魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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暴食の章

第9話 アルシャルノ到着!

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 じりじりと照り付ける太陽とそれに照らされて温かな匂いがする雑草を踏みしめながら僕たちは道を進む。この匂いに帰郷したような懐かしさと嬉しさがあったのは何日前だろうか?今では若干疎ましくも思える。まぁそれよりもアリフィカさんが僕の頭の上で日向ぼっこをしている方が嫌なのだけどね。正直重いし自分で歩いて欲しいなぁ。

「灰崎、遅れてるぞ!」

「ごめんごめん、歩いての長旅はしたことがないんだ」

「全くだらしないわね!」

「あんたが頭の上に乗ってるからじゃないか?」

「失礼わね、がきんちょ!私はこれでもあってないような体重だもん!」

「はいはい、分かった分かった」

「大体女子に重いみたいなこと言うのはデリカシーないわよ!」

「悪かったって…灰崎、女神さんは俺が持っとくから頑張れ」

「ありがとう、助かるよ」

「仮にも神である私をモノ扱いは納得いかないけどまぁいいわ」

 不服そうに彼女はサミエムの顔面にしがみつくように飛び移る。むごっ!とうめくような声をあげながら彼はふらつくがしっかりと歩き出す。マンガみたいな反応にくすりと笑いそうになったが堪え、軽くなった頭と友人の気遣いに感謝しながら先へと進む。




 数時間歩きそろそろ日が傾いてくる頃、ようやく木々の向こう側に目的の小さな集落が見えた。僕たちは長旅の終わりに安堵してため息をもらす。

「やったぞ!ついにアルシャルノに着いた!」

「うん、情報通りで良かったよ」

「さっさと行って泊まるところ用意してもらおうぜ!」

「待て…」

「な、何者だ!」

「ワシはこの先にある村の者だ、貴様らこそ何者だ?」

「俺たちはあの山に住む熊を殺しに来た者だ!」

「ふん、余計なことをするのも大概にしてもらいたいな」

「なんだと!」

「それであの村に宿を求めるって算段だろ?他の村の者が怖がるからワシの所に泊れ、いいな?」

「ちっ、いけ好かない爺だぜ」

「まぁまぁ…」

「こればかりはサミエムに賛成ね、ゴリ押ししてくるし!」

「アリフィカさんまで…寝床も用意してもらえるらしいしそんなこと言わないでくださいよ」

「さっさとついてこい、あと丸聞こえだからな」

 2人はムッとした顔をした後、スタスタと髭を蓄えた老人についていく。確かに気難しい感じで近寄りがたい雰囲気を初対面からぶつけられると少し嫌だという気持ちはないことにはないが…とりあえず僕も彼についていこう。長旅で疲れたし…



 煙突から白い煙が上がる家々を横目に老人は年齢を感じさせないような軽快な足取りで抜けていく。もう少しゆっくり歩いて欲しいと思いながらついていっていると、ようやく彼が古びた民家に止まる。建付けが悪いのか分からないが少し扉を開けるのに苦戦している様子だったが、軋むような音を響かせながらゆっくりと開き、中へと入っていった。中は質素で使い古した家具ばかりだったが、中々広い部屋が広がっており、部屋も複数あるっぽい感じだ。老人がボロボロの木で出来た椅子に腰かけ、自身の前方にある同様の椅子に座るように促す。

「よいしょと…」

「単刀直入に言おう、何故今になって金色熊を狙いに来た?」

「そりゃご…」

「サミエム!」

「な、なんだよ」

「僕から説明してもいいかな?」

「どちらでも構わん、早くしろ」

「暴食帝の幹部になるためですよ」

「つまり暴食帝の差し金か?」

「いいえ、個人での行動です」

「…やめておけ」

「え?」

「これは先人としてのアドバイスだ、個人で動いているというのならやめるのも自身の意思決定だろ」

「先人として?どういうことですか?」

「ワシは暴食帝が遣わしたアルシャルノ攻略隊の生き残りだ」

「アルシャルノ攻略隊?!確か随分と前に全滅したはずじゃ…」

「そっちの坊主は知っているようだが、こっちのはピンと来てないようだな?」

「ハハハ、お恥ずかしながら…」

「今から何十年も前に未開の地であり金鉱山でもあるアルシャルノの攻略、鉱山としての運用を目的として作られた隊だ、まぁ金色熊に全滅させられているのだがな…」

「すみません、なんか嫌なこと聞いてしまって」

「別に構わん、金色熊は諦めるのに納得したか?」

「してないぜ!」

「何故だ?」

「あんたが金色熊を恐れているのは分かったが俺たちが諦める理由としては不十分だ、それに何としてもやり遂げなきゃならないことなんだよ」

「…」

「…もういいか?」

「あぁ、お前のような蛮勇の馬鹿を何度も見た…勝手にしろ、寝床は好きな部屋を使え」

 老人は憐れむような眼で僕たちを眺める。そのまなざしは昔の自分たちの姿を重ねているようだった。いや、それにしては些か気になるところもけど。こんな事を考えている中で、サミエムはそんなことお構いなしに部屋の品定めに入っていった。
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