4 / 10
第4話 ギルド仲間との出会いと初めてのライバル遭遇
しおりを挟むカルナスの町は朝から活気に満ちていた。
川谷ゆうじはギルドに向かう途中、昨夜の迷宮探索で得た報酬やステー
タス上昇の余韻を噛みしめていた。
「Fランクでも、少しずつ強くなれる……」
独り言をつぶやきながら、ゆうじは石畳の道を歩く。
今日の目的は、ギルド仲間との顔合わせと、次の依頼の相談だ。
ギルドの扉を開けると、中は昨日以上に騒がしかった。
冒険者たちが依頼情報を交換し、装備を整え、笑い声を上げている。
その中に、ゆうじと同じくらいの年頃の少女が目に入った。
「あなたが、川谷さん?」
声の主は、サフィア・ルーエル。Cランク冒険者で、落ち着いた雰囲気と
知的な笑顔が印象的だった。
「はい……初めまして」
ゆうじは少し緊張しながらも頭を下げる。
「昨日の迷宮探索、拝見しました。Fランクとは思えない冷静さ」
サフィアは感心したように頷く。
「今度、一緒に依頼を回ることになるかもしれません。よろしく」
ゆうじの胸に小さな期待が芽生えた。
仲間ができる――それだけで、心強さが増すものだ。
受付で新しい依頼の情報を確認すると、町外れの森に小型モンスターが
出没しているという内容だった。
サフィアもその依頼に興味を示していた。
「よし……じゃあ、一緒に行こう」
二人は森への道を歩きながら、互いのスキルや戦い方について話す。
ゆうじは転移と変換のスキルを説明し、サフィアは回復魔法や補助魔法
の能力を紹介した。
「なるほど……戦闘力はないけど、戦略で補えるのね」
サフィアは笑い、ゆうじは少し照れながら頷いた。
森に到着すると、小型モンスターが数匹現れた。
戦闘スキルはないが、転移で位置取りを変えながら戦うゆうじを、
サフィアは魔法で支援する。
「うまく連携できた……!」
戦闘後、二人は息を整えながら笑った。
Fランクのゆうじにとって、仲間との協力は新鮮で、嬉しい体験だった。
だが、その背後に気配を感じる。振り返ると、鋭い視線を放つ青年が立っ
ていた。18歳ほどの少年で、剣を背負い、Bランクの風格を漂わせている。
「ふん……お前、昨日の迷宮探索の少年か?」
彼が名乗ったのは、リオ・ヴェルン。
「俺はBランクの冒険者だ。お前のスキルは面白いが、戦闘では使えん」
ゆうじは心の中で緊張する。初めてのライバル登場だ。
「えっと……よろしくお願いします」
とりあえず挨拶を返すが、内心では負けたくない気持ちでいっぱいだった。
リオは挑発的に笑う。
「小手先の戦略でSランクに上がれると思うなよ」
その声には自信と威圧感があり、Fランクのゆうじには圧力に感じられた。
森の奥で、再び小型モンスターが出現する。
リオは剣を抜き、軽やかに戦闘を開始。彼の動きは的確で無駄がない。
ゆうじは転移を駆使して敵を翻弄する。
戦いの後、リオはゆうじに向かって言った。
「まだFランクだが……お前、ちょっと目が離せないな」
少し認められた気がしたが、同時にライバル心も芽生える。
森から戻る途中、サフィアが微笑む。
「リオさん……強いけど、悪い人ではなさそう」
ゆうじは頷き、胸の奥で決意を固めた。
「俺も……もっと強くなる。Fランクでも、Sランク目指す」
サフィアと共に歩く足取りは、昨日よりも力強く、確かだった。
夜、ギルドの宿で一人、ゆうじは今日の出来事を思い返す。
仲間との協力、初めてのライバル、そして自分のスキルの可能性。
Fランクの冒険者にしては、充実した一日だった。
しかし、異世界アストラリオにはまだ、ゆうじの知らない危険と挑戦が
待っている。
国外追放から始まった冒険者生活は、仲間との出会いとライバルとの遭遇
によって、少しずつ色を帯び始めたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる