魂術師(ソウルテイカー)は産廃最強職!

トリカブト

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怠惰の章

第1話 幻の地を求めて

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「あぁ…暑いですね…」

「そうだな」

「こんなに暑いと嫌になりますね!」

 サミエムが無言で頷く。とうとう返事すら無言になり始めた。あの日から数日…僕らはあるのかないのか分からないもの必死に探している。ここは暴食帝領と嫉妬帝領の丁度間にある大森林だ。数週間前にヘリオと共に抜けたあの森である。今は亡き彼との記憶が嫌でも蘇るような地にわざわざ来させられた訳は1つ…幻の怠惰帝領を見つけるためだ。

「本当にあるのかなぁ」

「俺たちが暗殺計画をしていた時から探していたらしいぜ」

「いくら何でも時間がかかり過ぎだよ、まだ痕跡すら見つかってないし…やっぱり強欲帝の情報が間違っているんじゃ…」

「間違っててても正しくても俺たちは怠惰帝を見つけるしか生き延びるのは難しいって話だ、やるしかない」

 その通りだ…と相槌を打とうとしたが彼の鬼気迫るような怒りや恨みの感情に圧倒され、僕はもう喋れなかった。それも仕方がないだろう、彼はこの短い期間の中で親や兄弟、更には師匠まで失っている。もはや取り繕う顔すらない。そんな状態で休みなくミッションを与えられている。だが…

「サミエム、時期に日が暮れてしまうよ」

「…」

「ここからだと南西キャンプが近いからそこで今日は休むとしよう」

「あぁ、そうだな」

 僕は嘘をついた。あれから一睡もしてない彼を気遣わなければ壊れてしまうだろう。そう思い、真上から射す日差しを見ないふりをした。



 この大森林はとんでもない広さを誇る。世界で最も広大な森林と言って過言ではない。それを隅々まで探索するには数日では不可能だ。だから、森林の各地に拠点となるキャンプを建て、長期戦に備えた…らしい。最低限のものは揃えているだけの小屋だが、野宿よりはましだ。そう野宿よりは…

「灰崎、食事にしようか」

「そうだね、えっと……ここは結構食材が揃っているな」

「ラクスウェルから1番近いからな、北東キャンプは酷かった」

「確かにあれは酷かった…よし、今日はたくさん食べるとしよう!」

 意気揚々と乱暴に扱われていたであろう調理器具を集めていると玄関が開く。ここは探索拠点だから珍しくはないが、少し驚いた。自分で言うのもなんだがまだ帰るには早いと思われる時間だ。しかし、責めることは出来ないだろう。僕らもサボっているし、こんな無茶ぶりをされているのだ。やる気を失っても仕方ない。

「おっ、先客か」

「今食事の準備をしているから手伝ってくれ」

「いいぜ、こいつを使ってくれ」

「…うっす」

「ありがたい限りです」

「んでだ、情報を共有したいからあんたと話がしたい」

「…なるほど、分かりました…サミエム、あとは頼みますよ」

「分かった」

 他の探索チームと拠点で会えば交流の意味をこめて情報交換することが多い。すぐに見つかるものならこういう手を取り合って~とかの仲良しこよしでぬくぬく進めず、我先にと競争する。しかし…

「あ~すまない、実は俺んとこに新入りの奴が来てな…しかも、こいつ作戦を知らずについて来やがった」

「は、はぁ…分かりました、じゃあ最初から教えましょう」

「お、お願いします!」

「我々が探しているのは怠惰帝領、幻の地と呼ばれるユグドラシルです」

「あの伝説の大陸を背負うと言われる化け物ですか?」

「はい、本来ターゲットは地中に住み、絶えず動き続ける…だから、地表で変化があるはずですが」

「残念だが見つからねぇって話だ、噂だが食虫植物ならぬ食人植物の胃袋からあいつの住む場所に行けるらしいぜ」

「それが本当なら…いえ、何でもありません」

「飯が出来たぞ、続きはこれを食ってからだ」

「はは、ありがてぇ!ここ最近は北やら東やらでまともな飯なんて久しぶりだ!」

 暫しの間、任務を忘れて豪華な食事を楽しんだ僕らはその後何もなかったという報告をしあって、眠りについた。
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