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第二章 花芽
03 インターハイじゃない?
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夏休みに入って早々僕は校長に呼び出された。
「今日は私服で良いって言われてきたんですけど脱がなくてもいいんですか?」
「校長室で何を言ってるの?脱ぐのは私の部屋だけでいいってこの間も言ったでしょ?」
「それは一応聞きましたけど、最近特に用らしき用もなく何度か呼び出されましたから、そろそろここもソラ先生の私室扱いになったみたいな気がしてきたもので、一応確認はしておかないとって思っただけです。他意はありません」
「そう?それならいいのですが?」
ちなみに僕とソラ先生は気軽に話をしているが、校長室の中には20人ぐらいの生徒と教師が集まってる。
僕とソラ先生の気軽な会話は全員の目を剥かせて口を開かせる効果があったらしい。
「さてと、とりあえず予定している者達が集まった様なので、自己紹介から始めましょう」
ソラ先生…村雨校長が、校長先生用の横に長い机の後ろで立ち上がり、僕を手でシッシッて追い払い、話を始めた。
今日僕が校長室に呼ばれたのは、夏の陸上競技大会の参加者の顔見せみたいな事をする為だったらしい。
特に立ち位置なども決まってないらしく、知り合い同士とか同じ競技の出場者らしき集団が出来ている。
陸上競技とかそこまで興味なかったのもあって、僕は詳しくは知らなかったのだが、どうも夏の高校生の陸上大会いわゆるインターハイとは違う大会の話らしい。
「ねぇ、阿部さん。ちょっといい?」
「…さすがにあたしもここでは相手は無理だ。後にしてくれ」
小声で聞いたら小声で返された。
今僕させろとか一言でも言ったか?こいつの頭の中はセックスしかないんか?
「したいとかって話じゃなくて、この大会って何なのか聞きたいだけ」
「あぁ、えっと…グランプリシリーズとかって奴だ。なんか年間のポイントで色々あるらしい」
「そうなの?ポイント…じゃぁ阿部さん他にも色々出てるの?」
「あぁ、っとあたしの番だ」
僕の質問に答えてくれていた阿部さんの自己紹介の番になった。
「阿部 真紀子、女子100mと200mに出場します」
おっと次は僕の番みたい。ソラ先生が僕を見た。
「谷口 新之助です。阿部さんの専属ネージャーです」
っと!?他の女子の参加者の視線が一気に僕に向いた。
僕はちょっと怖くなり、阿部さんの後ろにこそっと隠れて視線をやり過ごした。
「ねぇ、なんで今あんな目を向けられたの僕?オシッコチビルかと思った」
「あぁ、あたしの記録が一気に上がった理由をみんな知りたがってんだ。で、専属マネージャーを雇ったって言ったから多分そのせいだ」
「2人とももう少し静かにしなさい。まったく」
顧問の坂本先生に睨まれた。
自己紹介が終わって校長からの激励の言葉があってそのまま解散になった。
そして一気に囲まれる僕と阿部さん。
「真紀子の専属ってこの子なの?」
「ちょっと意外だったな。有名なトレーナーが来ると思ってた」
「谷口君って2組の最近よく聞く人だよね?」
「あー聞いた事ある。誰にもなびかなかったあのモデルの子と付き合ってるって聞いたよ?」
すごくジョシジョシした空気が充満した空間になった。
「えっと…美里とは、はい。あーでも付き合ってるっていうのは事務所から公にするなって言われてるんでできればナイショで…」
「ワッ♡そんな話とかやっぱりあるんだ♡」
「ねぇねぇもうキスとかしたの?」
「やっぱり付き合ってたんだーへ~♡」
ここだけすごくJKワールドです。
キャイ♪キャイ☆キャピ♡キャピωワイ♂ワイ♀です。
そして少し離れた所に男子の輪があり、そこら辺から静かに殺意の高そうな視線が僕にチクチクと届いていた。
そんな目で見るな。そっちはそっちでキャピキャピしてろよ。
ちなみに今回の大会には阿部さんも合わせて全部で7名の女子が出場するらしく、阿部さんと2年生の子が2人と1年生の子1人の計4名が短距離走に出て、1年生の子と2年生の子2名が長距離走に出て、3年生の子1名が走り高跳びに出るらしい。
男子の方は自己紹介の時に何か言ってたと思うが記憶に残らなかった。
そして僕と阿部さん達は女子陸上部の部室に移動して、詳しい日程とか宿泊予定なんかの話をする事になった。
「えっと…」
とりあえず短距離の子達が集まった集団に僕も放り込まれたんだけど…
「?…あぁ、私は加藤 涼子よ。400m走に出るわ。早く覚えてね」
