機械と花 ロボットだろうが感情はあるんだから恋愛くらいしてもいいだろ?

トリカブト

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反撃の機兵 2

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 夜も更け、辺りがどんどん静かになっていくが、俺の高揚感はとどまることを知らず、まるで遠足を前にした少年のように、心が躍っていた。
 ラボに着き、博士が、完成したての設計図を広げながら詳しい説明を始めた。
「まず、従来の一将の戦い方では、この機体は合わない。こいつは、近接戦闘を重視したモデルだからね」

「近接戦闘?これまでにもやってきたが‥‥」

「つまり、銃撃戦以外の高い戦闘スキルが必要ということ。例えば、剣術や槍術、拳闘とかが必要になってくるね」

「なるほど‥‥」

「後は、機動力が段違いに高くなるから馴れるまで時間がかかるかもね」
 そう言い終えると、博士は冷めたコーヒーを飲み干した。機動力で敵を圧倒する戦闘スタイル‥‥まさに、ラクアのようだ。俺は、博士の説明を聞き、ますます気分が高ぶった。
「1つ疑問があるんだがいいか?」

「うん?いいよ~」

「俺の訓練相手はどうするんだ?そのまま実戦で使用するっていうのはリスキーだ‥‥」

「珍しいね、一将が実戦じゃなくて訓練を所望するなんて‥‥もしかして、死ぬのが怖くなった?」

「ロボットの俺にそんな感情があるわけないだろ?」

「別にあってもいいと思うな~危険に身をさらして、勝手にいなくなられるよりはね」
 彼はそういうと少し切なそうな表情を浮かべる。やはり、愛した人がいなくなった悲しみは忘れがたいものなのだろう‥‥

 しばらくの間、沈黙が続き、博士は思い出すようにこう聞いた。
「そうだ!彩花ちゃんとは仲直りした?」

「ああ、気まずい雰囲気はなくなった。だが、ロミオとジュリエットを見せてきたのは、皮肉か?」

「あれ?眠れる森の美女じゃなかったの?」

「眠れる森の美女は去年の演目だよ‥‥」
 俺が呆れたように言うと、博士は申し訳なさそうに笑った。
 全く‥‥この国の実力者はどこか抜けているという決まりでもあるのか?



 俺が博士の朗報を聞き終え、基地へと戻り、自室へと向かおうとしている道中、司令官に出会った。俺は、敬礼をし
「お疲れ様です」

「もう動けるようになっていたのか?報告がなかったのだが‥‥」

「申し訳ございません」

「何度目だろうな‥‥まぁ、いい。貴公も死線をさまよっていたからな。戦線復帰はいつ頃になるのだ?」

「橘博士の新作の機体が完成次第、直ぐに復帰する予定です」

「そうか‥‥貴公も三俣もよく生きて帰ってきてくれた。ラクアと対峙して帰ってきた者はお前たちが初めてだ。よくやった」
 司令官はそう言い終えると、俺の肩に手を置き、自室へと入っていった。
「俺もあんたに褒められんのは初めてだよ‥‥」
 そう1人になった廊下で呟くと、俺も自室へと向かった。



 外が明るくなり、日が段々と上がってきたころ、俺は、新しい戦闘スタイルを模索していた。ダメだ‥‥いい案が思い浮かばない。三俣さんのように槍を‥‥いや、一朝一夕で戦えるほど甘い戦場ではない。増してや、相手はあのラクア‥‥どうすればいいものか。
 考え込むが、何かいいアイデアは出そうにない。気分転換に外にでも出るか‥‥そう考え、自室を出ると、彩花に会った。
「おはようございます!漆山さん!」

「おはよう、昨日は楽しかったな」

「ええ、あの‥‥今日の予定は‥‥?」

「ああ、しばらくは非番が続きそうだが‥‥どうかしたのか?」

「えっと‥‥図書館に行きたくて‥‥」

「分かった、連れて行こう」

「ありがとうございます‥‥!」
 そう彼女が笑顔で答え、後ろからついてきた。俺は、その笑顔を守りたいと心から思いながら、ゆっくりと目的地へと歩き出した。



 基地を出て、いつもの大通りに出た。相も変わらずここは賑わっている。変わらない風景にどこか安心感を覚えていると、ある店が目に留まる。暇なときによるか‥‥
 俺たちがゆっくりと目的地へと進んでいると、
「あの‥‥漆山さん」

