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1巡目
第5話 決着の日?!
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この世の中にはいろんなことがあるけど敵がいないと向上心なんて沸き上がらない。その人が一番であるとともにそれが覆ることもないからだ……うーん、我ながらいいポエムの書き出しだわ!私がのんきに執筆活動を進めているのは、ここ数日の間、王子とお嬢様の仲が急激に良くなっているからだ。あの女が転校してきた時、少し焦ったけどこの様子なら入り込む余地なんて生まれないわ。絶対に生まれないと確信を持って言える。そして、今日は学園主催の舞踏会の日…もちろんフォークダンスの相手はヴォルフ王子で先約済み。実はこの舞踏会には告白のジンクスがあるらしく、彼も告白していた。相手はあの女だったけど…
「それにしても…気持ちのいい昼下がりだわ」
さて、執筆でもしましょうか。今回は大丈夫そうですし、それも絶対に…
「何してるの、コピア?」
「お、お嬢様?!おかえりなさいませ!」
「出迎えがなかったから驚いたわ、どうしたの?」
「い、いえ…少し考え事を」
「ふーん、悩みでもあるのかしら?」
「ありませんよ、大丈夫ですから」
「…そう、舞踏会の支度手伝ってくれるかしら?」
「はい、よろこんで」
お嬢様の言う通りかもしれない。状況を反復したり、柄にもなく執筆なんてして…しかし、不安にもなってしまう。今日で運命が決まると言っても差し支えない。それに私が介入出来るのがここまでというのも歯がゆい。何も出来ずに見守るだけ…それで人生が狂う可能性があるなんて恐ろしいことこの上ない。そんな思いとは裏腹に私はお嬢様の馬車に笑顔で手を振った。
「月が綺麗だわ…」
夜も遅くなってきた。アリア様は上手くやっているのだろうか…そろそろ帰ってきても良さそうなんだけど一向に帰ってこない。こんなに長いなんて…もしやお付き合いを通り越してしまったとかもあり得るのかしら?いや、ヴォルフ王子は誠実でお優しい方のはず…そんなこと起きるはずないわ!そわそわしていると車輪の音が遠くから聞こえてきた。ようやく帰ってきた…私は玄関へとお出迎えに向かった。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「ただいま、コピア」
「あ、あの…」
「どうしたの?」
「…舞踏会はどうでしたか?」
「なにもなかったわ」
「なにも…ですか?」
「ごめんなさい、嘘をついたわ…彼から告白されたの」
「本当ですか?!それで…」
「断ったわ」
「え?」
「あとこの屋敷に住めなくなったわ、パパも開拓地の担当になったの」
「えぇ?!なんで…なんでですか!」
「王家の申し出を無下にしたのよ、これで済むなら良い方だわ」
そんな…なんで…言われたことを理解しようと頭が回転するけど、混乱してしまって上手くまとめられない。あの時の素敵な人発言は?あの時の嫉妬で不機嫌になったのは?疑問が留まることを知らず溢れてくる。ともかく彼女が部屋に戻る前に聞かないと!
「あ、あの!」
「どうしたの?」
「私も連れてってください!」
「え?」
な、なにを言っているんだ…私は!それよりも先に言うことが…
「ごめんなさい、あっちではお給料も払えないわ…」
「構いません!」
「…分かったわ、お父様が許してくれたらいいのだけれど…じゃあね、おやすみ」
悲し気な顔で彼女を見送り、自分のよく分からない行動に黒歴史的恥ずかしさを感じながらベッドにうずくまるのであった。
「それにしても…気持ちのいい昼下がりだわ」
さて、執筆でもしましょうか。今回は大丈夫そうですし、それも絶対に…
「何してるの、コピア?」
「お、お嬢様?!おかえりなさいませ!」
「出迎えがなかったから驚いたわ、どうしたの?」
「い、いえ…少し考え事を」
「ふーん、悩みでもあるのかしら?」
「ありませんよ、大丈夫ですから」
「…そう、舞踏会の支度手伝ってくれるかしら?」
「はい、よろこんで」
お嬢様の言う通りかもしれない。状況を反復したり、柄にもなく執筆なんてして…しかし、不安にもなってしまう。今日で運命が決まると言っても差し支えない。それに私が介入出来るのがここまでというのも歯がゆい。何も出来ずに見守るだけ…それで人生が狂う可能性があるなんて恐ろしいことこの上ない。そんな思いとは裏腹に私はお嬢様の馬車に笑顔で手を振った。
「月が綺麗だわ…」
夜も遅くなってきた。アリア様は上手くやっているのだろうか…そろそろ帰ってきても良さそうなんだけど一向に帰ってこない。こんなに長いなんて…もしやお付き合いを通り越してしまったとかもあり得るのかしら?いや、ヴォルフ王子は誠実でお優しい方のはず…そんなこと起きるはずないわ!そわそわしていると車輪の音が遠くから聞こえてきた。ようやく帰ってきた…私は玄関へとお出迎えに向かった。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「ただいま、コピア」
「あ、あの…」
「どうしたの?」
「…舞踏会はどうでしたか?」
「なにもなかったわ」
「なにも…ですか?」
「ごめんなさい、嘘をついたわ…彼から告白されたの」
「本当ですか?!それで…」
「断ったわ」
「え?」
「あとこの屋敷に住めなくなったわ、パパも開拓地の担当になったの」
「えぇ?!なんで…なんでですか!」
「王家の申し出を無下にしたのよ、これで済むなら良い方だわ」
そんな…なんで…言われたことを理解しようと頭が回転するけど、混乱してしまって上手くまとめられない。あの時の素敵な人発言は?あの時の嫉妬で不機嫌になったのは?疑問が留まることを知らず溢れてくる。ともかく彼女が部屋に戻る前に聞かないと!
「あ、あの!」
「どうしたの?」
「私も連れてってください!」
「え?」
な、なにを言っているんだ…私は!それよりも先に言うことが…
「ごめんなさい、あっちではお給料も払えないわ…」
「構いません!」
「…分かったわ、お父様が許してくれたらいいのだけれど…じゃあね、おやすみ」
悲し気な顔で彼女を見送り、自分のよく分からない行動に黒歴史的恥ずかしさを感じながらベッドにうずくまるのであった。
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