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草の匂いがキツい。
道路を歩くだけで、暑さは足の裏から流れ込んでくる。
「喉が渇いた」とさっきから少年に何度も服を引っ張られている。
遠くの自販機を指差して100円玉を渡すと、すっ飛んで行った。
遠ざかる少年の背中がぼんやりと揺れた。
敵わないな、この気温には。
だが、少年はすぐに引き返してきて、泣きそうな顔で「あと10円」と言う。
そうかそうかと笑って10円玉を取り出して手に乗せると、さっきと同じように走っていく。
汗は服の大部分に染み渡り、体に引っ付いている。
唇が渇いて割れている。ケチケチしないで、私も何か買った方が良いかもしれない。
今度こそ少年は勢いよく水を飲んでいた。
ペットボトルをこれでもかと傾けている。
それを一点に見据えながら歩く。
ずいぶん距離があると思っていたが、何も考えずに行くと案外すぐに追いつくものだ。
そうは言っても、私が来た時にはもう少年は空になったペットボトルを自販機の隣にある満タンの赤いゴミ箱に突き入れていた。
「生き返った」
「そう」
少年はそばに生えていたイネ科の草をむしり取ると、意味もなく齧って、吐き捨てた。
その口から弾き出た唾液が、転がっている油蝉の周りに広がる。
眺めていると、なんだか、私は水を飲まなくても耐えられるような気がした。
道路を歩くだけで、暑さは足の裏から流れ込んでくる。
「喉が渇いた」とさっきから少年に何度も服を引っ張られている。
遠くの自販機を指差して100円玉を渡すと、すっ飛んで行った。
遠ざかる少年の背中がぼんやりと揺れた。
敵わないな、この気温には。
だが、少年はすぐに引き返してきて、泣きそうな顔で「あと10円」と言う。
そうかそうかと笑って10円玉を取り出して手に乗せると、さっきと同じように走っていく。
汗は服の大部分に染み渡り、体に引っ付いている。
唇が渇いて割れている。ケチケチしないで、私も何か買った方が良いかもしれない。
今度こそ少年は勢いよく水を飲んでいた。
ペットボトルをこれでもかと傾けている。
それを一点に見据えながら歩く。
ずいぶん距離があると思っていたが、何も考えずに行くと案外すぐに追いつくものだ。
そうは言っても、私が来た時にはもう少年は空になったペットボトルを自販機の隣にある満タンの赤いゴミ箱に突き入れていた。
「生き返った」
「そう」
少年はそばに生えていたイネ科の草をむしり取ると、意味もなく齧って、吐き捨てた。
その口から弾き出た唾液が、転がっている油蝉の周りに広がる。
眺めていると、なんだか、私は水を飲まなくても耐えられるような気がした。
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