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第二章 RLS-九つの世界-
62 新しい仲間達1/2
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ウィナリアの街とは、このミズガルズが出来た頃から存在する都市の様だな…
「んー私も長生きの種族って訳じゃ無いのとトレントって基本ボヘーってしてる種族だったからあまりお母さんとも話をした事が無かったのよね…でも里を出て色々街を見て回って聞いた話だと…どこの主要都市も1000年位は経ってるみたいな話を聞いたわよ?」
メリスがこんな事を教えてくれた。
RLSが正式リリースされてそろそろ1年ぐらい経っていたはずなんだが、1年365日を7日で割ったら52回とちょっと…6日で10年を過ごして1日入れ替えとメンテみたいな事をずっと毎週繰り返していたとして520年以上経ってるって事だよな。もしかしたら開発してる頃からCBTにかけて1年程度の期間を確認に費やしていたとすれば、1000年って時間をシミュレートする事も可能か…
だとしたら、1つの街で1000年の間に死んだ人ってどれ位の人数になるんだろうな…
ちなみにメリスに説明する時に思いだしたテイマーの従属に関する空間の扱いだが、俺ちょっとだけ勘違いしてたみたいだね。
あの空間ってビースト、インセクトが一緒の空間に当てはめられて空間を使っている訳ではなく、それぞれ別の空間を持ってるのね。
だから、俺のテイマー(真)の従属させられる空間量?って言うのは、ビーストエリア、インセクトエリア、アンデットエリアがそれぞれLv.118の分あるって事らしい。
人エリアもあるけど…まぁそこは後から追加された場所だから若干違うとしてもだな。
ゾンビ:♂寝太郎Lv.32を受け入れながらそんな事に気付いていた。
ちなみにこれまでの従属したアンデットだが、ゾンビがレベル1~40未満で、高レベルは数えるほどだが大体100体前後、スケルトンが…これは腐敗が進んだ結果骨だけになってやっと育ち始めるのか判らないが大体レベルが1~15位だった、ただ、数がすごかった。ゾンビでいられる期間はそこまで長くなかったのか100体前後だったが、スケルトンは1000体位契約した気がする。
そして骨も朽ちる程の期間存在した後に霊体だけになったようなレイスと体を何かに食べられたか破壊された事で霊体だけになった幽霊がまた結構な数居た。ちなみにレイスは記憶に残ってる奴だけだが、確かレベルが1~40位で幽霊は存在が希薄なのか霊として初心者なのかは判らないが、ほとんどの奴がレベルが1~5位だった。
霊体だけの連中の数は骨と腐った肉の間に紛れて申請してくる事が多かったので良く分らない。
そしてやっぱりノーライフキング的な高レベルの奴もいた。
そいつは魔導師の職業に付いた長命種の奴だったそうで、さすがにもう名前も種族も覚えて無いらしいけけど、1000年程度昔に何か魔法を使ったか何かでそんな存在になったそうだ。
本人談なので、どこまで本当なのかは判らないのだが、もしかしたらこの空間が作られた時に初期配置されたモンスターの一種だったりするのかもしれない。
ちなみに種類は、タナトス・The・グリムリーパー:♂研究者Lv.97
どうも死んでも魔法の研究を続けていたとか何とか。
とりあえず彼だけ完全に異質と言えるほどにレベルが高かったので、アンデットの取り纏めをお願いしておいた。
朝になりとりあえず腐った臭いを撒き散らしていた集団が消えた事でホッと一息吐いた頃に忘れない様に3種類のハートパッシブを非アクティブに戻しておいた。
本当であればさっさと非アクティブにしてしまえばこんなに大量に契約する事は無かったのだが、人っぽい意識を持った連中が期待値MAXな感じで押し寄せてるのを見たらなんとなくだけど『これ以上はムリデス!』みたいな状況になるのが可哀想な感じがして…とりあえず申請する連中が居なくなるまで付けたままにしておいたって訳なんだ。
一応アンデットの取り纏め役を決めたので、ビーストとインセクトの連中にもそんな奴を決めておいたほうが良いかもしれないと思い考えていたら、一応の窓口として総一郎とバルサ姉さんを出しておいたのでそこを通してくれって声が聞こえてきた。
