すきま風

Nick Robertson

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嵐の中で
何か大きな生き物が駆け抜ける
稲光がしたその刹那のみ
全貌が、否、その影の形が露わとなって
ただ轟々としている
雨が太い線を示して強かに地面へぶつかる
水たまりに混じった泥水が何度も巻き上げられるくらい
その間を、バシャバシャと何かが走る
木々は地面へ残るのがやっとと言うようで
ゴミさえそこらを飛んで行くのに
生き物の音は遠くからだと聞こえまい
雨と雷のにかき消されてしまうからだ
と言って
近くにいたのではその存在にすら気がつけないのであろう
落雷鳴り響き多量の光が放出された瞬間にのみ
その生き物は力強く両脚を振り上げているのである
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