楽園・ゲーム

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第一章 召喚前?

10 胎動

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とりあえずニナの尻尾を溜息を吐きつつ見ていたらニナにライトで顔を照らされて何も見えなくなった。
どうもニナ、ライトの攻撃方法を理解しつつあるらしい。
もしかしたら単に俺の顔を見たいが為に照らして確認したのかもしれないが…

よせよぉ~♪そんな見て楽しいほどの顔じゃないだろぉ~♪

他人が見たらちょっとだけ距離を取りそうな顔をして、しなを作りうねうと奇妙な動きをしているきよしであった。


おっと、こんな所でニナに試着させたウエディングドレスを見て『良く似合ってるよmyはに~♡ニナ♡』とか頭の中で言ってる場合じゃなかったな。

とりあえず腕時計を見てみるとAM9:02
ここまでの移動はニナを途中から抱っこして移動したので若干遅くなっていたかもしれないが実際には20分も掛かってない。
だとすればもう少し先まで確認しても大丈夫か?

そんな事を考えていたらニナが俺の着ているYシャツの袖を引っぱってそっと近づいて来て俺の首に右腕を回してきた。



もしかして…キスしろって感じなのか?
だってニナの顔が俺の首の辺りに近づいて来て…あっ…これは違うな、危ない危ない。
もう少しで勘違いしてしまうところだった。

ニナは単にここから動く為に俺に抱っこを促してきただけだった。
やっぱり女性との交友がまったく無い男って言うのは良くないなぁ…
ニナが首に回してきた腕がどうこう以前に俺の胸の辺りに当たるニナの柔らかい胸の辺りがもう…

気になってしょうがないんだよ!

しかもニナ…下着を着けてないんだからさぁ…
上は微微乳を感じ放題だし?下はほら…見たいって言えばすぐに脱ごうとしてくれるし?

おっと、君はマダ呼んでないからもう少しおとなしくしていてくれよ。
もしニナが気付いたら2回目は洞窟でしました♡
って歴史が刻まれてしまう可能性が高いんだからな。

とりあえずニナに気付かれない内に抱っこして階段を昇り始めたのだが…意識のある女の子を抱っこして移動するのって初めてではあるが、こんなに楽なものなのだろうか?
ここまでの洞窟内の移動も含めるとそろそろ15分程度はニナを抱っこして歩いていると思うのだが…

…まさかとは思うが、世の中には幼女だとか童女を抱っこしたら1.5倍の能力を発揮する連中が居ると聞いた覚えがあったが…もしかしたら俺もそんな連中の1人だったのだろうか?
昨日は岩の上り下りだけであれほどに疲れたって言うのに…

そう言えば俺…筋肉痛になってないな。
あっ、思い返してみれば30歳を超えた辺りからだが…軽い運動であれば次の日じゃなく2日後に来る事が何度かあったけど…でも昨日の運動量から考えたら次の日に筋肉痛が来て3日程度苦しむのが標準状態だと思うのだが…

もしかして少女とそんな事(SEX)をしたら若返る効果があったりするのか?
自分のそれまでの体力を思い出しながら急激に身体能力が上がっていることの理由を色々考えていたら気付いたら階段が終わる所まで上がってきていたらしい。
階段の最上段まで昇り、ニナが地面をライトで照らすとうっすらとほこりが貯まっているだけの平らな床面が見えた。

やはりここには何かの遺跡の様な物がありそうだな。

とりあえずニナをゆっくりと床に降ろしライトを受け取り左手でニナの手を握り♡周囲を照らしてみる。
俺は相当思考に耽っていた様だな。
階段を振り返ってみたら昇り始めるまでは洞窟の様な壁と天井と石積みだった階段がコンクリート製の何か規格に則って造られている様な階段に変わっていた。
そしてニナを降ろした階段の最上段の辺りはむき出しのコンクリート製の廊下が少し奥まで続いている様に見える。
とりあえず10mほどの廊下を歩いて移動すると廊下の突き当たりの全てが2枚の扉の様な物で塞がれているのを見つけた。

そして、突き当りのドア…イメージは非常階段に繋がる防火扉をもう一回り大きくした様なサイズの扉でどうも奥側に向かって開く様な作りになっているらしい。
ついでに言えばドアノブの様な物は存在しない。
扉自体は石とも鉄とも言えない様な…なんとなく古いイメージを持つ様に偽装された感じを受ける作りに見える。
扉の表面には幾何学模様の濃淡を感じさせる凹凸があり、ここだけ見ると何やら邪教か何かの建物に通じていそうな雰囲気を感じる。
実は清、こっちに来る前までしていた会社の業種が建築関係の仕事であり、清が所属していた部署はイベントなどの急造装置などを扱う所であった事から、そこそここの様なアトアクション風な装飾を持つ建材に馴染みがあった。
「イベント会場なんかに急造されたオブジェほどにチープな作りではないが…ポリプラ素材を使って鋳抜きした扉って感じだろうか?ちょっと作りが甘いなぁ…これでは客ががっかりする…んっ?」

