わたくし前から気になっていましたが、ミルリン様はそのキャラは自前ですの?」
「え?キャラってどういうことですか。」
「きゅるるん、とした態度と話し方、ツインテールのことですわ。」
「申し訳ありません。実は、アンリ様の真似事をしていたのです・・・」
ミルリン様がゆっくりと話しだします。
「わたくしの家は田舎のまぁまぁな子爵家でして、まだ下に妹、弟がおります。わたくしが上位の方と縁付けば実家も少しは潤いますし兄弟の益にもなると思いまして学園で頑張ろうと思ったのです。入学してすぐにアンリ様をお見掛けしましてたくさんの殿方と気軽にお話しされていて、これが貴族社会なのかと衝撃をうけたのです。」
なんか抉られますが、聞きます。
「そしてアンリ様のようになりたいと思いまして、真似していたところお声がかかるようになりもしかして夢が実現するかもと。」
「そうだったのですね、ミルリン様。殿下のことが本気でお好きなのですか?まわりの嫌がらせもあるんじゃないのですか?自分を偽ったままでよろしいのですか。」
ミルリン様自分の手をじっと見つめながら思い返すようにつぶやきました。
「殿下のことはお慕いしていましたが、諦めることにします。アンリ様の真似事で好きになってもらっても後が続きませんから。」
「貴女を排除する前にお話ができて良かったですわ。そのまま続けて王子妃に仮になったとしてもいつか無理が自分に返ってきたと思いますよ。」
はらはらと(恐怖?)涙をながしはじめたミルリン様へ
「真面目に授業を受けておられ学園の試験もよろしいので社交でもやっていけると思います。伯爵家のダン様を紹介しますわ。素の貴方で彼に会いなさい。そして、学園を楽しみなさい。」
「アンリ様、本当にありがとうございます。」
ミルリン様と一緒にクラスへ戻ります。わたくしがミルリン様を受け入れたことを周りが敏感に感じ取り素のミルリン様で過ごせば、悪くなることがないでしょう。 前世の私40歳代のお節介も顔を出しましたが、邪魔なものは排除しました! 本日わたくし悪役です。
本日は決戦の日なので口角を上げる練習をします。
お姉さまの待つ食堂へ向かいます。 和やかな朝食。今日はパンと、卵と、スープ、フルーツです。洋食の定番の朝ご飯です! 林檎やオレンジがよく出ますが、前世ではシャリシャリして甘いジューシーな梨汁の梨が好きだったので、この世界でもいつか梨を食べたいです。
丸1個余裕でペロリといけます!求む。
一度部屋に戻り身なりを整えます。
今日は重大な任務があるため侍女さん達が数人待っていました。
髪、ドレス、メイク担当にわかれて施してもらいます。
昔から側仕えのミチが口を開くと、他の侍女たちも恐る恐るといった感じで
「お嬢様、本当によろしいのですね。」
「えぇ、やってちょうだい。」
「こんな感じでよろしいですか」
「もっともっとよ。存分に貴方たちの腕を発揮してちょうだい。」
昨日に打ち合わせた通りにやってくれるのですが、最初は恐る恐るだった彼女達の目が爛々としてきました。
馬車に乗り込むために執事が手を貸してくれます。 乗り込むと、そこには待ってくださっていたお姉さまがおられました。
「あ、あ、アンリ。貴女どうしましたの?」
「お姉さま、わたくしは本日淑女として戦いをしてきますのよ。」
「淑女としての戦い?ごめんなさい、さっぱりわからないわ。普段の可愛いアンリとはまた違って美しいアンリですけども。」
「お姉さま、アンリの戦いのためなのです・・・・・。」
学園についた馬車から降りると、周りにいた方たちが・・・
「あの方は誰だろうか・・・」
「え、もしかして。」
ざわめく声がします。
「皆様、おはようございます!」
昨日の夜扇に手を加えて作りました黒い羽根の扇を口元に添えて口角をあげて妖艶に笑みを浮かべます。
やっぱり悪役は黒の扇でしょう!
クラスへ向かう途中に殿下の側でニコニコと笑う女性を見かけました。
本当に忌々しい女性です。
「ちょっと、そこの貴方どういうつもりですの。」
「え、どなたですか?」
「いつも高位貴族の殿方の周りにいるのですぐに見つかりますわね。お話しがありますから、ちょっといらっしゃい。」
「もしかして、アンリ様ですか。」
子爵令嬢のミルリン様が大きな目を丸くして口をぽかんとあけて、こちらを見ています。
「えぇ、別のところで話しましょう。」
ミルリン様は殿下の腕を取ろうとしましたが、スッと避けられてあれっという顔をしています。
「えぇ、ミルリン怖いですぅ。」
わたくしが扇を持ち目をすっと細めると涙目になった彼女は、
「学園では身分は問わないことになっています。アンリ様知らないんですかー。」 とプルプル震えだしました。
わたくしは前世の記憶で乙女ゲームでヒロイン達が涙を流しながら見上げるのを想像して可愛いなと思っていましたが、とってもイラっとしますね。
「婚約者のいる方、まして殿下に近づくなんて不敬ですわ。」
そこで殿下が口を開きました。
「2人とも似てるな・・・」
くうぅ、この男・・・髪の色で女性を認識してますの?
そうなのです、ミルリン様とわたくしは学園で2人きりのピンクの髪、ツインテールなのです。
キャラが被っている気がしていたのでいつか決着をつけたいと本日は髪をドリルに巻いて巻いて参った次第でございます。
「殿下、御前を失礼します。ミルリン様行きますわよ。」
「はぁ~いぃ。」
「君たち、授業が始まるぞ」
至極全うな事をいう殿下を無視してガゼボの近くにあるベンチに腰掛けます。
「わたくし前から気になっていましたが、ミルリン様はそのキャラは自前ですの?」
「え?キャラってどういうことですか。」
「きゅるるん、とした態度と話し方、ツインテールのことですわ。」
「申し訳ありません。実は、アンリ様の真似事をしていたのです・・・」
ミルリン様がゆっくりと話しだします。
「わたくしの家は田舎のまぁまぁな子爵家でして、まだ下に妹、弟がおります。わたくしが上位の方と縁付けば実家も少しは潤いますし兄弟の益にもなると思いまして学園で頑張ろうと思ったのです。入学してすぐにアンリ様をお見掛けしましてたくさんの殿方と気軽にお話しされていて、これが貴族社会なのかと衝撃をうけたのです。」
なんか抉られますが、聞きます。
「そしてアンリ様のようになりたいと思いまして、真似していたところお声がかかるようになりもしかして夢が実現するかもと。」
「そうだったのですね、ミルリン様。殿下のことが本気でお好きなのですか?まわりの嫌がらせもあるんじゃないのですか?自分を偽ったままでよろしいのですか。」
ミルリン様自分の手をじっと見つめながら思い返すようにつぶやきました。
「殿下のことはお慕いしていましたが、諦めることにします。アンリ様の真似事で好きになってもらっても後が続きませんから。」
「貴女を排除する前にお話ができて良かったですわ。そのまま続けて王子妃に仮になったとしてもいつか無理が自分に返ってきたと思いますよ。」
はらはらと(恐怖?)涙をながしはじめたミルリン様へ
「真面目に授業を受けておられ学園の試験もよろしいので社交でもやっていけると思います。伯爵家のダン様を紹介しますわ。素の貴方で彼に会いなさい。そして、学園を楽しみなさい。」
「アンリ様、本当にありがとうございます。」
ミルリン様と一緒にクラスへ戻ります。わたくしがミルリン様を受け入れたことを周りが敏感に感じ取り素のミルリン様で過ごせば、悪くなることがないでしょう。 前世の私40歳代のお節介も顔を出しましたが、邪魔なものは排除しました! 本日わたくし悪役です。
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