私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
20 / 378

20話 全ては運次第でございます…

しおりを挟む

 
 目的の場所に着いた。


「ここって……」


 ロモンちゃんはキョロキョロと首を動かし、周りを見渡している。


「私とアイリスちゃんが初めて会った場所だよね?」
【はい、そうです】


 返事しながら、みんなの方を振り向かずに、私は一番近くにあった、大きくて頑丈そうな木のそばまで行く。


【ウォルク様、お願いします】
「わかった…本当にいいんじゃな?」
【はい】


 おじいさんは私を、身動きがとれないように、その木にロープで頑丈に頑丈に縛り付ける。
 何重にも…何重にも。


「おじいちゃん……なんでアイリスちゃんを縛り付けてるの?」
「そうだよ! もうそろそろ教えてくれたっていいじゃない!」


 そうは言いつつも二人はおじいさんを止めようとしない。
 この私とおじいさんの哀しげな雰囲気に圧倒されているのだと思う。
 なにがなにやら分からず、二人は相当焦っているみたい。

 そろそろ、ワケを話してもいいよね。


【私は……これから進化します】


 ロモンちゃんとリンネちゃんは互いに顔を見合わせる。


「め……めでたいことだよ……ね? なんでこんなことする必要ある…の?」
「そうだよ! 病気じゃなかったんでしょ!?」


 その言葉を聞いたウォルクおじいさんは『はぁ…』と溜息を吐いてこう言った。


「……まだ、病気の方がよかったのかもしれん」


 その言葉に二人は唖然とする。
 一方は全く訳が分からず、もう一方はその訳がわかったからか…。


「おじいちゃん……もしかしてアイリスちゃん……魔王種になる可能性がある…の?」
「えっ!? 嘘……そんなの伝説上の話じゃ……」


 魔王の話はロモンちゃんは詳しく知っていたのか、今にも泣きそうな顔をしている。
 リンネちゃんは未だに信じられないみたいだ。


「確かに伝説的な話じゃ。だが、今まさにアイリスちゃんはその問題に直面している…現実でのことなんじゃよ。縛り付けている理由がわかったか……二人とも」


 おじいさんは今までにないくらいに厳しさと現実味を帯びた顔立ちで二人を諭す。
 
 ____双子の姉妹はついに溢れ出る感情が抑えきれなかったのか、泣き出してしまった。


「いやだ! アイリスちゃんはアイリスちゃんだもん! 私を助けてくれたの! 魔王なんかになるはずがないよ!」
「そうだよ、アイリスちゃんはぼく達の仲魔だよっ……魔王なんかじゃないよぉ………」


 滝のように涙を流す二人に、私は声をかける。


【二人とも、私はこの一週間とても楽しかった。本当に。なにもここで私が絶対死ぬワケではないんです。極至種になる可能性だって高いんです。ですが、仮に魔王になった場合、私は世界の敵となります。大好きなあなた方だって殺してしまいます。それは、絶対嫌だから、私が魔王になったらその"爆発するように改造した棍棒"をウォルク様に投げてもらい死ぬつもりです。ですが、極至種になった場合……また、一緒に過ごしましょう】


 二人は涙が流れ出ているまま、無理に笑顔をつくってこう言った。


「うん……一緒に」
「絶対、極至種になってね!」


 首を傾け、頷きつつ言葉を返す。


【はい、勿論です】


 そしてもう一度姿勢を正し、いよいよ進化することにした。


【それでは……進化します、もし魔王になったらすぐに……】


 おじいさんさんは静かに頷く。


「あぁ、わかっておる」


 ……さあ、これで準備はできた…進化しよう。
 そう、私はそう進化する旨を頭の中でイメージする。

 すると、こんな表示が出た。



【進化します
結果予測:それぞれ16.6%の確率

トゥーンゴーレム→リトルメタルゴーレム
        →リトルフレアゴーレム
        →リトルスピーディゴーレム
        →リトルヘビーゴーレム 
        →リトルリペアゴーレム
        →リトルホワイトゴーレム

 以上からランダムです。

 特別な進化です。
 魔極進化→魔王種:58%
      極至種:42%     】



 魔王になる確率は58%ね…でも、私は諦めない。

 進化すると意思を強く心の中で決めた。
 その途端、私の身体はまばゆく、温かい未知の光に包まれる。
 この光包まれると、なにやら安心できるような気がする。

 そして、私の頭の中には、【進化中】というもじと、なにかの割合が表示された。


【進化中……31%】

 この割合が増える度に、私を包む光はだんだんと強くなっていく。

【進化中……63%】

 数がどんどん増えていく。

【進化中……74%】

 さぁ……どっちだろうか?
 私は死ぬの?
 それともまた、あの娘たちと過ごせるの?

【進化中……86%】

 ……。

【進化中……98%】


 そして、私の頭の中に今までも感じたことのないような感覚が駆け巡り__________





























【100%
 進化が完了しました。
 結果 ランクD→
 リトルリペアゴーレム〈極至種〉】

【レベルが1に戻ります。人間と関わった進化のため、ステータスに今後、ランクと契約した人間が表示されます】

【回復魔法『リペア』が『リペアム』に上がりました!】
【回復魔法『スペア』が『スペアラ』に上がりました!】


【特技『念話』が『無限念話』に上がりました!】
【特技『探知』が『大探知』に上がりました!】

【特殊特技『極みに至る知能』を習得しました!】
【特殊特技『極みに至る身体再生』を習得しました!】
【特殊特技『極みに至る補助・回復の凌駕』を習得しました!】
【特殊特技『極みに至る自然治癒」を習得しました!】

【種族特技『手腕完璧操作』を習得しました!】

【ユニーク特技『小石視点』を特別に習得しました!】
【ユニーク特技『習得の叡知』を特別に習得しました!】
【ユニーク特技『教授の凌駕』を特別に習得しました!】


◆◆◆


 私を包んでいた光が晴れ、シャットアウトされていた意識を取り戻す。

 私はロープに縛られていたはずなんだけど、身体が大きくなったからかな?
 無理に千切れたようにロープは切れていた。

 少し遠くで、ウォルクおじいさんが私に棍棒を構えながら、手の平もこちらに向けている。
 その手のひらもなにやらオレンジ色に光っていた。…あれは、ステータスを見るときのやつだ。

 ロモンちゃんとリンネちゃんは、私とおじいさんを、泣きはらした後の真っ赤な目で心配した顔で交互に見ている。

 しばらくしておじいさんは、手のひらをスッとさげた。
 それと同時に棍棒を構えるのをやめた。

 そして、こう言ったんだ。


「進化、おめでとう! アイリスちゃん」


 と。

 そしてその言葉を聞いた二人は、この上ないくらいの大はしゃぎをしつつ、私の元に駆け寄ってきた。
 


「やったぁぁぁぁぁっ! やった! アイリスちゃんっ」
「よかったよぉ……アイリスちゃん! アイリスちゃん!」


 私は二人を迎えるためそっと立ち上あがり、思わず、寄ってきた二人を、進化して発達したその長い腕と、二人と少ししか違わない身長をうまく使い、力を加減しながら抱きしめる。



【ご迷惑おかけしました。……これからも私、アイリスをよろしくお願いします】
「「うん!!」」
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...