楽園・ゲーム

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第四章 死んだ原因?

107 ループからの脱出2/6

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俺と佐々木ささき君と宇野うの君は、PM5:00少し前に会社に戻って来た。
「とりあえず今日は残業出来ないから2人とも早めに情報だけサーバー側に上げておいてくれ。私は車を戻してくるから。」
「は~い。」「了解しました。」
佐々木君は宇野君と付き合っている事を俺に報告できた事がそこそこ嬉しかったらしく、今までの2人の距離感より心持ち近い距離で車から降りて会社の社屋に入って行った。

サイドブレーキを落とし、シフトレバーをドライブレンジに入れて車を駐車場へ移動させるとちょうど黒田くろだが駐車場に向かって歩いて移動していた。
クラクションを短く2回鳴らすと黒田が気付いて振り返った。

「おっ?なんだ?佐藤さとうは今戻ったのか?」
助手席側の窓を開けたら黒田がさっそく聞いてきた。
「あぁ、さっきうちの部署の社員2人に延々とのろけ話を聞かされて少しだけブルーな気分になりながら戻った所だ。」
「…あぁ~そうか。宇野はやっと報告できたみたいだな。」
ニヤニヤとした顔で聞き返してくる黒田。
「お前さぁ、宇野君からあの二人が付き合っていたのを聞いてただろ?」
「まぁ、そりゃぁなぁ。一応私は宇野の元上司なんでな。」
「お前が宇野君の上司だったのは1年前なのになんで今でも付き合いが続いてるんだよ。あの2人がいつから付き合ってたのか知らんが宇野君は俺の部下になってそろそろ1年だぞ?さすがに宇野君のお前と俺への信頼度の差を感じてため息が止まらんぞ。」
「んっ?確かあの2人は学生の頃からの付き合いのはずだが?それに宇野を佐藤の部署に移動させたのは宇野がデートの時間が取れないからって理由で仕事の効率が段々と落ちてきたからってのが一番の理由だからな?そこらの話は一応報告書でも上げておいたと思うが…佐藤は見てないのか?」
そうだったかな?
1年ぐらい前に宇野君がうちの部署に異動して来たのは覚えているが…
「あまり宇野君の事は記憶に残ってないんだよなぁ…佐々木君の事は…」
あれっ?…佐々木君の事もそこまで記憶に残ってない?

「そう言えば佐藤は少しの間海外出張していたからそのせいでまだ距離があるんじゃないか?まぁ…どうだ?今日辺り少しぐらい羽目を外してみちゃぁどうだ?」
黒田は例の何かを両手で揉む様な動きをしながらエロ思考をしてそうな顔で聞いてきた。

海外出張…どこかに行った事は覚えているが…俺、どこに行った…?
少し気になるが…今は黒田の事を確認する方が優先されるな。

「まぁ…そうだな。少しぐらい付き合うか。」
「…どうした?本当に落ち込んでるのか?お前…部下が幸せそうだからって間違ってもどこかで自殺を考えたりするなよ?」
俺がエロ系の店に付き合うって言っただけで自殺を心配されるのってなんか変な気がするのだが…そう言えば生前のこの時の俺の対応は…あぁ、思い出した。確か『買い物に行く必要があるから悪い』って言って断ったか…
でもあの時の俺は佐々木君と宇野君が付き合ってる事を打ち明けられて無かった…もしかしたら黒田は今日宇野君が俺に報告する気でいるのを聞いていた?

「まぁでも佐藤がその気になったって言うなら行くしかないな♡とりあえず俺ももう少しやる事があるから、そうだな…PM6:00頃にでもあのアドレスに連絡をくれ。それで良いか?」
宇野君と黒田の繋がりの密度に関して考えていたら黒田がさっさとこの後の予定を決めて聞いてきた。
「あぁ、了解した。じゃぁ後でな。」
「お~♪じゃぁな~♪」
ひとまず俺は借りていた社用車を規定の駐車場に戻して鍵を総務に返してから部署に戻るとちょうど定時の放送が鳴りはじめた。
「みんな今日は定時退社日だ、早く仕事を終えて帰れよ。」
未だパソコンの電源を落とせてない部下に早く帰る様に言って回りながら自分のデスクに戻ると、佐々木君と宇野君が机のそばで待っていた。

