『観察眼』は便利

Nick Robertson

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(…もしや、時間が決まっていたのか)
時間厳守。これは、スパイとしての責務だったのかもしれない。
十発時刻をキッチリ守ったがために、カバートの森で特訓せざるを得なくなった………、と。

(いや、それはないな)
だが、俺は考え直す。もちろん、今も走り続けたままである。

(目立つのは時間に遅れることよりもはるかにスパイとしてやってはいけないことなのではないか。所属している組織ごと危険に晒すような、そんな振る舞いをワザワザするわけもない。ということは…。

(カバートの森で行ったことの偽装?!)
もし、カメラが届かないような、木々の後ろで、コソコソと爆薬を仕込んだとする。でも、それだけでは必ず見つかってしまうだろう。

だから、駆け回っているように見せかけて山の一部に設置するのではないか。ちょうど、ハンカチ落としをする時に、どこへそれを落としたか分からなくするために、手を隠して素早く動くような。

(……)
だが、あんな所を爆破して何になるというのだ。利益がないじゃないか。まず、あそこは隠れ家に有効な場所なのだ。それを崩してしまっては、デメリットしかない。
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