婚約者を兄に寝取られた不幸令息、魔性の吸血鬼王子に溺愛される

立花芹

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鮮烈な快楽※18↑

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 フランの指が、ゆっくり、ゆっくりと中を押し広げるようにうごめく。白濁を塗り込められて、ちゅくちゅくと淫靡な水音がたつと、まるでそこが男性器を受け入れるために濡れだしたかのような錯覚を覚えて、俺は赤面しながらフランの胸に顔を埋めた。

 先ほどから、フランの指先が腹側のある地点に触れる度に、腰が跳ねてしまいそうになるほど強い刺激を感じてしまう。

「あ、そ、っそこ、は……♡」

「……ん? ここ?」

 俺が思わず声を上げると、フランはを狙ってぐっと指を強く押し込む。

 ーーその瞬間、腰骨にぎゅんと響いた快感が電流のように背筋を駆け上り、俺はフランの胸に縋り付きながらブルブル震えて軽く絶頂してしまった。

「んん゙ンんぅ~~ッ!!♡♡♡ あ、ふ、ぅぅゔ♡」

 指を二本に増やされ、マッサージするようにをグッグッと押され、揉まれると、あまりの気持ちよさに声が抑えられなくなる。

「……見~つけた、悠馬のイイところ……♡ ここはね、前立腺っていって……男の子でも抱かれて気持ちよくなれる場所なんだよ」

 いつもより低いトーンの声で囁かれ、柔らかな唇で耳朶を食まれて、心臓の高鳴りが治まらない。

 前立腺をトントンと小刻みに叩かれながらもう片方の手であやすように優しく後頭部を撫でられると、意識が蕩けて何も考えられなくなってしまう。

 幼い頃に母親を亡くし、父からは煙たがられて生きてきた俺にとって、こんな風によしよしと頭を撫でられるのはほとんど初めての経験で。

「あ、ぁ……♡」

 快楽物質が、脳を駆け巡る。身体に力が入らなくなって、体中の筋肉が弛緩する。

 その隙に三本目の指を挿れられて、前立腺や膀胱の辺りを優しく揺すられてーーフランから与えられる快楽に俺はもうメロメロになってしまっていた。

「ふふ、悠馬の顔、とろとろ……♡ 指だけでこんなになってたら、ここに僕のを挿れたら、どうなっちゃうんだろうな……♡」

「~~ッ……!!♡♡♡」

 指よりももっと太いものをねじ込まれ、もっと奥まで穿られるのを想像すると、腰の奥が物欲しげにきゅんきゅんと疼く。もう、フランと繋がってしまいたい、身体の中まで愛されて、一つになりたい……。

 そう思うのに、慎重なフランは俺に怪我をさせないよう今日は指で慣らすまでと決めているらしく。

 俺の後孔がある程度拡がると、すんなり指を抜いて終わりにしてしまった。

「ん……フラン様……、お、終わり、ですか……?」

 これ以上されたらおかしくなってしまう、という恐ろしさと、もっと気持ちよくなりたい、続けて欲しいという欲求とが入り交じり……快感をお預けされてもどかしさに身を捩る俺を、フランは優しく包み込むように抱きしめる。

「うん、お疲れ様、悠馬……。あんまり急いで君の中を傷つけたくないし、はまた今度ね」

 ふわふわと頭を撫でられて、眠気に意識がとろんと溶け出す俺の耳元にフランが囁く。

「……そうだね、来月……戴冠式を無事終えたら、僕のことをここに受け入れてくれる?」

 腰の辺りをゆっくりと撫で回され、直腸のある辺りをとんとんと指でつつかれて……子供のようにこくんと頷く俺に、フランはひどく愛おしげな眼差しを注いで何度も口づけるのだった。



ーーーーー



 ーーサラサラサラ、とペンを走らせ、手紙をしたためる。30枚目を書き終えた頃、さすがに肩が凝り固まってきた俺がうんと伸びをすると、背後からアニスがひょっこりと顔を覗かせてきた。

「悠馬様、相変わらず達筆ですねぇ……あ、完成した手紙、貰います。封筒に入れて蝋で閉じておくので」

「あぁ、助かる」

 インクの乾いた手紙の束をアニスに手渡し、ついでに宛先を書いた封筒も渡して「間違えるなよ」と念を押す。

 これらの手紙は全て、求婚の手紙に対する断りの返信だ。

 内容は全て一貫して、『王太子専属の騎士として、時には機密情報に触れることもある立場であるため、配偶者は殿下と相談し慎重に決めなければならない。申し訳ないが想いには答えられない(要約)』といったものである。

 戴冠式の日ーーフランと結ばれる約束をした俺は、その前にこれらの求婚に対する対応を全て済ませて身辺をすっきりさせるべきと判断し、返事の手紙に着手したのだ。

 今でも、フランと恋人関係になったことにたいする不安ーー正確に言えば、女性と結婚しなければいけない身である王太子の恋人の座に自分のような男が着いてしまったことに対する罪悪感ーーが無いわけではないが。

 それ以上に、フランに愛されるこの幸せを他の誰にも譲りたくないという独占欲と彼を愛しく思う恋情が日に日に強まっていくのだ。

「しかし、やっぱりちょっと勿体ないですね……こんな数のラブレター貰うなんて中々ないことですのに」

 アニスが残念そうに言うのに、俺はふっと笑って再びペンを取り、手紙の続きを書き始める。

「これでいいんだよ。元々、殿下の騎士に選ばれなかったらこんな風に大量の求婚が来ることはなかったんだ」

 ーーそんな刹那的なものよりも、約8年に渡り俺を想い続けてくれたフランに応えたい。心の中でそう続けながら、俺はペン先にインクを付け直し、次の便箋に手を伸ばした。
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