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第5章 最高に幸せで切ない休日

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 帰路についたけれど、好天の日曜日、道路は大渋滞。
 サニーヒルズに帰りつくまでに、いつもの倍以上の時間がかかりそうだった。

「ヘリの免許を取るのって大変なんじゃないですか?」
「いや、自家用の免許だからそれほどでもないよ。アメリカに留学しているあいだに取ったしね」

 維持費も大変ですねって言おうとしたけれど、これは愚問だろう。

「花火の季節もいいよ。下から見るのとまた違って」
「上空から見る花火なんて想像もつかないです」

「そのときは、またフライトに誘うよ」
「本当ですか?」
「ああ。もちろん」
 芹澤さんはわたしを見て頷いた。

 顔が曇っていきそうになって必死に耐えた。

 彼を嘘つきだとは思ったわけではない。
 でも、そんなふうに下手に期待を持たせないでほしかった。

「すみません。寝てもいいですか? 少し疲れてしまって」
「ああ、構わないよ。ついたら起こすから」

 落ち込む気持ちを悟られないように、ビレッジに帰り着くまで、わたしは寝たふりを続けた。
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