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第5章:「子爵になって、神の使徒になって、婚約もして。あ、魔の森の開拓もありました。貴族って、こんなに忙しいものなんですか?」
第66話「王都への報告・中編」
第66話「王都への報告・中編」
謁見の後。
国王が、レンと辺境伯を執務室へ招く。
宰相も同席する。
護衛の騎士が、扉の外に立つ。
扉が閉まる。
「レン様、お疲れ様でした」
国王が、ほっとした表情で言う。
「陛下もお疲れ様です」
レンが、微笑む。
「それにしても……侯爵への叙爵、おめでとうございます」
「ありがとうございます。まだ、少し実感が湧かないですが……」
レンが、苦笑する。
「ふふ……それはそうでしょうな」
辺境伯が、笑う。
「さて……」
国王が、椅子にゆったりと座る。
「ここでは、気楽に話しましょう。謁見の場では話せなかったことが、あるのではないですか?」
「はい、実は……」
レンが、頷く。
「電話でもお伝えできることかもしれませんが……やはり、直接顔を合わせてお話すべきだと思いまして」
「うむ。聞かせてください」
ゲートと転移魔法の告白
「一つ目は……ゲートのことです」
レンが、少し改まって言う。
「ゲート……?」
国王が、首を傾げる。
「はい。少し説明させてください」
レンが、続ける。
「例えば……ここに、鏡のような魔法装置があるとします。そしてグリューンヴァルト領にも、同じ装置があるとします」
「うむ」
「この二つの装置を、ゲートで繋ぎます。繋がった後は……こちらの装置に触れて一歩踏み出すと……次の瞬間、グリューンヴァルト領の装置の前に出る。そういう仕組みです」
「……!」
国王が、目を見開く。
「つまり……どれだけ離れた場所でも、一瞬で移動できると……」
「はい、そういうことです」
レンが、頷く。
「通行できるのは……私がゲートに登録した者のみです。登録していない者は、ゲートに触れても……ただの鏡や、ただの石の枠にしか見えません。なので、見つかっても安心です」
「なるほど……」
「形は自由に作れます。鏡のような小さなものから……両側に太い石柱が立ち、その上を石が橋のように渡った、人が何人も並んで通れる大きな石造りの門の形まで」
「大きな……石の門か……それは壮観ですな」
国王が、目を輝かせる。
「現在は私の私邸のみに設置しています。グリューンヴァルト領のタワー30階の私の部屋、工場地帯のマンション最上階、辺境伯邸の隣の私の屋敷……全て、私的な居住空間のみですね」
「二つ目は……転移魔法です」
レンが、続ける。
「転移魔法……ゲートとは違うのですか?」
国王が、興味深そうに聞く。
「はい、全然違います」
レンが、答える。
「ゲートは装置と装置を繋ぐもの……転移魔法は、私自身が直接移動する魔法です。過去に一度でも行ったことのある場所なら、どこへでも一瞬で移動できます。私が連れて行くと認識した者なら、何人でも一緒に移動できますよ」
「……!」
「今日も……グリューンヴァルト領から、辺境伯邸の執務室まで一瞬で移動しました。辺境伯様とエドガーも、一緒に」
「……グリューンヴァルトから辺境伯邸まで……馬車で3日の距離を……一瞬で……」
国王が、呆然と呟く。
「はい。ただし……転移魔法は私個人の魔法ですので、公に広めるつもりはありません。ご存知の方も、側近と辺境伯家の方々のみです」
「なぜ……今、話してくれたのですか?」
国王が、静かに聞く。
「後で知られれば……陛下への印象が良くないと思いまして」
レンが、少し照れながら答える。
「陛下には……隠し事をしたくないんです。それだけです」
「……」
国王が、深く頷く。
「ゲートについては……現状のまま、私邸のみでの使用を許可しますよ」
「ありがとうございます、陛下」
「公共のゲートについては……将来、必要になった時に改めて話し合いましょう」
「はい」
「……本当に、正直な方だ」
国王が、しみじみと言う。
「ヴォルフガング……あなたは本当に良い出会いをしましたな」
「はい、陛下。私もそう思っております」
辺境伯が、誇らしそうに答える。
重鎮への使徒公開の相談
「それと……」
国王が、少し真剣な表情になる。
「一つ、相談があるのですが……」
「はい、何でしょう?」
「使徒のことを……王国の重鎮たちに知らせておいた方が良いのではないか、と思っていまして」
