13 / 18
ラルフ様編1
しおりを挟む
次の日、授業の準備をしているとまた目の前に人の気配を感じましたので、顔を上げるとまたまたラルフ様がおられました。
「アンリ嬢。昨日は残念でした。よろしければ学園でお昼をご一緒しませんか。」
囁くような声で 「え?お昼をご一緒ですの。」
(そのようなことをしたらまわりの方たちに、お付き合いをはじめたと思われるのではないですか?)
そんな思惑を顔にのせて返します。 「えぇ、お昼をです。」
ラルフ様は無駄にキラキラしたお顔で微笑みを返されました。
(お昼だから大丈夫だろうってことですか?)
今まで数々の令息をまわりに寄せてたこともありましたので、構いませんがよろしいのかしら?
「構いませんけども。」
「ではサロンを予約しますので、後程お迎えに来ますね。」
こんなに朝早くから動くなんて仕事ができる男って感じがしますわね。
授業に集中できそうもありません。髪が長くてサラサラしていてお顔も綺麗ですわね~。横に並ぶのが嫌になるくらい。ですがキラキラしたものが好きなわたくしは授業中ずっと妄想の中におりました。
善は急げではありませんが、妄想はできるだけ早く浸るに限ります。
授業に関しては・・・自宅での復習が必要です。 その様な感じで授業を終えましたら、ラルフ様がお迎えに来てくれました。
サロンに到着して席につきました。 「レディ扱いして頂き光栄ですわ。」 そういって微笑みましたら、
「逃げられたくありませんからね。」 「え?わたくし何かしましたかしら?」
なんだかドキドキしてしまいますね。 ラルフ様は目を猫のように細めて 「最近貴女が気になってしまうのです。あのブローチを頂いた日・・・いえもう少し前からだったのかもしれない。 貴女を探してしまいます。 責任を取って頂かねば。」
(対面席は荷がおも~ぃ。キラキラ眩しい~)
「それはわたくしの責任ですの?ブローチは返していただきましょうか。」 精一杯の返しでフーっと猫のような気持ちでお返事致しました。
「それは困りますね。貴女の許可が下りたら私はこれを胸につけようと思っているのに。」
(あの時はよい案だと思いましたし、何かのきっかけで殿下の目に留まったらいいなと思ったのですが思いもよらないブーメランがわたくしに向かってきています。)
学園のランチが届き、お話が途切れました。ドキドキさせる天才ですね。 顔が真っ赤になっているのではないかしら。落ち着くために食事に集中することにしました。
「アンリ嬢、デザートは足りましたか?」
「えぇ、とてもおいしかったですわ。ご馳走様でした。」
「紅茶をもう一度もらいましょうか。」
リザーブの方が退出なされて、それが合図になったのでしょうか。
またお話しが始まりました。
「率直に言いましょう。私は貴女に惹かれています。結婚を申し込みたいと思っております。
私は将来、宰相職につきますので、伴侶に頭が良く次世代を担う子が設けられる女性が好ましいのです。 もちろん一門の中で頭脳のよい子どもを宰相に選ぶこともあります。
全てを受け入れてほしいとお願いしなければならない。」
「まぁ、そんな風に思ってくださり嬉しく思います。わたくしも率直に申し上げます。 わたくしはわたくしだけを見てくださる方と縁を結びたいのです。ラルフ様と縁を結びました後を考えましたら不安ですわ。」
はっきり目を見ながらお話します。 (わたくしにとって引き下がれない線なのです。前世で確かに一夫多妻制がいいなと思うことがありましたが、それはワンオペ体制があったからです。この世界はベビーシッターがつくことが多いため完全に任せないにしろ、先輩として手助けしてもらえるならば子育てもより良いものになりそうです。一人をめぐっての戦いをするのは神経をすり減らしそうだと感じます。やっぱりわたくしだけを見てくださる方を探したい!改めて思いました。)
「アンリ嬢、すまない。それはもしかしたら・・・反故することもあるかもしれない。宰相職の一家だから、どうしても優秀な子が生まれることを最優先し、第二夫人も娶る場合もあるだろう。 もしかしたら、一門の中に優秀な子がいたならば宰相職を引き継ぐこともある。」
苦しそうな顔で俯くラルフ様。
「わたくしの話を聞いて下さり、誠実に返事をくださってありがとうございます。わたくしは自分の子がその役職を継げなかったとしても何も申しません。しかし、第二夫人と夫を共有することが耐えられないのでございます。」
