イーヴィル・アビス

ノレクス

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第0章 エターナル・オリジン

終焉者

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 俺は召喚士の家系に生まれたことを除けるのなら、一般人、大学生だ。
 召喚士って言っても、俺ができる召喚術は大したものじゃない。どこかにあるものを手繰り寄せるだけだ。例えば家でゴロゴロしてる時に、ジュースが飲みたくなったりするだろ?そんな時に冷蔵庫からパッと手元に持ってくるみたいに簡単なやつ。
 他の同年代の奴らは魔界やら冥界、天界などから超常的な現象や存在を引っ張って来れるが、俺には無理だ。親に言われるがまま修行したし、勉強だって学校のに加えて召喚魔導の分厚い本を毎日読んでた。でも、俺にはいつまで経っても魔物とかそういう類のものは召喚できなかった。
 みんながポンポン進んでいくステップを反復横跳びしたおかげで、召喚術の歴史については他の召喚士よりも知識があると自負できるが、なんの役にも立ちはしない。特に今起きている戦争の起源なんて知っていても、戦争自体に勝ち抜く術やそのヒントにすらなりはしない。
 なんでも大昔、召喚士の父とも言える人物が、自分の召喚した少女のような姿の魔物に唆されて、この世にその魔物を放してしまったんだとか。その魔物が現世に残したサイコロは出た目の数だけ願いを叶えるという代物で、過去にはこのサイコロを巡って世界的な戦争も起こった。
 今現在はそんなサイコロはオカルトだとかいった学者の見解から、そういった世界的な戦争は比較的落ち着いてはいるが、召喚士の間では未だにそのサイコロを奪い合う戦争が続いているのだ。
 実際、あのサイコロにはどんな願いでも叶える力がある。しかし今その事を知っているのは、召喚士の家系の人間か、ごく少数の裏社会の人間だけだ。俺の家族はこの戦争に参加することなく、毎度棄権していた。だが、召喚士の家系というだけで命を狙われることも多く、俺が小学校低学年の頃にこの戦争で両親を失った。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるもので、毎夜毎晩襲われれば、いつかはこうなることも予想はできた。俺は当時酷く悲しみ、絶望の淵に堕ちた。この戦争への憎悪や怨嗟がなかったとは言い切れない。でも、そんな俺にも手を差し伸べてくれる人間はいた。
 両親を失った当時の俺は、孤児院に引き取られた。なんだかんだいざこざはあったが、結局大学進学まで面倒を見てもらってしまった。大学に入学した今でもたまに孤児院に顔を出すが、遺影になった院長の顔を見ると酷く落胆する。俺が死なせてしまったのだと。でも、院長が遺したこの子たちを守るためにも俺は、この孤児院の近くにいてはならない。院長を引き継いだおばさんからは大学に入ってからもここを使うといいと提案されたが、そういうわけにはいかなかった。なぜなら俺は召喚士だからだ。召喚士である以上、また命を狙われる。だから俺は一人で生きる事を決意した。昔から勉強熱心だったのが幸いし、大学には特待生として入ることができた。またこの大学には、特待生は学生寮とは別の小さな一軒家のような場所で寝泊まりすることを選択できるという特待制度がある。この制度のおかげで俺の命が狙われても最低限の被害で済む。
 俺は俺の大事なもの全てを奪ったあの戦争を永遠に許す事はないだろう。でも今の俺ではその無念は晴らすことはできず、ただ負け犬の遠吠えになるのが目に見えていた。ならせめて、この戦争で俺みたいな思いをする人間が出る前に、終止符を打つ。
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