たぶんインセクト側は1番高レベルのストライプサーベラーが言ってきてた。
ビースト側はちょっと良く判らなかった。1番レベルの高い奴では無かった気がしたけど…強い奴の誰かがとりあえず反応したんだろうな。
「やっと収まったみたいね。」
とりあえず開いていたステータスビューを消そうとしていたらメリスに声をかけられた。
「あ、おはよう。リーフは?」
「少し前にモタリさんが来て一緒に朝食の準備をしてくれているわ。」
「そうかあ…また寝られなかったな…」
「ほーら、今日はモタリさんが連れてきてくれた人と話をするのよね?少しはシャキっとしておかないと契約出来なくなっちゃうかもしれないわよ?」
そう言えば今日知り合いのノームを連れてきてくれるって言ってたか…
「まぁ…人と会うのに徹夜でハイになってる頭で会うのもちょっとあれなんで…とりあえず少し脚貸して~♪」
ダッシュジャンプでソファーに座っていたメリスの膝に頭を乗せる様に飛び込んだら溜息と共に頭を撫でてくれた。
そして…気付いたら昼になってた。
「なぁ、人が来てるなら起してくれても良かったんじゃないか?」
とりあえず俺が目を覚ました時俺の頭はクッションに置かれていたが、部屋の中にノームのおっさん連中が10人ほど居て俺を取り囲んでいた。
モタリさんを見慣れていたのでそこまで驚きはしなかったが、おっさんの集団に囲まれてる状態で目覚めると言うのはあまり心臓に良くないみたいだ。
そして昼食を食べつつ話をする事になったのだが、どうもモタリさんに伝えていた『ホバートの街の神殿の修復作業と俺をアースガルズに送り返すお手伝いをしてくれる人を探している』と言う情報を元に知り合いが集まり話をした結果、
「最低でもこの人数が必要ではないか、と言う事になった訳です。」
モタリさんが代表して教えてくれた。
どうもここに居る全員で掛かるような大仕事の予感がしてるらしい。
「だとしたら全員と契約する必要があるって事なのか?」
俺ここに来る前に精霊との契約はできるならば1人だけと、って考えていたんだけど…
「いいえ、その必要はありません。我々の故郷のスヴァルトアールヴヘイムはこの大地の下にあるので地面で繋がっている場所であれば移動は可能です。一応誰かが精霊の木を使ってホバートの街に入らなければならないので1人だけ契約する必要はありますが、それ以外の者は街の中に入った契約した者が手引きする事で入る事が出来ます。」
モタリさんがそう教えてくれたので、一人だけ契約する事になった。
「と言う訳で彼と契約したらいいの?」
「そうですね。他の者達は男と契約するのは肌に合わないって拒否しましたので。ちなみに私も契約するなら女性の方が良いです。」
モタリさんはけっこう我を通すタイプだったらしい。
「私はトキと申します。アースガルズに常々行ってみたいと思っておりました。ぜひ!よろしくお願いします!!」
とりあえずトキさんけっこう熱い感じの性格だった。
その後トキさんと契約をして他のノームには鉄の里だとか宝石の里、黄金の里などの彼らの元々居た場所に戻ってもらい、トキさんに精霊の木がある場所まで案内してもらった。
この街の精霊の木の在る場所は、街にある最古の坑道の一番奥だった。
昼を過ぎて宿を出てくる時、とりあえず安全な場所だと言われたのだが勝手に1人で行くと従属してる連中がけっこう怒るので、ギムリの店まで迎えに行って、総一郎だけを一緒に連れて来たのだが…ここに来るまでに2時間程度かかった。
ちなみにメリスとリーフは装備の調節の為に店に残り、その護衛としてバルサ姉さんを残してきた。
昨日の護衛の取り合いみたいなのはヤッパリと言うか当然と言うか、ビーストハートとインセクトハートをアクティブにしていた事で一緒に居たいって強く思ったみたいだった。
あの時気付いていれば…ハァー
ウィナリアの街の精霊の木のある場所に通じる洞窟は1時間半程度潜った辺りから雰囲気が替わった。
最初は人の手で掘り進められたような洞窟だったのだが、途中から巨大な水晶の柱が何本も規則性の無い状態で乱立する様な広大な空間に変わった。
ずいぶん前に見た事のあるメキシコに在るクリスタルの洞窟のイメージに近い気がする。
そしてそんな空間の一番奥に金色に光る巨大な柱があった。
「もしかしてこれが精霊の木?」