「私は木村 梨々香!100m走だよ。こっちが小川 葵200m走に出るの!それと4人で4×400mリレーに出るからよろしくね!」
「小川ですよろしくお願いします」
「はい。頑張って覚えるんでよろしくです」
「とりあえず自己紹介はいいな。私は残りの3人と話をしてくるからこっちは阿部、頼むぞ」
「はい!」
顧問の坂本先生は少し離れた所に座ってこっちを見ていた3人の元に移動して行った。
大会開催中の格競技が行われる日付が違う為、今回は短距離組とその他で別れて動く事になるらしい。
「あーそれでだ。えっと…」
阿部さんが坂本先生に渡された資料をテーブルに広げて焦ってる。
「はいはい阿部さんこっちに貸して」
加藤さんと木村さんが慣れてる感じに阿部さんの前から資料をさらって確認を始めた。
「阿部さん上級生じゃないの?」
「マネージャーがこういう事ってすんじゃねぇの?」
僕と阿部さんが責任の擦り付け合いをしている間に宿泊施設と移動時の新幹線の席割りなどがあっという間に決まった。
「2人とも慣れてるね」
「そりゃぁ阿部さんに任せてたら事務系の事は何も決まらないからね」
「あたしも阿部さんとおんなじ感じだったけど阿部さん見てこのままじゃだめだって思ったんだ」
「あたしなんかバカにされてねぇか?大丈夫か?」
1年生の子はにこにこした顔で3人の言い合いを眺めてるだけで口は出さなかった。
「小川さんってけっこう無口な子なんだね」
何気なく声を掛けたら顔を一気に赤くして下を向いてしまったのは…?
「お前は小川を弄るな。そいつは男が少し苦手だから」
阿部さんに言われて小川さんが僕から一番遠い所に座っていた事に気付いた。
それと阿部さんの表情が質問をするなって言ってるような感じだけど…
まぁ、僕も嫌われてまで近づきたいって思う訳じゃないんで別にいいんだけどね。
とりあえず移動日時と乗車する新幹線、現地で使うバスなどの詳細が書かれた紙を1枚貰ってミーティングは終わった。
阿部さんと歩いて校門を出て歩いてると阿部さんが僕をチラチラ見てるのが気になる。
「どしたの?何か気になる事でもあった?」
ここんとこ毎日、挨拶しながらユニフォームをちょっとずらして一気に奥まで突っ込んで生中だしセックスする仲になってる阿部さんが、僕にいったい何を遠慮してんだ?
「ん…実はな、南と下村に話を聞いてからなっ、ちょっとその…いいか?」
阿部さんが自動販売機を親指で指して行く様に促した。
ノースリーブのオレンジと黒のシャツに黒スパッツ姿の阿部さんってそんなワイルド系な仕草が良く似合うね。
プシュッ
ペキョッ
おごってもらった炭酸飲料を一口含むと汗がどっと噴き出る感じがした。
学校に近い河川敷の堤防に作られたランニングコースのへりを歩きながら、何か言いたそうな感じで前を歩く阿部さんに付いて歩いていると、やっとの事で意を決したらしい阿部さんが立ち止まり僕の方を見た。
「あのな、あたし…お姫様抱っこってされた事がなくてな?それで…」
とっても可愛い感じに顔を赤くしてしゃべり始めた阿部さん。
「それで?」
「その…お前ってすごいんだろ?」
…何の事を言ってるんだろ?
「すごい…まぁ…自分で言うのはあれだけど体はそこそこ自信あるよ?」
「だからその…抱っこでその…」
「抱っこして何かして欲しいの?」
「うん。南と下村みたいに抱っこして…」
2人にしたお姫様抱っこはあの時だから…
「これで運んだらいいの?」
僕は阿部さんをお姫様抱っこしてランニングコースを軽く走ってみた。
「わっ!わっ!!…びっくりしたぁ…お前こんな速さで走っても足首とか痛めないのか?」
「これぐらいじゃぁ何ともないな。とりあえずこれぐらいまでなら特に問題無い…ぞ!」
「んうっ!はぁぃっ!っくっ!キャーーーーーー!」
河川敷の反対側にあるランニングコースまで100mぐらい離れていたが、3段跳びみたいに飛んで移動したら阿部さんのとても可愛らしい悲鳴が耳元で聞けた♡
「お前はいきなりなんてことをするんだ!相手の事も少しは考えろよな!今替えの下着とか持って来てないんだから!」
どうも女の子って抱っこされた状態で自然落下する感覚がとても怖いのは誰でも一緒みたい。
阿部さんにもあの時の美里みたいに怒られた。
その後僕は、大人用フリーサイズパンツとなんか漏れても少し頑張る何かを指定されてコンビニまで買いに行かされた。
「実はな、小川だけど…ふぅ」
河川敷の中の自然に生えた雑木の陰の辺りまで移動してきて阿部さんが僕の目の前でスパッツを脱いでパンツを穿き替えた。僕はこの姿を特に興奮する事なく見てられているのだが、これはどういう事なんだろうか?
僕はもしかして阿部さんのユニフォームを少しずらしてそこら辺を晒す姿でしか興奮できない体になってしまったのだろうか?
「あいつもあたしと同じ被害者だったんだ」
いや、他の子のパンツ脱ぐ姿を想像したらオチンチンが…
「えっ?同じ被害者ってのはあの事件の?」
自分の性癖の事を真剣に考えていたら、結構真剣な話が始まっていた。
「あぁ、あいつも元々あたしと同じスポーツ特待生として入学が決まってたんだけど、あいつ入学する少し前に足を少し痛めたらしくてな」
確か阿部さんみたいな感じに学校に入ることになった人って結構前からそれが決まってるって聞いた事がある。その為に体を壊したりした場合に入学資格を取り消されたりする事があるらしいが、それも4月もギリギリにそんな事になったりした場合に、そのまま入学資格をもらえるかどうかなんて話は聞いた事も無かったが…でも、もらえなかったらいろんな意味で人生終わる気がする。だから入学できそうな気がするけど、そうなったらそうなったでなんか大変だろうなって思うな。
阿部さんみたいに結果を残していれば試験などはある程度大目に見てもらえるらしいが、成績が残せない人って普通に試験をパスして入った連中と同じ成績基準で落第とか退学を測られるって阿部さんも少し前に言ってた。
「それって…あぁそうか、彼女ってもしかしてあのお湯に浸かって治した?」
「そう。一応ケガ自体はもう完全に治ってるって言ってたけど記録が全く伸びなくてな。でも大会に出られる程度の記録は出せるんだけど…自己ベストを更新できないらしくてなぁ…」
「スポーツの世界も大変なんだね」
んっ?なんか…阿部さん期待してたのと違うって顔してないか?
「なぁ阿部さん?僕に何を期待してるの?僕は誰にでも手を差し伸べる聖人君子なんて奴じゃないんだよ?」
「…それはまぁ言われるまでも無く分かってるけどさぁ。でもあたしと同じ様な目に遭ってた後輩が居るのにあたしだけがお前の力をもらえてるってのが少し心苦しくてな」
なるほど。それはまぁ思うかもしれないな。
阿部さんってこれまで誰にも頼らずに自分で何でもしてきた感じの人だから…いや、でも最近は僕との朝一セックスに溺れて快楽と記録の伸びを喜んでる節があるな。
「でもさぁ、阿部さんと小川さんにあんな事毎日するってなると、そのうち陸上部の女子全員同じ感じに~とかなる気がしない?さすがにそこまでになったら美里も黙ってないと思うよ?」
「そうなんだよなぁ…問題はそこなんだよ。だからさぁ、一回みっちり犯しまくるとか強化セックス合宿みたいな事をしてよぉ、お前としなくても今までの記録を維持できるような感じに出来ないかとか考えてるんだけど、それってどうなんだ?」
とんでもない提案してきたな。って言うか考えてる事が完全に脳筋だ。
「どうなんだって言われてもなぁそもそもアレの効果が1日ぐらいしか無いから今は毎日挨拶するみたいにセックスしてる訳で…そこらはソラ先生に聞いてみないとまったく分かんないなぁ」
「じゃぁ一回あたしの方から話をしてみるからもし何とかなりそうなら頼めるか?」
「えっと…確か、次の大会まではマネージャーとして付き合うって話になってたから、一応そこらまでなら大丈夫だと思うよ。それから先はまた話をしてからになると思うけど…」
「おっしゃぁ!じゃぁちょっくら行ってくるな!」
阿部さんはすごく綺麗なフォームであっという間に僕の前から消えた。
なんとなく今年の夏のキャッチフレーズは『気合いと根性と性欲』で決まった気がする。
ため息とともに空を見上げると、日差しで顔が熱かった。
「今日は私服で良いって言われてきたんですけど脱がなくてもいいんですか?」
「校長室で何を言ってるの?脱ぐのは私の部屋だけでいいってこの間も言ったでしょ?」
「それは一応聞きましたけど、最近特に用らしき用もなく何度か呼び出されましたから、そろそろここもソラ先生の私室扱いになったみたいな気がしてきたもので、一応確認はしておかないとって思っただけです。他意はありません」
「そう?それならいいのですが?」
ちなみに僕とソラ先生は気軽に話をしているが、校長室の中には20人ぐらいの生徒と教師が集まってる。
僕とソラ先生の気軽な会話は全員の目を剥かせて口を開かせる効果があったらしい。
「さてと、とりあえず予定している者達が集まった様なので、自己紹介から始めましょう」
ソラ先生…村雨校長が、校長先生用の横に長い机の後ろで立ち上がり、僕を手でシッシッて追い払い、話を始めた。
今日僕が校長室に呼ばれたのは、夏の陸上競技大会の参加者の顔見せみたいな事をする為だったらしい。
特に立ち位置なども決まってないらしく、知り合い同士とか同じ競技の出場者らしき集団が出来ている。
陸上競技とかそこまで興味なかったのもあって、僕は詳しくは知らなかったのだが、どうも夏の高校生の陸上大会いわゆるインターハイとは違う大会の話らしい。
「ねぇ、阿部さん。ちょっといい?」
「…さすがにあたしもここでは相手は無理だ。後にしてくれ」
小声で聞いたら小声で返された。
今僕させろとか一言でも言ったか?こいつの頭の中はセックスしかないんか?
「したいとかって話じゃなくて、この大会って何なのか聞きたいだけ」
「あぁ、えっと…グランプリシリーズとかって奴だ。なんか年間のポイントで色々あるらしい」
「そうなの?ポイント…じゃぁ阿部さん他にも色々出てるの?」
「あぁ、っとあたしの番だ」
僕の質問に答えてくれていた阿部さんの自己紹介の番になった。
「阿部 真紀子、女子100mと200mに出場します」
おっと次は僕の番みたい。ソラ先生が僕を見た。
「谷口 新之助です。阿部さんの専属ネージャーです」
っと!?他の女子の参加者の視線が一気に僕に向いた。
僕はちょっと怖くなり、阿部さんの後ろにこそっと隠れて視線をやり過ごした。
「ねぇ、なんで今あんな目を向けられたの僕?オシッコチビルかと思った」
「あぁ、あたしの記録が一気に上がった理由をみんな知りたがってんだ。で、専属マネージャーを雇ったって言ったから多分そのせいだ」
「2人とももう少し静かにしなさい。まったく」
顧問の坂本先生に睨まれた。
自己紹介が終わって校長からの激励の言葉があってそのまま解散になった。
そして一気に囲まれる僕と阿部さん。
「真紀子の専属ってこの子なの?」
「ちょっと意外だったな。有名なトレーナーが来ると思ってた」
「谷口君って2組の最近よく聞く人だよね?」
「あー聞いた事ある。誰にもなびかなかったあのモデルの子と付き合ってるって聞いたよ?」
すごくジョシジョシした空気が充満した空間になった。
「えっと…美里とは、はい。あーでも付き合ってるっていうのは事務所から公にするなって言われてるんでできればナイショで…」
「ワッ♡そんな話とかやっぱりあるんだ♡」
「ねぇねぇもうキスとかしたの?」
「やっぱり付き合ってたんだーへ~♡」
ここだけすごくJKワールドです。
キャイ♪キャイ☆キャピ♡キャピωワイ♂ワイ♀です。
そして少し離れた所に男子の輪があり、そこら辺から静かに殺意の高そうな視線が僕にチクチクと届いていた。
そんな目で見るな。そっちはそっちでキャピキャピしてろよ。
ちなみに今回の大会には阿部さんも合わせて全部で7名の女子が出場するらしく、阿部さんと2年生の子が2人と1年生の子1人の計4名が短距離走に出て、1年生の子と2年生の子2名が長距離走に出て、3年生の子1名が走り高跳びに出るらしい。
