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14話 天才の私とゴブリンでございます!
しおりを挟む「「おじいちゃん、すこしうるさいよ! どうしたのそんなに騒いじゃって……」」
うちの美少女の双子が同じこと言いながら起きてきた。
ハモってるところを見ると、やっぱり双子なんだなぁって感じがする。
昨日同様、リンネちゃんの手にはクマの人形が抱きかかえられている。
「これが騒がずに居られるか! 10レベルになってもアイリスが進化しなかったんだぞ!」
「「えっ!?」」
二人は私の身体の異変を聞いて一気に眠気が吹き飛んだようだ。
目をカッと見開いて二人はそれぞれ、おじいさんに向かってこう言った。
「なに…それって病気なの?」
と、リンネちゃんが私の方を見て心配そうな顔をしている。
「違うよ! 亜種より上の存在になれるんだよ!
これ、本当にすごいことだよ! 15レベルになったら超越種っていうのにアイリスちゃんは進化するの!」
と、ロモンちゃんがリンネちゃんの返答をかなり興奮気味に答えた。
「亜種より上?」
「そう! 亜種より上! 人間でいえば、亜種が普通の天才で、超越種が歴史的大天才っていったところだよ!」
「えー! アイリスちゃん大天才なの? すごーい」
【おそれいります】
私はぺこりと頭を下げた。
えへへ! 大天才だって、照れるなあ!
そう思いつつ私はかゆくもない後頭部をぽりぽりと掻いた。
「じゃあ、今日はお祝いしなきゃね!」
「でもどうするの? アイリスちゃんご飯食べられないよ?」
「うーん、あ! いいこと思いついた。アイリスちゃんお風呂好きだよね?」
【ええ、好きですよ】
まさか、豪華な入浴剤でも使ってくれるのだろうか? それはありがたいかもしれない。
お風呂はいいよねー。
「なら、アイリスちゃんを私達二人で一緒に洗ってあげるってのはどう?」
え、そっちですか!
入浴剤なんかよりもいいじゃないの。
「えー、いいけど…今日ぼくとアイリスちゃんとで二人きりで入るって……」
「だったら、朝と夕方で二回入ればいいんじゃないかな? 朝に3人で……」
「んー、わかった。そうしよう」
なんか、勝手に話しが進んでくけど…今朝にはリンネちゃんと二回入ることになったのかな。
そのうるわしきお身体を無い眼球にしっかり収めて、記憶しておかなければ。
「それでいい? アイリスちゃん」
【ありがとうございます! 私のために】
「いいみたいだよ! じゃあお風呂で決まりだね!」
「朝風呂ー!」
そんな感じで朝から和気藹々と楽しく、お風呂に関することと、私の凄さに関しておめでたい会話していたんだ、
だけどそれもつかの間、途中でいきなりこの家のドアが思いっきりよくドンドンとノックされたんだ。
「わしが出よう」
ウォルクおじいさんは村長としての威厳をまとっているかのような真剣な顔つきになり、ドアを開けた。
その先には麦わら帽子をかぶった梨農家のおじさんがとても慌てた表情で立っていたんだ。
「どうしました? スティーブさん」
「ご……ご……ゴブ……見たこともねぇゴブリンが畑に……畑に出たべヨォォォ!!」
そう、訛り口調で彼は言る。
見たこともないゴブリンだって? 気になるなー。
「わかりました、すぐに向かいましょう【ガーナ行くぞ】」
【ええ】
【あ、私にも行かせてください!】
自分でも驚きなんだけど、とっさに声がでてしまった。
そんなに私はそのゴブリンがみてみたかったんだろうか?
いや、違う。戦ってみたいっていた方が正解かな。
「む? わかった、いいだろう。ついてきなさい。二人もついてくるか? 危なくなったら逃げるんだぞ?」
「「うん! 行く!!」」
「では向かいましょう」
「こっち、こっちだべー!」
私達4人と2匹は未だ寝ているケル君を置いて、急いで梨農園へと向かう。
「ここだ! ここだべさ!」
そう言ってスティーブさんが指をさした先には、5匹の魔物がその区画にある梨を荒く貪り食べている何者かがいた。
そいつらは普通のゴブリンより少し大きめで髪の色が普通は白のところが灰色という、いかにもゴブリンの強化版4匹と、ピンク色の肌をしていて緑色の髪がある少し派手な色合いのゴブリンが1匹だ。
「なっ……ボブゴブリン4匹とレディゴブリンじゃと……!? しかもあのレディゴブリンは亜種じゃないか……」
「「え、それって……」」
「あぁ、かなりまずいのぉ……わしらだけではどうにもならん」
なんだ、なんだ? 何がやばいんだ?
【何がまずいのでしょうか? ウォルク様】
「ボブゴブリンはEランクの下、レディゴブリンはEランクの上で、そのうえ亜種じゃから恐らくDランクの下並み、こりゃあ冒険者呼ばんと……」
今の私ならばその程度、ナメプしてても勝てる気がする。経験の肥やしにしたい。
【私が蹴散らしましょうか?】
「いや、それは流石に無理じゃろう。あやつら全員ステータスはすべて平均50は超えておるみたいじゃから……」
【じゃあ問題はないですね。私は全ステータス平均120は超えてます】
それを聞いたその場にいるほぼ全員がありえないことを聞いたように驚いた。
梨農家のスティーブさんだけがなにかわからないような表情をしてたけど。
「なんじゃと!?」
「ーー!? 確認した! 本当みたい、おじいちゃん!」
「もう、トゥーンゴーレムやめてる……」
「へぇ、最近のゴーレムはすごいんだべな」
私は驚いている人達に向かってこう言う。
【まぁ、見ていてくださいよ】
と。
私は一瞬で魔流の気をまとい、それに魔集爆を加え放つ…[魔爆波]を5連続、拳を握り高速で左ジャブをするかのごとく打つ。
そのうち魔爆波4つは私が思っていた通りの場所に思っていたように被弾しゴブリンを巻き込んで爆発。
だがしかし、1つ、レディゴブリンとやらには回避されてしまった。
それでも、レディゴブリンは爆発に巻き込まれて火傷を負ったようだ。
【ボブゴブリン4匹を倒した! 経験値120取得】
【レベルが2上がり、14になった!】
【行動ボーナス! 魔力と攻撃と素早が上がりやすくなった!】
そのまま、爆発のどさくさにまぎれ、レディゴブリンは逃げてしまったが、ボブゴブリンは全部倒せたからよしとしよう。
まぁ、MPはもうスッカラカンだけどね。
「え……え? アイリスちゃん、一体なにを…?」
開いた口が塞がってないまま、リンネちゃんは私に質問してきた。
【私が昨日、夜中に編み出した新必殺技です! どうですか?】
「いや……もうFランクじゃないってゆうか……」
「本当にトゥーンゴーレム?」
「いんやぁ、最近のゴーレムは爆発させられるのか………」
【スデニワタシヨリツヨインジャ……】
「(自分で技を編み出すじゃと? 超越種より上の存在にこの子が……? いやまさかな…それは流石に……いや、でも万が一……だとしたら…)」
各々が私の魔爆波の感想を述べてくれてるなか、ウォルクおじいさんだけは、なにやら一人でブツブツと考え事をしているようだった。
ここで突然に空気を変えた始めたスティーブさん。
「いんやぁ、なんにしろありがとだべさ。まさかアイリスちゃんがあんなおっかねえの追っ払えるとはなぁ……おらびっくりしたで。被害を最小におさえられた礼だ。梨もってけや」
「え、でも……アイリスちゃんは食べ物食べられなくて…」
【そうなんですよ…】
「いんや、ロモンちゃん達はこの子の仲魔だべさ、もってけ持ってけ、ほぉれ」
そう言って、彼はたくさんの梨を私達3人の腕いっぱいに放り込んでいった。
「あ、ありがとうございます」
「本当にいいんですか?」
「んだんだ、本当だったら高い金払って冒険者呼ばなあかんかったんだもの。それぐらい屁でもねぇ」
「「あ、ありがとうございます!!」」
【ありがとうございます】
私達3人はぺこりと礼をする。
梨もらっちゃった。えへへ、もうけー!
私は食べられないけどな!
ところで、おじいさんがまだ考え事しながらブツブツ言ってるんだけど?
それを見かねたリンネちゃんがおじいさんに声をかける。
「おじいちゃん! なに考え込んでるの? ぼく達もういっちゃうよ!」
その呼びかけでやっと彼は気づいたようだ。
「おおぅ、すまなかった。スティーブさん、梨ごちそうさまです」
「いんや、助かったなあこっちだべ。んじゃおら、作業に戻るべ。あんがとな」
「ええ」
そう言って私達は家に戻っていった。
さて、ワクワクのお風呂タイムだ!
若い美少女二人に囲まれてお風呂だぞ!
テンションあがる!
◆◆◆
「ぐぁ……」
森の中、ある1匹のピンク色のゴブリンが、手から淡い黄緑の光を出して、自分の傷を癒していた。
彼女は驚いていた。
この梨がなる村に、自分より強いトゥーンゴーレムが生意気にも居ることを。
そして、なにも言わずに……いや、トゥーンゴーレムだからなにも言わないのは当たり前なのだが、いきなり攻撃してきて、部下が全員殺されてしまったことも。
きっと、あのトゥーンゴーレムに今頃梨を独り占めされてるに違いない。
そう考えると悔しくて悔しくてしょうがなく、恨みが彼女には募っている。
さらには彼女の美しい肌に火傷を負ってしまった。
これは彼女にとって万死に値するのだ。
彼女は走っていく、早く自分の夫にこのことを報告するために。
彼女の夫は強かった。なんせ亜種とかいうわけわかんない存在に自分を上げてくれた上に、人間だってすでに何人か瞬殺しているのだから。
だから彼女は治しきれなかった火傷した足で長い道をひたすら走っていく。
それがすでに普通に歩くのより遅くても。
あのいまいましきトゥーンゴーレムを、夫であるボスゴブリン(亜種)に殺して貰うために……。
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