「そうか。すまない。」
(いつも気障な雰囲気のラルフ様ですが、今日はいつもと全然違っていました。きっと緊張しながらこのお話をしてくださったのだと思います。
婚約の話を家にする前にわたくしに声をかけてくださったことは誠実だと感じました。 もしかしたら一緒に未来を生きることもあったのかもしれないと思うと胸が締め付けられる気持ちです。そんなことは申せませんが、このまま退出しましょう。)
「婚約のお話を直接わたくしにして頂き良かったです。
わたくしは貴族令嬢。国の為にこの身を捧げなければならないことも分かっております。
申し訳ございませんがラルフ様の幸せをお祈り申し上げます。」
(少し皮肉を交えてしまったかしら。わたくしの精いっぱいのお答えでした。)
カーテシーをした後、その場を退出しました。
帰りの馬車の中でお姉さまと顔を合わせながらぽつりぽつりとお話ししました。
「お姉さま、今日ラルフ様に婚約のお申し出の前のお話を頂きました。」 「まぁ、アンリ。ラルフ様からですの。よい方ですよ。でも貴女は落ち込んだ顔ですね。」
お姉さまから見て、わたくしの顔はひどいものでしょうか。
「淑女は顔に出してはいけないのですよね。お姉さまと二人の時はお許しください。」
「アンリ嬢。昨日は残念でした。よろしければ学園でお昼をご一緒しませんか。」
囁くような声で 「え?お昼をご一緒ですの。」
(そのようなことをしたらまわりの方たちに、お付き合いをはじめたと思われるのではないですか?)
そんな思惑を顔にのせて返します。 「えぇ、お昼をです。」
ラルフ様は無駄にキラキラしたお顔で微笑みを返されました。
(お昼だから大丈夫だろうってことですか?)
今まで数々の令息をまわりに寄せてたこともありましたので、構いませんがよろしいのかしら?
「構いませんけども。」
「ではサロンを予約しますので、後程お迎えに来ますね。」
こんなに朝早くから動くなんて仕事ができる男って感じがしますわね。
授業に集中できそうもありません。髪が長くてサラサラしていてお顔も綺麗ですわね~。横に並ぶのが嫌になるくらい。ですがキラキラしたものが好きなわたくしは授業中ずっと妄想の中におりました。
善は急げではありませんが、妄想はできるだけ早く浸るに限ります。
授業に関しては・・・自宅での復習が必要です。 その様な感じで授業を終えましたら、ラルフ様がお迎えに来てくれました。
サロンに到着して席につきました。 「レディ扱いして頂き光栄ですわ。」 そういって微笑みましたら、
「逃げられたくありませんからね。」 「え?わたくし何かしましたかしら?」
なんだかドキドキしてしまいますね。 ラルフ様は目を猫のように細めて 「最近貴女が気になってしまうのです。あのブローチを頂いた日・・・いえもう少し前からだったのかもしれない。 貴女を探してしまいます。 責任を取って頂かねば。」
(対面席は荷がおも~ぃ。キラキラ眩しい~)
「それはわたくしの責任ですの?ブローチは返していただきましょうか。」 精一杯の返しでフーっと猫のような気持ちでお返事致しました。
「それは困りますね。貴女の許可が下りたら私はこれを胸につけようと思っているのに。」
(あの時はよい案だと思いましたし、何かのきっかけで殿下の目に留まったらいいなと思ったのですが思いもよらないブーメランがわたくしに向かってきています。)
学園のランチが届き、お話が途切れました。ドキドキさせる天才ですね。 顔が真っ赤になっているのではないかしら。落ち着くために食事に集中することにしました。
「アンリ嬢、デザートは足りましたか?」
「えぇ、とてもおいしかったですわ。ご馳走様でした。」
「紅茶をもう一度もらいましょうか。」
リザーブの方が退出なされて、それが合図になったのでしょうか。
またお話しが始まりました。
「率直に言いましょう。私は貴女に惹かれています。結婚を申し込みたいと思っております。
私は将来、宰相職につきますので、伴侶に頭が良く次世代を担う子が設けられる女性が好ましいのです。 もちろん一門の中で頭脳のよい子どもを宰相に選ぶこともあります。
全てを受け入れてほしいとお願いしなければならない。」
「まぁ、そんな風に思ってくださり嬉しく思います。わたくしも率直に申し上げます。 わたくしはわたくしだけを見てくださる方と縁を結びたいのです。ラルフ様と縁を結びました後を考えましたら不安ですわ。」