「これは黄金柱と呼ばれていて、精霊の樹はこの中にあります。」
そう言ってトキさんは俺の手を取り金色に光ってる柱に近づいて行き、そのまま止まる事なく入って行った。
柱の境界を通り過ぎる時に思わず目を閉じてしまったが、小さな抵抗があっただけで通り過ぎた感じがする。
手を引いていたトキさんが止まったのでそっと目を開けてみるとホバートの街で見たのと同じ様な樹がそこにあった。
「へー…こんな所にあったのかぁ…」
「ここに来るにはノームの力を借りねば来れません。とりあえず樹を通してホバートの街の精霊に連絡を取ってみてください。」
トキさんそう言って俺を樹の近くまで連れてきてくれたが…
「なあ、これって触れても良いのか?」
「どうぞ。触れて契約をしてる精霊の名前を呼んでみてください。答えてくれるはずです。」
ふむ…だとしたら、ディーはお使いでいつ戻るか聞いて無かったから、呼ぶならレーヌか。
『レーヌ?聞こえるか?』
…なんか反応が無い様なあった様な…
『おーいレーヌ~可愛いレーヌ~聞こえないのか~?』
精霊の樹に手を付けた状態で呼びかけているとレーナの存在感の様な物を感じた気がした。
そして目を開けてみると精霊の樹の表面に水色の漣が小さくたっている穴が見えた。
そしてその穴の中からレーヌが顔を半分出して見ていた。
「来てたなら返事ぐらいしてくれって、久しぶりだったなレーヌ。」
「ミュー♡私がやっぱり1番~♡」
そんな事を言いながら俺の体に飛び込んできた。
その後レーヌに話を聞いた所、ディーのお使いはもう終わっていたらしく、ホバートの精霊の樹の近くにあった泉の中でふて腐れていたらしい事が判ったので、ディーも呼ぶ事になったのだが、機嫌を取って姿が透けない状態になるまでがかなりめんどくさかった。
寵愛レースを繰り広げている連中が居る場合は、『居ないかもしれない』とか考えたらダメだって言う真理を悟る事が出来た。
精霊には性別無いはずなんだけどなぁ…
その後トキさんを連れてゴキゲン状態のディーとレーヌが戻って行ったので、俺と総一郎はまた2時間の道のりを歩いて戻る事になったのだが…
そう言えばここまで案内してくれたトキさん…居なくなっちゃったんだよね。
おかげで総一郎に頼んでにおいを辿って戻る事になり、俺達が地上に戻れたのは日が暮れてからだった。
「んー私も長生きの種族って訳じゃ無いのとトレントって基本ボヘーってしてる種族だったからあまりお母さんとも話をした事が無かったのよね…でも里を出て色々街を見て回って聞いた話だと…どこの主要都市も1000年位は経ってるみたいな話を聞いたわよ?」
メリスがこんな事を教えてくれた。
RLSが正式リリースされてそろそろ1年ぐらい経っていたはずなんだが、1年365日を7日で割ったら52回とちょっと…6日で10年を過ごして1日入れ替えとメンテみたいな事をずっと毎週繰り返していたとして520年以上経ってるって事だよな。もしかしたら開発してる頃からCBTにかけて1年程度の期間を確認に費やしていたとすれば、1000年って時間をシミュレートする事も可能か…
だとしたら、1つの街で1000年の間に死んだ人ってどれ位の人数になるんだろうな…
ちなみにメリスに説明する時に思いだしたテイマーの従属に関する空間の扱いだが、俺ちょっとだけ勘違いしてたみたいだね。
あの空間ってビースト、インセクトが一緒の空間に当てはめられて空間を使っている訳ではなく、それぞれ別の空間を持ってるのね。
だから、俺のテイマー(真)の従属させられる空間量?って言うのは、ビーストエリア、インセクトエリア、アンデットエリアがそれぞれLv.118の分あるって事らしい。
人エリアもあるけど…まぁそこは後から追加された場所だから若干違うとしてもだな。
ゾンビ:♂寝太郎Lv.32を受け入れながらそんな事に気付いていた。
ちなみにこれまでの従属したアンデットだが、ゾンビがレベル1~40未満で、高レベルは数えるほどだが大体100体前後、スケルトンが…これは腐敗が進んだ結果骨だけになってやっと育ち始めるのか判らないが大体レベルが1~15位だった、ただ、数がすごかった。ゾンビでいられる期間はそこまで長くなかったのか100体前後だったが、スケルトンは1000体位契約した気がする。
