転生先がハードモードで笑ってます。

夏里黒絵

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プロローグ。

リンシャの側近メイドによるお話

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私はリンシャ様が生まれてまもなくからお世話係を任されお仕えしてきました。
肌は白く髪は白銀で瞳の色は澄んだ空の色。浮世離れしたそのお姿はまさに神からの祝福を受けた天使なのではと疑うほどでした。
腕に抱えたら壊れてしまいそうな程尊い存在に感じられ、きっと美少年に育つのだと疑いませんでした。

しかしリンシャ様の母であるリーデルア様が亡くなられ、ジス様は新たな奥様であるエミリー様を迎えました。
エミリー様は前妻のリーデルア様に使えていたもの達が自分の生活圏に居るのが許せないと言い出し、屋敷の使用人を全員自らが手配した使用人に入れ替えました。
しかし前のメイド長がリンシャ様のお世話係の私だけは残して欲しいと頼み込んだそうで私だけ屋敷に残る事になりました。


リンシャ様に対してのエミリー様の仕打ちは相当なものだったと思います。
私は現場を見ておりませんがリンシャ様はいつも何処かが腫れていて、目も虚ろでした。
しかしリンシャ様の手当がしたくてもほかのメイドや執事が邪魔をしてくるのです。
きっとこの人達はみなエミリー様の息がかかっているのでしょう。


そしてどんどん変貌していくリンシャ様を見て心がいたたまれました。性格もキツくなっていき、メイドや執事たちも私が近ずいても気にしなくなりました。
しかし手遅れだったようで何を言ってもリンシャ様は耳を傾けてはくださいませんでした。当然です。
義母から罵倒されて使用人からは疎まれる。こんな状態でまともな精神状態で居られるとは思えませんでした。
あの時リンシャ様を誘拐して何処か遠くの国へ亡命してしまっていればどれだけ幸せだったか。私はたまに考えてしまうのです。
リンシャ様をこのような目に遭わせてしまった私にはせめてもの償いとしておそばで見守る事しか出来ないのです。



そんなある日、リンシャ様は性格がまた豹変しました。部屋に引きこもってしまい、誰とも顔を合わせたくないとおっしゃるのです。
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