男子の方は自己紹介の時に何か言ってたと思うが記憶に残らなかった。
そして僕と阿部さん達は女子陸上部の部室に移動して、詳しい日程とか宿泊予定なんかの話をする事になった。
「えっと…」
とりあえず短距離の子達が集まった集団に僕も放り込まれたんだけど…
「?…あぁ、私は加藤 涼子よ。400m走に出るわ。早く覚えてね」
「私は木村 梨々香!100m走だよ。こっちが小川 葵200m走に出るの!それと4人で4×400mリレーに出るからよろしくね!」
「小川ですよろしくお願いします」
「はい。頑張って覚えるんでよろしくです」
「とりあえず自己紹介はいいな。私は残りの3人と話をしてくるからこっちは阿部、頼むぞ」
「はい!」
顧問の坂本先生は少し離れた所に座ってこっちを見ていた3人の元に移動して行った。
大会開催中の格競技が行われる日付が違う為、今回は短距離組とその他で別れて動く事になるらしい。
「あーそれでだ。えっと…」
阿部さんが坂本先生に渡された資料をテーブルに広げて焦ってる。
「はいはい阿部さんこっちに貸して」
加藤さんと木村さんが慣れてる感じに阿部さんの前から資料をさらって確認を始めた。
「阿部さん上級生じゃないの?」
「マネージャーがこういう事ってすんじゃねぇの?」
僕と阿部さんが責任の擦り付け合いをしている間に宿泊施設と移動時の新幹線の席割りなどがあっという間に決まった。
「2人とも慣れてるね」
「そりゃぁ阿部さんに任せてたら事務系の事は何も決まらないからね」
「あたしも阿部さんとおんなじ感じだったけど阿部さん見てこのままじゃだめだって思ったんだ」
「あたしなんかバカにされてねぇか?大丈夫か?」
1年生の子はにこにこした顔で3人の言い合いを眺めてるだけで口は出さなかった。
「小川さんってけっこう無口な子なんだね」
何気なく声を掛けたら顔を一気に赤くして下を向いてしまったのは…?
「お前は小川を弄るな。そいつは男が少し苦手だから」
阿部さんに言われて小川さんが僕から一番遠い所に座っていた事に気付いた。
それと阿部さんの表情が質問をするなって言ってるような感じだけど…
まぁ、僕も嫌われてまで近づきたいって思う訳じゃないんで別にいいんだけどね。
とりあえず移動日時と乗車する新幹線、現地で使うバスなどの詳細が書かれた紙を1枚貰ってミーティングは終わった。
阿部さんと歩いて校門を出て歩いてると阿部さんが僕をチラチラ見てるのが気になる。
「どしたの?何か気になる事でもあった?」
ここんとこ毎日、挨拶しながらユニフォームをちょっとずらして一気に奥まで突っ込んで生中だしセックスする仲になってる阿部さんが、僕にいったい何を遠慮してんだ?
「ん…実はな、南と下村に話を聞いてからなっ、ちょっとその…いいか?」
阿部さんが自動販売機を親指で指して行く様に促した。
ノースリーブのオレンジと黒のシャツに黒スパッツ姿の阿部さんってそんなワイルド系な仕草が良く似合うね。
プシュッ
ペキョッ
おごってもらった炭酸飲料を一口含むと汗がどっと噴き出る感じがした。
学校に近い河川敷の堤防に作られたランニングコースのへりを歩きながら、何か言いたそうな感じで前を歩く阿部さんに付いて歩いていると、やっとの事で意を決したらしい阿部さんが立ち止まり僕の方を見た。
「あのな、あたし…お姫様抱っこってされた事がなくてな?それで…」
とっても可愛い感じに顔を赤くしてしゃべり始めた阿部さん。
「それで?」
「その…お前ってすごいんだろ?」
…何の事を言ってるんだろ?
「すごい…まぁ…自分で言うのはあれだけど体はそこそこ自信あるよ?」
「だからその…抱っこでその…」
「抱っこして何かして欲しいの?」
「うん。南と下村みたいに抱っこして…」
2人にしたお姫様抱っこはあの時だから…
「これで運んだらいいの?」
僕は阿部さんをお姫様抱っこしてランニングコースを軽く走ってみた。
「わっ!わっ!!…びっくりしたぁ…お前こんな速さで走っても足首とか痛めないのか?」
「これぐらいじゃぁ何ともないな。とりあえずこれぐらいまでなら特に問題無い…ぞ!」
「んうっ!はぁぃっ!っくっ!キャーーーーーー!」
河川敷の反対側にあるランニングコースまで100mぐらい離れていたが、3段跳びみたいに飛んで移動したら阿部さんのとても可愛らしい悲鳴が耳元で聞けた♡
「お前はいきなりなんてことをするんだ!相手の事も少しは考えろよな!今替えの下着とか持って来てないんだから!」
どうも女の子って抱っこされた状態で自然落下する感覚がとても怖いのは誰でも一緒みたい。
阿部さんにもあの時の美里みたいに怒られた。
その後僕は、大人用フリーサイズパンツとなんか漏れても少し頑張る何かを指定されてコンビニまで買いに行かされた。
「実はな、小川だけど…ふぅ」
河川敷の中の自然に生えた雑木の陰の辺りまで移動してきて阿部さんが僕の目の前でスパッツを脱いでパンツを穿き替えた。僕はこの姿を特に興奮する事なく見てられているのだが、これはどういう事なんだろうか?
僕はもしかして阿部さんのユニフォームを少しずらしてそこら辺を晒す姿でしか興奮できない体になってしまったのだろうか?
「あいつもあたしと同じ被害者だったんだ」
いや、他の子のパンツ脱ぐ姿を想像したらオチンチンが…
「えっ?同じ被害者ってのはあの事件の?」
自分の性癖の事を真剣に考えていたら、結構真剣な話が始まっていた。
「あぁ、あいつも元々あたしと同じスポーツ特待生として入学が決まってたんだけど、あいつ入学する少し前に足を少し痛めたらしくてな」
確か阿部さんみたいな感じに学校に入ることになった人って結構前からそれが決まってるって聞いた事がある。その為に体を壊したりした場合に入学資格を取り消されたりする事があるらしいが、それも4月もギリギリにそんな事になったりした場合に、そのまま入学資格をもらえるかどうかなんて話は聞いた事も無かったが…でも、もらえなかったらいろんな意味で人生終わる気がする。だから入学できそうな気がするけど、そうなったらそうなったでなんか大変だろうなって思うな。
阿部さんみたいに結果を残していれば試験などはある程度大目に見てもらえるらしいが、成績が残せない人って普通に試験をパスして入った連中と同じ成績基準で落第とか退学を測られるって阿部さんも少し前に言ってた。
「それって…あぁそうか、彼女ってもしかしてあのお湯に浸かって治した?」
「そう。一応ケガ自体はもう完全に治ってるって言ってたけど記録が全く伸びなくてな。でも大会に出られる程度の記録は出せるんだけど…自己ベストを更新できないらしくてなぁ…」
「スポーツの世界も大変なんだね」
んっ?なんか…阿部さん期待してたのと違うって顔してないか?
「なぁ阿部さん?僕に何を期待してるの?僕は誰にでも手を差し伸べる聖人君子なんて奴じゃないんだよ?」
「…それはまぁ言われるまでも無く分かってるけどさぁ。でもあたしと同じ様な目に遭ってた後輩が居るのにあたしだけがお前の力をもらえてるってのが少し心苦しくてな」
なるほど。それはまぁ思うかもしれないな。
阿部さんってこれまで誰にも頼らずに自分で何でもしてきた感じの人だから…いや、でも最近は僕との朝一セックスに溺れて快楽と記録の伸びを喜んでる節があるな。
「でもさぁ、阿部さんと小川さんにあんな事毎日するってなると、そのうち陸上部の女子全員同じ感じに~とかなる気がしない?さすがにそこまでになったら美里も黙ってないと思うよ?」
「そうなんだよなぁ…問題はそこなんだよ。だからさぁ、一回みっちり犯しまくるとか強化セックス合宿みたいな事をしてよぉ、お前としなくても今までの記録を維持できるような感じに出来ないかとか考えてるんだけど、それってどうなんだ?」
とんでもない提案してきたな。って言うか考えてる事が完全に脳筋だ。
「どうなんだって言われてもなぁそもそもアレの効果が1日ぐらいしか無いから今は毎日挨拶するみたいにセックスしてる訳で…そこらはソラ先生に聞いてみないとまったく分かんないなぁ」
「じゃぁ一回あたしの方から話をしてみるからもし何とかなりそうなら頼めるか?」
「えっと…確か、次の大会まではマネージャーとして付き合うって話になってたから、一応そこらまでなら大丈夫だと思うよ。それから先はまた話をしてからになると思うけど…」
「おっしゃぁ!じゃぁちょっくら行ってくるな!」
阿部さんはすごく綺麗なフォームであっという間に僕の前から消えた。
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