そして骨も朽ちる程の期間存在した後に霊体だけになったようなレイスと体を何かに食べられたか破壊された事で霊体だけになった幽霊がまた結構な数居た。ちなみにレイスは記憶に残ってる奴だけだが、確かレベルが1~40位で幽霊は存在が希薄なのか霊として初心者なのかは判らないが、ほとんどの奴がレベルが1~5位だった。
霊体だけの連中の数は骨と腐った肉の間に紛れて申請してくる事が多かったので良く分らない。
そしてやっぱりノーライフキング的な高レベルの奴もいた。
そいつは魔導師の職業に付いた長命種の奴だったそうで、さすがにもう名前も種族も覚えて無いらしいけけど、1000年程度昔に何か魔法を使ったか何かでそんな存在になったそうだ。
本人談なので、どこまで本当なのかは判らないのだが、もしかしたらこの空間が作られた時に初期配置されたモンスターの一種だったりするのかもしれない。
ちなみに種類は、タナトス・The・グリムリーパー:♂研究者Lv.97
どうも死んでも魔法の研究を続けていたとか何とか。
とりあえず彼だけ完全に異質と言えるほどにレベルが高かったので、アンデットの取り纏めをお願いしておいた。
朝になりとりあえず腐った臭いを撒き散らしていた集団が消えた事でホッと一息吐いた頃に忘れない様に3種類のハートパッシブを非アクティブに戻しておいた。
本当であればさっさと非アクティブにしてしまえばこんなに大量に契約する事は無かったのだが、人っぽい意識を持った連中が期待値MAXな感じで押し寄せてるのを見たらなんとなくだけど『これ以上はムリデス!』みたいな状況になるのが可哀想な感じがして…とりあえず申請する連中が居なくなるまで付けたままにしておいたって訳なんだ。
一応アンデットの取り纏め役を決めたので、ビーストとインセクトの連中にもそんな奴を決めておいたほうが良いかもしれないと思い考えていたら、一応の窓口として総一郎とバルサ姉さんを出しておいたのでそこを通してくれって声が聞こえてきた。
たぶんインセクト側は1番高レベルのストライプサーベラーが言ってきてた。
ビースト側はちょっと良く判らなかった。1番レベルの高い奴では無かった気がしたけど…強い奴の誰かがとりあえず反応したんだろうな。
「やっと収まったみたいね。」
とりあえず開いていたステータスビューを消そうとしていたらメリスに声をかけられた。
「あ、おはよう。リーフは?」
「少し前にモタリさんが来て一緒に朝食の準備をしてくれているわ。」
「そうかあ…また寝られなかったな…」
「ほーら、今日はモタリさんが連れてきてくれた人と話をするのよね?少しはシャキっとしておかないと契約出来なくなっちゃうかもしれないわよ?」
そう言えば今日知り合いのノームを連れてきてくれるって言ってたか…
「まぁ…人と会うのに徹夜でハイになってる頭で会うのもちょっとあれなんで…とりあえず少し脚貸して~♪」
ダッシュジャンプでソファーに座っていたメリスの膝に頭を乗せる様に飛び込んだら溜息と共に頭を撫でてくれた。
そして…気付いたら昼になってた。
「なぁ、人が来てるなら起してくれても良かったんじゃないか?」
とりあえず俺が目を覚ました時俺の頭はクッションに置かれていたが、部屋の中にノームのおっさん連中が10人ほど居て俺を取り囲んでいた。
モタリさんを見慣れていたのでそこまで驚きはしなかったが、おっさんの集団に囲まれてる状態で目覚めると言うのはあまり心臓に良くないみたいだ。
そして昼食を食べつつ話をする事になったのだが、どうもモタリさんに伝えていた『ホバートの街の神殿の修復作業と俺をアースガルズに送り返すお手伝いをしてくれる人を探している』と言う情報を元に知り合いが集まり話をした結果、
「最低でもこの人数が必要ではないか、と言う事になった訳です。」
モタリさんが代表して教えてくれた。
どうもここに居る全員で掛かるような大仕事の予感がしてるらしい。
「だとしたら全員と契約する必要があるって事なのか?」
俺ここに来る前に精霊との契約はできるならば1人だけと、って考えていたんだけど…
「いいえ、その必要はありません。我々の故郷のスヴァルトアールヴヘイムはこの大地の下にあるので地面で繋がっている場所であれば移動は可能です。一応誰かが精霊の木を使ってホバートの街に入らなければならないので1人だけ契約する必要はありますが、それ以外の者は街の中に入った契約した者が手引きする事で入る事が出来ます。」
