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しおりを挟む穏やかな陽差しの昼休み、校舎の壁を背にした撫子は自分を囲う上級生の姿に平静を装いつつも焦っていた。
「お前だよな? 色んな女侍らせて調子に乗ってる二年て?」
三人の男子生徒のうち口火を切ったのは、先頭に立ってひときわ撫子を険しい顔で見ている短髪の男だった。
撫子は肯定も否定もせず、浅くなった呼吸をどうにか保っていた。
女性を侍らせた覚えはない。だが、いつも女子と一緒にいる姿を見て勝手に誤解してるだろうことも容易に想像がついた。
撫子を恨みがましげに見ているのはその人だけで、後の二人は面白いものでも見るように嗤っていた。どうやら撫子に用があるのは先頭にいるこの先輩だけらしい。
「黒川(くろかわ)はなんだってこんなチャラついた男がいいんだ?」
憎々しいという独り言が聞こえた撫子は、そこでこの事態の理由を悟った。
(ああ……一楓さん関連かあ……)
購買以外にも生徒が気軽に飲み物を調達できるように、自動販売機をいくつもまとめたスペースがあった。
その校舎脇のスペースに撫子はたまたま昼休みに一人で飲み物を買いに来ていたところ、突然この三人に呼び止められてそのまま校舎裏につれて来られたのだ。
どうして声をかけられたのか。訳も分からない状況だったさっきよりも、理由が判明した分だけ心にわずかな余裕が持てた。
以前にも同じように呼び出されて一楓との関係を詰問されたことがあった。
あのときは相手が一人だったし、撫子よりも背の低い下級生だった。だが今回は、困ったことに三人揃って撫子より体格が良い。
校舎に背中を預ける撫子と三人との間には少し距離がある。
正面切って顔を見ることが出来ないので、撫子はお互いの足元を見比べるように距離を実際に眼で確認した。
(うん。この位置を保てれば大丈夫……)
嫌な予感を覚える自分自身を、そうやって内心で発破をかけた。
口ぶりや撫子を敵視する眼差しといい、相手は一楓に想いを寄せているのだろう。
(そういえば、しつこいのが一人いるって少し前に言ってたっけ……)
一週間ほど前のことだ。撫子たち三人のもとを訪れた一楓はどこか苛立った様子で、心配になった撫子たちがあれやこれやと聞き出したのだ。
そこで言われたのが、告白を断わった男が何度も接触を図ってきて面倒だということ。
一楓はその学生とは思えない大人びた容姿や言動のせいか、学年問わず男子の注目の的だ。しかしそれはひっそりと水面下でのことで、誰も表立ってはしゃいだりはしない。それは、一楓が大の男嫌いで有名なためだ。これまで何人もの男がアタックしては冷たく突き返されてきた結果、今では想いを告げる人さえいなくなったと聞く。
一楓は年下や女性に甘いところはあるが、基本的には四条のように言うべきことは忖度なく、ハッキリと言う人だ。
むしろ、告白してきた男性相手にはわざと冷たくしている部分もある。今まで再アタックした人の噂は聞かないので、一発で恋心をへし折られるぐらいには強烈なことを言われるのだろう。
(それでもめげないってことは、この先輩本気なのかな……?)
感心しかけた撫子は、慌てて首を振って思い直す。
いやいや。例え本気だとしても、嫌がる相手にしつこく食い下がるのはダメだろう。
「おい増田(ますだ)、分かりきったこと訊くなよ。そりゃ顔がいいから女に好かれるんだろう。特に黒川みたいなしっかりしたタイプはこういうきれいめで人形みたいな年下に弱そうじゃん」
「たしかに女子が騒ぐだけはあるよな。顔だけ見りゃ女に混ざってても分かんねーし」
囃し立てるように後ろの男が言うと、増田は悔しがるように口を引き結んだ。ぎっと睨まれたけれど、撫子にとっては増田の憎悪を込めた瞳より、じろじろと検分してくる男二人の視線のほうがよっぽど恐怖だった。
反射的に鳥肌が立つ。ぐつぐつと腹の奥からこみ上げるような吐き気を覚えた。
チカチカと頭の中で明滅する過去の風景に、勝手に体が震え出すのを懸命に堪える。
(こんなことなら買い物に来なきゃよかったな……)
逃げ道を探そうと、撫子は三人の背後に眼を向けた。すぐそこの校舎の角を曲がれば、元の自販機スペースに戻れる。しかし、それをするにはこの三人を振り切って逃げないといけない。
自分よりも体格のよいこの人たちに向かっていく?
そんなの無理だ。考えただけで竦む足に、撫子はそうそうにその考えを捨てた。
(声を上げれば、誰か気づいてくれるかな?)
校舎の死角に入ってはいるが、距離としてはさほど離れていない。自販機には意外と人が立ち寄るので、誰かしらは気づいてくれるかもしれない。
淡い期待が芽生えた。が、口を開くすんでのところで心配が頭をもたげた。
もし、気づいたのが女子生徒だったら? 危ないことに巻き込んでしまう。それに、もし男子だったとしても、数人の上級生相手に見知らぬ生徒を助けてくれるだろうか?
――上級生相手にだって怯まずに助けてくれそうな人なんて……。
絶望で染まりかけた脳裏に、不意に一人の姿が思い浮かんだ。どこまでも正義感の強い、歯に衣着せぬ言葉を吐く人。
期待に胸が高鳴りそうになって、そうなる前に撫子は自分の頭から追い払った。
(大丈夫だよ。前だって勝手に連れ出されて好き勝手言ったあと、相手は満足して帰ったもん)
頬に一発平手をもらいはしたが、そんなのは勘定に入らないだろう。
さらに呼吸が浅くなっていたことを自覚し、撫子はどうにか深く息をして平静を保とうとした。
自分のことに必死な撫子は、眼の前の三人まで気にかけられない。自分たちを見ない撫子の態度を馬鹿にされたと思ったのか、怒りで顔を赤くした増田が、大股で距離を詰めると胸ぐらを掴んだ。
(あ、だめかも)
一気に距離を詰められて無理矢理上を向かされた撫子は、瞬時にそう思った。
――俺と話すみたいにほかの奴らとも話せばいいのに。
恐怖で支配された脳裏に、四条の言葉が蘇る。
(違うよ、四条くん……きみが例外なんだよ)
今まで女性と話すようになんの気負いもなく話が出来た同性は、養父である尚紀だけだった。尚紀相手だって、慣れるようになるまで随分と時間がかかった。そこに突如加わった例外が四条丞なのだ。
どうしてだろう、と撫子は再び思った。なぜ、彼は平気なんだろう。
引き寄せられたシャツによって、首元に擦れた痛みが走った。増田は唾を飛ばしながら、大きく口を開けてなにか言っている。
撫子はそれを聞き取る余裕なんてなくて、生温かい呼気を感じながら近くなった他者の気配に鳥肌が立った。
無理矢理引き上げられているせいで、かかとは上がっているし、喉が締まって息苦しい。
呻くように眼を薄く開けると、すぐ近くで見下ろしてくる男の瞳とかち合い、ゾッとする恐怖で息を呑んだ。
逆光で見えなくなった男の顔に――影に、遠い記憶が重なる。
――撫子くんだっけ? まるで女の子みたいな名前だねえ。
ニタリと嗤った粘ついた男の声が、耳を撫でるように蘇った。薄く柔らかい子どもの腹を、ゆっくりと撫でたかさついた指の感触を思い出し、勝手に体が震える。
それを自分への怯えだとでも捉えたのか、そこで初めて増田は嗤った。
「取り巻き作って調子に乗ってたって、一人じゃなにも出来ないんだな……黒川はほんと見る眼がないよ。こんな臆病者のことを可愛がるなんて」
――臆病者。
その言葉は随分と深く、撫子の胸に冷たく突き刺さった。増田のことだってハッキリ認識できていないような危うい意識の中で、その言葉だけ上手く聞き取れたのはきっと図星だったからだと思う。
一度自分のほうが有利だと思ったからか、増田は機嫌良くべらべらと喋り始めた。
少し伸びた撫子の横髪を引っ張るように触れられて、引きつった痛みに反射的に腕を払った。
「……は、離してください!」
上擦った悲鳴とともに、増田の腕を振りほどき、撫子は限界まで後退した。冷たい校舎の外壁にふれると、幾分か気分もマシになった気がする。距離は取れたが、目の前の上級生の機嫌を余計に損ねたようだ。