「どうした?データをサーバーに上げたら二人も早く帰れよ。」
「はい。一応少しだけ話をしたらすぐに戻ります。」
「データの方はもうサーバーに上げてあります。」
2人は俺に話があるから残っていたらしい。

「そうか…だとしたら…私はもう少しだけ仕事が残ってるから…」
「それならいつもの所で待ってたら良いですか?」
佐々木君が何かを飲むジェスチャーをしながら聞いてきた。
自動販売機の所の休憩エリアで待っていると言ってるみたいだな。
「そうだな…PM5:30ぐらいには行けると思うので少しだけ待っていてくれ。」
「はい。」「どこ?」「いいから付いて来て。」

…なんとなく佐々木君と宇野君の未来の姿が想像できるやり取りだったな。

とりあえず俺は部署の社員の勤怠確定処理をして、承認スタンプを押した資料を部長の元に承認依頼として送ってからパソコンの電源を落として帰る準備に掛かった。

それにしても2人の話…まさか仲人のお願いとかじゃないよな?さすがに独り身の俺にそんな死刑宣告をする様な行為は…さすがにしないよね?
俺は少しばかり緊張した心持ちで2人の元に向かった。


階段を1階層分降りて2人が待つ休憩エリアに行くと佐々木君だけが待っていた。
「宇野君はどうした?」
「さっき黒田さんが来て話があるって連れて行きました。」
少しばかり緊張してる様な顔で説明してくれる佐々木君。
「そうか。」
時間はPM5:27
「話って宇野君が居なくても大丈夫なのか?」
「はい。その…少しこっちへ。」
佐々木君は俺の腕を掴んで移動を始めた。どうも自動販売機の奥の辺りに在る喫煙ルームへ行く気の様だ。
「佐々木君は吸わなかったよね?」
「はい。私も宇野君もタバコは吸いません。」
ちなみに俺も吸わない。

俺がなぜこんな場所に連れ込まれる必要があるのか理由が分からないで居ると、それに気付いた佐々木君が俺の耳元に顔を近づけて小声で教えてくれた。
「実はこの場所ってこの時間になると誰も来ないんです。だから秘密の話をするのにちょうど良いんです。」
人の来ない場所…たぶんこんな場所を知ってる佐々木君が、この場所で誰とどんな事をしていたのか…俺が想像したような若干ゲスい事を考える人ってけっこう多いんじゃないか?

2重扉になった室内に入ると壁が茶色く変色していて、ヤニ臭さを強く感じた。
「ここはあまり長居をしたくないな。」
ここに居るだけで体に何か毒素でも溜まって行きそうな気がする。
「そうですか?私は宇野君と2人っきりになれるからよく来…コホン。それで話なんですが。」
佐々木君はやっぱり宇野君とここで2人っきりで色々楽しんでいたらしい…2人が付き合ってた事を報告された時よりダメージが多いのは俺の気のせいじゃないよな?

「まぁ…2人がここでどんな事をしていたとしても一応不問としておくが…気をつけてくれよ?上の人に何もしてない俺が呼び出されて、『君の部署は風紀が乱れてないか?』みたいな叱責とか勘弁してくれよ?」
一応懸念できそうな事を言ったらだけなのにすごい目で睨まれた。
「私はここではそんな事はしてません!それにここではなくてもっ…あっ…もうっ!佐藤さんは変な事を言わせないでください!セクハラで訴えますよ!!」
自分で口を滑らしておいてすごい言い様じゃないか?
「まぁそこらに関しては気をつけるので訴えるのは勘弁してくれ。それで?」
「…まぁ良いですけど。」
佐々木君は1回大きくため息を吐いて胸元から小さなUSBメモリーを出して渡してきた。
「こちらの内容をできるだけ早く確認して下さい。何か気になる点がありましたら、詳しくは湯島ゆしま部長に連絡をしていただければ説明してもらえるはずです。」
佐々木君はそう言って俺を残して喫煙室から出て行った。


…えっ?佐々木君って湯島部長と何か関係のある人だったの?
でも…佐々木君と宇野君って付き合ってたんだよね?
そして宇野君って黒田の情報源として俺の部署に来ていて…えっ?はっ?…何がどうなってるの??
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