「うん?なんだ?」

「しばらく非番ってことは、また戦線に出るのですか?」

「ああ、身体が治ったらそのつもりだが‥‥」

「私は、反対です!漆山さんがまた危険な目に遭うのは嫌です!」
 彼女がいつになく強く主張する。俺が彼女の剣幕に押され黙る。
「大体何で貴方が危険に身をさらす必要なんてないじゃないですか!それこそロボットに‥‥」

「‥‥俺がやりたいんだ」

「え?」

「俺が、君や三俣さんの敵を取りたいんだ。他の誰かにやらせるんではなく、俺自身が‥‥三俣さんに救われた恩を返したいんだ!」

「でも、また‥‥」

「絶対に帰って来る!約束だ!俺は、彼のように最後まで戦い抜いて、絶対にラクアを倒す」
 そう俺が言い終えると、彼女は暫し黙った。その手は少し震えている。失う怖さを知っているからだろう。その震えを止めるように握り拳を強く固め、決意に満ちた表情で彼女は
「分かりました‥‥約束ですよ?絶対に帰ってきてください」
 と言った。俺は、強く承諾の意思を見せると、彼女は儚げに笑った。すると、再び目的地へと歩を進めた。



 大通りをゆっくりと目的地へと進む俺たちの前に大きな建物が現れた。国立図書館だ。ここは、国で一番大きな図書館で、この街の名物ともいえるだろう。
 中に入ると、彩花が司書さんにこう尋ねた。
「すいません、点字図書はどこにありますか?」

「ああ、点字図書なら、22番の本棚にありますよ」

「ありがとうございます」
 そう彼女が言うと、司書さんはにこやかに手を振った。
「点字図書って、何なんだ?」
俺が不思議そうに聞く。
「点字で書かれている本のことですよ」

「字が読めるのか?」

「ええ、点字は目が不自由な人のための字なんです」

「想像がつかないな」

「ふふ、見てみれば分かりますよ」
 そう彼女が楽しげに言う。俺は、何だか焦らされているようで、背中に痒みを覚えたが、言われた通りの22番の本棚へ彩花を連れて行った。
 目的の場所に着くと、大量にしき詰まった本棚の数々に俺は衝撃を受けた。これが全部点字図書なのか?そう考えていると、彼女が、おもむろに本棚から1冊取り出した。
「これが点字ですよ」
 笑いながら見せてきた本には、幾つもの凹凸があり、規則的に並んでいた。
「こうやって読むんです」
 そう言うと、彼女は規則的に並んでいる凹凸の上を、指でなぞるように触った。
「なるほど、触って読む字か」

「そうです!」
 そう彼女が嬉しそうに答えると、何度かそこにある文字に触れる。次第に夢中になっていく彼女を見て、本当に本が好きなんだなと思いながら、眺めていた。
 暫しの間、眺めていると、彼女が
「あ!そうだ、借りたい本があったんだった」
 と思い出したように言う。
「俺が取って来よう、君は‥‥そこでその本を読んでてくれ」

「え、でも‥‥」


「いいからいいから」
 そう言うと、俺は、彩花を近くの椅子に座らせるとこう聞いた。
「それで、探してる本は?」

「グリム童話です」

「ああ、分かった。少し待っててくれ」
 そう言うと、俺は、大量の本棚の方へと向かった。グリム童話‥‥グリム童話‥‥しかし、恐ろしいほど多いな。流石は国1番の大きさの図書館だ。俺は、感嘆しつつも少し面倒だなと思いながら、本を探す。だが、本当にあるのか?そう疑っていると、やっと目的の本が見つかった。
俺は、小さくガッツポーズをした後、彼女の元へと戻った。
「待たせたな、見つけてきたぞ」

「ありがとうございます」
 彩花は笑顔で返す。その笑顔に少し見とれていたが、我に返り
「ああ、この本はどうやって借りるんだ?」
 と聞く。
「受付で手続きをすると借りられるはずです」

「そうか‥‥じゃあ行こうか」
 そう言うと、彩花を受付まで連れて行った。手続きをして終えると、俺にメールが入る。邪魔だなと思いながら、外に出て確認すると、俺は、青ざめた。三俣さんの容体が急変したらしい。俺は、彩花とともに病院へと向かった。
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