魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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嫉妬の章

第14話 張りぼての攻略

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 ラベンスト中央区への進入許可証と商売自由権という商人が欲しがる2大権利を1日にして手に入れた僕たちは拠点となる店舗を探していた。それにしても代り映えのしない街並みだ。普通なら帝都、いわゆる帝王のおひざ元というのはもっと豪華絢爛としているとばかり…いや、これはこれで親しみやすいが…

「ここだ」

「ここが…ってあんまりそういう雰囲気ないですけど」

「そんなの出してるほど間抜けじゃないってことだ、旦那」

 ヘリオが少し躊躇いながら扉にてをかける。一応会合に参加するというのはあちらに伝わっているが、秘密結社の体裁を取ったギャング相手に警戒せず会えるかと聞かれれば、答えは否定が過半数を占めるだろう。たとえ歴戦の諜報員だとしても…



 埃っぽく薄暗い室内は正しく隠れ家というにふさわしい装いだ。しかし、不気味な場所だ。部屋が暗いからだとかそういうものから来るような抽象的な圧迫感ではない。もっと直接的で…

「な、なぁ…めっちゃ見てるんだけど」

 無言で頷くことしか出来ないが、異様な光景には違いない。ずっと見ているのだ、この埃っぽい空間の中、瞬きもせずずっと…奥で座っている4人、カウンターにもたれかかっている3人一切視線を逸らすことなく、じっと見ている。

「黙っていても仕方がない…ほら、これで俺たちが何をしに来たか分かっていただこうか」

 奥にいる彼らに密書のようなものを差し出した。それを1番年配の男が手に取り、読み始めた。数枚に渡る書物だったが、彼はすぐに読み終え、手信号で何か伝えようとしている。何か規則性があるようなないような…不思議な暗号だが、どこかで見たような気がする。

「すまないが会話はこれを通してやってもらえると助かる」

 ため息をつきながら差し出した魔導石タブレットを手に取り、おぼつかない手つきで打ち始める。

(ようこそ、歓迎するよ図々しい新入り)

「懐の深い先輩に感謝するよ」

(早速だが会合を始めるぞ、同志諸君…まずは新入りの紹介だ)

(我々はWLDの諜報員、私がヘリオでこっちの2人が灰崎とサミエムだ)

(強欲帝を味方だとは思わないが、心強い仲間を手に入れたとは思わないか?)

 数人が合図をしている。表情で何を話しているか分かればいいのだが、とんでもなくポーカーフェイスな連中だからそれも出来ない。

(さて、かねてから立てていた嫉妬帝への襲撃計画から暗殺計画に変更する…しかし、予定は変わりない上にこんな強力な仲間を手に入れられるのだ、文句はないだろう)

「…随分と高く買われているんだな」

(最後に実行日は1週間後の建国記念日だ、各々入念な準備の後中央広場時計台に集合せよ…では、努力が全て反映される理想郷を目指して…)

 彼らは一斉に立ち上がり建物を後にした。誰の合図もなく何故一斉に行動出来たのだろう?そんな疑問を考えていると見知った顔が通り過ぎたような気がして、振り返るが誰もいない。まぁこんな所に顔見知りなんているはずもないだろう。僕たちは静かに廃墟のような物件から次の宿へと向かった。



「いやーこれからどうしようか?」

「思ったより時間はありますが、そんなに遠くへは行けないと思いますよ?」

「…だよな、でもこの辺何にもないし」

 確かにサミエムの言ったように周囲に観光名所と呼ばれるような目立った建造物や珍しい動物なんてものはない。驚くほど普通な町並みで退屈である。特訓って言っても1週間でどうこう出来るような問題じゃないし、かといって何も準備しないってのもダメだろうし…いや、怪しい動きなんてしてたら計画がバレてしまうじゃないか。

「灰崎、お前の端末鳴ってるぞ?」

「え?どれどれ……」

「ど、どうしたんだよ」

「これを見てくれ」

「…!これって」

「どうやら僕たちは攻めに囚われ過ぎて内部に潜む者に気がつかなかったようです」
 
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