41 / 72
第7章 自爆覚悟の告白の末……
2
しおりを挟む
部長がわたしを好きであることは100パーセントないだろうけど。
でも……
振られたところで、何かを失うわけでもない。
「そうだね。宗一郎さん、ありがとう。たしかにいつまでもグズグズしてるなんて、わたしらしくないね」
「ああ、まったく花梨らしくない」
宗一郎さんは微笑みながら頷いた。
***
「ごちそうさまでした」
「ちょっと夜景を眺めない?」
「うん」
その階のエレベーターホールの窓の前にはソファーが置かれていて、外が眺められるようになっていた。
丸の内界隈のビルの明かりやライトアップされた街路樹、その奥の、そこだけぽっかり穴が空いたような皇居の暗い空間が目の前に広がっている。
「わー、きれい」
となりに座った宗一郎さんは「あのさ、花梨」と呼びかけてきた。
彼に視線を移すと、真面目な表情でわたしを見つめている。
「実はさ、あのとき花梨に渡せなかった指輪、まだ持ってるんだ」
「えっ?」
「もちろん、あれから他の人とも付き合ったし。ずっと君だけを思い続けてたってわけじゃないけど。でも、花梨以上に好きだと思う人にも出会わないんだよね。残念ながら」
「宗一郎さん……」
「今日もあわよくば、口説いてヨリが戻せたらって、ちょっとは期待してたんだけど」
それから、ふっと小さく笑って言った。
「まさか、他の男に告白しろって、花梨の背中を押すことになるとはね」
「ごめん……なさい」
宗一郎さんは明るい声で言った。
「いや、困らせるつもりで言ったんじゃないよ。だから、僕もちゃんとはっきりさせてほしいんだよ。じゃないと、諦めきれないからさ。花梨のこと」
「うん、わかった」
「すっきりと振られてくることを期待してる。そのときは僕が下心込みでたっぷり慰めてあげるから」
わざとおどけた調子で、宗一郎さんは言った。
でも……
振られたところで、何かを失うわけでもない。
「そうだね。宗一郎さん、ありがとう。たしかにいつまでもグズグズしてるなんて、わたしらしくないね」
「ああ、まったく花梨らしくない」
宗一郎さんは微笑みながら頷いた。
***
「ごちそうさまでした」
「ちょっと夜景を眺めない?」
「うん」
その階のエレベーターホールの窓の前にはソファーが置かれていて、外が眺められるようになっていた。
丸の内界隈のビルの明かりやライトアップされた街路樹、その奥の、そこだけぽっかり穴が空いたような皇居の暗い空間が目の前に広がっている。
「わー、きれい」
となりに座った宗一郎さんは「あのさ、花梨」と呼びかけてきた。
彼に視線を移すと、真面目な表情でわたしを見つめている。
「実はさ、あのとき花梨に渡せなかった指輪、まだ持ってるんだ」
「えっ?」
「もちろん、あれから他の人とも付き合ったし。ずっと君だけを思い続けてたってわけじゃないけど。でも、花梨以上に好きだと思う人にも出会わないんだよね。残念ながら」
「宗一郎さん……」
「今日もあわよくば、口説いてヨリが戻せたらって、ちょっとは期待してたんだけど」
それから、ふっと小さく笑って言った。
「まさか、他の男に告白しろって、花梨の背中を押すことになるとはね」
「ごめん……なさい」
宗一郎さんは明るい声で言った。
「いや、困らせるつもりで言ったんじゃないよ。だから、僕もちゃんとはっきりさせてほしいんだよ。じゃないと、諦めきれないからさ。花梨のこと」
「うん、わかった」
「すっきりと振られてくることを期待してる。そのときは僕が下心込みでたっぷり慰めてあげるから」
わざとおどけた調子で、宗一郎さんは言った。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
花咲くように 微笑んで 【書籍化】
葉月 まい
恋愛
初恋の先輩、春樹の結婚式に
出席した菜乃花は
ひょんなことから颯真と知り合う
胸に抱えた挫折と失恋
仕事への葛藤
互いの悩みを打ち明け
心を通わせていくが
二人の関係は平行線のまま
ある日菜乃花は別のドクターと出かけることになり、そこで思わぬ事態となる…
✼•• ┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈••✼
鈴原 菜乃花(24歳)…図書館司書
宮瀬 颯真(28歳)…救急科専攻医
そういう目で見ています
如月 そら
恋愛
プロ派遣社員の月蔵詩乃。
今の派遣先である会社社長は
詩乃の『ツボ』なのです。
つい、目がいってしまう。
なぜって……❤️
(11/1にお話を追記しました💖)
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
【書籍化】Good day !
葉月 まい
恋愛
『Good day !』シリーズ Vol.1
人一倍真面目で努力家のコーパイと
イケメンのエリートキャプテン
そんな二人の
恋と仕事と、飛行機の物語…
꙳⋆ ˖𓂃܀✈* 登場人物 *☆܀𓂃˖ ⋆꙳
日本ウイング航空(Japan Wing Airline)
副操縦士
藤崎 恵真(27歳) Fujisaki Ema
機長
佐倉 大和(35歳) Sakura Yamato
氷の上司に、好きがバレたら終わりや
naomikoryo
恋愛
──地方から本社に異動してきた29歳独身OL・舞子。
お調子者で明るく、ちょっとおせっかいな彼女の前に現れたのは、
“氷のように冷たい”と社内で噂される40歳のイケメン上司・本庄誠。
最初は「怖い」としか思えなかったはずのその人が、
実は誰よりもまっすぐで、優しくて、不器用な人だと知ったとき――
舞子の中で、恋が芽生えはじめる。
でも、彼には誰も知らない過去があった。
そして舞子は、自分の恋心を隠しながら、ゆっくりとその心の氷を溶かしていく。
◆恋って、“バレたら終わり”なんやろか?
◆それとも、“言わな、始まらへん”んやろか?
そんな揺れる想いを抱えながら、仕事も恋も全力投球。
笑って、泣いて、つまずいて――それでも、前を向く彼女の姿に、きっとあなたも自分を重ねたくなる。
関西出身のヒロイン×無口な年上上司の、20話で完結するライト文芸ラブストーリー。
仕事に恋に揺れるすべてのOLさんたちへ。
「この恋、うちのことかも」と思わず呟きたくなる、等身大の恋を、ぜひ読んでみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる