21 / 107
序章
第20話 快進撃?の申し出
しおりを挟む
唐突の申し出にたじろいだ僕が返答に戸惑っていると、ヘリオは有無を言わさないように馬車へ向かうように促した。確かに、強欲帝の支配下までクラウソラスが手を出すとは思えないが‥‥さっきの奴らもLWDとか言うのに所属している人達なら安全とも言えない。それに、なんで僕たちの顔を知っていたんだ?そんなことを考えていると、ヘリオは戸惑っている僕に少し苛立っているのか手を引いて馬車へと向かわせる。
「少し待ってください!」
「なんだ、もしや行かないと言うのか?」
「そうは言ってないですよ、だけど‥‥」
「あぁ‥‥なるほど、あいつらのことが気になると言うのか、まぁ俺たちのギルドは無法地帯みたいな所があるからな、安全とは言わないぜ?」
「なら、うっ‥‥」
「おい、どうしたんだ、おい!」
意識が遠くなる‥‥あぁ、そうか、時間切れだ‥‥後は、サミエムに頼むしか‥‥な‥‥い‥‥
ガタガタと揺れる床、誰かの喋り声‥‥この声は、サミエムとヘリオか?なんの話をしているんだろ‥‥
「というか、ここどこだ?!」
「気が付いたか、灰崎!」
「おう、ここは馬車の中だ?旦那」
「あの後大変だったんだぜ、寝ちゃった灰崎を馬車まで運んできたはいいものの、眠ったままだから飯とかも食わせらんないし、そうだ、腹減ってないか?」
「確かに、空腹だが‥‥僕は、何日くらい寝ていたんだ?」
「1日半くらいだな、そうだ、倒れる前にしそびれた話をしてやろう」
「はい、お願いします」
「俺たちのギルド、LDWでは情報伝達魔法がかけられたこの特殊な基盤が配布されている、これで通常ではありえない速度で情報が行きわたる、だから、旦那たちの顔も知られていたってことだ」
「それって、僕たちは常に狙われ続けるってことですか?」
「安心しろ、これについては対策してある」
「なるほど、頼りになりますね‥‥」
「はは、俺がタダ働きするような奴と思いますかぁ?」
「まさか‥‥!」
「ごめん、灰崎」
「はぁ‥‥仕方がない、僕が倒れた理由を誤魔化すってのも通じるとは思えない」
「まぁ悪い様にはしねぇよ」
「だと良いんですがね‥‥」
「もうすぐ夜だ、今日はこのくらいにしようか、馬車を止めて眠るとしよう」
「そうだな、ヘリオのおっさん!」
そういうと慣れた手つきで彼らが、テントを張りだした。ヘリオはともかく、サミエムは1日でこのくらい出来るものなのか‥‥意外と簡単なのか、要領がいいのか。とりあえず後者はないかな?
「灰崎~お前を手伝えよ~」
「ごめん、考え事してたよ」
「もしかしてテントとか張ったことないのか?いいぜ、俺が教えてやるよ、屋敷を出てから最初に覚えたことだから、慣れたものなんだぜ!」
「へぇ‥‥じゃあ、教えてもらおうかな」
「任せろ!」
日が沈みだし、周囲に寒さが出始めた頃、慣れない僕が教えてもらいながら張ったテントがようやく出来た。もうヘリオは自分のテントで寝ているし、サミエムは薄ら笑いを浮かべながら、テントへと潜り込んでいった。はぁ、今度は上手く出来るように練習しよ‥‥
翌朝、あまり眠れなかった僕がテントから這い出して来ると、外は美味しそうな匂いがしていた。どうやらヘリオが朝食の用意をしているようだ。
「うん?旦那、起きたのか?」
「はい、あまり眠れませんでしたが‥‥」
「なんだ?野営は初めてか?」
「えぇ、まぁ‥‥」
「時期に慣れるさ、旦那の相棒も貴族のせがれのくせにぐっすり眠っているだろ?」
「確かに‥‥」
「ふぁぁ、なんだよ‥‥もう朝か」
「噂をすればだな、さっさと食って出発するぞ、今日で目的地に着く」
ヘリオは湯気が立っている美味しそうな料理を差し出してくる。それを受け取り、一口食べてみると、予想以上に美味しくて、柄にもなくがっついた。彼らは、意外だったのか、少し困惑の色を出していたが、さっさと食べ始めた。
食事を終えて、馬車に乗って数時間が経ち、日が真上に差し掛かった。まだかかるのか?というか、本当に着くのか?段々と疑いの考えが浮かんだ僕は、周りを見渡す。一面の荒野‥‥こんなところに統治者が住むとは到底思えないんだが‥‥
「あのヘリオさん?」
「‥‥見えてきたぞ、あれがラクスウェルだ」
彼が指さす方向を見ると、確かに何かが見える。あれは‥‥街?!しかも、かなり大きい。おおよそ人が住みにくい地形なのになぁ‥‥強欲帝、一体どんな奴なんだ?というか、街の方向から飛んできている物はなんだろ?もしかして‥‥大砲か?!不味いじゃないか!