国王が、続ける。
「レン様が侯爵になれば……重鎮たちと接する機会も増えます。使徒であることを知らずに、失礼な態度を取る者が出ても困りますし……」
「なるほど……確かに、そうですね」
レンが、少し考える。
(重鎮たちに……知らせる)
(しかし……全員が、信頼できる者とは限らない)
「陛下……一つ、ご提案があります」
レンが、言う。
「ほう?聞かせてください」
「実は……私の鑑定眼の精度が、最近かなり上がっていまして。人の内面……善意と悪意だけでなく、隠している秘密なども、ある程度分かるようになりました」
「それは……凄い」
「重鎮の方々に自然な形で直接お会いして、鑑定させていただいた上で……信頼できると判断した方にのみ、使徒のことをお伝えするのはいかがでしょうか?」
「自然な形で……というのは?」
国王が、首を傾げる。
「例えば……新しい侯爵への歓迎という形で、お茶会を催していただくのはいかがでしょうか」
レンが、続ける。
「重鎮の方々と自然に挨拶を交わしながら……その場で、さりげなく鑑定できます。怪しまれることもありませんし」
「……!」
国王が、目を輝かせる。
「それは……良い考えですな!」
宰相が、すぐに頷く。
「では……今日の午後、お茶会を開きましょう」
「よろしくお願いします」
新侯爵歓迎のお茶会
午後。
王城の大広間。
テーブルに、美しい茶器が並んでいる。
香り高いお茶と、菓子。
明るい、和やかな雰囲気。
王国の重鎮たちが、次々と集まってくる。
将軍、財務大臣、各省の長官……
総勢15名。
「本日は……グリューンヴァルト侯爵への歓迎と、叙爵のお祝いの場として、集まっていただきました」
国王が、穏やかに言う。
「皆さん、ぜひ……新しい侯爵と、直接お話しいただければと思います」
重鎮たちが、それぞれレンの元へ挨拶に来る。
「グリューンヴァルト侯爵、叙爵おめでとうございます。ダンジョン・タワーのご活躍……噂は聞いておりましたよ」
財務大臣が、にこやかに言う。
「ありがとうございます。まだまだ未熟ですが……どうぞ、よろしくお願いします」
レンが、丁寧に答える。
握手を交わしながら……
(アプレイザル)
静かに、鑑定眼を使う。
(誠実……清廉……問題なし)
「侯爵殿、若いのに大したものですな。我が息子にも、見習わせたいですよ」
将軍が、豪快に笑いながら言う。
「ありがとうございます。将軍閣下のような方に、そう言っていただけると……励みになります」
レンが、微笑む。
(忠誠心が高い……娘の借金を隠している……しかし、国への害意はなし)
(問題なし)
次々と、重鎮たちが挨拶に来る。
レンは、一人ずつ丁寧に対応しながら……
自然な流れの中で、鑑定を続ける。
三人目。
ある省の長官。
「グリューンヴァルト侯爵、この度はおめでとうございます。ダンジョン・タワーは……いつか、私も訪れてみたいものですな」
「ぜひ、いらしてください。お待ちしています」
レンが、笑顔で答える。
(隣国の間者……長年にわたり内部情報を流している……)
レンの表情は、変わらない。
穏やかな笑顔のまま。
しかし……
国王の方を、ちらりと見る。
極めて自然な動作で……
首を、わずかに横に振る。
国王が、静かに頷く。
四人目。
別の長官。
「侯爵殿、ダンジョン・タワーの商業施設……我々も、大変注目しております」
「ありがとうございます。まだまだ発展途上ですが……ご期待ください」
レンが、答える。
(横領……複数回……かなりの金額……)
また……
国王に、さりげなく首を横に振る。
こうして、15名全員との挨拶が終わる。
お茶会は、和やかなまま続いている。
誰も……
レンが鑑定していたことに、気づいていない。
鑑定の報告
お茶会が終わった後。
国王の執務室。
国王、宰相、辺境伯、レン、エドガーのみ。
「レン様……いかがでしたか?」
国王が、少し緊張した表情で聞く。
「15名のうち……13名は問題ありませんでしたよ」
レンが、落ち着いた口調で答える。
「おお……良かった」
国王が、ほっとする。
「ただ……残り2名は、少し問題がありまして」
レンが、静かに続ける。
「ある省の長官の方なのですが……隣国の間者のようです。長年にわたり、内部情報を流しているようですね」
「……!」
国王が、表情を固める。
宰相が、目を細める。
「それと……別の長官の方……横領を複数回行っています。かなりの金額のようです」
「……」
国王が、しばらく黙っている。
重い、沈黙。
「間違いありませんか?」
「はい。鑑定眼の結果ですが……あくまで内面を見るものですので、証拠は別途確認が必要です。実際の証拠を掴んだ上で、対処されることをお勧めします」
レンが、丁寧に答える。
「……そうですな」
国王が、深く頷く。
「宰相、すぐに調査を頼みます。ただし……気づかれないように。慎重に進めてください」
「承知しました」
宰相が、静かに答える。
「証拠が揃い次第、裁く。揃わない者は……重要な役職から外しながら、泳がせて尻尾を出すのを待ちましょう」
「はい、陛下」
「レン様……」
国王が、レンを見る。
「本当に、ありがとうございます。まさか……お茶会の場で、あれほど自然に……誰にも気づかれずに鑑定されるとは……」
「お茶会のご提案、ありがとうございました。あの雰囲気のおかげで、自然に話しかけることができました」
レンが、微笑む。
「13名の方々は、信頼できそうですね。追って、使徒のことをお伝えしてください。ただし……この情報は、厳重に管理してくださいね」
「承知しました」
国王が、力強く頷く。
魔導ドローンの売却
「レン様……もう一つ、お願いがあるのですが」
国王が、続ける。
「はい?なんですか?」
レンが、軽く聞く。
「ダンジョンで使っているドローン……あの監視装置を、我々にも売っていただけますか?」
国王が、少し遠慮がちに言う。
「諜報活動に……使えると思いまして」
「あ~、そうですね。はい、構いませんよ」
レンが、頷く。
「クラフト:魔導ドローン×20」
レンが、魔法を発動する。
光が輝く。
20台の魔導ドローンが、現れる。
「今……その場で……20台……!」
国王が、目を丸くする。
「はい。クラフト魔法ですから」
レンが、さらりと言う。
「隠密の魔法陣が施されているので見えません。自動追尾システムも搭載していますし、スピーカー機能も付けてありますよ」
「スピーカー機能まで……!」
「こちらの操作盤で、各ドローンの映像を確認しながら操作できます。慣れれば、すぐ使えると思いますよ」
レンが、操作盤も作り出しながら言う。
「……宰相」
国王が、嬉しそうに宰相を見る。
「諜報部に10台渡してください。残りは私が管理します」
「はい、陛下」
「代金は……後ほど、宰相と相談して決めましょうか」
国王が、レンに言う。
「はい、よろしくお願いします」
レンが、頷く。
王都の屋敷の下賜
「レン様……」
国王が、続ける。
「はい」
「侯爵になれば……王都での活動も増えますよね。王都に拠点は、お持ちですか?」
「いいえ……これまでは、宿を使っておりまして」
レンが、正直に答える。
「そうか……それは不便ですな」
国王が、少し考えてから言う。
「実は……貴族街の一角に、王家が所有する屋敷がありまして」
「はい」
「以前は、王族の別邸として使っておったのですが……今は使っておらんのです。かなり広い屋敷なのですが……良ければ、お使いになりませんか?今日の功績への、褒美として下賜したいと思っています」
「えっ……!本当によろしいのですか?」
レンが、驚いて聞く。
「もちろんです。王都に拠点があれば……私もいつでも呼び出せますし、レン様も活動しやすいでしょう」
国王が、にこやかに言う。
「……ありがとうございます、陛下。本当に……ありがとうございます」
レンが、深く頭を下げる。
「ヴォルフガング」
国王が、辺境伯に向く。
「はい、陛下」
「本当に……良い人材を見つけてくれましたな」
「いいえ……」
辺境伯が、目を細める。
「この方は、最初から凄い方でした。私は、ただ傍で見ていただけです」
国王が、声を出して笑う。
「違いない……!」
ダンジョン・タワー29階の話
「それと……もう一つ、お願いがありまして」
国王が、少し照れたように言う。
「はい、何でしょう?」
「タワーのことなのですが……29階を、王家の別邸として使わせていただくことは……できますか?」
「29階……ですか」
レンが、少し驚く。
「はい。確か……展望台として予定していたフロアでしたよね。それは分かっているのですが……」
国王が、申し訳なさそうに言う。
「展望台は別のフロアに移していただいて……あの場所に王家の別邸があれば、タワーの視察や要人との会合にも使えると思いまして」
「なるほど……展望台は別のフロアに移せますし、問題ありませんよ」
レンが、答える。
「本当に……よろしいですか?」
「はい。29階を、王家の別邸としてお使いください」
「ありがとうございます……!嬉しいですね」
国王が、子供のように喜ぶ。
「ただ……」
レンが、続ける。
「30階は私の部屋です。王家の別邸が私の部屋より下の階になりますが……よろしいですか?」
国王が、急に表情を引き締める。
「それは……使徒様の上の階など……恐れ多い。むしろ、それが正しい在り方です」
「分かりました。では……29階の内装や設備については、後日、王家の担当者の方と相談しましょう」
「はい。よろしくお願いします」
国王が、深く頷く。
公共ゲート広場の依頼
「レン様……」
国王が、少し改まった表情で言う。
「はい?」
「ゲートの件で……もう一つお願いがありまして」
「はい、何でしょう」
「ダンジョン街と王都の間に、公共のゲートを設置していただくことは……できますか?」
「ふむ……」
レンが、少し考える。
「確かに……それができれば、王都からダンジョン・タワーへの往来が一瞬になりますね。冒険者だけでなく商人、旅人……かなりの人が動くと思います」
「はい、そうなんです」
国王が、身を乗り出す。
「国全体の経済が、大きく動くと思いまして」
「そうですね……では、少し説明させてください」
レンが、続ける。
「公共のゲートは、私邸のゲートとは管理方法が違います。私邸のゲートは私が登録した者のみが通れますが……公共のゲートは不特定多数が通りますので、鍵の仕組みを使います」
「鍵の仕組み……」
「専用の鍵を持つ者が、ゲートの鍵穴に差し込めば通行できます。鍵を持たない者は通れません」
「なるほど」
「それと……ゲート広場そのものを、しっかりした構造にします。高い石壁で完全に囲まれた区画にして、中に入るには必ず検閲官の前を通らなければならないようにします」
「密輸や不審な者が紛れ込まないように……ですな」
「はい。ゲートの形は……両側に太い石柱を立て、その上を石が橋のように渡った、大きな石造りの門にします。馬車が通れるだけの幅と高さも確保して、徒歩の方と馬車の通路は別々に設けますよ」
「それは……見事な構造ですな」
「ダンジョン街の隣と、王都の隣……それぞれに一か所ずつ作って、その二か所をゲートで繋ぎます」
「うむ、うむ」
国王が、嬉しそうに頷く。
「通行料についてですが……」
「はい」
「徒歩での通行……片道銀貨10枚でどうでしょう」
「!」
国王が、少し驚く。
「……それは、高額ですな」
「でも……馬車で3日かかる旅が一瞬になるんです。十分払える金額だと思いますよ」
レンが、軽く言う。
「なるほど……確かに」
「馬車1台での通行は……銀貨30枚です」
「銀貨30枚……!」
国王が、目を見開く。
「馬車には検閲官が乗り込んで、しっかりと中を確認します。この通行使用料は王国側は、そちらのゲートからダンジョンへ行く相手にチケットを販売して下さい。その売上が王国側のものになり、ダンジョン街側から王国側へ向かう者にはこちらでチケットを販売します。その売上は私の領地の物という事になります」
「なるほど………宰相計算を」
国王が宰相を見て言う。
宰相が、素早く計算している。
「陛下……王国側から1日に100名が徒歩で通行したとして……銀貨1,000枚。馬車が50台通行したとして……銀貨1,500枚。1日だけで……銀貨2,500枚になります」
「1ヶ月で……銀貨75,000枚……!金貨に換算すると……750枚……!」
国王が、驚愕する。
「実際には、もっと多くの方が通行すると思いますよ」
レンが、静かに言う。
「ダンジョン・タワーへの来場者が増えれば……それだけ通行者も増えますから」
「……」
国王が、しばらく沈黙する。
「あ!それとこのゲートの設置費用は要らないので、ゲートの利益に対しての税金は免除して頂きたいですね」
「レン様……ぜひ、お願いします」
国王が、真剣な表情で言う。
「分かりました。では、今夜やりましょう」
「今夜……!?」
国王が、驚く。
「はい。深夜に一気に作りますよ。クラフト魔法ですから」
レンが、さらりと言う。
「……本当に、規格外ですな」
国王が、苦笑する。
「では、場所の手配をお願いします。ダンジョン街の隣は私が用意しますので、王都の隣に土地を確保していただければ」
「すぐに手配します」
「よろしくお願いします」
第66話 完
次回予告:第67話「王都への報告・後編」
謁見の後。
国王が、レンと辺境伯を執務室へ招く。
宰相も同席する。
護衛の騎士が、扉の外に立つ。
扉が閉まる。
「レン様、お疲れ様でした」
国王が、ほっとした表情で言う。
「陛下もお疲れ様です」
レンが、微笑む。
「それにしても……侯爵への叙爵、おめでとうございます」
「ありがとうございます。まだ、少し実感が湧かないですが……」
レンが、苦笑する。
「ふふ……それはそうでしょうな」
辺境伯が、笑う。
「さて……」
国王が、椅子にゆったりと座る。
「ここでは、気楽に話しましょう。謁見の場では話せなかったことが、あるのではないですか?」
「はい、実は……」
レンが、頷く。
「電話でもお伝えできることかもしれませんが……やはり、直接顔を合わせてお話すべきだと思いまして」
「うむ。聞かせてください」
ゲートと転移魔法の告白
「一つ目は……ゲートのことです」
レンが、少し改まって言う。
「ゲート……?」
国王が、首を傾げる。
「はい。少し説明させてください」
レンが、続ける。
「例えば……ここに、鏡のような魔法装置があるとします。そしてグリューンヴァルト領にも、同じ装置があるとします」
「うむ」
「この二つの装置を、ゲートで繋ぎます。繋がった後は……こちらの装置に触れて一歩踏み出すと……次の瞬間、グリューンヴァルト領の装置の前に出る。そういう仕組みです」
「……!」
国王が、目を見開く。
「つまり……どれだけ離れた場所でも、一瞬で移動できると……」
「はい、そういうことです」
レンが、頷く。
「通行できるのは……私がゲートに登録した者のみです。登録していない者は、ゲートに触れても……ただの鏡や、ただの石の枠にしか見えません。なので、見つかっても安心です」
「なるほど……」
「形は自由に作れます。鏡のような小さなものから……両側に太い石柱が立ち、その上を石が橋のように渡った、人が何人も並んで通れる大きな石造りの門の形まで」
「大きな……石の門か……それは壮観ですな」
国王が、目を輝かせる。
「現在は私の私邸のみに設置しています。グリューンヴァルト領のタワー30階の私の部屋、工場地帯のマンション最上階、辺境伯邸の隣の私の屋敷……全て、私的な居住空間のみですね」
「二つ目は……転移魔法です」
レンが、続ける。
「転移魔法……ゲートとは違うのですか?」
国王が、興味深そうに聞く。
「はい、全然違います」
レンが、答える。
「ゲートは装置と装置を繋ぐもの……転移魔法は、私自身が直接移動する魔法です。過去に一度でも行ったことのある場所なら、どこへでも一瞬で移動できます。私が連れて行くと認識した者なら、何人でも一緒に移動できますよ」
「……!」
「今日も……グリューンヴァルト領から、辺境伯邸の執務室まで一瞬で移動しました。辺境伯様とエドガーも、一緒に」
「……グリューンヴァルトから辺境伯邸まで……馬車で3日の距離を……一瞬で……」
国王が、呆然と呟く。
「はい。ただし……転移魔法は私個人の魔法ですので、公に広めるつもりはありません。ご存知の方も、側近と辺境伯家の方々のみです」
「なぜ……今、話してくれたのですか?」
国王が、静かに聞く。
「後で知られれば……陛下への印象が良くないと思いまして」
レンが、少し照れながら答える。
「陛下には……隠し事をしたくないんです。それだけです」
「……」
国王が、深く頷く。
「ゲートについては……現状のまま、私邸のみでの使用を許可しますよ」
「ありがとうございます、陛下」
「公共のゲートについては……将来、必要になった時に改めて話し合いましょう」
「はい」
「……本当に、正直な方だ」
国王が、しみじみと言う。
「ヴォルフガング……あなたは本当に良い出会いをしましたな」
「はい、陛下。私もそう思っております」
辺境伯が、誇らしそうに答える。
重鎮への使徒公開の相談
「それと……」
国王が、少し真剣な表情になる。
「一つ、相談があるのですが……」
「はい、何でしょう?」
「使徒のことを……王国の重鎮たちに知らせておいた方が良いのではないか、と思っていまして」
国王が、続ける。
「レン様が侯爵になれば……重鎮たちと接する機会も増えます。使徒であることを知らずに、失礼な態度を取る者が出ても困りますし……」
「なるほど……確かに、そうですね」
レンが、少し考える。
(重鎮たちに……知らせる)
(しかし……全員が、信頼できる者とは限らない)
「陛下……一つ、ご提案があります」
レンが、言う。
「ほう?聞かせてください」
「実は……私の鑑定眼の精度が、最近かなり上がっていまして。人の内面……善意と悪意だけでなく、隠している秘密なども、ある程度分かるようになりました」
「それは……凄い」
「重鎮の方々に自然な形で直接お会いして、鑑定させていただいた上で……信頼できると判断した方にのみ、使徒のことをお伝えするのはいかがでしょうか?」
「自然な形で……というのは?」
国王が、首を傾げる。
「例えば……新しい侯爵への歓迎という形で、お茶会を催していただくのはいかがでしょうか」
レンが、続ける。
「重鎮の方々と自然に挨拶を交わしながら……その場で、さりげなく鑑定できます。怪しまれることもありませんし」
「……!」
国王が、目を輝かせる。
「それは……良い考えですな!」
宰相が、すぐに頷く。
「では……今日の午後、お茶会を開きましょう」
「よろしくお願いします」
新侯爵歓迎のお茶会
午後。
王城の大広間。
テーブルに、美しい茶器が並んでいる。
香り高いお茶と、菓子。
明るい、和やかな雰囲気。
王国の重鎮たちが、次々と集まってくる。
将軍、財務大臣、各省の長官……
総勢15名。
「本日は……グリューンヴァルト侯爵への歓迎と、叙爵のお祝いの場として、集まっていただきました」
国王が、穏やかに言う。
「皆さん、ぜひ……新しい侯爵と、直接お話しいただければと思います」
重鎮たちが、それぞれレンの元へ挨拶に来る。
「グリューンヴァルト侯爵、叙爵おめでとうございます。ダンジョン・タワーのご活躍……噂は聞いておりましたよ」
財務大臣が、にこやかに言う。
「ありがとうございます。まだまだ未熟ですが……どうぞ、よろしくお願いします」
レンが、丁寧に答える。
握手を交わしながら……
(アプレイザル)
静かに、鑑定眼を使う。
(誠実……清廉……問題なし)
「侯爵殿、若いのに大したものですな。我が息子にも、見習わせたいですよ」
将軍が、豪快に笑いながら言う。
「ありがとうございます。将軍閣下のような方に、そう言っていただけると……励みになります」
レンが、微笑む。
(忠誠心が高い……娘の借金を隠している……しかし、国への害意はなし)
(問題なし)
次々と、重鎮たちが挨拶に来る。
レンは、一人ずつ丁寧に対応しながら……
自然な流れの中で、鑑定を続ける。
三人目。
ある省の長官。
「グリューンヴァルト侯爵、この度はおめでとうございます。ダンジョン・タワーは……いつか、私も訪れてみたいものですな」
「ぜひ、いらしてください。お待ちしています」
レンが、笑顔で答える。
(隣国の間者……長年にわたり内部情報を流している……)
レンの表情は、変わらない。
穏やかな笑顔のまま。
しかし……
国王の方を、ちらりと見る。
極めて自然な動作で……
首を、わずかに横に振る。
国王が、静かに頷く。
四人目。
別の長官。
「侯爵殿、ダンジョン・タワーの商業施設……我々も、大変注目しております」
「ありがとうございます。まだまだ発展途上ですが……ご期待ください」
レンが、答える。
(横領……複数回……かなりの金額……)
また……
国王に、さりげなく首を横に振る。
こうして、15名全員との挨拶が終わる。
お茶会は、和やかなまま続いている。
誰も……
レンが鑑定していたことに、気づいていない。
鑑定の報告
お茶会が終わった後。
国王の執務室。
国王、宰相、辺境伯、レン、エドガーのみ。
「レン様……いかがでしたか?」
国王が、少し緊張した表情で聞く。
「15名のうち……13名は問題ありませんでしたよ」
レンが、落ち着いた口調で答える。
「おお……良かった」
国王が、ほっとする。
「ただ……残り2名は、少し問題がありまして」
レンが、静かに続ける。
「ある省の長官の方なのですが……隣国の間者のようです。長年にわたり、内部情報を流しているようですね」
「……!」
国王が、表情を固める。
宰相が、目を細める。
「それと……別の長官の方……横領を複数回行っています。かなりの金額のようです」
「……」
国王が、しばらく黙っている。
重い、沈黙。
「間違いありませんか?」
「はい。鑑定眼の結果ですが……あくまで内面を見るものですので、証拠は別途確認が必要です。実際の証拠を掴んだ上で、対処されることをお勧めします」
レンが、丁寧に答える。
「……そうですな」
国王が、深く頷く。
「宰相、すぐに調査を頼みます。ただし……気づかれないように。慎重に進めてください」
「承知しました」
宰相が、静かに答える。
「証拠が揃い次第、裁く。揃わない者は……重要な役職から外しながら、泳がせて尻尾を出すのを待ちましょう」
「はい、陛下」
「レン様……」
国王が、レンを見る。
「本当に、ありがとうございます。まさか……お茶会の場で、あれほど自然に……誰にも気づかれずに鑑定されるとは……」
「お茶会のご提案、ありがとうございました。あの雰囲気のおかげで、自然に話しかけることができました」
レンが、微笑む。
「13名の方々は、信頼できそうですね。追って、使徒のことをお伝えしてください。ただし……この情報は、厳重に管理してくださいね」
「承知しました」
国王が、力強く頷く。
魔導ドローンの売却
「レン様……もう一つ、お願いがあるのですが」
国王が、続ける。
「はい?なんですか?」
レンが、軽く聞く。
「ダンジョンで使っているドローン……あの監視装置を、我々にも売っていただけますか?」
国王が、少し遠慮がちに言う。
「諜報活動に……使えると思いまして」
「あ~、そうですね。はい、構いませんよ」
レンが、頷く。
「クラフト:魔導ドローン×20」
レンが、魔法を発動する。
光が輝く。
20台の魔導ドローンが、現れる。
「今……その場で……20台……!」
国王が、目を丸くする。
「はい。クラフト魔法ですから」
レンが、さらりと言う。
「隠密の魔法陣が施されているので見えません。自動追尾システムも搭載していますし、スピーカー機能も付けてありますよ」
「スピーカー機能まで……!」
「こちらの操作盤で、各ドローンの映像を確認しながら操作できます。慣れれば、すぐ使えると思いますよ」
レンが、操作盤も作り出しながら言う。
「……宰相」
国王が、嬉しそうに宰相を見る。
「諜報部に10台渡してください。残りは私が管理します」
「はい、陛下」
「代金は……後ほど、宰相と相談して決めましょうか」
国王が、レンに言う。
「はい、よろしくお願いします」
レンが、頷く。
王都の屋敷の下賜
「レン様……」
国王が、続ける。
「はい」
「侯爵になれば……王都での活動も増えますよね。王都に拠点は、お持ちですか?」
「いいえ……これまでは、宿を使っておりまして」
レンが、正直に答える。
「そうか……それは不便ですな」
国王が、少し考えてから言う。
「実は……貴族街の一角に、王家が所有する屋敷がありまして」
「はい」
「以前は、王族の別邸として使っておったのですが……今は使っておらんのです。かなり広い屋敷なのですが……良ければ、お使いになりませんか?今日の功績への、褒美として下賜したいと思っています」
「えっ……!本当によろしいのですか?」
レンが、驚いて聞く。
「もちろんです。王都に拠点があれば……私もいつでも呼び出せますし、レン様も活動しやすいでしょう」
国王が、にこやかに言う。
「……ありがとうございます、陛下。本当に……ありがとうございます」
レンが、深く頭を下げる。
「ヴォルフガング」
国王が、辺境伯に向く。
「はい、陛下」
「本当に……良い人材を見つけてくれましたな」
「いいえ……」
辺境伯が、目を細める。
「この方は、最初から凄い方でした。私は、ただ傍で見ていただけです」
国王が、声を出して笑う。
「違いない……!」
ダンジョン・タワー29階の話
「それと……もう一つ、お願いがありまして」
国王が、少し照れたように言う。
「はい、何でしょう?」
「タワーのことなのですが……29階を、王家の別邸として使わせていただくことは……できますか?」
「29階……ですか」
レンが、少し驚く。
「はい。確か……展望台として予定していたフロアでしたよね。それは分かっているのですが……」
国王が、申し訳なさそうに言う。
「展望台は別のフロアに移していただいて……あの場所に王家の別邸があれば、タワーの視察や要人との会合にも使えると思いまして」
「なるほど……展望台は別のフロアに移せますし、問題ありませんよ」
レンが、答える。
「本当に……よろしいですか?」
「はい。29階を、王家の別邸としてお使いください」
「ありがとうございます……!嬉しいですね」
国王が、子供のように喜ぶ。
「ただ……」
レンが、続ける。
「30階は私の部屋です。王家の別邸が私の部屋より下の階になりますが……よろしいですか?」
国王が、急に表情を引き締める。
「それは……使徒様の上の階など……恐れ多い。むしろ、それが正しい在り方です」
「分かりました。では……29階の内装や設備については、後日、王家の担当者の方と相談しましょう」
「はい。よろしくお願いします」
国王が、深く頷く。
公共ゲート広場の依頼
「レン様……」
国王が、少し改まった表情で言う。
「はい?」
「ゲートの件で……もう一つお願いがありまして」
「はい、何でしょう」
「ダンジョン街と王都の間に、公共のゲートを設置していただくことは……できますか?」
「ふむ……」
レンが、少し考える。
「確かに……それができれば、王都からダンジョン・タワーへの往来が一瞬になりますね。冒険者だけでなく商人、旅人……かなりの人が動くと思います」
「はい、そうなんです」
国王が、身を乗り出す。
「国全体の経済が、大きく動くと思いまして」
「そうですね……では、少し説明させてください」
レンが、続ける。
「公共のゲートは、私邸のゲートとは管理方法が違います。私邸のゲートは私が登録した者のみが通れますが……公共のゲートは不特定多数が通りますので、鍵の仕組みを使います」
「鍵の仕組み……」
「専用の鍵を持つ者が、ゲートの鍵穴に差し込めば通行できます。鍵を持たない者は通れません」
「なるほど」
「それと……ゲート広場そのものを、しっかりした構造にします。高い石壁で完全に囲まれた区画にして、中に入るには必ず検閲官の前を通らなければならないようにします」
「密輸や不審な者が紛れ込まないように……ですな」
「はい。ゲートの形は……両側に太い石柱を立て、その上を石が橋のように渡った、大きな石造りの門にします。馬車が通れるだけの幅と高さも確保して、徒歩の方と馬車の通路は別々に設けますよ」
「それは……見事な構造ですな」
「ダンジョン街の隣と、王都の隣……それぞれに一か所ずつ作って、その二か所をゲートで繋ぎます」
「うむ、うむ」
国王が、嬉しそうに頷く。
「通行料についてですが……」
「はい」
「徒歩での通行……片道銀貨10枚でどうでしょう」
「!」
国王が、少し驚く。
「……それは、高額ですな」
「でも……馬車で3日かかる旅が一瞬になるんです。十分払える金額だと思いますよ」
レンが、軽く言う。
「なるほど……確かに」
「馬車1台での通行は……銀貨30枚です」
「銀貨30枚……!」
国王が、目を見開く。
「馬車には検閲官が乗り込んで、しっかりと中を確認します。この通行使用料は王国側は、そちらのゲートからダンジョンへ行く相手にチケットを販売して下さい。その売上が王国側のものになり、ダンジョン街側から王国側へ向かう者にはこちらでチケットを販売します。その売上は私の領地の物という事になります」
「なるほど………宰相計算を」
国王が宰相を見て言う。
宰相が、素早く計算している。
「陛下……王国側から1日に100名が徒歩で通行したとして……銀貨1,000枚。馬車が50台通行したとして……銀貨1,500枚。1日だけで……銀貨2,500枚になります」
「1ヶ月で……銀貨75,000枚……!金貨に換算すると……750枚……!」
国王が、驚愕する。
「実際には、もっと多くの方が通行すると思いますよ」
レンが、静かに言う。
「ダンジョン・タワーへの来場者が増えれば……それだけ通行者も増えますから」
「……」
国王が、しばらく沈黙する。
「あ!それとこのゲートの設置費用は要らないので、ゲートの利益に対しての税金は免除して頂きたいですね」
「レン様……ぜひ、お願いします」
国王が、真剣な表情で言う。
「分かりました。では、今夜やりましょう」
「今夜……!?」
国王が、驚く。
「はい。深夜に一気に作りますよ。クラフト魔法ですから」
レンが、さらりと言う。
「……本当に、規格外ですな」
国王が、苦笑する。
「では、場所の手配をお願いします。ダンジョン街の隣は私が用意しますので、王都の隣に土地を確保していただければ」
「すぐに手配します」
「よろしくお願いします」
第66話 完
次回予告:第67話「王都への報告・後編」
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