モタリさんがそう教えてくれたので、一人だけ契約する事になった。
「と言う訳で彼と契約したらいいの?」
「そうですね。他の者達は男と契約するのは肌に合わないって拒否しましたので。ちなみに私も契約するなら女性の方が良いです。」
モタリさんはけっこう我を通すタイプだったらしい。
「私はトキと申します。アースガルズに常々行ってみたいと思っておりました。ぜひ!よろしくお願いします!!」
とりあえずトキさんけっこう熱い感じの性格だった。
その後トキさんと契約をして他のノームには鉄の里だとか宝石の里、黄金の里などの彼らの元々居た場所に戻ってもらい、トキさんに精霊の木がある場所まで案内してもらった。
この街の精霊の木の在る場所は、街にある最古の坑道の一番奥だった。
昼を過ぎて宿を出てくる時、とりあえず安全な場所だと言われたのだが勝手に1人で行くと従属してる連中がけっこう怒るので、ギムリの店まで迎えに行って、総一郎だけを一緒に連れて来たのだが…ここに来るまでに2時間程度かかった。
ちなみにメリスとリーフは装備の調節の為に店に残り、その護衛としてバルサ姉さんを残してきた。
昨日の護衛の取り合いみたいなのはヤッパリと言うか当然と言うか、ビーストハートとインセクトハートをアクティブにしていた事で一緒に居たいって強く思ったみたいだった。
あの時気付いていれば…ハァー
ウィナリアの街の精霊の木のある場所に通じる洞窟は1時間半程度潜った辺りから雰囲気が替わった。
最初は人の手で掘り進められたような洞窟だったのだが、途中から巨大な水晶の柱が何本も規則性の無い状態で乱立する様な広大な空間に変わった。
ずいぶん前に見た事のあるメキシコに在るクリスタルの洞窟のイメージに近い気がする。
そしてそんな空間の一番奥に金色に光る巨大な柱があった。
「もしかしてこれが精霊の木?」
「これは黄金柱と呼ばれていて、精霊の樹はこの中にあります。」
そう言ってトキさんは俺の手を取り金色に光ってる柱に近づいて行き、そのまま止まる事なく入って行った。
柱の境界を通り過ぎる時に思わず目を閉じてしまったが、小さな抵抗があっただけで通り過ぎた感じがする。
手を引いていたトキさんが止まったのでそっと目を開けてみるとホバートの街で見たのと同じ様な樹がそこにあった。
「へー…こんな所にあったのかぁ…」
「ここに来るにはノームの力を借りねば来れません。とりあえず樹を通してホバートの街の精霊に連絡を取ってみてください。」
トキさんそう言って俺を樹の近くまで連れてきてくれたが…
「なあ、これって触れても良いのか?」
「どうぞ。触れて契約をしてる精霊の名前を呼んでみてください。答えてくれるはずです。」
ふむ…だとしたら、ディーはお使いでいつ戻るか聞いて無かったから、呼ぶならレーヌか。
『レーヌ?聞こえるか?』
…なんか反応が無い様なあった様な…
『おーいレーヌ~可愛いレーヌ~聞こえないのか~?』
精霊の樹に手を付けた状態で呼びかけているとレーナの存在感の様な物を感じた気がした。
そして目を開けてみると精霊の樹の表面に水色の漣が小さくたっている穴が見えた。
そしてその穴の中からレーヌが顔を半分出して見ていた。
「来てたなら返事ぐらいしてくれって、久しぶりだったなレーヌ。」
「ミュー♡私がやっぱり1番~♡」
そんな事を言いながら俺の体に飛び込んできた。
その後レーヌに話を聞いた所、ディーのお使いはもう終わっていたらしく、ホバートの精霊の樹の近くにあった泉の中でふて腐れていたらしい事が判ったので、ディーも呼ぶ事になったのだが、機嫌を取って姿が透けない状態になるまでがかなりめんどくさかった。
寵愛レースを繰り広げている連中が居る場合は、『居ないかもしれない』とか考えたらダメだって言う真理を悟る事が出来た。
精霊には性別無いはずなんだけどなぁ…
その後トキさんを連れてゴキゲン状態のディーとレーヌが戻って行ったので、俺と総一郎はまた2時間の道のりを歩いて戻る事になったのだが…
そう言えばここまで案内してくれたトキさん…居なくなっちゃったんだよね。
おかげで総一郎に頼んでにおいを辿って戻る事になり、俺達が地上に戻れたのは日が暮れてからだった。
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