「しっかり捕まっていろ、スキル発動、ウィンドエンチャント‥‥風列斬!」
「すげぇ!玉が軌道を変えて行くぜ」
「全く、面倒な仕来りというか何というか‥‥」
「仕来り‥‥これってわざとなんですか?」
「そうだぜ、兄ちゃん」
「誰だ!」
「そう怒るなよ、坊ちゃんよぉ?」
「ご、強欲帝様!」
「えっ?」
「おっ、ヘリオじゃんか、任務ご苦労ちゃん!」
「な、なんでこんなところに‥‥」
「決まってるじゃんか、俺たちの敵ってどんな奴か気になってね‥‥それで、どっちが灰崎君なの?」
「僕が灰崎零‥‥です」
「ふーん‥‥なるほど、嘘ではなさそうだな、そういう色してるぜ、多分」
「色‥‥もしかして、あなたも同じ能力を?」
「はっはっは、そんな便利なもの持ってなかったよ」
「‥‥?」
「よし、灰崎君とアレクシエルの坊ちゃん‥‥単刀直入に言おう、俺の野望‥‥世界掌握を叶える手伝いをしろ、暴食帝の首を取ってくれ!」
突飛な申し出は果たして僕たちの快進撃となるのか?
【序章完結】
「少し待ってください!」
「なんだ、もしや行かないと言うのか?」
「そうは言ってないですよ、だけど‥‥」
「あぁ‥‥なるほど、あいつらのことが気になると言うのか、まぁ俺たちのギルドは無法地帯みたいな所があるからな、安全とは言わないぜ?」
「なら、うっ‥‥」
「おい、どうしたんだ、おい!」
意識が遠くなる‥‥あぁ、そうか、時間切れだ‥‥後は、サミエムに頼むしか‥‥な‥‥い‥‥
ガタガタと揺れる床、誰かの喋り声‥‥この声は、サミエムとヘリオか?なんの話をしているんだろ‥‥
「というか、ここどこだ?!」
「気が付いたか、灰崎!」
「おう、ここは馬車の中だ?旦那」
「あの後大変だったんだぜ、寝ちゃった灰崎を馬車まで運んできたはいいものの、眠ったままだから飯とかも食わせらんないし、そうだ、腹減ってないか?」
「確かに、空腹だが‥‥僕は、何日くらい寝ていたんだ?」
「1日半くらいだな、そうだ、倒れる前にしそびれた話をしてやろう」
「はい、お願いします」
「俺たちのギルド、LDWでは情報伝達魔法がかけられたこの特殊な基盤が配布されている、これで通常ではありえない速度で情報が行きわたる、だから、旦那たちの顔も知られていたってことだ」
「それって、僕たちは常に狙われ続けるってことですか?」
「安心しろ、これについては対策してある」
「なるほど、頼りになりますね‥‥」
「はは、俺がタダ働きするような奴と思いますかぁ?」
「まさか‥‥!」
「ごめん、灰崎」
「はぁ‥‥仕方がない、僕が倒れた理由を誤魔化すってのも通じるとは思えない」
「まぁ悪い様にはしねぇよ」
「だと良いんですがね‥‥」
「もうすぐ夜だ、今日はこのくらいにしようか、馬車を止めて眠るとしよう」
「そうだな、ヘリオのおっさん!」
そういうと慣れた手つきで彼らが、テントを張りだした。ヘリオはともかく、サミエムは1日でこのくらい出来るものなのか‥‥意外と簡単なのか、要領がいいのか。とりあえず後者はないかな?
