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特別な場所 1
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「…何なんだっ、これはっ!!」
ある倉庫の片隅にて。
駆けつけてきた警察は絶句した。
ずっと昔に役目を終え、建設業者の手元を離れて使われなくなった、埃だらけのその建物にあったのは、直方体の箱。業務用のコピー機のようなサイズだ。
真っ黒に色付けられたそれは、一見しただけでは、あたりの闇に混じっているようで、さして重要な意味は持たないようである。しかし、懐中電灯に照らされた時に覚える感情としたら……、ちょっと綺麗過ぎる。最近ここに持って来られたばかりといった風で、目立った傷一つなく、黒塗りが光っていることからしても、場違いな、異質な感じがする。
一人の警察が後ろにいるメンバーに頷きかけて、そこへにじり寄る。沈黙の中、靴がコンクリートの床を滑る音がくっきり聞こえた。
その警察官は、先程帽子ににくっついた蜘蛛の巣を払いながら、手袋をはめたままその箱にそっと触れる。
熱い。ブーン、という音もかすかに聞こえる。
「恐らく中には機械が入っており、それは現在も稼働しているようです」
彼はそう報告した。
「気味が悪いな。まさかその機械の中に…」
「そんなことはないでしょう。マスク越しとは言え、強烈な異臭というのもしませんし」
自分を元気づけるように、その男は否定した。それでも、中身は気になる。いや、気にならずとも、調べなければならないだろう。ほぼ絶対に、手がかりはあるはずなのだから。
「蓋はないのか?」
「えーと、ちょっと待ってくださいよ……」
電灯で照らしながら、ゆっくり彼は箱の周りを周っていく。
「んーと、なさそうなのか、な…?」
呟きつつ、懐中電灯は丹念に上から下へその箱を映し出す。
「…あっ、ありますあります!ここにそれっぽい隙間がっ!」
「おぉ、見つかったか」
前側から見ても分からないが、背面に、四角い枠があった。鍵も何もなく、はめ込まれているだけだが、これを外すと中が見えるようになっているらしい。
「…どう、外れそう?」
「んー、力技でゴリゴリやってみたら、どう………、いやー、難しいですか、ね……」
「無理して傷を入れるようなことはやめてくれよ。一旦出よう。…それっ、写真撮ってくれ」
「はいはぁい」
ひょいひょいと移動しながら、箱の全体を写していく。真横から、真上から。俯瞰した位置からなど。だが、シャッター音が鳴らないカメラらしく、いまいち撮ったような気はしない。
一通りそれが終わったので、ゾロゾロと出て行く。
やはりこの工場が関係している。ここいらはもうじき黄色いテープで囲まれることになるだろう。
ある倉庫の片隅にて。
駆けつけてきた警察は絶句した。
ずっと昔に役目を終え、建設業者の手元を離れて使われなくなった、埃だらけのその建物にあったのは、直方体の箱。業務用のコピー機のようなサイズだ。
真っ黒に色付けられたそれは、一見しただけでは、あたりの闇に混じっているようで、さして重要な意味は持たないようである。しかし、懐中電灯に照らされた時に覚える感情としたら……、ちょっと綺麗過ぎる。最近ここに持って来られたばかりといった風で、目立った傷一つなく、黒塗りが光っていることからしても、場違いな、異質な感じがする。
一人の警察が後ろにいるメンバーに頷きかけて、そこへにじり寄る。沈黙の中、靴がコンクリートの床を滑る音がくっきり聞こえた。
その警察官は、先程帽子ににくっついた蜘蛛の巣を払いながら、手袋をはめたままその箱にそっと触れる。
熱い。ブーン、という音もかすかに聞こえる。
「恐らく中には機械が入っており、それは現在も稼働しているようです」
彼はそう報告した。
「気味が悪いな。まさかその機械の中に…」
「そんなことはないでしょう。マスク越しとは言え、強烈な異臭というのもしませんし」
自分を元気づけるように、その男は否定した。それでも、中身は気になる。いや、気にならずとも、調べなければならないだろう。ほぼ絶対に、手がかりはあるはずなのだから。
「蓋はないのか?」
「えーと、ちょっと待ってくださいよ……」
電灯で照らしながら、ゆっくり彼は箱の周りを周っていく。
「んーと、なさそうなのか、な…?」
呟きつつ、懐中電灯は丹念に上から下へその箱を映し出す。
「…あっ、ありますあります!ここにそれっぽい隙間がっ!」
「おぉ、見つかったか」
前側から見ても分からないが、背面に、四角い枠があった。鍵も何もなく、はめ込まれているだけだが、これを外すと中が見えるようになっているらしい。
「…どう、外れそう?」
「んー、力技でゴリゴリやってみたら、どう………、いやー、難しいですか、ね……」
「無理して傷を入れるようなことはやめてくれよ。一旦出よう。…それっ、写真撮ってくれ」
「はいはぁい」
ひょいひょいと移動しながら、箱の全体を写していく。真横から、真上から。俯瞰した位置からなど。だが、シャッター音が鳴らないカメラらしく、いまいち撮ったような気はしない。
一通りそれが終わったので、ゾロゾロと出て行く。
やはりこの工場が関係している。ここいらはもうじき黄色いテープで囲まれることになるだろう。
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