増田はなにが起こったのか理解しておらず、眼を白黒させていた。自身の手と距離の離れた撫子を何度も見比べ、反抗されたと分かるやいなや怒りで顔を染める。
そんな増田とは対照的に、見学している二人はいっそう強く囃し立てた。やるじゃん、と撫子を褒め、男に向かって大丈夫かあ? しっかりしろよ。と嗤いながら声をかけている。
その声音が、撫子と男に向けるものとでそう大差がないことに気づき、見世物にされているのは自分だけでなく、目の前の男もそうなのだと分かった。
ここまで撫子を目の敵にするのも、一楓にしつこく付き纏うのも、もしかしたら背後の男たちがそそのかした結果かもしれない。
撫子は不意に眼の前の男が憐れに思った。
「おいおい、そんな後輩一人にいいようにされて悔しくないのかよ」
「そうだよ、俺ら三年だぞ?」
クスクスと嗤う声が合図だった。半ば意地になった増田が、恐ろしい形相で撫子に掴みかかろうとした。一気に距離を詰められ、撫子は動くことが出来ない。
殴られると思ったとき、急に視界が開けた。襲いかかってきた増田が、横から飛んできた小さな影とぶつかって倒れ込んだからだ。
「いてぇな……なんだよ一体……」
声のほうを向くと、尻餅をつくように増田は座り込んでいた。そして撫子のちょうど目の前に、コロコロとコーラの缶が転がってきた。どうやら彼はこれに当たってバランスを崩したようだ。缶は中身が入ったままで、転がっていても重量感を感じた。
これが当たったんだ……、と襲いかかられた身でありながら、そのときの痛みを想像して撫子はつい同情してしまった。
(けど、誰がこれを……?)
缶を見下ろしながら疑問に思ったとき、不意に上履きの柔らかな足音がズカズカと近づいてきて撫子に影を作った。
「四条くん……?」
顔を上げた撫子は、すぐ傍に立って背中を向ける四条に驚きと喜びで胸が震えた。
「お、お前! こんなもの投げつけやがってなにしやがる! 危ねえだろうが!」
よろよろと立ち上がった増田は、四条を指さして声を張り上げた。しかし、彼の後方の二人は突然割って入った上背のある後輩相手に動揺を現している。上級生の怒鳴り声にだって、四条はまるで聞こえていないように平静だった。むしろ、増田が子どもの癇癪のように声を上げる度にその瞳が冷たくなっていく。
自身の肩越しに撫子の様子をチラリと見てから、四条は眇めた眼で増田に向き合った。
「なにしやがるって俺の言葉ですよ。後輩囲ってなにしてんすか? しかもさっき、殴ろうとしてましたよね?」
増田のように荒げた声ではない。だが、静かな低音にはふつふつと煮えるような怒りが感じ取られて、背後で聞いていた撫子も思わず肩が丸くなるほどだった。
案の定、さっきまで元気に喚いていた増田でさえ、怯んだように一歩退いた。傍観者二人は、すでに逃げようかとばかりに背中を向けて「やばくね?」と耳打ちし合う。
「人目のない場所で一人によってたかって……さぞかし大事な用事なんすよねえ?」
上級生相手だからと取り繕った敬語だった四条は、最後になって怒りを堪えられなかったのか語尾が上擦った。
どんな用だったのか俺の前で言ってみろ。
四条の眇めた瞳はそう雄弁に語っていた。その気迫に冷や汗を流した男たちは思わず押し黙る。
やがて「行こうぜ」と後方の一人が促した。さっさと立ち去った二人の背中を、増田が慌てた様子で追いかけていった。
あっという間に辺りは静かになると、四条がおもむろに落ちた缶を拾い上げる。
助けられた撫子は自分が拾わねばと思ったが、伸ばした手が震えていることに気づき、慌てて背後に回して隠した。
缶を拾った四条は、当てもなく手元を見下ろしながら思わずとでもいうように呟いた。
「……てっきりいつもみたいに笑って上手く乗り切るのかと思った」
「え?」
「お前、口はよく回るしヘラヘラ笑って場を過ごすのは上手いだろ」
どうしたんだ、と四条はいつにない撫子の様子に心配しているようだ。
そういえば平静を保つに必死で、表情を取り繕うところまで気が回っていなかった。
きっと表情のない撫子の面持ちに、彼らは相手にされていないと思ってさらに怒りを募らせたのだ。冷静になり始めた頭で、撫子はそう思った。
「さすがに俺だって上級生を何人も相手にしてへらへら出来るほど図太くないよ。だから助けてくれてありがとう、四条くん」
彼らが去ったおかげか、今ならちゃんと笑えた。
笑顔を向けられた四条の眉間から心配げな皺が消え、いくらか穏やかな顔つきになった。その様子を見るに、撫子は普段通りに笑えているのだろう。そのことに内心で安堵する。
「四条くんも飲み物買いに来たの?」
「ああ。でもこれじゃ開けられそうにないな」
並んで歩きながら校舎に戻った。手元のコーラ缶を見ながら、四条は困ったように苦笑した。
(……あ、さっき投げたから)
さっき増田に向かって投げた衝撃で、中身は随分と混ぜ返されてしまったはずだ。混ざった炭酸飲料を開けようものなら、吹き出して大変なことになる。
せめて水道などの洗い流せる場所か、広い屋外がいいだろう。そう思っていると、廊下のスピーカーからちょうど予鈴が鳴り始めた。
どうやら場所を移動して缶を開けている時間はないみたいだ。
自販機のスペースを横目に捉えた撫子は、ポケットから小銭入れを出した。
「さっき助けてもらったから、お礼に飲み物でもどう?」
「べつに大したことはしてないぞ」
「いいからいいから。それ、すぐに飲めないでしょ? ほら時間ないし、ちゃっちゃと選んじゃって」
断り文句を遮り、撫子は返事を聞く前にさっさとお金を入れてしまった。自販機のボタンが点灯して、選ばれるのを静かに待っている。
ニコニコと笑った撫子が早く選べとばかりに背中を押し出すと、四条は観念したのかため息をつきながらボタンを押した。
「よーし、じゃあ早く教室もどろ! 先生もう来ちゃってるかもね」
「おい、自分で歩けるって」
出てきた飲み物を取ったタイミングを見計らって、四条の背中をぐいぐいと押して教室に戻る。彼の背中に触れた自分の手が震えていないことに、撫子はそっと安堵の息をついた。
シャツ越しに触れる四条の体温か。それともさっきこの背中に庇われて安心感を覚えたせいか……耳の奥に蘇った粘ついた男の声が遠のいてゆく。
「……本当に、ありがとう」
そっと唇だけで囁いた声は届かなかっただろう。届けるつもりははなからなかった。
訝しげに首だけで振り返った四条に向かって、撫子は笑みを深めて誤魔化した。
「お前さ、ああいうときはとにかく声上げろよ」
「え?」
「助けて欲しいときは、助けてって言え。今日はたまたま気づけたから良いけどよ……次も気づける保証はないんだからよ」
強い意志の瞳に見つめられ、思わず唾を飲んだ。
「うん! 今度は誰か呼ぶことにするね!」
にこやかに答えつつ、それはただの建前でしかなかった。
(無理だよ、助けてなんて……だって俺に、そんな価値ないもん)
胸の内のもやが、ほんの少しまた大きく鳴った気がした。
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