「灰崎~お前を手伝えよ~」
「ごめん、考え事してたよ」
「もしかしてテントとか張ったことないのか?いいぜ、俺が教えてやるよ、屋敷を出てから最初に覚えたことだから、慣れたものなんだぜ!」
「へぇ‥‥じゃあ、教えてもらおうかな」
「任せろ!」
日が沈みだし、周囲に寒さが出始めた頃、慣れない僕が教えてもらいながら張ったテントがようやく出来た。もうヘリオは自分のテントで寝ているし、サミエムは薄ら笑いを浮かべながら、テントへと潜り込んでいった。はぁ、今度は上手く出来るように練習しよ‥‥
翌朝、あまり眠れなかった僕がテントから這い出して来ると、外は美味しそうな匂いがしていた。どうやらヘリオが朝食の用意をしているようだ。
「うん?旦那、起きたのか?」
「はい、あまり眠れませんでしたが‥‥」
「なんだ?野営は初めてか?」
「えぇ、まぁ‥‥」
「時期に慣れるさ、旦那の相棒も貴族のせがれのくせにぐっすり眠っているだろ?」
「確かに‥‥」
「ふぁぁ、なんだよ‥‥もう朝か」
「噂をすればだな、さっさと食って出発するぞ、今日で目的地に着く」
ヘリオは湯気が立っている美味しそうな料理を差し出してくる。それを受け取り、一口食べてみると、予想以上に美味しくて、柄にもなくがっついた。彼らは、意外だったのか、少し困惑の色を出していたが、さっさと食べ始めた。
食事を終えて、馬車に乗って数時間が経ち、日が真上に差し掛かった。まだかかるのか?というか、本当に着くのか?段々と疑いの考えが浮かんだ僕は、周りを見渡す。一面の荒野‥‥こんなところに統治者が住むとは到底思えないんだが‥‥
「あのヘリオさん?」
「‥‥見えてきたぞ、あれがラクスウェルだ」
彼が指さす方向を見ると、確かに何かが見える。あれは‥‥街?!しかも、かなり大きい。おおよそ人が住みにくい地形なのになぁ‥‥強欲帝、一体どんな奴なんだ?というか、街の方向から飛んできている物はなんだろ?もしかして‥‥大砲か?!不味いじゃないか!
「しっかり捕まっていろ、スキル発動、ウィンドエンチャント‥‥風列斬!」
「すげぇ!玉が軌道を変えて行くぜ」
「全く、面倒な仕来りというか何というか‥‥」
「仕来り‥‥これってわざとなんですか?」
「そうだぜ、兄ちゃん」
「誰だ!」
「そう怒るなよ、坊ちゃんよぉ?」
「ご、強欲帝様!」
「えっ?」
「おっ、ヘリオじゃんか、任務ご苦労ちゃん!」
「な、なんでこんなところに‥‥」
「決まってるじゃんか、俺たちの敵ってどんな奴か気になってね‥‥それで、どっちが灰崎君なの?」
「僕が灰崎零‥‥です」
「ふーん‥‥なるほど、嘘ではなさそうだな、そういう色してるぜ、多分」
「色‥‥もしかして、あなたも同じ能力を?」
「はっはっは、そんな便利なもの持ってなかったよ」
「‥‥?」
「よし、灰崎君とアレクシエルの坊ちゃん‥‥単刀直入に言おう、俺の野望‥‥世界掌握を叶える手伝いをしろ、暴食帝の首を取ってくれ!」
突飛な申し出は果たして僕たちの快進撃となるのか?
【序章完結】
0
あなたにおすすめの小説
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
妖精の森の、日常のおはなし。
華衣
ファンタジー
気づいたら、知らない森の中に居た僕。火事に巻き込まれて死んだはずだけど、これってもしかして転生した?
でも、なにかがおかしい。まわりの物が全部大きすぎるのだ! 草も、石も、花も、僕の体より大きい。巨人の国に来てしまったのかと思ったけど、よく見たら、僕の方が縮んでいるらしい。
あれ、身体が軽い。ん!?背中から羽が生えてる!?
「僕、妖精になってるー!?」
これは、妖精になった僕の、ただの日常の物語である。
・毎日18時投稿、たまに休みます。
・お気に入り&♡ありがとうございます!
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる