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嫉妬の章
第10話 検問所の日常
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「いってらっしゃいませ…」
かすれた声で老人が僕たちを見送る。写真で見た彼らしき人は力溢れる若い青年だったが嫉妬帝に全てを奪われてしまった。今では見る影もない…生命の残りかすほどの力しか感じられない。いくら自身が治める領地だからといってこのような横暴を見逃すわけにはいかない。やる気がどんどん湧いてきた。
「おーい、何やってんだー」
「す、すみません!すぐに行きます」
次なる目的地はラベンスト東地区、先ほど上がった嫉妬帝が治める首都である。いきなり首都までと最初は驚いたが、実はこの首都…大きいのだ。嫉妬帝領土の過半数以上を占める首都ラベンストは他の帝王が治めるものと比べてもトップクラスの広さを誇る。その代わりにそれ以外は運悪く入ってしまった通称外れ町が数個ほどだけの規模で、全体の広さ的に言えば最下位となる。何ともアンバラスな国だ…そして、僕たちの旅はまだまだ続くのであった。
「次の者、入れ!」
高圧的な鎧を着た男たちと簡易的なテント、前方には巨大な門…ここはラベンスト東地区の検問所だ。この雰囲気にはいつまで経っても慣れると思えないな、静かに心の中で愚痴をこぼす。
「思ったよりも時間がかかるな…」
「仕方があるまいよ、旦那」
「ここはいつもこんな感じなのですか?」
「いや、少し前までは軽い荷物検査程度だったよ」
「ということは強化されている…」
「まぁ絶対に崩れない均衡が今破られたのだから無理もない」
他人事のようにそれを肯定すれば幾分かは怪しくない会話だったろう。しかし、肯定するほど僕は自分自身の行いを軽く見てはいない。世界に点在する7つの巨大権力、拮抗する力のバランスを崩すということは戦争の火だねに十二分になる。ライゼンが嬉々として話していた。この史上に残る出来事の立会人になれるという貴重な体験が出来たと…
「おーい、旦那!」
「は、はい?どうかしましたか?」
「どうもこうもないぜ、俺たちの順番だ」
「…分かりました」
薄い布を隔てた決戦場に僕たちは入っていくのであった。
「荷物はそっちの者に渡せ、怪しいものがないかチェックしておく」
「了解だ、ほらよ」
「……よし、これからいくつか質問をしていく」
「どうぞどうぞ、商人の我々に何をお聞きで?」
「まずは領地に入る目的、次に素性、さらに」
「おいおいおい、領地に入る目的なんて商人なら1つだろ?それに素性?冒険者証を見せれば済む話じゃないか…早く行きたいんだがなぁ」
「ほう、中々頭が回るじゃないか…流石は商人といったところか?よかろう、話を遮った非礼を流して最後にこれだけ聞こう…暴食帝は健在か?」
「はぁ…知りませんな、風の噂によると何者かによって打ち取られたなんて話も聞きますが私からすればデマにしか思えません」
「なるほど、よかろう…ここを通行したまえ」
「ありがとうごぜぇやす」
ヘリオはそんなことを言いながら無言で金貨を机の上に置く。誰がどう見ても賄賂なのだがそれを目の前にいる騎士は平然と自身の手持ち袋の中に締まった。ここではそういったことが頻繁に行われているのかと思えるぐらい贈賄は手早くスムーズに目の前で起こった。別にこちらが有利になるので問題はないが、何かもやもやしたものが心に残るような感じだ。開門された巨大都市への入り口を見てそんなことを考えていた。
シンプルなデザインだが活気ある街並みは流石は帝王のおひざ元と言うべきだろう。中々の賑わいだし、豪華絢爛で目まぐるしいような活気ではないので好感というか何というか…一見すると住みやすいとも思える。独裁国家の体裁をした中央政府があることを除けばの話だが。
「…あの店だな、ついてきてくれ」
「えぇ、あんまりパッとしないカフェだなぁ」
「文句を言うな、美味いかもしれんだろ」
「へっへっへ、師匠は俺がどこの出身かご存知ないようだ…俺はあの」
「サミエム、それ以上は話すな…俺は早くこの店に入りたい」
「な、なんだよぉ…分かったよぉ」
怒られて拗ねてしまったのか口をとんがらせて素直に命令に応じる彼を見ていると子供らしくて少し面白かった。
かすれた声で老人が僕たちを見送る。写真で見た彼らしき人は力溢れる若い青年だったが嫉妬帝に全てを奪われてしまった。今では見る影もない…生命の残りかすほどの力しか感じられない。いくら自身が治める領地だからといってこのような横暴を見逃すわけにはいかない。やる気がどんどん湧いてきた。
「おーい、何やってんだー」
「す、すみません!すぐに行きます」
次なる目的地はラベンスト東地区、先ほど上がった嫉妬帝が治める首都である。いきなり首都までと最初は驚いたが、実はこの首都…大きいのだ。嫉妬帝領土の過半数以上を占める首都ラベンストは他の帝王が治めるものと比べてもトップクラスの広さを誇る。その代わりにそれ以外は運悪く入ってしまった通称外れ町が数個ほどだけの規模で、全体の広さ的に言えば最下位となる。何ともアンバラスな国だ…そして、僕たちの旅はまだまだ続くのであった。
「次の者、入れ!」
高圧的な鎧を着た男たちと簡易的なテント、前方には巨大な門…ここはラベンスト東地区の検問所だ。この雰囲気にはいつまで経っても慣れると思えないな、静かに心の中で愚痴をこぼす。
「思ったよりも時間がかかるな…」
「仕方があるまいよ、旦那」
「ここはいつもこんな感じなのですか?」
「いや、少し前までは軽い荷物検査程度だったよ」
「ということは強化されている…」
「まぁ絶対に崩れない均衡が今破られたのだから無理もない」
他人事のようにそれを肯定すれば幾分かは怪しくない会話だったろう。しかし、肯定するほど僕は自分自身の行いを軽く見てはいない。世界に点在する7つの巨大権力、拮抗する力のバランスを崩すということは戦争の火だねに十二分になる。ライゼンが嬉々として話していた。この史上に残る出来事の立会人になれるという貴重な体験が出来たと…
「おーい、旦那!」
「は、はい?どうかしましたか?」
「どうもこうもないぜ、俺たちの順番だ」
「…分かりました」
薄い布を隔てた決戦場に僕たちは入っていくのであった。
「荷物はそっちの者に渡せ、怪しいものがないかチェックしておく」
「了解だ、ほらよ」
「……よし、これからいくつか質問をしていく」
「どうぞどうぞ、商人の我々に何をお聞きで?」
「まずは領地に入る目的、次に素性、さらに」
「おいおいおい、領地に入る目的なんて商人なら1つだろ?それに素性?冒険者証を見せれば済む話じゃないか…早く行きたいんだがなぁ」
「ほう、中々頭が回るじゃないか…流石は商人といったところか?よかろう、話を遮った非礼を流して最後にこれだけ聞こう…暴食帝は健在か?」
「はぁ…知りませんな、風の噂によると何者かによって打ち取られたなんて話も聞きますが私からすればデマにしか思えません」
「なるほど、よかろう…ここを通行したまえ」
「ありがとうごぜぇやす」
ヘリオはそんなことを言いながら無言で金貨を机の上に置く。誰がどう見ても賄賂なのだがそれを目の前にいる騎士は平然と自身の手持ち袋の中に締まった。ここではそういったことが頻繁に行われているのかと思えるぐらい贈賄は手早くスムーズに目の前で起こった。別にこちらが有利になるので問題はないが、何かもやもやしたものが心に残るような感じだ。開門された巨大都市への入り口を見てそんなことを考えていた。
シンプルなデザインだが活気ある街並みは流石は帝王のおひざ元と言うべきだろう。中々の賑わいだし、豪華絢爛で目まぐるしいような活気ではないので好感というか何というか…一見すると住みやすいとも思える。独裁国家の体裁をした中央政府があることを除けばの話だが。
「…あの店だな、ついてきてくれ」
「えぇ、あんまりパッとしないカフェだなぁ」
「文句を言うな、美味いかもしれんだろ」
「へっへっへ、師匠は俺がどこの出身かご存知ないようだ…俺はあの」
「サミエム、それ以上は話すな…俺は早くこの店に入りたい」
「な、なんだよぉ…分かったよぉ」
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