異常と生活している私の方が『異常』かもしれない。

ヨロ航

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ーー『異常』からの3ヶ月目②ーー

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ー春夏お花摘み中ー

「わたし?私?」
いや、ちょっと待ってください。

私、女ですよ?
そりゃ服装変えれば男に間違われる事もありますが!

今までそんな甘い(?)雰囲気になったことないし。
お泊まりだって普通に…

いやいやいや、あの春夏が?
いつも軽口叩くけど優しくて誰にでもモテて私との距離感も押さえてる春夏か…が…?

待って。
『距離感も押さえてる?』

大学のころ、私がひとりでいたい時に『一言』
告げて1人にしてくれたことがある

私が当時付き合っていた彼と別れた時は一晩中そばにいてくれた

社会人になって春夏と行った合コンで『私が不愉快』と感じた時も、笑顔で「つっまんない男達じゃ」なんて言って、一緒にお店を出てくれた

「…………」

『…………………………………………………』
何スか、スミスさん。当然のように出ないで下さいよ

……まず聞かなきゃ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

トイレの流れる音
でもすぐに春夏は出てきません。
5分くらい経って出てきました。

「ふぃー…酔ったー…」
さっきまでの春夏じゃありません。
これは『いつも』の春夏

「響らしからぬ。恋愛尋問に私も乗せられちったよ。やるなぁお主。」

さっきと雰囲気が全然違うのに「私の一言」でこの空気を壊していいのだろうか?
もしもホントに春夏が私を…

「…にゃーにー?ひょっとしてさっきの私の赤面演技で意識しちゃった?ちょろいヤツよ。」

私「……」

「かっかっか。精進しなよ!あ、ちょっと冷蔵庫から炭酸水もらうね。」

自分でもびっくりです。冷蔵庫に手を伸ばした春夏の手首を私は握っていました。

「…!」
春夏がびっくりしてます。そりゃまあそうでしょう。

「な、なに?なんか真剣な顔して響…こわいよ…」

私は言います。
「すいません。私がバカならあれで終わったかも知れません。ただ1つ教えてほしいです。」

「…なに?」

「先程言いかけた言葉。」

ー『春夏はとても可愛いです。見た目も中身も。私が言っても説得力がありませんが。春夏は自分で思っているよりーー』

『そんな事ないよ…むしろひび』ーーー

「あれは何を言いかけたんですか?」

「!あ、あれは…」
春夏が怯えたような困ったような表情です。

「ま、まず手…手離してよぉ」
顔が真っ赤です。めっちゃ赤いです。

「嫌なら振り払ってください。」
「春夏はいつも私に踏み込んで、見て、判断してそばにいてくれました。」
「今度は私が踏み込んで判断する番です。
もっとも春夏から離れる選択肢はありませんが。
だから嫌なら振り払ってください。」


「……………………………………………」
まるでスミスさんばりの沈黙。あ、やべ。
しくったかも

「…ズ…」


ず?



「ズ ル い ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


へ!!?


「なぁぁんでいつもいつも!!頼りにならなそうなくせに!!いざって時にかっこよくなるかなぁ!?」


わたしかっこいいか!?


「いっっっつもそうだよね!?」


いつもかっこいいですか!?


「私が落ち込んだりしてる時もわざわざ部屋に来て抱きしめてくれたり!!」

あ!あれ、余計だったみたいです!!


「あれ、わざと!?こちとら心臓が持たねえんだよ!!」

そ、そうだったんですな!


「もうなんなん!?さっきの言葉ぁ!?」

「むしろ響はーー私よりもかっこいいし、可愛いだよ!! 満足しましたか!?」

あ、嬉しい。


「ごめんね!?惚れてしまいまして!しかも同性で!」

止まらない春夏!

「響と仲良くなりたくて下心で近づきましたよ!でも真心ですよ!?」

「大学1年から大好きだバッキャローがぁ!!」

「ハア…ハア…」


も、燃え尽きたか…
……じゃないですよね。

「うー……今日も『いつも通り』のはずだったのにぃぃー…」
涙目の春夏、いつもの余裕しゃくしゃくの彼女は今はいないです。


「……あの………ありがとう…」
だいぶ遅れて言葉が出ました。

「……どいたしまして……」
ズピーと春夏は鼻を噛んでいます。


…そうだ…返事…

春夏は大事な友達…

でも向こうは私を恋愛対象と見てた…

それを聞いて今の私は…

気持ち悪くはない…

むしろ嬉しい…ならば



「春夏、付き合いましょうか。」

「返事早くね!??」

こ、これは意外です。てっきり喜んでくれるんじゃないかと…

「女同士だよ!?」

はい

「私のことキモイって思わなかったの!?」

思ってません。

「……本気で言ってんの?」


「私が本気かどうかなんて春夏が一番わかってるじゃないですか。」
そう、春夏が一番わかってる。
でもきっとそういう事じゃないんですよね。きっと。


春夏が詰めてきます。
「私のこと好きだって思えるの?今までついさっきまで『親友』だったのに?」


もっともな意見です。しかし…
「気持ち悪いとも思えません、女同士とかも気になりません。春夏にはそばにいてほしいと思ってます。」

たった数時間でも急に変わる『日常』がある事を私は知っています。ね、スミスさん…


少し納得いかない様子の春夏
「微妙に答えになってないんですけど…」

「…ごめん…でも春夏の気持ちに応えたいと思ったのは事実です。」

それに…

「そもそも春夏以外に応えたいって思えません。」



……ん?



あれ?



あー……そっか…



「……それを好きと言うのでは?」
ジト目で春夏が睨んできます。可愛い。


「ですね。」
少し照れながら私は答えました。


この日、恋人ができました。


スミスさんは今日もいつも通りです。
私たち『2人』を除いて。
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