冒険の僕

Nick Robertson

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長い階段はいつまでも続いていた。
一向に進んでいる気配がない。
「ねえ、トモ、トモビ、ねえ、これいつまで、続くの?」
「行く、行けば、分かるって」
それにどこに着くのかも分からない。
おそらく城ではないと思う。
高過ぎるのだ。
トモビにもう少しで「僕は子供なんだから無理だよ」と言いそうになったが、慌てて口を塞いだ。
「子供だから」なんていうのは禁句だ。
僕はだから必死になって上り続けた。
すると着実に進んでいくのであろう、頂上まで行けた。
そこは雲になっていた。
僕は片足でトントンと踏んでその雲が破けないことを確認して階段から乗り移った。
浮いてるみたいな変な感じがする。
トモビもついて来たので僕はチラと後ろを見やってまた足を前後に動かさなくちゃいけない。
歩き通しだよ、家の近くなら絶対こんな事しない。
でも家は遠いから、力が湧いてくる。
僕は肩をいからせながら大げさに大股歩きをした。
でも「そんなことしたら多分余計疲れちゃうわ」とトモビに言われたので諦めた。
雲の上の道を歩いていると当然雲の橋もある。
ほ、細い。
橋というより、平均台だ。
下を見ちゃいけない、のに、足元を確認しなきゃならない。
すると小さな小さな家たちが集まって怪物になってる。
僕は心臓を喉から出さないように気をつけていたけど、怖くてしゃがみ込んでしまった。
でも後ろにはトモビがある。
戻っちゃダメだ。
第一、あの階段をせっかく登り切ったのに降りて帰るなんてありえない。
進まなきゃ。
僕は細い橋に腹をくっつけるようにして進み始めた。
両手両足を橋に絡みつけるようにしてゆっくり進むと体が安定してホッとした。
すると今度はそのまま急いで渡りきった。
一息ついているとトモビも同じようにして渡ってきたから笑った。

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