スルーの達人になりたい

Nick Robertson

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俺は村からそそくさと出ようとした。
すると俺の服の裾をクイと引っ張る人がいる。
ナンダナンダと思うとがっしりした女だった。
なんだか全体的に角ばってるみたいだ。
俺は何も言えまま引きずられていった。

「ここがあたしたちの隠れ場所、というか集会なんだがね」
周りにはぐるりと様々な男女が囲んでいる。
「ここから先のダンジョンを進むには二人のチームを作らなければならない。さてどうする?」
「え、一人選ぶの?」
「そーゆーこと。私を含めてね」
みんなが見つめてくる。

「そ、そうだなあ」困っちゃうなあ。急に言われてもなあ。
俺が視線を泳がすと、一人こちらを向いていない人を見つけた。
「あれ?お前は…」
間違いない。ダンジョンのボスだ。
あの少年、なんでこっちを向かないんだ。すねてんのか?まずどうしてここにいるんだ。

「あー、それじゃあ、あそこにいる一番小さい子にしたいんですけどお」
「え?あいつ?」
みんなの視線が少年に集まる。
「そう、あいつです」
「あいつ一番弱いし役に立たないわよ。レベルも0…あぁ、貴方そこに惹かれたのね」
あぁとみんな納得する。

「じ、じゃあ俺は?」
「いやいや、ワテも0です!」
「あのー、実は私も…」

皆ブーブー言っていたが俺は結局あの少年を呼んで連れて行った。

村を出た。
少年はまだ何も言わない。





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