冒険の僕

Nick Robertson

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そのうち道が開けてきた。
すると象がクシャッと潰れたような人がたくさんいる街に来た。
「おはようございまーす」
いつもお母さんに言われるように僕がとりあえず挨拶してみたけど、
「ドンドングアア」としか答えてくれない。
困った顔をしてトモビを見ると
「言葉が分かんないのね。私あなたにその能力あげようとしたけど、ビー玉を選んだじゃない?だから、捨てちゃった」
と悲しそうに微笑んだ。
「いいよ、そっちの方が、楽しくて」
僕はおどけて「グアア」と象みたいな人に言うと喜んでいた。
それもすぐに慣れる。
僕とトモビは「グアア、グアアア」と合唱しながら街を進む。
すぐに坂になっていて、家と家の間を汗を垂らしながら上った。
ここの家は風変わりで、かなり歪んでいるし、おまけに大きい。
そんなことをトモビと話しながら歩いていると街の中央でサーカスが始まっているのを知った。
ボールの上に乗った人が「グアアドンドングア、グアア」と言ってひょいひょい動いている。
僕たちは坂を登った後だったから「ゼエ、ゼエ」と呟いていた。
それに反応してボールの上の人は「ゼエドンゼエドン」と叫んで空中に飛んで一回転した。
拍手をするとお辞儀をしていた。
面白いな、と思った。
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