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8話 MP切れでございます…
しおりを挟む回復魔法を習得したのはいいんだけど、MPがなくなっちゃった……。
もっと増やしたいなぁ…MP。
結局、ケル君の傷は完全には塞がらなかった。
でも、また何かの拍子で出血するってのはない程度には塞がったかな?
あとは安静にしてたら大丈夫かも。
ケル君は回復魔法の安心感が心地よかったのか、また寝ちゃったみたい。
「ふう……ねえ、アイリスちゃん」
私はロモンちゃんの方を向いて頷いた。
「あれ? MPなくなっちゃった?」
私はコクコクと頷く。
「そっか……じゃあ、ちょっと一方的に話しちゃうことになるけど…いいかな?」
私はコクコクと頷く。
「アイリスちゃん。もう一度お礼をいうね? 本当にありがとう。助けてくれて」
私はコクコクと頷く。
「あの時、アイリスちゃんが助けてくれなかったら私とケルちゃんは……酷い目にあってたと思う」
そうね、あれは明らかに危険だった。
私が居合わせれたのは、本当に運が良かったとしか言いようがない。
「でも、そのおかげでアイリスちゃんに出会えたの。私、強い魔物使いを目指してるのに、未だにおじいちゃんやお母さんから仲魔を借りてたから……。だからね、アイリスちゃんが私にとって初めての仲魔なの……これに関しても、お礼を言わせて…ありがとう」
ぺこりと頭を下げたロモンちゃん。
私はそんなロモンちゃんの頭を撫でる。
「ふふっ…アイリスちゃんったら…本当に、まるで魔物とは思えないね……普通は魔物なんて、人間を助けたりしないのに…実は中身、人間だったりしない?」
私は冗談交じりでコクコクと頷いてみた。
「え? 本当!?」
やばい、本気にされそう。
私は慌てて首を横に振る。
「だよね……もし魔物にされてるんだったらそれは呪いか何かだから…」
あれ?
もしかして私が小石になってたのって、なんらかの呪いだって可能性ない?
いやでも誰から呪いなんて受けるんだろう。
まぁ、いいか、なるようになったし。
「ところでアイリスちゃん。魔物使いって、魔物のステータスを見れるんだよ! まぁ、他人の仲魔は契約主の許可がないと見れなかったり、経験を積まなきゃいけないけど……。アイリスちゃんのステータスも見てみていい?」
私はコクコクと頷いた。
「じゃ、見てみるね」
そう言って、アイリスちゃんは右の手のひらを私に向け、そのまま目を瞑る。
手のひらからはなにやらオレンジ色の靄が見える。
彼女がなぜか首を傾げた。
「読み取ったけど…………アイリスちゃん、もう7レベルだよね? 普通、トゥーンゴーレムって5レベルで進化するらしいんだけど……なんでアイリスちゃんトゥーンゴーレムのまま7レベルなのかな…? それに、Fランクの7レベルとしてはステータス高いし……やっぱり他の子とは違うなぁ…」
Fランク? なんだろ、それは。
確かにそれも気になるけど、5レベル進化なのに今7レベルって…どゆこと?
もしかして進化できない系?
やばくね?
私はいかにも不安を抱いてますって感じで、肩を落とし、首を傾げた。
「あ! あ、落ち込まないでね、多分大丈夫だからね、ね?」
大丈夫ってなんの根拠なしに言われてもなぁ…。
「だってほら、私を襲った冒険者達って、Eランクの人たちなんだよ? なのにFランクのアイリスちゃんは勝てたんだから。だからアイリスちゃんは今のままでも強いよ? 十分。それに回復魔法も使えるんだし!」
だからランクってなによっ。
それがわかんないから、励ましになってないよ!
あぁ、もう、早くMP回復してっ!
まぁどうやって回復するかはわかんないけどね。
私は首を傾けてみせた。
「え? え? どうしたの? うーん、やっぱり喋ってくれないと不便……。アイリスちゃん、少し精神をリラックスさせてみてみて? 多分MPが回復すると思うから」
あ、回復方法教えてもらった。
私は首をコクコクと頷き、意識を軽くシャットダウンしてみた。
いわゆる瞑想。
数分後、さっきまで何かが自分に足りなかった感じがしてたんだけど、それがなくなった。
私のステータスを確認してみたところ、MPが満タンになってた。
これでまたお話できるね。
【ロモン様、MPが全回復いたしました。ご教授いただき、まことにありがとうございます】
「え!? もう全回復したの? 早い、いったいどうゆうリラックス方法をしたの?」
早いの…つまりこの世界に瞑想はないのかな?
これは誰にとっても有用な情報なはず。
私は惜しみなく彼女に教えることにした。
【なにも、考えなかったのでございます。言わば、考えるのをやめた…と、いったところでしょうか】
「え、なにそれ、すごい。私は大好きなお菓子のこと考えてリラックスするのに……」
それじゃあ雑念が入ってるから、完全にはリラックスできないんじゃないかな?
それにしても、ロモンちゃんの好物がわかったね。
お菓子だって、可愛い、
【そうですか…まぁ、人それぞれやり方がありますからね】
「うん、そだね。でも本当に全回復はすごいよ?
ところで、さっきまで首を傾げてたけど、何を聞きたかったの?」
【はい、私、ランクというものがわからないのです。そのランクというのはなんなのでしょうか?】
そう、聞いてみた。
ロモンちゃんはホッとした顔をしたよ。
何か私が変なこと考えてるとでも思ったのかな……。
「なんだ、そんなことか……。ランクっていうのはね? 主に魔物と冒険者……それ以外にも目安として使われてるんだけどね、この世にはF~SSのランクがあるの。魔物のランクは主に経験値で決められるよ。ランクのなかにも上中下があるけどね。ちなみにトゥーンゴーレムはFの下…スライムと同じだよ、冒険者のランクは、冒険者の説明しながら話すね」
【ありがとうございます】
そうか、私は弱い魔物に取り憑いてしまったわけか。
でも、人型に近かったのが助かった。
これがスライムとかだったらどうしょうもなかったかもしれない。
まぁ、いいや、過去のことは置いていて、とりあえず冒険者のことを聞こう。
「冒険者っていうのは…主に体を張って魔物を倒したり、危険な場所にある物をとってきたり、雑用をこなしたりする仕事だよ! 誰にでもできるんだよ! それで、冒険者のランクは、その人の強さと活動と信頼を表してるの。ランクが高ければ高いほど、いい仕事をもらえるんだよ!」
【ほう、そうなのですか】
これはなんか聞いたことあるような感じがする。
主にファンタジックな話でよく聞くかも。
この世界はその仕事が現実にあるんだね。
つまり、物騒な世の中だってことだね。
じゃあ、あのクズ男たちがこの村に来てた理由ってなんだろう?
なんかの仕事で来てたんだよね?
【では、あの私が殴り飛ばした男共はなんの仕事でこちらに?】
「それはね、最近、ゴブリンが畑にいたずらするから、4匹ぐらい倒してもらおうかなって。それと私の仲魔になる魔物を探すのを手伝って貰いに」
ゴブリン4匹だって?
私が倒したゴブリンの数じゃん、なんたる偶然。
【ゴブリン4匹ですか? 私、ロモン様に出会う前に丁度の数、倒してしまいましたよ! …それに私が仲魔になったではないですか!】
「え! そうなの? すごい! アイリスちゃんやっぱりすごいよ! これって運命?」
【褒められると照れますよ。もっと褒めてください】
「すごいよ、偉いよ、賢いよ!」
【ありがとうございます】
褒められるのはいい気分になるね。
応援ありがとうございます!
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