扉の作りの甘さを感じて一瞬仕事モードになりつつダメだししてしまっていた清だが、言葉に出してダメな所を確認していたら全部を言い終わる前に足元から小さな振動を感じた。
そして扉の幾何学模様の中の一ヶ所が緑に光るのを見たと同時に振動がもう少し強くなったのを感じた。

こんな洞窟内で地震とかかなりまずい気がする。
もしここまでの道中が崩れでもしたらもう日の当たる場所に戻れなくなる。

自分だけであれば『あ~ここに居たら洞窟が崩れて死んだりするかもしれないなぁ…』などと他人事のように考えながらその場で立ち尽くしていたかもしれないが、足元からの揺れを感じた瞬間にニナを見て強く守らなければならない使命感を感じてしまった清、抱っこではまずいかもしれないと思いニナの腕を引っぱり自分の背に無理矢理引っぱり上げ背負って階段を3段飛ばしで走って降りそのまま洞窟も走って逃げた。
「ニナ!もっと強く腕で摑まれ!落ちるぞ!!」
両手の平にニナのお尻の柔らかさを感じ背中にニナの胸の辺りの柔らかさを感じつつ全速力で走って洞窟を移動する清は…
もしその姿を見かけた現代日本人が居たとしたら、『ふっ…あいつもそうか♪』と生暖かい目で見られそうなほどに力強かった。

そして洞窟の階段の上から5分もかからずに洞窟から逃げ出し太陽の光を顔に感じた所でそれまでの疲労を一気に感じた清はその場で両手を地面に着く姿で崩れ落ちた。
「キヨシԃԳբբ?ՄՓբյՇԹՁ?」
全力疾走後の視界が狭くなる感覚を覚えつつ息が整うのを待っていると、背中から降りたニナが自分を覗き込みながら何かを聞いてきたがとりあえず大丈夫だと頷きながらその後も荒い息を吐き続けて居ると、ニナが木のコップを持って近づいて来たのが見えた。

俺の嫁さん(予定)は気が利くなぁ♡

とりあえずOrz状態から胡坐をかいて座った清はニナが持ってきてくれた水を一気に飲んでやっと人心地付いた。
「ありがとうニナ。」
清の感謝の言葉を表情と声のトーンから感じたニナはもう一杯飲むかをジェスチャーで聞いてきたが、清はそれを否定して立ち上がり一緒に並んで歩いてソファーの置いてある場所にむかって移動を始めた。

さすがに地震があったすぐには洞窟には入らない方が良いな。

とりあえず人の造った物を見つけてもう少し詳しく確認したいという思いを感じつつも、ニナを悲しませる様な事は絶対にしてはいけないと思い未練を振り切りシートを置いていた場所まで戻ってきた所、レテーナがシートにだらんと弛緩した状態で寝転んでいるのを見つけた。
「お前は猫か?」
『何それ?』
片目だけを開いて否定の意思を尻尾を振りながら伝えてきたレテーナを溜息を吐きつつ見下ろし何をしていたのか聞いてみたところ、朝ニナが絵を描いて教えてくれた通りにニナの下の子(男か女かはまだ未定)の所まで食料を運んでいたとレテーナは答えた。

そしてニナとレテーナが俺の理解出来ない言語を使って話をしていたのをぼーっと聞いていたらニナがなんとなく申し訳なさそうな顔で俺に近づいてきた。
そして俺の近くの砂に座り地面に絵を描いて伝えてきたのは、
「…もしかしたらニナの弟か妹もここに来たいって言ってるって伝えたいのか?」
一応声に出して確認したらレテーナから『Yes』の答えが感じられた。

ふむ…ニナとレテーナと弟か妹との生活…

清の頭の中では今朝の想像がもう一歩進んだ未来予想が行われていたが、今回も舞台は自分の住んでいたアパートで、自分が帰ってきてアパートのドアを開けたら中ではニナは肉じゃがを作っていた。
そして、『あらっ♡清さん今日は早かったのねっ♡』などと言いながらコンロの火を消し、フリフリエプロンで手を拭きつつ近づいて来るのを両手を広げて迎えている清の姿と、その後ろで摑まり立ちをしている自分とまったく同じ顔の赤ちゃん(推定1歳前後)と後姿でテレビを見ているニナと似た感じの少女をちょっと上の辺りから見てニヨニヨ喜んでいる清だった。


ちょっと気持ち悪い顔の清を眺めながら、ニナとレテーナは清の答えをずっと動かずに待っていた。
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