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この道の行く末には。
prologue
しおりを挟む朝日が、差しこんだ。眩しさに顔をしかめて、横にころがる。それでも消える気配のない光に、ゆっくりと起き上がった。
「(……さむ、)」
眠りから覚めたばかりにはきつい寒さ。回避するために、巻きつける毛布。さっきまでの睡魔までもがこもっていそうなそれに守られながら、冷たいフローリングに足をつけた。爪先立ち、たどたどしい歩みで窓のそばに向かう。しゃっ、と勢いよく引けば、オフホワイトのシンプルなカーテンが、ふわりと踊った。ついでに、窓をも全開に。吐き出す息は、一瞬で儚い煙へと変わる。
ぱき、と固い何かが勢いよく割れたときのような空気が流れ込んでくる部屋。クリアになっていく思考の中で、私がこれまでに積み重ねてきた“たくさんの記憶”を、たどった。
きっと“今日”が終われば……本当の、さよなら。チャンスがあるとするのなら“今日”だけ、なのだろう。今日、だけ。今から、この日常が終わるまで、だ。
「…………卒業、か。」
それならば、もう……自分の感情を、優先しよう。だって、最後だし。うん。思うように、動こう。
重たい息をひとつ落とし、学校に向かう準備を開始する。
あなたと≪同じ場所≫で過ごせる≪最後の1日≫が、はじまった。
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