はっきり目を見ながらお話します。 (わたくしにとって引き下がれない線なのです。前世で確かに一夫多妻制がいいなと思うことがありましたが、それはワンオペ体制があったからです。この世界はベビーシッターがつくことが多いため完全に任せないにしろ、先輩として手助けしてもらえるならば子育てもより良いものになりそうです。一人をめぐっての戦いをするのは神経をすり減らしそうだと感じます。やっぱりわたくしだけを見てくださる方を探したい!改めて思いました。)
「アンリ嬢、すまない。それはもしかしたら・・・反故することもあるかもしれない。宰相職の一家だから、どうしても優秀な子が生まれることを最優先し、第二夫人も娶る場合もあるだろう。 もしかしたら、一門の中に優秀な子がいたならば宰相職を引き継ぐこともある。」
苦しそうな顔で俯くラルフ様。
「わたくしの話を聞いて下さり、誠実に返事をくださってありがとうございます。わたくしは自分の子がその役職を継げなかったとしても何も申しません。しかし、第二夫人と夫を共有することが耐えられないのでございます。」
「そうか。すまない。」
(いつも気障な雰囲気のラルフ様ですが、今日はいつもと全然違っていました。きっと緊張しながらこのお話をしてくださったのだと思います。
婚約の話を家にする前にわたくしに声をかけてくださったことは誠実だと感じました。 もしかしたら一緒に未来を生きることもあったのかもしれないと思うと胸が締め付けられる気持ちです。そんなことは申せませんが、このまま退出しましょう。)
「婚約のお話を直接わたくしにして頂き良かったです。
わたくしは貴族令嬢。国の為にこの身を捧げなければならないことも分かっております。
申し訳ございませんがラルフ様の幸せをお祈り申し上げます。」
(少し皮肉を交えてしまったかしら。わたくしの精いっぱいのお答えでした。)
カーテシーをした後、その場を退出しました。
帰りの馬車の中でお姉さまと顔を合わせながらぽつりぽつりとお話ししました。
「お姉さま、今日ラルフ様に婚約のお申し出の前のお話を頂きました。」 「まぁ、アンリ。ラルフ様からですの。よい方ですよ。でも貴女は落ち込んだ顔ですね。」
お姉さまから見て、わたくしの顔はひどいものでしょうか。
「淑女は顔に出してはいけないのですよね。お姉さまと二人の時はお許しください。」
0
あなたにおすすめの小説
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
婚約破棄された悪役令嬢は、親の再婚でできた竜人族の義理の兄にいつの間にか求婚されていたみたいです⁉
あきのみどり
恋愛
【竜人族溺愛系義兄×勇ましき病弱系三白眼令嬢】の、すれ違いドタバタラブコメ
『私たちはその女に騙された!』
──そう主張する婚約者と親友に、学園の悪役令嬢にしたてあげられた男爵令嬢エミリア・レヴィンは、思い切り、やさぐれた。
人族なんて大嫌い、悪役令嬢? 上等だ! ──と、負けん気を発揮しているところに、大好きな父が再婚するとの報せ。
慌てて帰った領地で、エミリアは、ある竜人族の青年と出会い、不思議なウロコを贈られるが……。
後日再会するも、しかしエミリアは気がつかなかった。そのウロコをくれた彼と、父に紹介されたドラゴン顔の『義兄』が、同一人物であることに……。
父に憧れ奮闘する脳筋病弱お嬢様と、彼女に一目惚れし、うっかり求婚してしまった竜人族義兄の、苦悩と萌え多きラブコメです。
突っ込みどころ満載。コメディ要素強め。設定ゆるめ。基本的にまぬけで平和なお話です。
※なろうさんにも投稿中
※書き手の許可のない転載は固く禁止いたします。翻訳転載は翻訳後の表現に責任が持てないため許可しません。
気持ちよく作品を生み出せなくなります。ご理解ください。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
良くある事でしょう。
r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。
若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。
けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる