5 / 378
5話 人とお話
しおりを挟む私はさっき助けた水色の長髪の可愛らしい女の子について行ってもらっている。
私のえっちらおっちら歩きにわざわざ合わせてくれるのは評価できるポイント。
いや、ケルとかいう犬を私が抱えてるんだし、私の歩幅に合わせるのは当然か。
あーあ、他者の意思を奪う奇怪な小石なんかじゃなくて、こんな美少女に生まれ変わりたかったなー。
ところで、私が今抱きかかえているこの犬は、さっきまで起きてたんだけど、今じゃ寝ちゃってる。
血を流しすぎたんだね。
それにしても、止血をなんとかできて助かった。絶対危なかったよね。
【もうすこしで、私の住んでる村だよ】
テレパシー的に脳に直接会話が送られてくる。
これはなかなか慣れないなー。
私は返事ができないから、代わりに女の子の顔をじぃっと見つめて頷いてあげる。
あ、ふふって優しく笑ったよ、今。
いいなーそのかわいい顔、羨ましい。
【ここだよ】
また脳に直接メッセージが送られてきた。
どうやらこの女の子の村に着いたようだ。
私は目の前の村を見てみる。
私達が入ってきた入り口以外、この村は木の柵のようなもので囲われていて、家が数十件あるし、すこし大きめの屋敷のようなものもあるし、なにかの道場のようなもの、学校のようなもの、畑とかが点々と建っていた。
私が村の情景を眺めながら、入り口に突っ立っているとメッセージが頭に来る。
【私の家まで行くから、ついてきて】
私は頷いてその通りにする。
また、女の子の隣をえっちらおっちらついていくんだ。
女の子は、周りの家よりはすこし高級感があふれる家の前に立ち止まった。
さっき見えた少し豪華なお屋敷だね。
【ここが私の家よ、中に入って】
女の子はその、シンプルかつ目を引くようなデザインの装飾がさらた木でできたドアを開け、中に入った。
続けて私も中にいれてもらう。
「ただいま………おじいちゃん……」
「ん? おかえり」
女の子の声の後に、老人の声が聞こえる。
その声がすると一緒に、この家の奥から一人、さっきの声の主であろう白髪の老人が出てきた。
老人といっても、背筋がぴーんとしていているからか、それなりに若く見える。
どっかの老執事とかにいそう、セバスチャンとかいう名前のやつ。
さらに、老人の隣には白い蛇のようななかなか容姿がすぐれた魔物がいる。
「あれ? 冒険者さん達に森を案内してたんじゃなかったのかい? ロモン」
「う……うん、そうなんだけどね、おじいちゃん……」
「む?、それはあの冒険者さんの一人が着ていた服じゃないか!? 一体なにがあったんだ?」
そんなに一気に聞かなくてもいいじゃないですね? おじいちゃんさん。
この娘ね、相当辛い目にあったんですよ?
説明させるの、かわいそうなんどけど…私が代わりに説明できればなー。
「言いにくいか?」
「………ん……」
「わかった。ケルに聞こう。ケルっ、おいケル?
ロモンや、ケルはどこいったんだ?」
ケルに聞く? そんなことできるの?
だってその子、犬だよ?
もしかして、さっきのテレパシーみたいなので聞くのかな?
だとしたらテレパシーすごくない?
ロモンと呼ばれた女の子は私の抱えている、ケルと呼ばれている犬を指差した
「そこの……トゥーンゴーレムさんが抱えてくれてるの」
「トゥーンゴーレム? なんでトゥーンゴーレムがここにいる? 新しく仲間にしたのか? でもトゥーンゴーレムは知能が低いし、身体がもろいしで、スライムと同レベルで弱い魔物だぞ? あまりお勧めはせんが?」
ひどい。この世界のゴーレムってそんな扱いなんだね。
あの髭面も言ってたけど。
私、すこし心外。泣きたい。
「ううん、違うの。私とケルはトゥーンゴーレムさんに助けてもらったの……でも仲間ではないよ」
「それは一体どういう……」
「今からそれを説明するね……おじいちゃん」
女の子は私を半ば放置している状態で、おじいちゃんにあったことを話し始めた。
私の知らない、なぜあの森にいたかとかも1から話してたね。
まぁ、簡単に言うとこうだ。
王国とかいう場所から、この村の抱えていた、モンスターが関連する悩みを解決するため、冒険者とかいう職業に頼んで、あのクズ二人を派遣してもらった。
で、そのクズを、この子……ロモンだったかな?
そのロモンちゃんがその問題の場所まで案内することになって、一応、護身としてケルちゃんを連れて行ったのはいいけど、ロモンちゃんは二人に弄そうになり、護身のケルちゃんでも一匹では二人に勝てなくてナイフにさされ、ついに性的に危なかったってところに、私が参上して助けた……という話だね。
「ふむ……ケルの傷を見る限り、本当なのだろうな…それにしてもトゥーンゴーレムがか……ところでそ奴らはどうした」
「あの…トゥーンゴーレムさんが、その人達の衣服を裂いて紐を作って、それで彼らを縛って、森の中に放置したよ」
「ほう? 面白い。先ほどから聞く限り、そこにいるトゥーンゴーレムはまるでトゥーンゴーレムではないみたいな行動をするのだな…魔物使いとしては興味が……………それよりいまはロモンのことだな。人の欲を見抜けず辛い思いをさせてしまった。ロモン。本当にすまなかった」
おじいさんはぺこりと頭を下げた。
「ううん……いいの、トゥーンゴーレムさんのおかげでなんとかなったから……」
「そうか……」
そう言いながら彼は私の元に近づいてきて、私の目線に合わせてしゃがんだ。
【孫と、うちのケルを助けてくれてありがとう】
この人も直接脳内に……。
まぁ、ありがとうなんて言われても私はジェスチャーすることしかできないけどね。
私は手のひらを広げ、よく劇とかの終わりに劇団員さんとかがやる、手を心臓に近めにお腹に当てたお辞儀の仕方でとりあえず頭を下げた。
「な!? いったいそんなのどこで覚えたのやら……興味深い。」
そんなこと言われてもねぇ……。
このくらいで驚かれるとか、トゥーンゴーレム本当にどんだけ知能低いんだか。
「ところでおじいちゃん、お姉ちゃんはどこ?」
ロモンちゃんの問いに、おじいさんは立ち上がりつつそちらを向いて答えた。
「ん? リンネか? あ、そうだった。お前がやっぱり心配だとかであの後、すぐに後を追ってだな………」
おじいさんがそう言うや否や、バーンと音がしてこの家のドアが勢いよく開かれた。
全員そちらを見る。
そこに居たのは、ロモンちゃんと同じ髪の色のショートカットの女の子がいた。
腰に剣を二本も携えている。
「はぁ……はぁ……ロモン! 戻ってたの! いったいどゆこと? 森の中で冒険者達が半裸で縛られて………」
そうとう息をきらしているみたいだね。
この娘がロモンちゃんに、お姉ちゃんと言われてた……えっと……リンネちゃんか。
見た目の歳的に双子かな?
髪型と目の角度が違うけど、それ以外は酷似してるし。
リンネちゃんとやらは、ロモンちゃんと私を交互に見て驚く。
「ロモン! なんであの冒険者の服を着ているの? それになんでトゥーンゴーレムがここにいるの? どうゆうこと?」
「それはな、リンネよ……」
おじいさんがさっきロモンちゃんがした説明をした。
「そ、そうだったの……何かあったんじゃないかって思って、そいつらそのまま放置したんだけど…………。でもさすがにトゥーンゴーレムは冗談よね? だってこいつら、スライムに次いで最弱候補だし、頭が良い方の個体でも掛け算もわかんないじゃないの。2×2だってわかんないんでしょ? たしか……」
「ふむ、そのハズなんだが……」
「冗談じゃないよ! ちゃんと見たもん」
失礼な。
もうでてってやろうかな。
せっかく助けてあげたというのに周りの仕打ちが酷すぎる。
もうちょっと歓迎してくれたっていいじゃない!
そのくらいわかるという意を込めて、私は4回その場で拍手をしてみせた。
「えっ……………」
「ほう、これはこれは」
「うそ……」
そんな、掛け算できたくらいでそんなに驚かなくても良いじゃん。
傷つくわ~。本当に傷つくわー。
でも私の考えは違ったようで、女の子二人はハモってこう言った。
「「人の言葉を理解した!?」」
え、そっち?
1
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる